仕組みと感情の接点
こんにちは。今週、あなたが記録した音声ログ。早速ですが、一緒に紐解いていきましょうか。いやー、今回も仕事からご家庭のこと、そしてご自身の内面まで、本当にいろいろな場面の思考が記録されていて。
えー、聞いていて非常に興味深かったです。
えー。
本当に、全体を通して聞いてみて、この一週間を貫く、なんかこう、ある一つのテーマが浮かみ上がってきたように感じました。
ほう。テーマですか。
はい。それは、仕組みと感情の接点。
仕組みと感情の接点。なるほど。
えー。何か課題にぶつかった時、またそれを解決するための仕組みを作ろうとする、すごくクリアな動きがあるんです。
はいはい。
でもその一方で、ご自身とか、周りの人の感情っていう、どうにも仕組みだけでは割り切れないものにぶつかって。
あー。
そこで思考が揺れうがいている。そんな様子がなんかいろいろな場面から伝わってきましたね。
仕事と家庭における仕組み
面白いですね。確かにまず目に飛び込んできたのが、その仕組みで物事を解決しようとする姿勢でした。
えー。
特に仕事でのタスク管理、あれは徹底してましたよね。長期タスクはA4用紙1枚にまとめて、で、今日のタスクは。
あの、A4を16等分に折った小さな紙に。
そう、それです。
あの、16等分っていうディテールがなんかすごいですよね。単にメモするんじゃなくて、物理的な制約を自分に課してる。
あー、書けるスペースが限られてるから。
そうなんです。だからこそ本当に今日やるべきことだけを、こう、厳選せざるを得ない、一種のフィルターとして機能してるわけです。
ペンも赤と黒で使い分けてましたしね。目的は探す無駄とか、同じことを何度も考える無駄をなくすことだと。
えー、これって単なる効率化っていうより、もっと深いレベルの話のように感じました。
と、言いますと?
おそらくこれは、思考の外部メモリ化なんだと思うんです。
外部メモリ化。
はい。頭の中のごちゃごちゃしたタスクリストを、信頼できる紙っていう外部のハードディスクに完全に預けちゃう。
そうすることで脳に考えるための余白、つまり、なんていうか、CPUの空き容量を意図的に作り出そうとしてるんじゃないかなと。
なるほど。脳のメモリを解放するため、その空いたメモリで、もっと別の複雑なことを考えるリソースを確保してると。
そういう見方ができるかもしれません。
で、この仕組みに委ねるっていう発想が、仕事だけじゃないのがすごく面白いところで。
あー、家庭にも。
えー、持ち込まれてるんです。
奥様とのコミュニケーションの話ですね。過去のすれ違いの教訓を忘れないように、毎週自分宛にメールで。
自動送信するっていう。
はい。
IFTTという通常を使って、これも感情的な反省を頑張って覚えようっていう精神論じゃなくて、テクノロジーっていうある種冷徹な仕組みにリマインダー役を完全に委任してる。
確かに。仕事の多色管理と根っこは全く同じ発想ですよね。
そうなんです。
でも、それって少し面白いというか、一歩間違えるとちょっと冷たい印象も与えかねないじゃないですか。君との教訓はこの自動メールで管理してるよ、みたいな。
まさにおっしゃる通りです。その辺りのバランス感覚も今回のテーマの革新に触れてきそうですよね。
振り返りのフェーズ
その仕組みへの信頼が揺らぐ場面っていうのも記録されてました。ポッドキャスト制作のログです。
ありましたね。AIで解説音声を生成すれば効率化できるっていう新しい仕組みを検討する一方で。
そう。一方で、毎日配信するっていうご自身が最も大事にしてる、いわば最大の仕組みが崩れるリスクを考えて結局見送るんですよね。
常に天秤にかけてる感じがします。より良い仕組みと継続可能な仕組みと。
何か問題に直面した時、まず精神論とか気合じゃなくて、具体的なシステム、道具、ルールに落とし込んで解決の糸口を探る。
この一貫した思考パターンがこの1週間のログのまず1つの大きな特徴と言えるんじゃないでしょうか。
本当に、どんな問題もまずシステムで解決しようとする。クリアーな姿勢ですよね。
でも面白いのが、その完璧に見えるシステムが人の感情っていう予測不可能な変数にぶつかった時に途端にきつみ始める。
特に奥様とのやり取りの記録はまさにその典型例だったんじゃないでしょうか。
そうですね。土日にご両親にお子さんを預けて仕事を進めれば、平日の残業が減って結果的に家族の時間も増える。
はい。ロジックとしてはすごく合理的ですよね。
ええ。奥様にとってもメリットがあるはずだっていう前提で提案した。
でも、反応返ってきたのは予期せぬ反応だったと。
そうなんです。ログの中ではその時のご自身の思考のプロセスをかなり詳細に振り返っていました。
自分の提案にはご両親との過去の経緯から来る奥様の感情っていう決定的に重要な変数が抜け落ちてたと。
ここが仕組みと感情の接点のまさに摩擦が起きている部分なんですね。
そうなんです。合理性っていう名の設計図通りに物事が進まない現実を目の前にして、なぜだって分析を始めてる。
ああ。
自分のロジックのどこにバグがあったのかを検証しているようなそんな印象を受けました。
なるほど。バグの検証ですか。それはお子さんとの関係の記録にもはっきりと現れていましたね。
ええ。朝の忙しい時間帯につい大きな声を出してしまうと。
はい。怒鳴ってはいけないっていう理想のルールと、でもついやってしまうっていう現実の行動、そのギャップですよね。
まさにそのギャップに直面している。
で、そのギャップを埋めるためにまた新しい仕組みを探し始めてるのが興味深いんですよね。黙って3秒待ってみるとか。
構造になっていると思いませんか。
おお。
感情的にならないようにするっていう感情の問題を解決するために、アンガーマネージメントの6秒ルールみたいなまた別の仕組みを持ってこようとしている。
ああ、なるほど。感情という名の舵を、仕組みっていう道具で消しようと試みてるみたいな。
そういう見方もできますよね。そのアプローチが果たして根本的な解決につながるのか、ご自身の中でもまだ答えは出ていないという葛藤が伝わってきます。
そしてその葛藤の穂先はご自身の親にまで向かっている。
子育ての本を読んで無理やり謝らせるのは良くないっていう新しい知識、新しい仕組みをインストールした。
ところがふと見ると、ご自身の母親がまさにその古いやり方を実践していることに気づいてしまう。
うわあ、これは複雑な状況ですよね。自分の子供にとっては新しいやり方が正しいのかもしれない。でも母親のやり方を真っ向から否定すれば。
そう、それは母親自身のこれまでの子育てとか価値観を否定することになって、自己肯定感を深く傷つけてしまうかもしれないと。
ええ。
子供の感情を守るための仕組みが、今度は親の感情を脅かすかもしれないっていう新しいジレンマに直面しているわけです。
ここにはもう単純な正解はないですもんね。どの選択をしても誰かの感情に波紋を広げてしまう可能性がある。
ええ。合理性や仕組みだけでは到底たどり着けない領域ですよね。
こうして見ていくと、対人関係のログには共通のパターンがありますね。まず、合理的な思考とかつい反射的な行動が先行する。
はい。
でも、相手の感情的な反応との間にズレが生じると、必ずその後に振り返りのフェーズが入る。
まさにその通りです。その振り返りの精度が非常に高いんですよね。ただ失敗したなーで終わらせるんじゃなくて、
なぜズレたのか、相手の感情の背景には何があったのか、自分の思考のどこに見落としがあったのかをまるでデバッグ作業のように検証している。
ああ。
この振り返りのプロセス自体が、あなたにとって非常に重要な学習サイクルとして機能しているように見えますね。
そしてもう一つ、この1週間繰り返し語られていたのが、こうあるべきだっていう思考と実際の行動がなかなか一致しないっていうもどかしさでした。
はい。お子さんとの関係もそうですし、仕事の人間関係についても、相手の行動原理を理解してそれに合わせるべきだと頭では分かっている。でも実践は難しいと。
ええ。この理想と現実のギャップへの言及がかなり頻繁に出てきました。
試行錯誤の重要性
でも不思議と、そこに絶望感とか諦めみたいなトーンは感じられないんですよね。
そうなんです。僕もそう思いました。
おっしゃる通りです。むしろそのギャップとかズレを認識することが、次の一歩のためのスタート地点になっている。
はいはい。
だからこそ試行錯誤という言葉が、この1週間の姿勢を的確に表しているように思うんです。
試行錯誤ですか。なるほど。つまり、完璧な答えを最初から見つけようとするんじゃなくて、やってみて、ズレを修正してまた試すというプロセスそのものを続けている?
そういう見方ができると思います。仕事のタスク管理法だってまだ完成形じゃないですよね。A4用紙を16等分にしてみたり、ペンの色を試したり。
今まさに模索している最中ですもんね。
ええ。奥様との関係改善のためのIFTTメールもこれが絶対の正解だとは思ってなくて、まずは実験的にやってみようというスタンスが感じられます。
そして子育てに関してもログの最後はこう締めくくられていました。本を参考に試して失敗することを繰り返していくしかないんだと思う。
これってあなたにとって分野を問わずあらゆる課題に取り組む上での基本的なスタンスになっているのかもしれません。
完璧な仕組みを一度で作ろうとするんじゃなくて、不完全な試行錯誤を続けること自体をある種の仕組みとして受け入れているというか。
なるほど。面白いですね。さて、こうして1週間の記録を並べてみると、いくつかの試行のパターンとか感情の流れのようなものが見えてきました。
感情と理論の摩擦
これらが一体何を意味するのか、もちろん断定はできません。ただ考えられる可能性をいくつか提示することで今回の点検を締めくくろうかと思います。
はい。ではあくまで仮説としていくつか挙げてみましょう。
お願いします。
一つ目の可能性ですが、仕事とか家庭で直面する複雑な状況ってものすごく認知的な負荷つまり頭のリソースを食うじゃないですか。
食いますね。
それを仕組みとか試行の外部化によってできるだけ管理して精神的な余裕、脳の空き容量を生み出そうとしているという見方です。
日々コクコクと変わる状況の中で判断の基準をなるべく自分の外に置くことで脳のメモリを節約しようというある種の生存戦略みたいなものかもしれないと。
そして二つ目の可能性、この1週間はもしかすると合理的な解決策としての仕組みと割り切れない感情的な現実との間に生まれる摩擦そのものをご自身の中で深く探求する期間だったのかもしれないということです。
摩擦そのものがテーマですか。
はい。仕組みを作っては感情の壁にぶつかり、深く振り返りまた新たなアプローチを試す、そのプロセス自体にある種の面白さとか学びの革新があると感じている可能性です。
なるほど。問題が解決すること以上にその過程に価値を見出しているという見方もできます。
はい。そして三つ目の可能性ですね。
先ほども出ましたが、振り返りより良い方法を発見し、実践の難しさに直面し、それでも試行錯誤を続けるという一連のサイクル。
うーん、これが分野を問わずご自身の学習や成長の非常に基本的なモデルとして機能しているという可能性です。
課題解決そのものよりも、この試行錯誤のサイクルを回し続けること自体が目的化しているというか、そこに自分の成長の実感を得ているのかもしれないということですね。
そういう可能性も考えられます。
なるほど。これらの仮説が正しいかどうかはここでは重要ではありませんよね。
ええ。ただ、ご自身の試行の軌跡をこうして客観的に少し離れた場所から眺めてみることで、また次の一週間、何か新しい視点が生まれるかもしれない。
ええ。例えばですけど、あなたが作ろうとしている様々な仕組み、それは誰かの感情に触れる手前で止めるべきなのか、それともあえて感情の領域に踏み込むための道具として使うべきなのか。
ご自身にとっての役立つ仕組みと人との温かいつながり、その境界線はどこにあるんだろうと、そんなことを少しだけ意識してみるのも一つの面白い観察点になるかもしれませんね。