ブージヴァルのダンス
ボイスドラマ、ルノワールのブージヴァルのダンス。
雨上がりの夕暮れ、喫茶店。
窓の外には、にじむような街の光。
テーブルには、湯気の立つ紅茶が置かれている。
マリアとtomyは、向かい合って座っていた。
ねえ、tomy。
今日は、ルノワールのブージヴァルのダンスについて話そうか。
印象派の絵で有名な作品なんだよ。
うん、お願い。
どんな絵なの?
まず、全体の雰囲気をね。
真ん中に、男女が踊っている姿が大きく描かれているの。
男の人が女の人を抱きかかえるようにして、手を取り合って踊っている。
とても親密で幸せそうな感じ。
うんうん。
男の人は、茶色い髯があって、頭には麦わら帽子をかぶっている。
グレーのスーツを着ていて、そのスーツのジャケットのシワまで、とても丁寧に描かれているんだ。
でも、一番目を引くのは女の人の方かな。
どんな人なの?
彼女はね、すごく華やかな格好をしているの。
花柄のついた白いドレスを着ていて、ピンクや青、黄色の花が散りばめられている。
ドレスは風になびいているみたいに、ふんわりと軽やかに描かれているんだ。
ブロンドの髪は肩まであって、帽子にも花が飾ってある。
顔はどんな感じ?
彼女の顔は、少しうつむき加減で、頬はほんのり定規しているみたい。
まっすぐ前を見つめているんだけど、少し憂いを含んだような、でも幸せそうな、そんな不思議な表情をしている。
目は深い茶色かな。
そして、その視線は、トミーが感じる熱気や音に似ているかもしれない。
二人だけの世界に這い込んでいるような、そんな視線なの。
すごくロマンチックだね。
そうなの。
全体的に淡い色合いで描かれているんだけど、それがまた柔らかい光と空気を感じさせるんだ。
特にドレスの白や花の色、背後の緑、そして男の人のスーツのグレーがうまく調和している。
二人だけが鮮明に描かれているんだね。
そう、それは、画家がこの二人の特別な瞬間を永遠に残したかったからだと思うんだ。
トミーにも、この絵が持つ温かさや、二人の間に流れる音楽、そして幸せな時間が伝わるといいな。
ナレーター
マリアの言葉を聞き終えたトミーは、静かに目を閉じた。
彼の心の中には、ルヌアールの描いた幸福に満ちたバンスが鮮やかに広がり始めていた。
