生成AIとオリジナリティの関係
ブク美
今回はですね、Daisuke Sawaiさんの記事、「生成AI x 創造性 オリジナリティを生み出す方法とは?」これをもとに、ちょっと深く考えていきたいなと思ってます。
ノト丸
はい。
ブク美
あのー、生成AIって、なんかこう、"それっぽい"ものは得意だけど、結局本当のオリジナルは無理なんじゃないか、みたいな、そういうふうに感じている方もいるかもしれませんね。
ええ。
でも、Sawaiさんは、いやいや、その考え方自体が、むしろ可能性を狭めちゃってるんじゃないかと指摘してるんですよね。
ノト丸
そうですね。Sawaiさんの視点で面白いのは、AIが過去のデータを学習して何かを再生成するプロセスって、実は人間が既存のものから影響を受けて新しいものを生み出すプロセスと構造は似てるんじゃないかっていう点ですね。
ブク美
あー、なるほど。
ノト丸
ただ、AIの場合、その元になるデータの量とか試せる回数っていうのが、もう桁違いだと。
ブク美
桁違いですか?
ノト丸
ええ。ゼロから魔法のようにポンと何かが出るわけじゃないけど、そのスケール感が全く違うんだっていう、そこが重要ですね。
ブク美
なるほど。でも、あの、プロのクリエイターでさえ、AIをちょっと触ってみて、うーん、いまいちだなって、割とすぐ結論付けちゃうのはもったいないともSawaiさんは言ってますよね。
ノト丸
そうなんです。まるですごく高機能な車があるのに、そのポテンシャルを全然試さないでいるようなものだ、というような例えもされてますね。
ブク美
ふーん。
ノト丸
で、ここでSawaiさんが特に強調しているのが、やっぱり試す回数なんです。
ブク美
試す回数?
ノト丸
ええ。例えば、音楽生成AIのSuno AI、これを使って1曲完成させるのに、まあ100回とか、場合によっては200回くらい生成を繰り返すと。
ブク美
えっと、100回、200回、それはちょっと想像を超えてますね。
ノト丸
そうでしょう。でもこの、なんていうか、人間だけでは、時間的にもコスト的にも、まず不可能なレベルの試行錯誤。これこそが、予期せぬ良いもの、つまりオリジナリティの元になるような何かを発見する確率をグッと高めるんだと。
ブク美
なるほどな。
ノト丸
あの、本田宗一郎さんの試行したり失敗したりっていう言葉も引用されてて、まさにそういうことなんだと思います。
ブク美
ただ、えっと、じゃあ闇雲に数をこなせばいいかっていうと、そういうわけでもないんですよね。Sawaiさんは、そのSuno AIを使うプロセス自体を分解して、意識的に介入していくと。
ノト丸
まさに、その分解して介入するっていう視点がすごく大事で、単にPrompt指示を投げ込むだけじゃなくて、例えば歌詞のこの部分をちょっと変えてみようとか、構成はこういう流れでって具体的に指示したり、あるはもっと大胆に、例えばレゲエのリズムと日本語のラップみたいに普通はあまり組み合わせないような要素を意図的にぶつけてみる。
ノト丸
へー。
ノト丸
そうやって、AIが出してきたものに対して、人間の意思とか意図をどう加えて軌道修正していくか、その対話的なプロセスが鍵になるということですね。
ブク美
なるほど、AIとの対話ですか。AIが出してきたものに対して、人間が編集者とかディレクターみたいな役割で関わっていく、そういうイメージですかね。
ノト丸
そうですね。そういう捉え金が近いと思います。
ブク美
でも、それって試行錯誤の回数が圧倒的に増えるっていう点以外で、従来の人間だけの創作プロセスと本質的に違う部分ってあるんでしょうか。
ノト丸
あー、いい問いですね。違いは、やはりその圧倒的な量がもたらす質への変化の可能性にあると、Sawaiさんは示唆してるんだと思います。
AIによる創作の新しい可能性
ブク美
量が質を変える。
ノト丸
ええ。つまり、大量に試せるからこそ、人間がこれはないだろうって無意識に避けてた組み合わせとか、あるいは偶然に頼るしかなかったような発見が、よりこう意図的に探索できるようになると。
ブク美
ふむふむ。
ノト丸
AIを単なる自動化ツールじゃなくて、アイディアを探す範囲をものすごく広げてくれるパートナーとして見るという感じでしょうか。
ブク美
なるほど。そういうことですか。どこに行きたいかっていう目標さえはっきりしてれば、AIはその道のりをものすごいスピードで手伝ってくれると。
ノト丸
ええ、そうです。そしてその先にある可能性として、Sawaiさんが挙げているのが多産性ですね。
ブク美
多産性。
ノト丸
はい。もし年に10枚アルバムを出せたら、一体何が起こるだろうかって問いかけてるんです。
ブク美
年に10枚。それはまたすごい数ですね。
ノト丸
ちょっととんでもない数に聞こえますけど。
ブク美
でも確かにそれだけの量のアウトプットがあれば、中にはものすごい傑作が生まれるかもしれないし、何より作り手自身がものすごく成長しそうですよね。
ノト丸
もちろんそのためには作り続ける人間の粘りとか意欲っていうのは絶対に必要だとSawaiさんも書いてます。
ただ、AIを使うことでその粘りと意欲を注ぎ込む先が10枚とは比較にならないほどの試行回数とかアウトプット量に向けられるように。
これが今までのクリエーションとは、もしかしたら全く違うレベルの何かを生み出すかもしれないという期待感ですよね。
ブク美
実際にそのAIで作った音楽の使い道もかなり具体的に挙げられてますね。
SNSのBGMとか動画のサウンドトラックとか。
ノト丸
他にもAIで作った映像と組み合わせてミュージックビデオを作ったり、そのまま楽曲配信したり、あとは自分の作曲のアイディアだしプロトタイピングに使ったりとか。
ブク美
自分で演奏するための元ネタにしたりとかも。
ノト丸
そうそう。本当にアイディア次第でいろんな活用ができそうです。
単に音楽を作るだけじゃない広がりを感じますね。
ブク美
Daisuke Sawaiさんの考察はこうして掘り下げてみると、生成AIってやっぱり使い方次第なんだなと。
単なるそれっぽいものを作るツールじゃなくて、人間の意図とあとはとにかく大量の試行錯誤、これを組み合わせることでオリジナリティを生み出す強力な触媒になり得るんだなと感じました。
ノト丸
そうですね。それっぽいで止めないで、どこに自分の意思を入れるか、そしてどれだけ試せるか、そこが鍵ってことですね。
ブク美
まさに。Sawaiさんは記事の中で、たくさん試せることはwith AIクリエーションのコア、これは間違いなく人間のみのクリエーションを超えられるポテンシャルがあるとかなりはっきり述べています。
ノト丸
力強い言葉ですね。そこで最後にこれを聞いているあなたにもちょっと想像してみて欲しいんです。
もし時間とかお金とかそういう制約が一切なかったとして、あなたのアイディアをそれこそ何百回、いや何千回と試せるとしたら、あなたは一体どんな新しい何かを生み出してみたいと思いますか?
その先にどんな世界が広がっている可能性があると思いますか?