1. 寝落ちの本ポッドキャスト
  2. 195魯迅「阿Q正伝」(朗読)
2026-01-08 1:30:36

195魯迅「阿Q正伝」(朗読)

195魯迅「阿Q正伝」(朗読)

時代に呑まれていく日雇い労働者

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サマリー

露陣の「阿Q正伝」は、近現代中国の矛盾と人々の精神を描いており、阿Qというキャラクターの複雑なアイデンティティと社会との関わりが細かく描写されています。この朗読では、作品の背景や内容を通じて、露陣の文学的功績についても触れています。「阿Q正伝」では、阿Qの自尊心と周囲との関係が描かれています。彼は自己弁護をしつつ欺瞞に満ちた環境に立ち向かい、様々な敗北を経験しますが、最終的には一種の勝利感を味わいます。また、アキューの不運な体験や屈辱感、愛憎の葛藤が丁寧に語られています。アキューは自己中心的な行動を取り続け、周囲との摩擦を生み出しながらも、その中で人間性の複雑さが浮き彫りになります。「阿Q正伝」では、阿Qの苦悩や生計問題、彼の返り咲きの物語が描かれています。物語は、阿Qが裸で町に戻り、他者の反応や自身の状況の変化を理解しようとする苦労を通じて、中国社会の矛盾が浮き彫りになります。また、アキューというキャラクターは権力や社会からの無理解と蔑視を通じて、内面的な葛藤と村社会の腐敗を描写しています。このエピソードでは、アキューの人生や過去の出来事が語られ、彼の変化と革命への参加に至る道のりが示されています。播報された「阿Q正伝」では、阿Qの革命を得て様々な人物が絡み合う様子が描かれています。彼の意識と思惑が混乱する中、革命という名のもとに多くの人々が動き始める様子が綴られています。「阿Q正伝」は、主人公阿Qの日常生活や彼の精神的葛藤を描いています。物語は彼が人々と交わる中での無力感と社会に対する不満を示しています。短編小説「阿Q正伝」は、辛亥革命前後の中国の農村社会を背景に、労働者阿Qの人生を通じて社会の封建性や自己欺瞞を鋭く描写しています。物語は、阿Qが冤罪で処刑される様子を通して、当時の中国社会の非情さと不条理に焦点を当てています。

露陣の文学と阿Q正伝の紹介
寝落ちの本ポッドキャスト。
こんばんは、Naotaroです。
このポッドキャストは、あなたの寝落ちのお手伝いをする番組です。
タイトルを聞いたことがあったり、実際に読んだこともあるような本、
それから興味深そうな本などを淡々と読んでいきます。
作品はすべて青空文庫から選んでおります。
ご意見・ご感想・ご依頼は、公式Xまでどうぞ。
寝落ちの本で検索してください。
また別途投稿フォームもご用意しました。
リクエストなどお寄せください。
それから、まだしてないよというそこのあなた、ぜひ番組のフォローもよろしくお願いします。
そして最後に、おひねりを投げてもいいよと思っていただけた素敵な方、
エピソードの概要欄のリンクより、ご検討のほどよろしくお願いします。
さて、今日は、
露陣さんの「阿Q正伝」です。
露陣さんは近現代中国を代表する小説家・思想家で、
代表作に「狂人日記」、「阿Q正伝」、「故郷」などの作品で知られ、
口語文学の先駆者として中国社会の矛盾や人々の精神を鋭く批判し、
新しい文学の道を切り開いた人物ですということです。
代表作に上がっていた「狂人日記」、それから「故郷」については、
過去に読み上げ済みですので、気になりましたらぜひそちらも聞いてみてください。
狂人日記はだんだん狂っていく感じがいいですよ。
故郷はずっとグレーだった感じがしますね。景色の色が。
中国の広大な土地の寒い感じ。
今日は阿Q正伝ですね。文字数は38000字。
そうですね。1時間40分と見ます。
1つのファイルでごろっと出すと思います。
井上香梅さんが訳してくれた文章のようですね。
それではやっていきましょうか。どうかお付き合いください。
それでは参ります。阿Q正伝。第1章。
阿Qのアイデンティティの探求
序。
私は阿Qの正伝を作ろうとしたのは1年4年のことではなかった。
けれども作ろうとしながらまた考え直した。
これを見ても私は立言の人でないことがわかる。
従来、普及の筆は普及の人を伝えるもので、人は踏みによって伝えられる。
つまり、誰それは誰それによって伝えられるのであるから次第にはっきりしなくなってくる。
そうして阿Qを伝えることになると思想の上に何か幽霊のようなものがあって結末があやふやになる。
それはそうと、この一編の口やすい文章を作るために私は筆を下ろすが早いか色々な困難を感じた。
大事は文章の名目であった。
孔子様のおっしゃるには名前が正しくないと話が脱線する、と。
これは本来極めて注意すべきことで、電気の名前は烈電、磁電、内電、外電、別電、家電、商店などとずいぶんうるさいほどたくさんあるが惜しいかなみな合わない。
烈電としてみたらどうだろう。
この一編はいろんな偉い人とともに精子の中に配列すべきものではない。
磁電とすればどうだろう。私は決して亜球そのものではない。
外電とすれば内電がないし、また内電とすれば亜球は決して新鮮ではない。
しからば別電としたらどうだろう。
亜球は大統領の上位によって国史館に宣布して本伝を立てたことがまだ一度もない。
英国の聖詩にも、爆突烈電というものは決してないが、文豪実験室は爆突別電という本を出した。
しかしこれは文豪のやることで我々のやることではない。
そのほか、過電という言葉もあるが、私は亜球と同じ流れを汲んでいるかどうか知らん。
彼の子孫にお辞儀をされたこともない。
小電とすればあるいはいいかもしれないが、亜球は別に大電というものがない。
先日見るとこの一編は本伝というべきものだが、私の文装の着想から言うと文体が下比いていて、
車を引いてノリを売る人たちが使う言葉を用いているから、そんな僭越な名目は使えない。
そこで産協給流の数にいらない小説家のいわゆる緩和旧大、元気静電という文切り型の中から静電という二字を取り出して名目とした。
すなわち個人が記した諸法静電のそれに文字の上から見ると花々紛らわしいが、もうどうでもいい。
一度彼は張と名乗っていたようであったが、それも二日目には曖昧になった。
それは張旦那の息子が秀才になった時のことであった。
阿久はちょうど二湾のウワンチョを飲み干して足踏み手ぶりしていった。
これで彼も非常な面目を施したというのは、彼と張旦那はもともと一家の別れで、細かく詮索すると彼は秀才よりも目上だと言った。
この時そばに聞いていた人たちは祝禅としていささか敬意を払った。
ところが二日目には村役人が阿久を呼びに来て張家に連れていった。
張旦那は彼を一目見ると顔じゅう真っ赤にしてどなった。
阿久は黙っていた。
阿久は黙って身を後ろに引こうとした時、張旦那は早くも飛びかかってピシャリと一つくれた。
阿久は彼が張生である核性を弁解もせずに、ただ手を持って左の頬を撫でながら村役人と一緒に退出した。
外へ出るとまた村役人から一通りおこごとを聞いて、二役門の逆手を出して村役人にお詫びをした。
よし本当に張であっても、張旦那がここにいる以上はそんなタワゴトを言ったわけしからん。
それからというものは彼の明珠を持ち出すものがなくなって、阿久はついに何性であるか突き止めることができなかった。
死んだ後ではもう誰一人阿久へいの噂をするものがないので、どうしてこれを蓄白に記すことができよう。
これ蓄白に記すことから言えば、この一編の文章が川切であるからまず第一の難関にぶつかるのである。
私はつくづく考えてみると、阿久へいはアケーあるいはアキかもしれない。
もし彼に月底という号があって、あるいは生まれた月日が8月の中頃であったなら、それこそアケーに違いない。しかし彼には号がない。
号があったかもしれないが、それを知っている人はない。そして生年月日を書いた手帳などどこにも残っていないのだから、アケーと決めてしまうのはあんまり乱暴だ。
もしまた彼に一人の兄弟があって、アフと名乗っていたら、それこそきっとアキに違いない。
しかし彼は全くの一人者であってみると、アキとすべき差し号がない。
その他、クエイと発音する文字はみんなヘンテコな意味が含まれ一層ハマりが悪い。
以前、私は長旦那のせがれのモサイ先生に聞いてみたが、あるほど物に詳しい人でもついに返答ができなかった。
しかし結論から言えば、
陳独秀が雑誌新青年を発行してローマ字を提唱したので国粋が滅びて考えようがなくなったんだ。
そこで私の最後の手段は、ある同窮生に頼んでアキュー事件の判決文を調べてもらうより他はなかった。
そうして一か月経ってようやく返事が来たのを見ると、判決文の中にアクエイの音に近いものは決してないということだった。
私自身としては本当にそれがないということは言えないが、もうこの世は調べようがない。
そこで中音字母では一般にわかるまいと思ってよんどころなく用字を使い、英国流行の方法で彼をアクエイと書し、さらに省略してアキューとした。
これは近頃、新青年に盲授したことで我ながら遺憾に思うが。
しかしモサイ先生でさえ知らないものを私どもに何の良い知恵が出よう。
第四はアキューの原石だ。
もし彼が長生であったなら、現在よく用いられる祭りの旧例により、文明百科生に書いてある仲介通りにすればいい。
老生天水の人なりと言えば済む。
しかし惜しいかな、その性がはなはだ信用ができないので、したがって原石も決定することができない。
彼は未曽に住んだことが多いが、時々他所へ住むこともある。
もしこれを未曽の人なりと言えば、やはり自然の法則に背く。
私が幾分自分で慰められることは、たった一つのあの字が非常に正確であった。
こればかりはこじつけやかこつけではない。誰が見てもかなり正しいものである。
その他のことになると学問の低い私には何もかも突き止めることができない。
ただ一つの希望は、歴史癖と交渉好きで有名な小敵氏先生の文人らがひょっとすると将来幾多の新短章を尋ね出すかもしれない。
しかしその時はもう阿久生伝は消滅しているかもしれない。
阿久は生命も原石も少々曖昧であった。
のみならず、彼の前半世の行状もまた曖昧であった。
阿Qの行動と周囲の反応
それというのもミソの人たちはただ阿久を小器使い、ただ彼をおもちゃにして、もとより彼の行状などに興味を持つものがない。
そして阿久自身も身の上話などしたことはない。
時たま人と喧嘩をした時、何かの弾みに目を見張って、
俺たちだって以前は、
てめえよりはよっぽろ豪勢なもんだぞ。人を何だと思ってやがるんだよ。
というくらいが精一杯だった。
阿久は家がない。
ミソのお稲荷様の中に住んでいて、一定の職業もないが、人に頼まれると費用取りになって、
麦をひけと言われれば麦をひき、米を漬けと言われれば米を漬き、船を漕げと言われれば船を漕ぐ。
仕事が余る時には、臨時に主人の家に寝泊りして住んでしまえばすぐに出て行く。
だから人は世話しない時には阿久を思い出すが、それも仕事のことであって、行状のことでは決してない。
一旦暇になれば阿久もヘチマもないのだから、彼の行状のことなどをなおさら言い出すものがない。
しかし一度こんなことがあった。あるおじいさんが阿久を持ち上げて、
「お前は何をさせても卒がないね。」と言った。
ほどけ阿久は肘を丸出しにして、
かっこシナチョッキを直に一枚着ている。
武将臭いみすぼらしい風邸でおじいさんの前に立っていた。
旗の者はこの話を本気にせず、やっぱり冷やかしだと思っていたが、阿久は大層を喜んだ。
阿久はまた大層をうぬぼるが強く、ミソの人などはてんで彼の眼中にない。
ひどいことには、二人の文道に対しても一生の価値さえ認めていなかった。
そもそも文道なるものは将来秀才となる可能性があるもので、
長旦那や先旦那が居民の尊敬を受けているのはお金があることのほかにいずれも文道の父であるからだ。
しかし阿久の精神には格別の尊念がわからない。
彼は思った。
俺だってせがれがあればもっと偉くなっているぞ。
城内に幾度も行った彼は、自然うぬぼれが強くなっていたが、
それでいながらまた城内の人を下げすんでいた。
例えば、長さ三尺、幅三寸の木の板で作った腰掛けは、ミソではチャンテンといい。
彼もまたそう言っているが、城内の人がリョウテンと言うと、これは間違いだ。
おかしなことだと彼は思っている。
タラの煮浸しは、ミソではゴブ切りのネギの葉を入れるのであるが、城内ではネギを糸切りにして入れる。
これも間違いだ。おかしなことだと彼は思っている。
ところが、ミソの人は全くの世間未知で、笑うべき田舎者だ。
彼らは城内の煮魚さえ見たことがない。
アキューは以前は剛性のもので見識が高く、その上何をさせても卒がないのだから、ほとんど一発の人物と言ってもいいくらいのもんだが、惜しいことに彼は体質上少々欠点があった。
とりわけ人に嫌われるのは、彼の頭の皮の表面にいつできたものか、ずいぶん行く箇所も傘だらけのハゲがあった。
これは彼の持ち物であるが、彼の思惑を見るとあんまり良いものでもないらしく、彼は雷という言葉を嫌って、一切雷に近い音までも嫌った。
後ではそれを押し広めて、寮も行けない、公も行けない。その後、また党も職も皆行けなくなった。
そういう言葉をちょっとでも漏らそうものなら、それが恋であろうとなかろうと、アキューはたちまち、頭中のハゲを真っ赤にして怒り出し、相手を見積もって無口の奴は言いまかし、弱そうな奴は殴りつけた。
しかし、どういうものか知らん。結局、アキューがやられてしまうことが多く、彼はだんだん方針を変更し、大抵の場合は目を怒らせて睨んだ。
ところが、この土木主義を採用してから、未曾有の暇人は、いよいよつけやがって彼を殴り者にした。
ちょっと彼の顔を見ると、彼らはわざとおったまげて、
おや、明るくなってきたよ。
アキューはいつもの通り目を怒らせて睨むと、彼らは一向平気で、
あ、と思ったら空気ランプがここにある。
アハハハハ、と皆は一緒になって笑った。
阿Qの試練
アキューは仕方なしに他の復讐の話をして、
てめえたちはやっぱり相手にならねえ。
この時こそ彼の頭の上には、一種高尚なる光栄あるハゲがあるのだ。
普段のマダラハゲとは違う。
だが前にも言った通り、アキューは見識がある。
彼はすぐに規則違反を勘づいて、もうその先は言わない。
暇人たちはまだやめないで彼をあしらっていると、ついに打ち合いになる。
アキューは見識上任されて、黄色いベンツを引っ張られ、
壁に対して四つ五つ鉢合わせを頂戴し、暇人はようやく胸を透かして勝ち誇って立ち去る。
アキューはしばらく佇んでいたが、心の内で思った。
俺はつまり子供に打たれたんだ。今の世の中は全くなっていない。
そこで彼も満足し、勝ち誇って立ち去る。
アキューは最初、このことを心の内で思っていたが、ついにはいつも口を出していった。
だからアキューとふざける者は、彼に精神上の勝利法があることをほとんどみんな知ってしまった。
そこで今度は彼の黄色いベンツを引っ掴む機会が来ると、その人はまず彼に言った。
アキュー、これでも子供が親父を打つのか?さあどうだ。人が畜生を打つんだぞ。
自分で言え。人が畜生を打つと。
アキューは自分のベンツで、自分の両手を縛られながら頭をゆがめて言った。
虫けらを打つ、お言えばいいだろう。
わしは虫けらだ。まだ離さないのか。
だが虫けらと言っても暇人は決して離さなかった。
いつもの通り、ごく近くのどこかの壁に彼の頭を五つ六つぶっつけて、そこで初めて生成して勝ち誇って立ち去る。
彼はそう思った。今度こそアキューはへこたれたと。
ところが十秒も経たないうちに、アキューも満足して勝ち誇って立ち去る。
アキューは悟った。
俺は自ら軽んじ、自ら癒しむことのできる第一の人間だ。
そういうことがわからない者は別として、その他の者に対しては第一だ。上限もまた第一人じゃないか。
人を何だと思っていやがるんだい?
アキューは、こういう種種の妙法を得て恩敵を退散せしめた後では、いっそ愉快になって酒屋に駆けつけ、何杯か酒を飲むうちに、また別の人と一通り冗談を言って一通り喧嘩をして、また勝ち誇って愉快になってお稲荷様に帰り、頭を横にするが早いかグーグー眠ってしまうのである。
博打と失敗
もしお金があれば彼は博打を打ちに行く。
ひとかたまりの人が地面にしゃがんでいる。アキューはその中に割り込んで一番威勢のいい声を出している。
ちんろん、スーパー。
よし、開けるぞ。
胴元は蓋を取って顔中汗だらけになって歌い始める。
天文あたり、すめ返し。人と中張り張り手なし。アキューの税にはお取り上げ。
中張り100万。よし、150万貼ったぞ。
アキューの税にはこのような銀家の下に、だんだん顔中汗だらけの人の腰の辺に行ってしまう。
彼はついにやむを得ず、かたまりの外へ出て、後ろの方に立って人のことで心配しているうちに、博打はずいぶん進行しておしまいになる。
それから彼は未練らしくお稲荷様に帰り、翌日は目の縁を晴らしながら仕事に出る。
けれど、妻王が馬をなくしても災難と決まったものではない。
アキューは不幸にして一度勝ったが、かえってそれがためにほとんど大きな失敗をした。
それは未曽の祭りの晩だった。その晩、霊によって芝居があった。霊によってたくさんの博打場が舞台の左側に出た。
林の声などはアキューの耳から十里の外へ去って行った。
彼はただ道元の歌の節だけ聞いていた。彼は勝った。また勝った。
道家は小銀家となり、小銀家はダーヤンになり、ダーヤンはついに積み重なった。
彼は素敵な勢いで、天門兩戒と叫んだ。
誰と誰が何で喧嘩を始めたんだかさっぱりわからなかった。
どなるやら殴るやら、バタバタ駆け出す音などがして、しばらくの間目がくらんでしまった。
彼が起き上がった時には博打場もなければ人もなかった。
身内にかなりの痛みを覚えていくつも原骨を食い、いくつも蹴飛ばされたようであった。
彼はぼんやりしながら歩き出してお祈り様に入った。
気がついてみると、あれほどあった彼のお金は一万円もなかった。
博打場にいたものは大抵この村のものではなかった。
どこへ行って聞き出すわけにも聞き出しようがなかった。
真っ白なピカピカした銀貨。
しかもそれが彼のものなんだが今はない。
子供に取られたことにしておけばいいがそれじゃどうも気が済まない。
自分を虫けら同様に思えばいいがそれじゃどうも気が済まない。
彼は今度こそいささか失敗の苦痛を感じた。
けれど彼は失敗を転じてついに勝ちとした。
彼は右手を挙げて自分の表を力まかずに引っ叩いた。
阿Qの社会的地位
すると顔が葛藤して火照りだしかなりの痛みを感じたが心はかえって落ち着いてきた。
撃ったのはまさに自分に違いないが撃たれたのはもう一人の自分のようでもあった。
想像するうちに自分が人を撃っているような気持ちになった。
やっぱり幾らか火照りには違いないが心は十分満足して勝ち誇って横になった。
彼は眠ってしまった。
第三章 俗 優勝旗略
それはそうと阿久はいつも勝っていたが名前が売れ出したのは張旦那の御長尺を受けてからのことだ。
彼は二百文の酒手を村役人に渡してしまうとぷんぷん腹を立てて寝転んだ。
あとで思いついた。
今の世界は話にならん。
せがれが親父を討つ。
そこでふと張旦那の威風を思い出しそれが現在自分のせがれだと思うと我ながら嬉しくなった。
彼が急に起き上がって若子家の墓参りという歌を歌いながら酒屋へ行った。
この時こそ彼は張旦那よりも一段上手の人物になりすましていたのだ。
へんてこなこったがそれからというものは果たしてみんながことのほか彼を尊敬するようになった。
これは阿久としては自分が張旦那の父親になりすましているのだから当然のことであるが本当のところはそうでなかった。
未曾有のしきたりでは阿七が八を討つようなことがあってもあるいは李氏が張さんを討ってもそんなことはもとより問題にならない。
ぜひとも名の知れた人、例えば張旦那のような人と交渉があってこそ初めて彼らの口の葉にかかるのだ。
いっぺん口の葉にかかれば打っても評判になるし打たれてもそのおかげさまで評判になるのだ。
阿久の思い違いなどもちろんどうでもいいのだ。そのわけは。
つまり張旦那に間違いのあるはずはなく阿久に間違いがあるのになぜみんなはことのほか彼を尊敬するようになったか。
これはべらぼうな話だがよく考えると阿久は張旦那の本家だと言って打られたんだからひょっとしてそれが本当だったら彼を尊敬するのは至極本当の話で全くそれに越したことはない。
でなければ差のような意味があるかもしれない。
性病の中のお供え物のように阿久は徐陽と同様の畜生であるが一旦成人のお手がつくと学者先生なかなかそれを粗末にしない。
阿久はそれからというものはずいぶん長いこと祝っていた。
ある年の春であった。
彼はほろよい期限で街中を歩いていると陰の下の日あたりにワンウーが物肌ぬいで白目をとっているのを見た。
たちまち感じて彼も体がむずがやくなった。
このワンウーはハゲ傘でもある上にひげをじじむさく伸ばしていた。
阿久はハゲ傘の一点は土外に置いているが、とにかく彼を非常に馬鹿にしていた。
阿久の考えでは他に別格変わったところもないがその顎に絡まるひげは実にすこぶる珍妙なもので見られたざまじゃないと思った。
そこで彼はそばへ行って並んで座った。
これがもし他の人なら阿久はもちろん滅多に座るはずはないが、ワンウーの前では何の遠慮がいるものか正直なところ阿久が座ったのはつまり彼を持ち上げたてまつったのだ。
阿久は破れ合わせを脱ぎ下ろして一度ひっくら返して調べてみた。
洗ったばかりなんだがやはり存在なのかもしれない。
長いことかかって三つ四つ捕まえた。
彼はワンウーを見ると一つまた一つ二つ三つと口の中に放り込んでピチピチパチパチと噛みつぶした。
阿久は最初失望して後では不平を起こした。
ワンウーなんて取るに足らねえ奴でもあんなにどっさり持っていやがる。
俺を見ろ。あるかねえかわかりやしねえ。
これはどうも大いに面目のねえこった。
彼はぜひとも大きな奴をひねり出そうと思ってあちこち探した。
しばらくたってやっと一つ捕まえたのは中くらいの奴で、
彼は恨めしそうに厚い唇の中に押し込み、やけに噛みつぶすとパチリと音がしたが、ワンウーの響きには及ばなかった。
彼はハゲ傘の一つ一つをみな赤くして着物を地上に突っ放しぺっと唾を吐いた。
このけむしめ。
やいかさかき。てめえは誰の悪口を言うんだ。
ワンウーは目を上げて下げ澄みながら言った。
アキューは近頃割合に人の尊敬を受け、自分もいささか傲慢ちきになっているが、
いつもやり合う人たちの面を見るとやはり心がおくれてしまう。
ところが今度に限って非常な勢いだ。
なんだこんなヒゲだらけの白者が生意気言ってやがるとばかりに、
誰のことかオロラは知らねえ。
アキューは立ち上がって両手を腰の間に支えた。
この野郎骨が痒くなったな。
ワンウーも立ち上がって着物を着た。
相手が逃げ出すかと思ったら掴みかかってきたので、アキューは原骨を固めて一つきくれた。
その原骨がまだ向こうの体に届かないうちに腕を抑えられ、アキューはヨロヨロと腰を浮かした。
ねじつけられたベンツは、
間垣の方へと引っ張られて行って、いつもの通りそこで鉢合わせが始まるのだ。
君子は口を動かして手を動かさず、とアキューは首をゆがめながら言った。
ワンウーは君子でないと見え、遠慮えしゃくもなく彼の頭を五つほど壁にぶっつけて、
力任せに突っ放すとアキューはフラフラと六尺余り遠ざかった。
そこでヒゲは大いに満足して立ち去った。
アキューの記憶では、おおかたこれは生まれて初めての屈辱と言ってもいい。
ワンウーは顎に絡まるヒゲの欠点で、前からアキューに侮られていたが、アキューを侮ったことはなかった。
むろん手出しなどできるはずのものではなかったが、ところが現在ついに手出しをしたから妙だ。
まさか世間の噂のように皇帝が東洋史見をやめて秀才も巨人も不要になり、
それで長家の威風が源自、それで彼らもアキューに対して見下すようになったのか、そんなことはありそうにも思われない。
アキューは呼んどころなく佇んだ。
遠くの方から歩いてきた一人は彼の真正面に向かっていた。
これもアキューの大嫌いの一人で、すなわち先旦那の僧侶の息子だ。
彼は以前城内の野曽学校に通学していたが、なぜか知らん、また日本へ行った。
半年後で彼が家に帰ってきたときには膝がまっすぐになり、頭の上のベンツがなくなっていた。
彼の母親は大泣きに泣いて、十幾幕も終端歯を見せた。
彼の祖母は三度井戸へ飛び込んで三度引き上げられた。
後で彼の母親は至る所で説明した。
あのベンツは悪い人から先に盛りつぶされて切り取られたんです。
本来あれがあればこそ退官になれるんですが、今となっては仕方がありません。
長く延びるのを待つばかりです。
さあはいえ、アキューは承知せず、一途に彼を
二世血統、外国人の犬と思い込み、彼を見るたんびに腹の中で罵りにくんだ。
アキューが最も忌み嫌ったのは彼の一本の魔害ベンツだ。
魔害モウと来ては、それこそ人間の資格がない。
彼の祖母が四度目の闘心をしなかったのは善良の女でないとアキューは思った。
その二世血統が今近づいてきた。
ハゲ・ロ
アキューは今まで腹の中で罵るだけで口へ出していったことはなかったが、今度は正義の行き通りでもあるし、復讐の観念もあったから、思わず知らず出てしまった。
アキューの屈辱
ところがこのハゲのやつ、一本のニツヌイのステッキを持っていて、それこそアキューに言わせると葬式の泣き槌だ、大股に歩いてきた。
この一切なに、アキューは撃たれるような気がして、筋骨を引き締め肩をそびやかして待っていると、果たして、
ピシャリ、確かに自分の頭に違いない。
あいつのことを言ったんです。
と、アキューはそばに遊んでいる人にの子供を呼びさした。
ピシャリピシャリ。
アキューの記憶では、お方これが今まであった第二の屈辱とも言ってもいい。
幸い、ピシャリピシャリの響きの後は、彼に関する一事件が完了したように、かえって非常に気楽になった。
それにまた、すぐ忘れてしまうという先祖伝来の宝物が聞き目を現し、
ぶらぶら歩いて酒屋の門口まで来たときには、もうすこぶる元気なものであった。
檻から、向こうから来たのは青州庵の若いアマであった。
アキューは普段でも彼女を見ると、きっと悪態をつくのだ。
ましてや屈辱の後だったから、いつものことを思い出すとともに、敵害心を呼び起こした。
今日は、なぜこんなに運が悪いかと思ったら、さてこそ、てめえを見たからだ。
と、彼は一人でそう決めて、わざと彼女に聞こえるように大唾を吐いた。
ぺっ、ぷっ。
若いアマは、かえもく目もくれず、頭も下げてひたすら歩いた。
すれ違いにアキューは突然手を伸ばして、彼女のそり立ての頭を撫でた。
アキュー:「空坊主、早く帰れ。王将が待っているぞ。」
アキュー:「お前は何だって手出しをするの。」
アマは顔じゅう真っ赤にして、早足で歩き出した。
酒屋の中の人は大笑いした。
己の手柄を認めたアキューは、ますますいい気になってはしゃぎ出した。
アキュー:「王将はやるかもしれねえが、オラはやらねえ。」
彼は彼女のほっぺたをつまんだ。
酒屋の中の人はまた大笑いした。
アキューは一層得意になり、見物人を満足させるために、力任せにひとひねりして彼女をつっぱなした。
彼はこの一戦で、ワンウーのこともニセケトーのこともみな忘れてしまって、
今日の一切の不運が報いられたように見えた。
不思議なことには、ピシャリピシャリのあの時よりも全身が軽く爽やかになって、
フラフラと今にも飛び出しそうに見えた。
アキューのバチ当たりめ、お前の夜継ぎは耐えてしまうぞ。
遠くの方で天の泣き声が聞こえた。
アキューは十分得意になった。
酒屋の中の人もくぶ通り得意になって笑った。
第四章 恋愛の悲劇
愛と葛藤
こういう人があった。
勝利者というものは、相手が虎のような、鷹のようなものであれかしと願い、
それでこそ彼は初めて勝利の歓喜を感じるのだ。
もし相手が羊のようなものだったら、彼はかえって勝利の無量を感じる。
また、勝利者というものは、一切を征服した後で、死ぬ者は死に、くたる者は下って、
新生、後世、共死罪、死罪、というような状態になると、
彼は敵がなくなり、相手がなくなり、友達がなくなり、
たった一人上にいる自分だけが別物になって、
すさまじく寂しく、かえって勝利者の悲哀を感じる。
ところが、我が阿宮においては、このような欠乏はなかった。
ひょっとするとこれは、支那の精神文明が全球第一である一つの証拠かもしれない。
見たまえ、彼はフラリフラリと今にも飛び出しそうな様子だ。
しかしながら、このひとたびの勝利が、いささか異様な変化を狩りに与えた。
彼はしばらくの間、フラリフラリと飛んでいたが、やがてまたフラリとお稲荷様に入った。
常、例によるとすぐそこで横になっていびきをかくんだが、どうしたものか傍に限って少しも眠れない。
我は自分の親指と人差し指がいつもより大層脂切って変な感じがした。
若い天の顔の上の脂が彼の指先に粘りついたのかもしれない。
それともまた彼の指先が天の面の皮に擦られて滑っこくなったのかもしれない。
阿宮のバチ当たりめ、お前の四次は絶えてしまうぞ。
阿宮の耳たぶの中にはこの声が確かに聞こえていた。
彼はそう思った。
ちげねえ。ひとりの女があればこそだ。
子が与え、孫が与えてしまった死んだ後でひとあんのご飯を備えるものがない。
ひとりの女があればこそだ。
一体、不幸には三つの種類があって、後継ぎがないのが一番悪い。
その上、無縁ぼとけの日干し、これもまた人生の一大悲哀だ。
だから彼もそう考えて、実際どれもこれも政権の教えに合致していることをやったんだが、
ただ惜しいことに、後になってから心の駒を引き締めることができなかった。
女、女、と彼は思った。
和尚、陽気は動く。女、女、女、と彼は思った。
我々はその晩いつ自分になって、阿宮がようやくいびきをかいたかを知ることはできないが、
とにかくそれからというものは、彼の指先に女の脂がこびりついて、どうしても女を思わずにはいられなかった。
たったこれだけでも、女というものは人に害を与える代物だと知ればいい。
支那の男は本来、大抵みな政権となる資格があるが、惜しいかな、大抵みな女のために壊されてしまう。
昭は脱旗のために騒動が持ち上がった。
周は宝珠のために破壊された。
神。公然歴史に出ていないが、女のために神は破壊されたと言っても大して間違いはあるまい。
そして唐卓は天禅のために確実に殺された。
阿宮は本来正しい人だ。我々は彼がどんな師匠について教えを受けたか知らないが、
村での葛藤
彼は普段男女の区別を厳守し、かつまた異端を排斥する正規があった。
例えば、天、二世傑党の類。
彼の学説では全ての天は和尚と失踪している。
女が外へ出れば必ず男を誘惑しようと思う。
男と女と話をすればきっとろくなことはない。
彼は彼らを懲らしめる考えで、おりおり目を怒らせて眺め、
あるいは大声をあげて彼らの迷いを覚まし、あるいは三日以上に小石を投げ込むこともある。
ところが彼は三十になって、ついに若い天に悩まされてフラフラになった。
このフラフラの精神は霊教上から言うと決して良くないものである。
だから女は死に憎むべきものだ。
もし天の顔が脂切っていなかったら、秋は見せられずに済んだろう。
もし天の顔に覆面がかかっていたら、秋は見せられずに済んだろう。
彼は五六年前、舞台の下の人混みの中で一度ある女のまたぐらに足を挟まれたが、
幸いズボンを隔てていたのでフラフラになるようなことはなかった。
ところが今度の若い天は決してそうではなかった。
これを見てもいかに異端の憎むべき顔を知るべし。
彼は、「こいつはきっと男を連れ出すわえ。」
と思うような女に対していつも注意して見ていたが、
彼女は決して彼に向かって笑いもしなかった。
彼は自分と話をする女の言葉をいつも注意して聞いていたが、
彼女は決して艶っぽい話を持ち出さなかった。
おお、これが女の憎むべき点だ。
彼らは皆偽道徳を着ていた。
そう思いながら秋は、女、女、と思った。
その日、秋は町旦那の家で一日米をついた。
晩飯が済んでしまうと台所で煙草を吸った。
これがもし他の家なら晩飯が済んでしまうとすぐに帰るのだが、町家は晩飯が早い。
条例によるとこの場合転倒を許さず飯が済むとすぐ寝てしまうのだが、
端なくもまた二三の例外があった。
その一は町旦那がまだ秀才に入らぬ頃、明かりを点じて文章を読むことを許された。
その二は秋が日当に来るときは明かりを点じて米つくことを許された。
この例外の第二によって秋が米つきに着手する前に台所で煙草を吸っていたのだ。
ウーマは町家のうちでたった一人の女僕であった。
貞子ばちは笑ってしまうと彼女もまた腰掛けの上に座して秋と無駄話をした。
奥さんは今日で二日ご飯をあがらないのですよ。
だから旦那は小さいのを一人買おうと思っているんです。
女、ウーマ、このちびごけ、と秋は思った。
うちの若奥さんは八月になると赤ちゃんが生まれるの。
女、と秋は思った。
秋は着せりを置いて立ち上がった。
うちの若奥さんは、とウーマはまだしゃべっていた。
俺とお前と寝よう。
ん?俺とお前と寝よう。
秋はたちまち共用と出かけ彼女に対してひざまずいた。
ひと刹那。極めて心感としていた。
ウーマはしばらく真意に打たれていたが、やがてガタガタ震え出した。
あれ?
彼女は大声あげて外へ駆け出し、駆け出しながらどなっていたが、だんだんそれが泣き声に変わってきた。
秋は壁に向かってきざし、これも真意に打たれていたが、このとき両手をついて武将らしく腰をあげ、
いささか泡を食ったような手でドギマギしながら帯の間に着せるを差し込み、
これから込みつきに行こうかどうしようかとまごまごしているところへ、ポカリとひとつ太いものが頭の上から落ちてきた。
彼ははっとして身を転じると、秋鞘は竹の棒切れを持って行く手をふさいだ。
貴様は無言を起こしたな。これ、こんちくしょう。
竹の棒はまた彼に向かって振り下ろされた。
彼は両手をあげて頭を抱えた。
当たったところはちょうど指の節の真上で、それこそ本当に痛く夢中になって台所を飛び出し、門を出るときまたひとつ背中の上をどやされた。
ワンパダン
後ろのほうで秋鞘が緩和を用いて罵る声が聞こえた。
秋鞘は米つき場に駆け込んでひとり突っ立っていると、指先の痛みはまだ止まず、それにまたワンパダンという言葉が妙に頭に残って薄く見悪く感じた。
この言葉は未曾有の田舎者はかつて使ったことがなく、もっぱら親父のおれき力が持ち得るもので印象がことのほか深く、
彼の女という思想など急にどこかへ吹っ飛んでしまった。
しかしぶったたかれてしまえば事件が落着して何のさわりがないのだからすぐに手を動かして米をつき始め、しばらくついていると体が熱くなってきたので手を休めて着物を脱いだ。
着物を脱ぎ下ろしたとき外のほうが大変騒々しくなってきた。
秋鞘は自体にぎやかなことが好きで、声を聞くとすぐに声のあるほうへ駆け出していった。
だんだんそばへ行ってみると町旦那の庭内で黄昏の中ではあるが大勢集まっている人の顔の見分けもできた。
まず目につくのは町家の内住の者と二日もご飯を食べないでいる若奥さんの顔も見えた。
ほかに隣の数七層や本当の本家の町白岩、町志進などもいた。
若奥さんは下部屋からちょうど雄馬を引っ張り出してきたところで、
お前はよそから来たもんだ。自分の部屋に引き込んではいけない。
数七層もそばから口を出し、
誰だってお前の血迫を知らない者はありません。決して気短なことをしてはいけません。と言った。
雄馬はひた泣きに泣いて、何か言っていたが聞き取れなかった。
阿久は思った。
ふん、面白い。このちびごけが、どんな悪戯をするか知らんて。
彼は立撃しようと思って町志進のそばまで行くと、町旦那は大きな竹の棒を持って彼をめがけて飛び出してきた。
阿久は竹の棒を見ると、この騒動が自分が前に撃たれたことと関係があるんだと勘づいて、急に米つき場に逃げ帰ろうとしたが、竹の棒は意地悪く彼の行く手を遮った。
そこで自然の悩み気に任せて裏門から逃げ出し、ちょっとの間に彼はもうお稲荷様の宮の中にいた。
阿久は育っていると肌が泡立ってきた。
彼は冷たく感じたのだ。春とはいえ、夜になると残りの寒さが身に染み、裸でいられるものではない。
彼は町家に置いてきた上着がつくづく欲しくなったが、取りに行けば秀才の恐ろしい竹の棒がある。
走行しているうちに村役人が入ってきた。
阿久、お前のお袋のようなもんだぜ。
町家の者にお前がふざけたのは、つまり目上を犯したんだ。
おかげで、俺は夕べ寝ることができなかった。
お前のお袋のようなもんだぜ。
阿Qの生計問題
こんな風に一通り教訓されたが、阿久はもちろん黙っていた。
挙句の果てに、夜だから役人の逆手を倍増しにして四百もん出すのが当たり前だということになった。
阿久は今、持ち合わせがないから一つの帽子を七に入れて五つの条件を契約した。
1. 明日、紅蝋燭一対。
目方一勤の者に限る先行一夫を町家に持参して謝罪すること。
2. 町家では同志を呼んで首くくりの幽霊を払うこと。
首くくり幽霊は最も童貌なる悪鬼で、阿久が女を口説いたのもそのたたりだと仮想する。
費用は阿久の負担とする。
3. 阿久は今後決して町家の指揮を超えぬこと。
4. ウーマに今後意外の返事あったときには阿久の責任とす。
5. 阿久は手待ちんと合わせを要求することを得ず。
阿久はもちろんみんな承諾したが困ったことにはお金がない。
幸い春でもあるし、いらなくなった綿入れを二千もんに七入れして契約を履行した。
そうして裸になってお辞儀をしたあとは確かに幾もんか残ったが、
これはもう帽子を受け出そうとも思わず、あるだけのものはみな酒にして思い切りよく飲んでしまった。
一方町家では、ろうそくも線香も使わずに大奥さんが物産の日までしまっておいた。
町での阿Qの変化
そうしてあの破れ上着の大半は若奥さんが八月生んだ赤ん坊のおしめになって、その切りくずはウーマの靴底に使われた。
第5章 生計問題
阿久はお礼をすまして元のお宮に帰ってくると太陽は降りてしまい、だんだん世の中が変になってきた。
彼はいちいち思い合わせた結果ついに悟るところがあった。
その原因はつまり自分の裸にあるので、彼は破れ合わせがまだ一枚残っていることを思い出し、
それを引っ掛けて横になって目を開けてみると太陽はまだ西の間掻きを照らしているのだ。
彼は起き上がりながら、「お袋のようなものだ。」と言ってみた。
彼はそれからまたいつものように町に出て遊んだ。
羅釈の身を着るような辛さはないが、だんだん世の中が変に感じてきた。
何か知らんが未曹の女はその日から彼を気に悪がった。
彼らは阿久を見ると皆門の中へ逃げ込んだ。
極端なことには五十に近い数七層まで人の後について滑り込み、その上十一になる女の子を呼び入れた。
阿久は不思議でたまらない。
こいつらはどれもこれもお嬢さんのような品していやがる。
なんだ、バイタメ。
阿久はこらえきれなくなっておなじみの家に行って探りを入れた。
ただし町家の仕切りだけはまたぐことができない。
何しろ様子がすこぶる変なので、どこでもきっと男が出てきてうるさそうな顔つきを見せ、まるで小敷を追っ払うような体裁で、
ないよないよ、向こうへ行ってくれ、と手を振った。
阿久はいよいよ不思議に感じた。
この辺の家は前から手伝いがいるはずなんだが、今急に暇になるわけがない。
これはきっと何か曰くがあるはずだと気をつけてみると、彼らは用のある時には小鈍を呼んでいた。
この小鈍はごくごくみすぼらしい奴で、やせをとろえていた。
阿久の目から見ると、わうんよりも劣っている。
ところがこの小アッパ目がついに阿久のメシワンをとってしまったんだから、阿久の怒り尋常一応のものではない。
彼はプンプンしながら歩き出した。
そしてたちまち手を挙げて唸った。
鉄のムチでてめえをひっぱたくぞ。
幾日かの後で、彼はついに戦俘の障壁、ついたての壁の前で小鈍にめくりあった。
畠の出会いは格別はっきり見えるもので、彼はずかずか小鈍の前に行くと小鈍も立ち止まった。
「ちくしょう。」阿久は目に角を立て、口の端へ泡をふき出した。
「俺は虫けらだよ。いいじゃねえか。」と小鈍は言った。
下手に出られて阿久はかえって腹を立てた。
彼の手には鉄のムチがなかった。
そこでただ殴るよりしようがなかった。
彼は手を伸ばして小鈍のベンツをひっつかむと、小鈍は片っぽの手で自分の弁根を守り、片っぽの手で阿久のベンツをつかんだ。
阿久もまた相手のほうの手で自分の弁根を守った。
以前の阿久の勢いを見ると小鈍など問題にもならないが、近頃彼は飢餓のため野菜をとろえているのでゴブゴブの取り組みとなった。
四つの手は二つの頭をひっつかんで双方腰を曲げ、半時間の日差しきりにわたって、戦俘の白壁の上に一組の藍色の虹形を演出した。
「いいよいいよ。見ていた人たちは大方仲裁するつもりで言ったのであろう。」
「よしよし。見ている人たちは仲裁するのか褒めるのか、それともおだてるのか知らん。」
それはそうと二人は人のことなど耳にも入らなかった。阿久が散歩進むと小鈍は散歩し続き、ついに二人とも突っ立った。
小鈍が散歩進むと阿久は散歩し続き、ついにまた二人とも突っ立った。およそ半時間。
ミソウには時計がないからはっきりしたことは言えない。あるいは二十分かもしれない。
彼らの頭はいずれも埃がかかって額の上には汗が流れていた。そうして阿久が手を離した間際に小鈍も手を離した。
同じ時に立ち上がって同じ時に身を引いてどちらも人込みの中に入った。
「覚えてろバカ野郎。」阿久は言った。
「バカ野郎、覚えてろ。」小鈍もまた振り向いて行った。
この一幕の流行図は全く勝敗がないと言ってもいいくらいのものだが、見物には満足したか知らん。誰も何とも批評するものもない。
そうして阿久は依然として仕事に頼まれなかった。
ある日非常に暖かで風がそよそよと吹いてだいぶ夏らしくなってきたが、阿久はかえって寒さを感じた。しかしこれにはいろいろな訳がある。
第一腹が減って布団も帽子も上着もないのだ。今度綿入れを売ってしまうとズボンは残っているがこればかりは脱ぐわけにはいかない。
破れ合わせが一枚あるがこれも人にやれば靴底の資料になっても決してお金にはならない。
彼は往来でお金を拾う予定で、塔から心がけていたがまだめっからない。家の中を見回したところで何一つない。彼はついに表へ出て職を求めた。
彼は往来を歩きながら職を求めなければならない。見慣れた酒屋を見て見慣れたマントウを見てずんずん通り越した。
立ち止まりもしなければ欲しいとも思わなかった。彼の求むるものはこのようなものではなかった。彼の求むるものは何だろう。彼自身も知らなかった。
ミソウはもとより大きな村でもないから場もなく行き尽くしてしまった。村外れは大抵水田であった。
見出す限りの新入れの若葉の中にいくつか丸型の活動の黒点が挟まれているのはタオ、タガヤス農夫であった。
アキューはこの殿下の楽しみを干渉せずにひたすら歩いた。
彼は直角的に彼の職を求める道はこんなまだるっこいことではいけないと思ったから彼はついに青州庵の垣根の外へ行った。
いおりの周りは水田であった。白壁が新緑の中に突き出していた。
後ろの低い垣の中に菜畑があった。
アキューはしばらくためらっていたが、あたりを見ると誰も見えない。
そこで低い垣を這い上がって花臭の蔓を引っ張るとザラザラと泥が落ちた。
アキューは震える足を踏みしめて桑の木によじ登り旗中へ飛び降りるとそこは茂りに茂っていたがラオチもマントウも食べられそうなものは一つもない。
西の垣根の方は竹葉部で下にたくさん竹の子が生えていたが、あいにく生で役に立たない。
そのほか菜種があったが実を結びカラシナは花が咲いて青菜は伸びすぎていた。
アキューは試験に落題した文童のような言われなき屈辱を感じてぶらぶら縁門のそばまで来るとたちまち非常な喜びとなった。
これは明らかに大根畑だ。
彼がしゃかんで抜き取ったのは一つごく丸いものであったがすぐに身をかかめて帰ってきた。
これは確かにアマッチョのものだ。
アマッチョなんてものはアキューとしては若草のクズのように思っているが、世の中のことは一歩退いて考えなければならん。
だから彼は早速さに四つの大根を引き抜いて葉をむしり捨て着物の下前のお腹にしまい込んだが、そのときもうババのアマは見つけていた。
オミドウ、お前は何だってここへ入ってきたの。大根を盗んだね。
まあ呆れた。罪作りの男だねオミドウ。
お、俺はいつお前の大根を盗んだい?アキューは歩きながら言った。
それそれ、それで盗まないと言うのかい?とアマはアキューのふところを指した。
これはお前のもんかい?大根に返事をさせることができるかいお前。
アキューはいいもん終わらぬうちに足を持ち上げて駆け出した。
追っかけてきたのは一つのすくぶる左の黒いので、これはいつも表紋の番をしているのだが、なぜか知らん今日は裏紋に来ていた。
黒いのはわんわん追いついてきて、あわやアキューのもむに噛みつきそうになったが、幸い着物の中から一つの大根がころげ落ちたので犬は驚いて飛びし去った。
アキューは早くも桑の木にかじりつき土塀をまたいだ。人も大根もみな柿の外へころげ出した。犬は取り残されて桑の木に向かって吠えた。アマは念仏をまおした。
アマが犬をけしかけやせぬかと思ったらアキューは大根を拾うついでに小石をかけ集めたが犬は追いかけても来なかった。
そこで彼は石を投げ捨て歩きながら大根をかじってこの村もいよいよだめだ城内に行くほうがいいと思った。大根を三本食ってしまうと彼はすでに城内行きを決行した。
第六章 忠孝から末路へ
アキューが再び未曽にあらわれたときは、その年の中秋節が過ぎ去ったばかりのときだ。人々はみなおったまげてアキューが帰ってきたといった。
忠孝からの復帰
そこで前のことを回想してみると、彼はいつも城内から帰ってくると非常な元気で人に向かってふいちょうしたもんだが今度はけしてそんなことはなかった。
ひょっとすると彼はお宮の番人に話したかもしれない。
未曽のしきたりでは町旦那と仙旦那ともうひとり秀才旦那が城内に行けば問題になるだけで、異籍等でさえも物の数にされないのだからいわんやアキューにおいておやだ。
だから番人の親父も彼のために宣伝するはずもないのに未曽の人たちがどうして知っていたんだろう。
だがアキューの今度の帰りは前とは大いに違っていた。
確かにはなはな脅威の値打ちがあった。
空の色が黒くなってきたとき彼は水岩網籠として酒屋の門前に現れた。
彼はデスクのそばへ行って腰のへんから伸ばした手に一杯握っていたのは銀と銅。
デスクの上にざらりと置き、原品だぞ酒を持って来いと言った。
見ると新しい合わせを着て腰のへんには王道欄がどっしりと重みを見せ帯紐が下へ下がって弓なりのなり線をなしている。
未曽の仕切りとして誰でもちょっと目覚ましい人物を見出したとき侮るよりもまず敬うのである。
現在これが明らかにアキューであると知りながら破れ合わせのアキューとは別々である。
後人の言葉に、たとえ三日の間でも別れた人に会ったときには目を見合ってその特徴を見出さなければならんと言っている。
そういうわけで防衛も番頭もみず知らずのそこらの人も一種の疑いを持ちながら自然と敬いの態度を表した。
番頭はまず我転して話しかけた。
アキュー、お前さん帰っておいでだね。
帰ってきたよ。
景気がいいね。お前さんはどこにいたの?
城内に行っていた。
この一つのニュースは二日目に未曽中に伝わった。
人々は皆現金と新しい合わせを持っているアキューの忠孝誌を聞きたく思った。
そういうわけで酒屋の中でも茶館の中でもお宮の軒下でも皆だんだんに探りを入れて聞き出した。
その結果アキューは新規の威敬を得た。
アキューの話では彼は巨人旦那の家のお手伝いをしていた。
この一説を聞いた者は皆賢かった。
この旦那は生を吐くといい。城内切手の巨人であるから改めて生を言う必要がない。巨人という話が出れば、つまり彼である。
これは未曽だけでそう言っているのではない。
この辺百里の区域のうちは皆そうであった。
人々はほとんど大抵彼の生命を巨人旦那だと思っていた。
その方のお屋敷でお手伝いをしていたのはもちろん敬うべきことである。
アキューの葛藤
けれどアキューの言うことには彼はもう言ってやる気はない。
この巨人旦那は実に非常な馬鹿者だ。
この話を聞いた者は皆嘆息して嬉しがった。
アキューは巨人旦那の家で働くような人ではないが働かないのも惜しいことだ。
アキューの話で見ると彼が帰ってきたのは城内の人が気に入らぬからであるらしい。
これはつまり、ちゃんてん、長生魚を上天ということや、
ネギの糸切りを魚の中に入れたり、
その上近頃見つけ出した欠点は女の歩き方が嫌にねじれて鼻肌良くない。
しかしまた大いに軽複すべき方面もある。
早い話が未曽の田舎者は32枚の竹灰、灰の芽の2面を持って成り立った灰を打つだけのことでマージャンをしている者は偽家等だけであるが、
城内では小さなガキまでが皆よく知っている。
何だって偽家等が城内の10歳そこそこの子供の手の中に入ってしまうのか。
これこそコウニがエンマ様と同種格で会見するようなもので、引けば赤面のいたりだ。
「てめえたちは首切りを見たことがあるめえ。」とアキューは言った。
「ふん、見てくれ。革命党を殺すなんて面白いもんだぜ。」
彼は首を振ると、ちょうど真ん中にいた超四神の顔の上に椿が跳ねかかった。
この一言に皆の者はゾッとした。
だが、アキューは一向平気で辺りを見回し、たちまち右手を挙げて、
織から首を伸ばして利き掘れているワンウーの凡の窪をめがけて打ち下ろした。
ピシャリ。
ワンウーは驚いて飛び上がり、イラズマのような速力で首を縮めた。
見ていた人達は気味悪くもあり、おかしくもあった。
それからという者は、ワンウーのバカ野郎をずいぶん長い間アキューの側へは近寄らなかった。
他の人達もまた同じようであった。
アキューはこの時、ミソの人の目の中の見当では、長旦那以上には見えないが、
大抵オツカツの偉さくらいに思われていたといっても、さしたる語弊はなかろう。
走行するうちに、このアキューの評案は、たちまちミソの女部屋の奥に伝わった。
ミソでは、セン、チョウ両家だけが大家で、その他は大抵奥行きが浅かった。
けれども、女部屋はつまり女部屋であるから一つの不思議と言ってもいい。
女どもは夜と触るときっとその話をした。
数七層がアキューのところから買った一枚のオナンドギヌの袴は古いには違いないが、たった九十銭だった。
チョウハクガンの母親も。
遺説にはチョウシシンの母親だということだが、それはどうか知らん。
彼女もまた一枚の子供用の真っ赤なガス織りのひと絵物を買ったが、
まだちょっと手を通したばかりのものが、たった三百台銭の九十二冊であった。
そこで彼らは目を皿のようにしてアキューを見た。
キヌバカマがないときにはキヌバカマの出物はないかと彼に尋ねてみたく思った。
ガス織りのひと絵が欲しいときにはガス織りのひと絵の出物はないかと彼に尋ねてみたくなった。
今度はアキューを見ても逃げ込まないで、かえってアキューの後を追いかけて袖を引き止めた。
アキュー、お前はもっと他にキヌバカマを持っているだろう?
え?ないって?私はひと絵物も欲しいんだよ。あるだろう?
あとではこのようなことが橋近い女部屋からついに奥深い女部屋に伝わった。
数七層は嬉しさのあまり、彼のキヌバカマを張太太のところへ持って行ってお見聞きを願った。
張太太はまたこれを張旦那に告げて一時スコブル真面目になって話をしたので、張旦那は晩餐の宅上、秀才旦那息子と討論した。
アキューは全くどうも少し怪しい。
我々の閉まりもこれから注意しなければならんが、しかし彼の品物でまだ買ってやっていいようなものがあるかもしれないと思った。
つとに張旦那は値段が安くて品物がいい革の袖なしが欲しいと思っていたときだから、ついに家族は決議して、数七層に頼んでアキューをすぐに呼んでこいと言った。
かつ、これがために第三の例外を開いて、この晩、特にしばらく明かりをつけることを許された。
油は残り少なくなったが、アキューはまだ到着しなかった。
張家のうちの者は皆待ち焦がれて、あくびをしてアキューの気まぐれを恨み、数七層のぐーたらを恨んだ。
張太太は春の一見があるので来ないかもしれないと心配したが、張旦那はそんなことはない。俺が呼べばきっと来ると思った。
果たして張旦那の見識は高かった。
アキューは結局数七層の後へついてきた。
この人はただないないとばかし言っているんですが、そんなら直に話してくれと私は言ったんです。
彼は何とか言うに違いありません。
私も言います。
数七層は息を弾ませていた。
旦那。
アキューはうす笑いしながらのぎ下に立っていた。
アキュー、お前だいぶお金をおもうけてきたという話だが、
と、張旦那はそろそろ近寄ってアキューの全身を目分量した。
何しろ結構なこった。
そこで、噂によるとお前は古着をたくさん持っているそうだが、ここへ持ってきてみせるがいい。他でもない。俺も欲しいと思っているんだ。
数七層にも話した通りですが、みんな売り切れました。
あ、売り切れた。
旦那の声は調子が外れた。
どうしてそんなに早く売り切れたんだ。
あれは友達のもんで、品数もあんまり多くはないんですが、少しばかり分けてやったんです。
うーん、そんなこと言ってもまだいくらかあるに違いない。
たった一枚、幕が残っております。
幕でもいいから持ってきてお見せ。
と、張太太は慌てて言った。
そんなものは明日でもいいや。
張旦那はさほど熱心でもなかった。
アキュー、これから何でも品物があるときにはまず俺のところへ持ってきてみせるんだぞ。
値段は決して他のうちより少なく出すことはない。
秀才は言った。
秀才の奥さんはちらりとアキューの顔を見て、彼が感動したかどうかを伺った。
私は革の袖なしが一枚欲しいんだが、と張太太は言った。
アキューは横たくしながらも不祥不祥に出ていったから気に留めているかどうか知らん。
これは張旦那を非常に失望させ、腹が立って気がかりであくびが止まってしまうくらいであった。
秀才旦那もアキューの態度に非常な不平を抱き、このワンパダン警戒する必要がある。
いっそ村役人に言いつけてこの村に置かないことにしてやろうと言ったが、張旦那はそれは良くないことだと思った。
そうすれば恨みを受けることになる。
まして、ああいうことをする奴は大概置いてある鷹は巣の下の物を食わないのだからこの村ではさほど心配するには及ぶまい。
ただ自分の家だけ夜の閉じまりを少々厳重にしておけばいい。
秀才もこの提訓には非常に関心してすぐにアキュー追放の定義を撤回し、またスー七層にも言いひくめて決してこのようなことを人に漏らしてくれるなと言った。
けれどスー七層は次の日も、あの相馬鴨を黒色に染めかえてアキューの疑うべき不死を言いふらして歩いた。
確かに彼女は秀才のアキュー駆逐の一説を持ち出せなかったが、これだけでもアキューにとっては非常に不利益であった。
真っ先に村役人が訪ねてきて彼の幕を奪った。
アキューは張太太に見せる約束をしたと言ったが、村役人はそれを返しもせずに、なお毎月何ほどか付け届けをしろと言った。
それから村の人も彼に対してたちまち顔つきを改めた。
粗略なことはするわけもないが、かえってはなはな遠ざかる気分があった。
この気分は前に彼が酒屋の中でピシャリと言った時の警戒とは別種のものであった。
軽して遠ざかるような分子がずいぶん大混じっていた。
暇人の中にはアキューの奥底をねほりはほり探究するものがあった。
アキューは包まず隠さず自慢らしく彼の経験談を話した。
アキューは小さな馬の足に過ぎなかった。
彼は柿の上に上がることもできなければ穴の中に潜ることもできなかった。
ただ外に立って品物を受け取った。
ある晩、彼は一つの包みを受け取って相棒がもう一度入ると間もなく中で大騒ぎが始まった。
彼はお漬けを振るって逃げ出し、夜通し歩いてついに城壁を乗り越え未曽に帰ってきた。
彼はこんなことは二度とするものではないと誓った。
この弁明はアキューにとっては一層不利益であった。
村の人のアキューに対して決して遠ざかるものは仕返しが怖いからだ。
ところが彼はこれから二度と泥棒をしない泥棒に過ぎないのだ。
革命の到来
してみるとこれもまた恐るるに足らないものだった。
第7章 革命
戦闘3年9月14日
すなわちアキューがトーレンを超白岩に撃ってやったその日、
真夜中先に一つの大きな黒玉の船が超夜色の川沿いの不動に着いた。
この船は暗闇の中に揺られてきた。
村人はぐっすり寝込んでいたのでみんな知らなかった。
出て行く時は明け方近かったがそれがかえって一目を引いた。
こっそり調べ出した結果によると船は結局巨人牢屋の船であると知れた。
この船は取りも直さず大不安を味噌に運んでくれて
昼にもならないうちに全村の人心は非常に動揺した。
船の使命はもとより長家の極秘であったが、
茶館や酒屋の中では革命党が入場するので
巨人牢屋が我々の田舎に避難してきたとみんな言った。
ただ、数七層だけはそうとは言わず、
あれはつまらぬガラクタ道具やボロ着物を入れた箱で
巨人牢屋が保管を頼んできたが町旦那が突っ返してしまったんですと言った。
実際、巨人牢屋と町主催はもとからあんまり仲のいい方ではないので
親身の泣き寄りなどするはずがない。
まして、数七層は町家の隣にいるので見聞が割合に確実だ。
だから大概彼女の言うことには間違いがない。
そういうものの妖言はなかなか盛んだ。
巨人牢屋は地震来たわけではないが
長い手紙をよこして町家と仲直りをしたらしい。
町旦那は腹の中が一変して
どうしても彼に悪いところがないと感じたので箱を預かり
現に町大体の床の下を塞いでいる。
革命党のことについては彼らはその晩、城に入って
どれもこれも白鉢巻、白兜で
水星皇帝の白装束を着ていたという。
アキューの耳たぶの中にも党から革命党という話を聞き及んで
今年また目近に殺された革命党を見た。
彼はどこから来たか知らん。
一種の意見を持っていた。
革命党は無本人だ。無本人は俺は嫌だ。
憎むべきもんだ。断絶すべきものだ。と一途にこう思っていた。
ところが百里の間に名の響いた巨人牢屋が
このように恐れたと聞いては
彼もまたいささか感心させられずにはいられない。
まして村鳥のような未曾有の男女が慌て惑う有様は
彼をして一層痛快に慣らしめた。
革命も良かろう。とアキューは思った。
ここらにいる馬鹿野郎どもの運命を改めてやれ。
恨むべき奴らだ。憎むべき奴らだ。
そうだ。俺も革命党に入ってやろう。
アキューは近来生活の費用の苦しみ
内々かなりの不平があった。
おまけに昼間飲んだスキバラの2杯の酒が
アキューの決意
回れば回るほど愉快になった。
そう思いながら歩いていると
体がふらりふらりと宙に浮いてきた。
どうしたはずみか。
ふと革命党が自分であるように思われた。
未曾有の人はみな彼の虜となった。
彼は得意のあまり叫ばずにはいられなかった。
無本だぞ。無本だぞ。
未曾有の人はみな恐怖の目つきで彼を見た。
こういう風な可憐な目つきは
アキューは今まで見たことがなかった。
ちょっと見たばかりで彼は
6月氷を飲んだようにせいせいした。
彼は一層元気づいて歩きながら怒鳴った。
よし。
俺がやろうと思えばやるだけのことだ。
俺が気に入った奴は気に入った奴だ。
たった。じゃんじゃん。
後悔するには及ばねえ。
革命の前兆
要て謝りきる。定検定。
後悔するには及ばねえ。
やあやあやあ。
たった。じゃんじゃん。
どんじゃらんじゃん。
俺は鉄の鞭でてめえたちを叩きのめすぞ。
長家の二人の旦那と本家の二人の男は
表門の入口に立って革命のことで大六反していた。
阿久はそれに目もくれず頭を持ち上げてまっすぐに過ぎ去った。
どんどん。
旧様?
と長旦那はおぞおぞしながら小声で彼を呼び止めた。
じゃんじゃん。
阿久は彼の名前の下に様という字がつながってこようとはまさか思いもよらなかった。
これは他の話で自分と関係がないと思ったから
ただどんちゃんどんちゃんじゃらんじゃんじゃんと言っていた。
旧さん。
思い切ってやっつけろ。
阿久。
旧妻は仕方なしにもとの通りにそう名を呼んだ。
阿久はようやく立ち止まって首をかしげて聞いた。
なんだね。
旧様。
答説は。
と長旦那は口を切ったが言い出す言葉もなかった。
答説は素晴らしいもんだね。
ん?素晴らしいと?
当たり前よ。何をしようが俺の勝手だ。
旧。
私のような貧乏仲間は大丈夫だろうな。
と長白眼はコワコワ聞いた。
貧乏仲間?
てめえは俺より金があるぞ。
阿久はそう言いながらすぐに立ち去った。
みんな。
慣れかえってものも言わない。
長家の親子は家に入って火灯し頃まで相談した。
長白眼も家に帰るとすぐに腰の周りの銅錬をほどいて両方に渡し、
矢箱の中に収めた。
阿久は一通りブラブラ飛び回ってお祈り様に帰ってくるともういよいよ覚めてしまった。
その晩、宮盤の親父も意外の親しみを見せて阿久にお茶を勧めた。
阿久は彼に二枚のせんべいをねだり、
食べてしまうと四十枚ろうそくの余り物を求めて食材を借りて火を移し、
自分の小部屋へ持って行って一人寝た。
彼は言い知れぬ新しみと元気があった。
ろうそくの火は元正、正月の晩のようにパチパチとはねほとばしったが、
彼の思想も火のようにはねほとばしった。
無訪?
面白いな。
来たぞ来たぞ。一陣の白ハチマキ、白カブト。
革命党はみんな弾びらをひっさげて、
鋼鉄の鞭、爆弾、大砲、ひし形に尖った諸刃の剣、鎖釜。
お祈り様の前を通り過ぎて、
阿久一緒に来いと叫んだ。
そこで俺は一緒に行く。
この時二層の村ガラス、
一群の男女こそはいかにも気の毒千万だぜ。
阿久、命だけはどうぞお許し下さいまし。
誰が許してやるもんか。
まず第一に知るべき奴は将棟と張団のな。
そのほか秀才もある。二世系党もある。
残る奴ばらは何本ある?
わんなんて奴は残してやるべき筋合いのもんだが、
まあどうでもいいや。
首南門はすぐに入り込んで箱を開けるんだ。
元宝、銀貨、モスリンの着物、
秀才夫人の身体をまずこのお宮の中へ移して、
そのほか千家の卓刀椅子、あるいは張家の物でもいい。
地面は懐でして、将棟などは顎で使い、
おい、早くやれ。ぐずぐずするとぶん殴るぞ。
ああ、張師信の妹はまずい。
数師僧の小娘は二、三年経ってから話をしよう。
二世系党の両母は便通のない男と寝てやがる。
こいつは立ちがよくねえぞ。
秀才の両母はまぶたの上に傷がある。
しばらく会わないが、ウーマーはどこへ行ったか知らんて。
惜しいことにあいつ少し足が太すぎる。
阿久は彼の胸残葉がすっかり片付かぬうちにもう息をかいた。
四十名ろうそくは燃え残って五分ほどになり、
赤々と燃え上がる花光は彼の開け話の口を照らした。
すまねえ、すまねえ。
阿久はたちまち大声をあげて起き上がった。
頭をあげてきょろきょろあたりを見まわして四十名ろうそくに目をつけると、
すぐにまた頭をおろして眠ってしまった。
次の日、彼は遅く起きてオーラインに出てみたが、何もかも元の通りであった。
革命の混乱
彼はやっぱり腹が減っていた。
彼は何かを思っていながら思い出すことができなかった。
たちまち何か決まりがついたような風でのそりのそりと大股に歩き出した。
そしてうやむやのうちに青州庵に着いた。
庵は春の時と同じような静けさであった。
白壁と黒門。
彼はちょっと支援して前へ行って門をたたいた。
一匹の犬が中で吠えた。
彼は急いで瓦のかけらを拾い上げ、もう一度前へ行って今度は力任せにぶったたいて
黒門の上にいくつもアバターができた時、ようやく人の出てくる足音がした。
秋は慌てて瓦を持ち直し、馬のように足を踏ん張って黒犬と回線の準備をした。
だが庵門はただ一筋の隙間を開けたのみで黒犬が飛び出すことはないと見たので近寄って行くとそこに一人の老いたる天がいた。
お前はまた来たのか。何の用だえ?と天は呆れ返っていた。
「革命だぞ。てめえ、知ってるか?」と秋は口籠った。
「革命、革命と言いながら、革命は一変すんだよ。お前たちは何度だってそんな騒ぎをするんだえ?」天は目の不調を隠しながら言った。
「何だと?」秋は胃ぶかった。
「お前はまだ知らないのだね。あの人たちはもう革命を済ましたよ。」
「誰だ?」秋はさらに胃ぶかった。
秋災とニセケトウザ
秋は意外のことにぶつかってわけもなく面食った。天は彼の出花をへし折ってすかさず門を閉めた。秋はすぐに押し返したが固くしまっていた。もう一度叩いてみたが返事もしない。これもやっぱりその日の午前中の出来事だった。
木を見るに微になる超秋災は革命党が城内に入ったと聞いてすぐにベンツを頭の上に巻き込み、今までずっと中原で通したあの千家党のところへご機嫌うかがいに行った。
これは皆共にこれ新たなりの時であるから彼らは話が弾んで立ちどころに上位統合の同士となり互いに総役して革命に当じた。
彼らはいろいろ思い回してやっと思い出したのは青州庵の中の皇帝万歳万万歳の一つの流派だ。これこそすぐにも獲得すべきものと思ったから二人は時を失さず青州庵に行くと老いてる天が邪魔をしたので彼は天を満州政府とみなし頭の上に少なからざる金棒と鉄剣を加えた。
天は彼らが帰った後で気を沈めてよく見ると流派はすでに砕けて地上に横たわっているのはもっともだが観音様の前にあった一つの銭徳炉が見当たらないのが不思議だ。
秋は後でこのことを聞いてすこぶる自分の朝寝坊を悔やんだ。とにしても彼らが秋を誘わなかったのはきっかい旋盤である。秋は一歩退いて考えた。
彼らが今まで知らずにいるはずはない。秋はすでに革命党に当じているのじゃないか。
第八章 革命を許さず
未信の人心は日々に安静になり、噂によれば革命党は城内に入ったが何も格別変わったことがない。
四賢様はやっぱり元の位置にいて何か名目が変わっただけだ。
巨人牢屋は何になったか。これらの名目は未曹の人にはみなわからなかった。
女神が兵隊を連れてくることはこれも前からいつもあることで、格別不思議なことでもないが、ただ一つ恐ろしいのは他に幾らか不良分子が混じっていて内部の情乱を図っていることだ。
そして二言目には手を動かしてベンツを切った。
聞けば隣村の通い舟を出す七賢は途中で引きつかまって人間らしくないような体裁にされてしまったが、それさえ大した恐怖の数に入らない。
未曹の人は本来城内に行くことは少ないのに、たまたま行く用事があっても差し控えてしまうからこの危険にぶつかるものも少ない。
秋も城内にいて友達に会いたいと思っていたが、この話を聞くとやめなければならない。
だが未曹の人も改革なしでは済まされなかった。
行く日の後、ベンツを頭に巻き込むものが逐漸増加した。
手っ取り早く言うと一番最初がモサイコウだ。
その次が超四神と超白眼だ。
あとではアキュウだ。
これがもし夏ならば、ベンツを頭の上に巻き込み、あるいは一つの塊にするのはもとより何も珍しいことではないが、今は秋の暮れで、この特別の祭辞祭が行われたのはベンツを巻き込んだ連中にとっては非常な英談と言わなければならない。
未曹としてはこれもまた改革の一つでないということはできない。
超四神は頭の後ろを空坊主にして歩いた。
これを見た人は大きな声を出して言った。
ほう、革命党が来たぞ。
アキュウは非常に羨ましく思った。
彼は党から秀才がベンツを別れたというニュースを聞いていたが、自分がそのようなことをしていいかということについて少しも思い及ばなかった。
現在超四神がこうなってみると急に真似てみたくなって実行の決心を決めた。
彼は一本の竹橋にベンツを頭の上に輪がねしばらく躊躇っていたが思い切って外へ出た。
彼が往来に出ると人は皆彼を見るには見るが何も言わない。
アキュウは初め不快に感じて後になるとだんだん不平が講じてきた。
彼は近頃怒りっぽくなっていた。
実際彼の生活は文本前よりはよほどマシだ。
人は彼を見ると遠慮してどこの店でも現金はいらないという。
だがアキュウは結局少なからざる失望を感じた。
もう革命を済ましたのにこんなわけがないはずだ。
そうして一度衝動を見るといよいよ彼の着物革が爆発した。
衝動もまた頭の上にベンツを輪がねた。
しかもかつ明らかに一本の竹橋を刺していた。
アキュウはこんなことを彼がしでかそうと全く思いもやらぬことだった。
自分としてもまた彼がこのようなことをするのは決して許されない。
衝動は何者だろう。
アキュウはすぐにも衝動にひっつかんで彼の竹橋をねじ折り
彼のベンツをほかしてうんと横面をひっぱたいて
彼が青年月日の八時を忘れずるずるしくも革命党に入ってきた罪を
懲らしめてやりたくなってたまらなくなったが
結局それも多めに見てべっと唾を吐き出しただにがみつけていた。
この幾日の間場内に入ったのはニセケ党一人だけであった。
新たな出発
長州妻は箱を預かったことから自身巨人牢屋を訪問したくは思っていたが
ベンツを切られる危険があるので中止した。
彼は一封の高三角の手紙
柿渋引きの褒美石を書いてニセケ党に託して城内に届けてもらい
自分を自由党に紹介してくれと頼んだ。
ニセケ党が帰ってきたときには州妻は四元の銀を払って
胸の上に銀のメダルをかけた。
未曽の人はみな驚嘆した。
これこそ数優短、自由と同温、柿渋は防水のために雨傘に引く
前の高三角に対すの気象で管理を抑えつけたんだと思っていた。
長旦那はにわかに肩身が広くなり
背がれが州妻に当たったときにもまして目障りのものがない。
柿渋を見ても知らん顔をしている。
柿渋は不平の末最中に時々冷落を感じた。
銀メダルの話を聞くと彼はすぐ冷落の深淵を悟った。
革命党になるのには投稿すればいいと思っていたがそれができない。
ベンツをわがねればいいと思っていたがそれもダメだ。
第一、革命党に知り合いがなければいけないのだが
彼の知っている革命党はたった二つしかなかった。
その一つは城内でバサリとやられてしまった。
今はただ偽家党一人を知っているだけで
その家党のところへ相談に行くより他はなかった。
選挙の訪問は明け広げてあった。
柿渋はおっかなびっくり入っていった。
彼は中へ入りかけて非常に驚いたのは
偽家党がちょうど広場の真ん中に突っ立って
真っ暗な洋服を着て
銀メダルをつけて手に分かせて柿渋をこらしめたステッキを持って
一尺余りのベンツを開いて頬の上に振り下げ
まるで方々髪のリュハイ仙人のような格好で立っていたのだ。
向き合って立っていたのは張博願のほか3人の暇人で
ちょうど今うやうやしくお話を伺っているところだ。
阿Qの日常と葛藤
柿渋はこっそり近寄って張博願の後ろに立ち
心の中ではお引き立てに預かろうと思っているんだが
さて何と言ったらいいものか言い出すことを知らなかった。
彼を偽家党というのはもとより良くないことだ。
西洋人も穏やかでない。革命党も穏やかでない。
ヤンシーさんといえばありはいいかもしれない。
ヤンシーさんは目を白黒してちょうど抗議の真っ最中であったから
阿久に目もくれない。
俺はあせっかちだから顔を見るとすぐに言った。
幸君我々は着手しよう。しかし彼は結局ノーと言った。
これは用語だからお前たちには分からない。そうでなければもっと早く成功したんだぞ。
とにかくこれは彼らが大事にとって仕事をした方面なんだ。
彼らは再三再四湖北に行ってくれと俺に頼んだが
俺はそれでも承知しないくらいだ。
誰がこんなちっぽけな県城の中ではことを起こそうと願うやつがあるもんか。
えーと、交通。
阿久は彼の話は途切れた暇に精一杯の勇気を振り起こして口を開いた。
だがどうしたわけかヤンシーさんと彼を呼ぶことができなかった。
話を聞いていた四人の者はびっくりして阿久の方を見た。
ヤンシーさんもようやく彼に目を止めた。
なんだ?
私…
出て行け。
私も…に入りたい。
生意気言うな。転がり出ろ。
とヤンシーさんは人泣かせ棒を振り上げた。
張博眼と暇人は口を揃えてと思った。
全生が転がり出るとおっしゃるのに、てめえは聞かねえのか。
阿久は頭のように手をかざして覚えず知らず門外に逃げ出した。
ヤンシーさんは追いかけても来なかった。
阿久は60歩余りも駆け出してようやく歩みを緩める心の中で優秀を感じた。
ヤンシーさんが彼に革命を許さないとすると他にしようがない。
これから決して白ハチマキ、白兜の人が彼を迎えに来るという望みを起こすことができない。
彼が持っていた抱負、思考、希望、善とがただ一筆で防備器されてしまった。
暇人のお触れが行き届いて衝動、わんうなどに話の種をくれたのはやっぱり今度のことであった。
彼はこのような諸罪なさを感じたことは今までないように覚えた。
彼は自分のベンツを別れたことについて無意味に感じたらしく、
阿Qの経験と想像
分別をしたくなって復讐の考えから立ち所にベンツを解き下ろそうとしたが、
それもまた遂にそのままにしておいた。
彼は夜になって遊びに出かけ、二杯の酒を借りて腹の中に飲み下ろすとだんだん元気がついてきて、
思想の中に白ハチマキ、白兜の欠片が出現した。
ある日のことであった。
彼は常例により夜更けまでうろつき回って酒屋が閉じまりをすることになってようやくお祈り様に帰ってきた。
パン、パン。
彼はたちまち異種異様な音声を聞いたが爆竹ではなかった。
一体彼はにぎやかなことが好きで、
くだらぬことに手出しをしたがるたちだからすぐに闇の中を探っていくと前の方にいささか足音がするようであった。
彼は利き耳立てていると、いきなり一人の男が向こうから逃げてきた。
彼はそれを見るとすぐに後について駆け出した。
その人が曲がるとアキューも曲がった。
曲がってしまうとその人は立ち止まった。
アキューもまた立ち止まった。
アキューは後ろを見ると何もなかった。
そこで前へ向かって人を見るとしょうどんであった。
なんだ。
アキューは不平を起こした。
ちょう、ちょうけがやられた。
略奪。
しょうどんは息をはずませていた。
アキューも胸がどきどきした。
しょうどんはそう言ってしまうと歩き出した。
アキューは一旦逃げ出したものの結局その道の仕事をやったことのある人だからことのほか度胸がすわった。
彼は道かとにいざり出て、じっと耳をすわして聞いているとなんだかざわざわしているようだった。
そこでまたじっと見すましていると白ハチマキ、白カブトの人が大勢いて、
次から次へと箱を持ち出し、器物を持ち出し、秀才夫人の忍法値台も持ち出したようでもあったがはっきりしなかった。
彼はもう少し前へ出ようとしたが両足が動かなかった。
その夜は月がなかった。
未曽は暗黒の中に包まれて、はなはなしんとしていた。
しんとしていて義行の頃のような大平であった。
秋は立っているうちにじれったくなってきたが、向こうではやはり前と同じように行ったり来たりしているらしく、
箱を持ち出したり器物を持ち出したり秀才夫人の忍法値台を持ち出したり。
持ち出したといっても彼は自分でいささか自分の目を信じなかった。
それでも一歩前へ出ようとはせず結局自分のお宮の中に帰ってきた。
お祝い様の中は一層真っ暗だった。
彼は大門をしっかり閉めて手探りで自分の部屋に入り横になって考えた。
こうして気を沈めて自分の思想の出どころを考えてみると、
白八幕、白兜の人は確かについたが決して自分を呼び出しには来なかった。
いろんないい石なものは運び出されたが自分の分け前はない。
これはまったく二世傑党が悪いのだ。
彼は俺に無謀を許さない。
無謀を許せば今度俺の分け前がないことはないじゃないか。
秋は思えば思うほどイライラしてこらえきれず、おもう様を恨んで独独しく罵った。
俺には無謀を許さないで自分だけが無謀をするんだな。
馬鹿、二世傑党。
よし、てめえが無謀をする。
無謀をすれば首がないぞ。
俺はどうしても訴え出てやる。
てめえが県内に引き回されて首のなくなるのを見てやるから覚えていろ。
一家一族皆殺しだ。
すぱりすぱり。
第九章 大断言
長家が略奪にあってから未曽の人は大抵みな小気味よく思いながら強行をきたした。
秋もまたいい気味だと思いながらないない恐れていると、よっかすぎての真夜中に彼はたちまち城内につまみ出された。
その時は真の闇夜で一隊の兵士と一隊の自衛団と一隊の警官と五人の探偵がこっそり未曽に到着して闇に乗じてお祈り様を囲み、門の真正面に機関銃を据えつけたが秋は出てこなかった。
しばらくの間様子が垣目知れないので彼らは焦らずにはいられなかった。
そこで二万銭の賞金をかけて二人の自衛団が危険を犯してやっとこさ垣根を越えて内外、相応じて一斉に侵入し秋をつまみ出してお宮の外の機関銃の左側に引き据えた。
その時彼はようやくはっきり目が覚めた。
城内に着いた時にはすでに正午であった。秋は自分で自分を見ると壊れかかった親父の中に引き回され五六遍曲がると一つの小屋があって彼はその中へ押し込められた。
彼はちょっとよろけたばかりで丸太を整列したもんが彼の後ろを閉じた。
その他の三方は切ったての壁でよく見ると部屋の隅にもう二人いた。
秋はずいぶんドキドキしたが決して非常な苦悶ではなかった。
それはお祈り様の彼の部屋はこの部屋よりも決して勝ることはなかったからだ。
そこにいた二人は田舎者らしくだんだん好意になって話してみると一人は巨人牢屋の戦線台に滞っていた古い地蔵の水帳であった。
もう一人は何残ったかよくわからなかった。
彼らは秋に訳を聞くと秋はおくめんなく答えた。
俺は無奮を起こそうと思ったからだ。
秋は午後から丸太の門の外へ引きずり出され大広間に行った。
正面の高いところにくりくり坊主の親父が一人挿していた。
秋はこの人は坊さんかも知れないと思って下の方を見ると兵隊が整列して両足に長い着物を着た人が十幾人も立っていた。
その中には胃がぐり坊主の親父もいるし、一尺ばかり紙を残して後ろの方にさばいていたニセケと鬼よく似た奴もあった。
彼らは皆同じような仏長面で目を怒らして秋を見た。
秋はこれはきっと折れ切り気に違いないと思ったから膝の関節が自然と緩んでベタリと地べたに膝をついた。
立って物を言え。膝をつくな。
と長い着物の一人は一声に怒鳴った。
秋は承知はしているがどうしても立っていることができない。
我知らず体が縮こまってその勢いに押されて挙句の果ては膝をついてしまう。
奴隷根性。
と長い着物を着た人は詐欺すんでいたようだが、その上立てても言わなかった。
お前は本当にやったんだろうな。
ひどい目に遭ううちに行ってしまえ。
俺はもう皆知っているぞ。
やったならそれでいい。話してやる。
とクリクリ坊主の親父は秋の顔を見つめて物柔らかにはっきり言った。
やったんだろう。
と長い着物を着た人も大声で言った。
私は塔から来ようと思っていたんです。
秋は訳も分からず一通り思い回してやっとこんな言葉を切れ切れに言った。
そんならなぜ来なかったの。
と親父はしんみりと聞いた。
偽家刀が許さなかったんです。
嘘をつけや。この場になってもう遅い。
お前の仲間は今どこにいる?
な、なんでです?
あの晩長家を襲った仲間だ。
あの人たちは私を呼びに来ません。
あの人たちは自分で運び出しました。
秋はその話が出るとふんふんした。
持ち出してどこへ行ったんだ。話せば許してやるよ。
親父はまたしんみりとなった。
私は知りません。
あの人たちは私を呼びに来ません。
そこで親父はめつかいをした。
秋はまた丸太格子の中に放りこもれた。
彼が二度目に同じ格子の中から引きずり出されたのは二日目の午前であった。
大広場の模様は源の通りで、紙座にはやはりクリクリ坊主の親父が挿して秋は相変わらず膝をついていた。
親父はしんみりと聞いた。
お前は他に何か言うことがあるか?
秋はちょっと考えてみたが別に言うこともないので、
ありません。と答えた。
そこで一人の長い着物を着た人は一枚の紙と一本の筆を持って秋の前に行き、
彼の手の中に筆を差し込もうとすると秋は非常におったまけて魂も身に沿わぬくらいに狼狽した。
彼の手が筆と関係したのは今度が初めてで、どう持っていいか全くわからない。
するとその一人は一箇所を指差して書き半の書き方を教えた。
私、私は字を知りません。
秋は筆をむんずと掴んで恥ずかしそうにおそるおそる言った。
では、おまねやりいいように丸でも一つ書くんだね。
秋は丸を書こうとしたが筆を持つ手が震えた。
そこでその人は彼のために紙を地上に敷いてあり、秋はうつぶしになって一生懸命に丸を書いた。
彼は人に笑われちゃ大変だと思って正確に丸を書こうとしたが、
憎むべき筆は重くガタガタ震えて丸の合わせ目まで漕ぎつけるとピンと外へ外れてウリのような格好になった。
秋は自分の筆記を恥ずかしく思っていると、その人は一向平気で紙と筆を持ち去り、
大勢の人は秋を引いて元の丸太格子の中に放り込んだ。
彼は丸太格子の中に入れられても格別大して苦にもしなかった。
彼はそう思った。
人間の世の中は大抵元から時によるとつまみ込まれたりつまみ出されたりすることもある。
時によると紙の上に丸を書かなければならぬこともある。
なが丸というものがあって丸くないことは彼の行いの一つの汚点だ。
しかしそれも間もなくわかってしまった。
孫子であればこそ丸いわが本当に書けるんだ。
そう思って彼は眠りについた。
社会との関係
ところがその晩巨人老爺はなかなか眠れなかった。
彼は章位殿と仲互いをした。
巨人老爺は造品の追従が何よりも肝心だと言った。
章位殿はまず第一に見せしめをすべしと言った。
章位殿は近頃一向巨人老爺を眼中に置かなかった。
机をたたき腰掛けを打って彼は解いた。
一人を槍玉にあげれば百人が注意する。
ねえ君、私が革命党を組織してからまだ二十日にもならないのに。
略奪事件が十何件もあって丸切り上がらない。
私の顔がどこに立つ?
罪人が上がっても君はまだぐずぐずしている。
これがうまくいかんと俺の責任になるんだよ。
巨人老爺は大いに急したがなお頑固に前説を誇示して造品の追従をしなければ彼は即刻民政の職務を辞任すると言った。
けれど松尉殿はびくともせず、
どうぞ、御随意なさいませ、と言った。
そこで巨人老爺はその晩とうとう満塵ともしなかったが、
翌日は幸い辞職もしなかった。
阿久が三度目に丸太郎氏からつまみ出された時には、
すなわち巨人老爺が寝つかれない晩の翌日の午前であった。
彼が大広間に来ると、
上席にはいつもの通りクリクリ坊主の親父が座っていた。
阿久もまたいつもの通り膝をついて下にいた。
親父はいとも年号に尋ねた。
お前はまだ他に何か言うことがあるかね。
阿久はちょっと考えたが、別に言うこともないので、
ありませんと答えた。
長い着物を着た人と短い着物を着た人が大勢いて、
たちまち彼に白肩金の袖なしを着せた。
上に字が書いてあった。
阿久ははなはだ心苦しく思った。
それは葬式の着物のようで、
葬式の着物を着るのは縁起がよくないからだ。
しかしそう思う間もなく彼は両手を縛られて
ずんずん親父の外で引きずり出された。
阿久は屋根なしの車の上に担ぎ上げられ、
短い着物の人が幾人も彼と同座して一緒にいた。
この車は立ちどころに動き始めた。
前には鉄砲を担いだ兵隊と自衛団が歩いていた。
両側には大勢の見物人が口を開き放して見ていた。
後ろはどうなっているか、阿久には見えなかった。
しかし突然感じたのは、
こいつはいけねえ、首を切られるんじゃねえか。
彼はそう思うと心が転倒して二つの目が暗くなり、
耳たぶの中がガーンとした。
気絶をしたようでもあったが、しかし全く気を失ったわけではない。
ある時は慌てたが、ある時はまたかえって落ち着いた。
彼は考えているうちに、人間の世の中はもともとこんなもんで、
時によると首を切られなければならないこともあるかもしれないと感じたらしかった。
彼はまた見覚えのある道を見た。
そこで少々変に思った。
なぜ押し置きに行かないのか。
彼は自分が引き回しになってみんなに見せしめられているのを知らなかった。
しかし知らしめたも同然だった。
彼はただ人間世界はもともと大抵こんなもんで、
時によると引き回しになってみんなに見せしめなければならないものであるかもしれないと思ったかもしれない。
彼は覚醒した。
これは回り道して押し置き場に行く道だ。
これはきっとズバリと首をはねられるんだ。
彼はがっかりしたあたりを見ると、まるで蟻のように人がついてきた。
そしてはからずも人混みの中に一人のウーマンを発見した。
ずいぶんしばらくだった。
彼女は城内で仕事をしていたのだ。
彼はたちまち非常な羞恥を感じて、われながら気がめいってしまった。
つまりあの芝居の歌を歌う勇気がないのだ。
彼の思想はさながら旋風のように頭の中をひとまわりした。
若子家の墓前よりも立派な歌ではない。
リュウコズの後悔するに及ばぬもあまりつまらなすぎた。
やっぱり手に鉄鞭を取って貴様を打つぞなんだろう。
そう思うと彼は手をあげたくなったが考えてみるとその手はしばられていたのだ。
そこで手に鉄鞭を取りさえも唱えなかった。
二十年すぎればこれもまた一つのものだ。
アキューはごたごたの中で今まで言ったことのない言葉を師匠もなしに半分ほどひり出した。
ハオーッと人混みの中から狼の鳴き声のような声が出た。
車は止まらずに進んだ。
アキューは喝采の中に目玉を動かしてウーマを見ると彼女は一向彼に目を止めた様子もなくただ熱心に兵隊の背の上にある鉄砲を見ていた。
そこでアキューはもう一度喝采の人を見た。
この刹那彼の思想はさながら扇風のように能力をひと回りした。
四年前に彼は一度山下で狼に出会った。
狼はつかず離れずついてきて彼の肉を喰らおうとした。
彼はそのとき全く生きている空はなかった。
幸い一つの巻割りを持っていたのでようやく元気を引き起こし味噌をまでもちこたえてきた。
これこそ永久に忘れられぬ狼の目だ。
臆病でいながら鋭く鬼火のようにきらめく二つの目は遠くの方から彼の皮肉をさし通すようでもあった。
ところが彼は今まで見たこともない恐ろしい目つきをさらに発見した。
鈍くもあるが鋭くもあった。
すでに彼の話を咀嚼したのみならず彼の皮肉以上の白物を噛みしめてつかず離れず常しえに彼の後にくっついてくる。
これらは目玉は一つにつながってもうどこかそこらで彼の霊魂に噛みついているようでもあった。
助けてくれ。
アキューは口に出して言わないがそのときもう二つの目が暗くなって耳たぶの中がガーンとして全身がこっぱみじんに飛び散ったように覚えた。
当時の影響から言うと最も大影響を受けたのはかえって巨人牢屋であった。
それは取られたものを取り返すことができないで家中の者が泣き叫んだからだ。
その次に影響を受けたのは長家であった。
秀才は城内へ行って訴え出ると革命党の不良分子にベンツを切られた上2万もんの懸賞金を損したので家中で泣き叫んだ。
その日から彼らの間にだんだん異動気質が発生した。
世論の方面から言うと未曽では意義がなかった。
むろんアキューが悪いとみんな言った。
社会の非情
ぴしゃりと殺されたのはアキューが悪い証拠だ。
悪くなければ銃殺されるはずがない。
しかし城内の世論はかえって良くなかった。
彼らの大多数は不満足であった。
銃殺するのは首を切るより見応えがない。
その上なぜあんなに育児のない死刑犯人だったろう。
あんなに長い引き回しのうちに歌の一つも歌わないでせっかく後について見たことが無駄もねになった。
1921年12月
1932年発行。改造者。路人全集。より独領読み終わりです。
はい、難しかったね。
中国文学は難しいですね。
時々ベンツと出てきましたが、これはですね、
地弁和歌山の地弁の弁、難しい方の弁ですね。
辛いに糸に辛いって弁。
子供のこと書いてベンツ。これ弁発のことでしょうね。
当時は中国は、
シンですか?日清戦争のシンですか?
ちょっとわかりませんが。
なんか当時の中国人の弁発に対する意識とかちょっとわかんないですよね。
武士でいるところのちょんまけのようなものなのかもしれません。
なんか大陸国家って感じがしますよね。
必ずしも政府は信用できないっていう感じがね。
周りの家族だけを大切にしている感じというか。
なぜこれを書こうと思ったんだろうね。
解説読むか。解説読んでいきましょうかね。
作品の概要としては、中国近代文学を代表する作家路陣が書いた中編小説で、
辛亥革命前後の農村社会を背景にしています。
なるほど。なんかちょっと波乱はありましたもんね。
無学で貧しい日夜という労働者、阿急の生涯を通して、
自己欺瞞と受容
当時の中国社会の封建性や無知、自己欺瞞を鋭く封死した作品です。
ということです。
なんかちょっと考えるとすぐ肯定しちゃう感じがありましたよね。
ある時は慌てたが、ある時はまたかえって落ち着いた。
彼は考えているうちに、人間の世の中はもともとこんなもんで、
時によると首を切られなければならないこともあるかもしれないと感じたらしかった。
人間の世の中はもともとこんなもんで、
受け入れちゃうっていうね、自分の起こった不幸を。
難しかったです。
漢字も読み間違いが多数あろうかと思いますが、
平にご容赦ください。難しかったんですよ。
登場人物もね、男か女かよくわかんないし、地面だけだとね、
中国人だと、みたいなこともありましたね。
何分かかった?1時間半。
はい、頑張りました。ということで、終わりにしていきましょう。
すいません、後半鼻声でしたね。ちょっと風邪を引きまして。
それでも収録を押し進めてしまいました。
第7章、第8章くらいは鼻声だと思います。
それでは終わります。
無事に寝落ちできた方も、最後までお付き合いいただけた方も大変にお疲れ様でした。
といったところで、今日のところはこの辺で。
また次回お会いしましょう。おやすみなさい。
01:30:36

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