2025-04-19 09:28

201 「今、ここにいる自分」を揺さぶる国語の授業を目指して

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201回目は今、3年生の論理国語で構想中の授業について語ります。

 

#今ここにいる #国語の授業 #単元構想 #弱さ考 #井上慎平 #田中渓

サマリー

今回のエピソードでは、国語の授業を通じて実用文に対する疑問と、生徒たちが本当に考えたい内容に焦点を当てています。田中圭さんと井上新平さんの対比を通じて、現代の成果主義や実力主義が生徒たちに与える影響を議論し、彼らが抱える苦しみや悩みを理解しながら授業を進める必要性を強調しています。

国語教育の現状
皆さん、こんにちは。今日も明日も授業道、黒瀬直美です。この番組では、中学校・高等学校の国語教育、働く女性の問題、デジタル教育について、ゆるっと配信しています。
今日は201 回、今、ここにいる自分を揺さぶる国語の授業を目指して、と題してお届けしたいと思います。
その前に、先日、インターネットで、SNSで知ったんですけれど、全国学力状況調査の結果が発表、結果じゃないですね、問題が発表されました。
令和7年の4月14日から17日に実施した、中学校3年生対象の国語の問題を見てみましたら、
美術部の展覧会とか、そういうものに案内を出すという設定で、その案内の、小学生に向けた案内のメッセージが、ちゃんと適正なメッセージになっているかどうかを問う問題であったりとか、
それから発表シーンで、プレゼンテーションするシーンで、こういう風なプレゼンテーションを計画しているんだけど、これを直すのはどういう風にしたらいいかとか、
それから小説の問題と最後は手紙文という内容で、いわゆる実用文が4分の3入っていました。
こういう風な力を測るものなんだなと私は思ったんだけど、やっぱりずっと前から疑問に思ってもやもやしていることは、
この実用文、実用文といったって、よく考えたらその実用文はテストで出されるものは架空の実用文なわけで、本気になって読むことがない、出題するために書かれた文章ということになりますよね。
一体これで本当に本気になって読もうという気になるんだろうか、というもやもや感が私の中では抜けません。
架空の、魂の入っていない、出題のためだけに作られた文章、それを読み解く力を測ろうとしているという風に、どうしてもうがった見方をすると思えてしまいます。
私がもし中学校3年生だったらこの問題を解くっていうことは本当にワクワクしないなと思いますね。
成果主義と実力主義の影響
そういうちょっとなんかもやもやした、嫌な気持ち、残念な気持ちになった一方で、じゃあ自分自身はどういう国語の授業を目指していっているのかということを皆さんにお知らせしたいと思います。
それは高校3年生の論理国語を今年も担当しているんですね。
この論理国語の授業は2学期に入ったらほとんど受験対策の時間になってしまって、1学期が教科書教材をやるという風に例年されているようなので、私もそれを踏襲することにして、1学期は教科書教材を中心に組み立てることにしました。
それで一つはであることとすること。これは高校2年生で取りこぼしていた教材です。もう一つはであることとすることが古いので、最近の一番新しい、真新しいテーマにした教材2つを選んでいます。
であることとすることそのまま唐突に入っても全然生徒はなんか興味もないだろうなと思って仕掛けを考え始めました。
であることとすることのするっていうね、その論理、いわゆる成果主義が行き過ぎてしまっている、そういうする論理っていうのを実感してもらおうと、今まさに成果主義実力主義の社会に来ている私たちじゃないですか。
そのことを改めて生徒たちに考えてもらおうと思うことで導入を計画しました。それは最近たまたまであったんですけれども、一人は田中圭さんというゴールドマンサックスっていう超一流の外資系の金融会社に勤めているエリートの方。
この方は17年間ゴールドマンサックスにお勤めで非常に部長までお勤めになったとても優秀な方で、それで17年間勤めた後で本当に自分のやりたいことをやろうということで日本に帰ってきていろんなことを展開されている方です。
その方がyoutubeに出られてゴールドマンサックス勤務時代の猛烈社員ぶりをお話になっていたのがとても印象的でした。
当初はもうワイシャツ5枚持っていて、それで会社の椅子で仕事した後は会社の床で寝袋で寝泊まりしていたという超ハードな生活を送っておられたそうです。
それでかえって太ってしまったので運動をし始めて、最初は短時間でやっていたものがコツコツコツコツやり始めてとうとう3時45分に起きて7キロマラソンしたりっていうね、そういうふうな体力化け物状態のそういう猛烈なこの厳しい社会を生き抜くズバ抜けた才能と桁外れた体力を持ちの方のお話、これを一つしたらどうかなと思いました。
そしてそうこうしているうちにぶち当たったクロニクルっていう配信サイト、ここでいつも聞いていたらクロニクルの野村孝文さんの親友でいらっしゃる井上新平さんが出した弱さ校っていう本があるんですけど、それのプロモーションを兼ねてお二方が喋っているポッドキャストを聞いたところ、これはと思い当たったんですね。
方や超エリートで、生活主義、実力主義の中を生き抜いてきた田中圭さんと、そして兄弟出身という超エリートでありながら、その社会の中でどんどん負担を感じて押しつぶされてしまった井上さん。
その対照的な二人を比較することによって、自分たちの問題に引きつけて考えてみるということを導入で計画しました。
井上さんの弱さ校っていう本を早速買いまして、全部読んだんですけど、参考文献の数がものすごくて、しかもその参考文献のリストが今まさに私たちに必要な、生徒たちに必要な、そういった本ばっかりだったし、であることとすることっていう教科書教材の合わせ読み教材としても使えるものばかりだったんです。
私はそのリストを参考にしようとしたわけではないけど、事前に買ってきた本がかなりその本と被っているものが2冊3冊ありまして、やっぱりこれは今ここに生きる生徒たちが考えるべき問題だっていうことを改めて感じました。
その後は、井上さんの文章を比較読みさせた後はですね、やっぱり井上さんの文章はありかしまだ高校生にもわかりやすく書かれているので、それをいろいろ読み取るような仕掛けを考えまして、だんだんと文章のランクを上げていくべく、次は成果主義、実力主義の問題を描いた教材を一つ用意しています。
いろいろ読んだんだけれど、本田由紀さんの「きしむ社会」っていう、ちょっと前に出た本なんだけど、それが一番コンパクトにまとまっていて、語彙も豊富だし、これはいいだろうということで、それを次に読ませて、文章のランクを難易度を少し上げて、成果主義、実力主義のメリット、デメリット、闇について考えさせます。
その後で、であることとすることに入っていこうと思っています。そして、であることとすることが終わりましたら、これをしゃべっちゃうと、生徒にネタバレになってしまうので、ここまでにしておきますが、
ポッドキャストね、たぶん何人か聞いている生徒いるんじゃないかと思うんですけど、ごく少数ね、ごく少数いるんじゃないかと思うんだけど、この後ネタバレになっちゃうので、ここまでで一応打ち止めにしておきます。
そして最後は、ある先生に教えてもらった、ある本を一番最後にお年どころとして準備しています。
ということで、生徒に本当に今、実力主義、成果主義の社会が情報化によってどんどんどんどんエスカレートしていって、強いものが生き残る社会、変化し自分を更新し続けて、どんどんどんどんアップデートしていく、そういう人間が生き残る社会の中で、生き苦しさを感じている人はたくさんいるし、
実は生徒自体が、この数値で切られる学力社会の中で、息ができずに苦しんでいるのではないか。その苦しみや悩みというものを自覚した上で、その裏側に隠されている社会の構造とはどういうものなのか。
そして、その社会の中で生きる私たちは、どういうふうに生きていくべきなのか。答えは出ないけれども、生徒と一緒に考えていきたいなと思っています。
血肉の通った授業の必要性
ということで、今ここにいる自分を揺さぶる国語の授業を目指して、冒頭部分で述べた学力状況調査の文章とは全く違った、本当に苦しみ、考え、どうにかしたいと思っている、血肉の通った本気になって読める文章。
それと対面して、今ここにいる自分を揺さぶって、生徒と一緒にこれからの社会をどう生きるかについて考えていきたいなと思っています。
それでは今日の配信はここまでです。聞いてくださりありがとうございました。またお会いいたしましょう。
09:28

コメント

ありがとうございます。高校3年生を教えるのが最後になるかもしれないので、本当に生きていく上で大切なことを教えたいと思っています。実用文どころじゃないですww

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