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2025-01-05 10:12

108 諸外国と比較した教育条件の違い~持続可能な働き方を目指すために考えた~

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教員の働き方改革は喫緊の課題ですよね。

2024年夏の実践発表会では自由進度学習に触れましたが、非常に過重負担で、これをやるとなると、働き方改革に逆行しますよね。

熱心で丁寧な授業実践は感銘を受けますが、半面持続可能でないと、単なるスタンドプレイと思われる時代になってきたかなあ~と思います。

自戒を込めて。

#働き方改革 #カリキュラムオーバーロード #過重負担 #ブラック部活

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皆さん、こんにちは。今日も明日も授業道、黒瀬直美です。
この番組では、中学校・高等学校の国語教育、働く女性の問題、デジタル教育について、ゆるっと配信しています。
今日のタイトルは、ちょっと待って、その取り組みは持続可能な働き方に基づいているのか、というタイトルでお送りしたいと思います。
このタイトルの前に、2つのお話をしたいと思います。
もう15年ぐらい前になると思うんですけれど、私が国立大附属に勤めていた時に出張に行きまして、ある研究会に参加させていただきました。
ある男性の40歳ぐらいの先生の取り組み報告だったんですけれど、現代文の授業で、生徒一人一人に作文をさせて、
それを先生が一人一人丁寧に返すという、そういう取り組みをずっと続けていって、読みが深まったというような、そういう取り組みを報告されていました。
確かに、丁寧に丁寧に、精力的に取り組まれていて、感銘を受けた反面、私がその時子育て期末盛りで、
いつもハードな家事・育児との両立に悩んでいた時期でもありましたので、ちょっとそんな時間外労働を、まるで美化するような取り組みにカチンときたんだと思うんですよ。
その先生に手を挙げて質問しまして、その時間外労働前提のような、そういうやり方で持続可能なのかどうか、その辺の考えはありますか?ということを質問してしまったんですよね。
本当にね、カチンときてたんだと思うんですよ。そしたら、その男性の先生はこんなふうに答えました。
時間外とかを厭うようでは教育はできない。やっぱり、その生徒に前進前礼、指導に当たらなくてはいけないというようなことをおっしゃるんですよね。
もう私はこれはダメだと思って、はいわかりましたで退散しましたけれど、そういう考え方の時間外労働ありき、それが美しいことであり、自分の実力であり、自分の評価であるというような考え方の人もいらっしゃるんだなってその時思ったんだけど、時代は流れまして、
もはやそういうふうな労働環境が教育現場を魅力的でないものにしていって、なかなか若手の先生が教員になりたがらないという時代が来たから、そういう働き方は校長先生としてもよろしくないという風な指摘をするような時代になりました。
ということで、そういうのを思い出したのと、もう一つは同じく国立大附属に勤めていた時に、夏休みにフィンランドの教育視察から帰ってこられた先生の報告会があったんですね。
その時はフィンランドは学習到達度調査、PISAで世界一位を誇るという状態だったので、視察に大学側がお金を出してから、代表の先生が行かれまして、報告会がありました。
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どうも実際、本当に噂で聞いていた通り、フィンランドでは20人のクラスに先生が2人。授業の内容によっては、部屋を仕切って半分半分に分かれて学習を行うという様子を写真に撮って見せてくれました。
本当に教育的な設備とか教育条件の差が圧倒的に違うなと思って、会場はため息の連続です。
フィンランドの生徒はあまりにも活発に発言をするので、フィンランドの先生に質問したそうです。どうしたらそんな風に積極的に発言するようになるのか。
フィンランドの先生は目を白黒させて、言葉に困って、授業で発言をするのはあまりにも当たり前のことではないですか。
そのようなことは考えたこともありません。逆にどうしてそういう質問が出るのか聞きたいです。というふうに答えが返ってきたそうで、ここで場内はざわめきに包まれました。
あまりにも実態が違うなというふうに思いました。しかもフィンランドの先生には公務文書も担任もクラブ活動の指導もないそうです。
ということで、もう本当にアングリーするというような報告を聞きました。
そこでね、どうも私出典がわからないんですけれど、OECDが国際教員指導環境調査っていうのをやってるらしくて、そのデータの一部なんですけれど、
こんな比較表を実はスマホの方に記録しておりまして、ちょっと読み上げるというか、面白いところをかいつまんで説明しますね。
一学級あたりの生徒数は日本は35人から45人なんだそうです。アメリカ20から30人、ドイツ20から30人、イギリス20から30人、フランス20から30人、中国40人、こういう結果でした。
なので25人ぐらいが一クラス編成というのが欧米では標準なようですね。
それから初連絡は誰がやってるのかというと、日本は学級担任で、イギリスも学級担任ですけれど、アメリカとドイツとフランスは掲示板なんかで連絡をするそうで、
多分今ではGoogle Classroomかなんかにピッと貼り付けるだけなんじゃないかな。中国では世話人という人がされるそうです。
それから生徒指導は誰がするのかということですけれど、日本は学級担任なんですが、なんとアメリカとドイツとフランスと中国は指導教員という生活指導の教員がいるそうで、イギリスはメンターがやるそうです。
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それから所見とか通知表の作成は誰がやるのかということですけど、日本は当然学級担任なんですけれど、アメリカ、ドイツ、イギリスはアドバイザーという人が作成するそうですよ。
フランスは指導教員、それから中国は世話人という人が通知表を作成するそうです。
それから生徒対応や生徒との相談については誰がやるのかというと、日本は学級担任ですけれど、アメリカはカウンセラー、イギリスもカウンセラー。
ドイツ、フランスは指導教員、専門の教員がいるんですね。それから中国は事務員がカウンセリングをやるみたいですね。
保護者対応についてはどうかというと、日本は学級担任、アメリカ、ドイツ、イギリス、中国は事務員、フランスは指導教員、こんな風になっています。
あとクラブ活動については、日本では教員がやるんだけど、アメリカ、ドイツ、イギリス、フランス、欧米はコーチ、保護者、中国は無しということで部活動が全然システムが違いますね。
職員室のあるなしというのを聞いているというところが面白いと思うんですけど、日本では職員室はあるけど、アメリカとフランスと中国は職員室はなくて、ドイツとイギリスは休憩室があるだけだそうです。
だから欧米の職員室という文化は日本独自の文化のようですね。
ということであまりにも違いすぎる職務担当、これにはもう本当にびっくりです。
なんと学級担任の背負う業務が多いことか。
これだから部活動専門のコーチと保護者に任せて、保護者対応、生徒対応、指導教員という専門の人がやればいいわけですよね。少なし。
ということで私たちはおそらく最低三つもっても教科指導以外に指導員とそれからコーチ保護者っていう別々の二役をやらされているということで、ここに公務文書が加わればまた状態は変わってくると思うんですけど、我々教員は一人でおそらく諸外国からして4つぐらいの仕事はやっていると。
4人分の仕事はやっているということになるんじゃないかと思います。ということでこういう状態でさらに学習指導要領ではカリクラムオーバーロードを迫られると。
そしてさらに研修しろ、研修しろ、研修しろと言われる。
これはやっぱりね、教員の仕事っていうのが魅力的に映らないわけですよ。
なので今調整手当を増額するとか言ってるけど、皆さんおっしゃってるように人をよこさない限りこの問題は根本的には解決しないと思います。
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おそらく諸外国と比べても、部活動に1人、それから生活指導的な教員が1人というふうに、あと2倍ぐらい、違うか3倍ぐらい先生がいらっしゃらないと、
ちゃんとした授業、次世代型の授業、現行の学習指導要領型の授業っていうのを研修する時間は取れないという、一応ざっと見てそういうふうな分析になるんじゃないかと思います。
ところが神戸の中学校ですかね、とうとう部活動を地域に移行するっていうニュースが年末に流れ込んできました。
そうしないとおそらく教員になるっていう、そういう若手が育たないっていうことは大きな大きな原因じゃないかと思います。
ということで少しずつ働き方改革は進んでいます。
ぜひぜひ、何とか若い人が子育てもしながら、生き生きと教育ができるようなそういう日がいち早く来ることを私は願っています。
それでは今日の配信はここまでです。聞いてくださりありがとうございました。またお会いいたしましょう。
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