オンライン交流会の概要
皆さん、こんにちは。今日も明日も授業道、黒瀬直美です。この番組では、中学校・高等学校の国語教育、働く女性の問題、デジタル教育についてゆるっと配信しています。
今日は、274 ガチの教材研究をオンライン交流会で扱って好評だった話、というタイトルでお届けしたいと思います。
6月28日土曜日、21時から第39回、今日も明日も授業道、オンライン交流会を開催しました。
テーマは、「木の先にての教材研究にトライ!」というタイトルでやりました。
AI活用を最近やったり、ICT活用をやったりということが、つまりデジタル活用がとても多かったんだけれども、
生成AIについて考えれば考えるほど、地盤がダメというのがとても大事だなと思う、そういう状態になりまして、
やっぱりね、本当に普遍的なものは、教材研究がきちんとしていることだと、ますます実感するようになって、
ここで一回、ガチの教材研究を扱いたいなと思って、このテーマにしました。
ラショウモンとか三月木とかでもよかったんですけれども、もう難解で、なかなか切り口っていうのが難しい、
木の先にてっていうのを扱うことにしました。
この木の先にてを扱った理由は、過去にとても難しいなと思っていた私が、すごくこの教材研究を通して成長したということと、
それから何年か蓄積してバージョンアップしたこのやり方について、他校で教えていらっしゃる先生にそのままこれをお渡ししたところ、
その他の学校の生徒でも好評だったというお話をいただいて、この木の先にてっていうのはかなり勉強になるんじゃないかと思ったからですね。
ということで企画をして、それからスライドも作って、呼びかけを行いました。
私のオンライン交流会は、その時にタイムリーな話題を扱っているということもあって、かなり申し込みされる方が多いんですけど、
今回はかなりニッチな分野ということで、高等学校分野であり木の先にてという小説に限っているということで、
申し込み者数はいつもの3分の2ぐらいでしたね。
いつもブレイクアウトルームを2つから3つは作成するんですけども、そういうことも必要なくて、
オープンの場でそのままフリートークが進むという形で、非常にコンパクトに開催できたということもあり、
そのせいか、市長のみの方からの質問がかなり多くて、こういうふうに話題を絞ってオープンな形でやるというのもいいなと思いましたので、
これから広くみんなの話題にしたいときと、もっとニッチに攻めるときと使い分けてもいいかなというふうに思いました。
教材研究の重要性と方法
ということで、オンライン交流会の会の持ち方については以上で、では本格的に内容の説明に入っていきたいと思います。
まず参加者からの質問、チャット欄が激しく動きまして、おそらく顔出しとかするのはちょっと控えたいけれど、疑問点、
それから課題意識を持って参加された先生がすごく多かったように思います。
まず教材研究についての質問がかなりありました。
他の教材もこんな形で教材研究されてるんですか?とか、黒瀬先生はこのような教材研究力をどのようにして身につけておられますか?
おすすめの書籍などはありますでしょうか?という質問がありました。
私はやっぱり国立大附属で鍛えられたっていうのは大きいかなと思うんですけど、
他の先生の授業を拝見して、その教材研究の深さに驚くばかりで、いわゆる指導書を読んだだけでは身につかない、
そういう教材研究力がそこにあるんですよね。
それを本当に授業の場で見せてもらえるというのは好めない勉強だったと思います。
なので、やっぱりある程度そういう風な力量が終わりになる先生の授業、
それから版書計画を見せてもらうというのがとても大事だなと思いますね。
私は先輩の先生に苦手感覚を持っていた教材について、
この先生の版書計画を見せてもらって、ものすごい教材研究が深まった経験もありますし、
何はともあれやっぱりね、実際の授業を見せていただくっていうのが本当に勉強になりました。
そのことによって自分はこれに近づけばいいんだとイメージができたので、
やっぱり自分でこういう風になりたいっていうイメージを持つということは非常に大切だと思います。
それから次に、初歩的な質問で申し訳ないのですが、
皆さんは教材研究はノートでまとめておられますか?それともデジタルでなさっていますか?
私はノートなのですが、資料がうまく整理できず、なかなか過去のものを活用できていません。
というふうな質問がありましたけど、これはやっぱり参加された先生はほとんど手書きだとおっしゃってましたね。
手書きでぐちゃぐちゃ書くとか、構造化は手書きじゃないとできませんという先生が多かったですね。
なのでデジタルですぐに授業コースを練るという先生は極めて少ないのではないでしょうか。
基本的な教材研究の順番として、まず最初は教科書本文に線を引きながら、その本文に沿っていろいろと制度を進めていってメモを書いていく。
そしてそれが終わったら、ノートあるいは紙にいろいろと教材研究したことに基づいて版書計画を立てる。
版書計画のヘリにコメント的な機能として、発問でありますとか気づいたこととかをどんどんどんどん版書計画のヘリにでも書いてためておくというふうな感じで
教材研究されているという先生が多かったように思います。
私もそうで、教科書本文に沿った制度が終わった後はすぐに版書計画に移ることにしています。
でも版書計画というのは教材研究そのままが現れるので、授業を見るにしても版書にすべて現れると思います。
ただ、版書しない授業というのもあるので、版書メインじゃない授業というのもあるので、版書メインで授業展開しようという時には、版書にその授業の教材研究が出てくる。
そういうことは、どの先生もおっしゃっていたので、版書計画をしっかり練るということが教材研究力をつける近道になるのではないかと思います。
それで、その手書きのデータどうするかということなんですけど、それは写真を撮ってフォルダーの中に入れるというふうにすればいいんじゃないでしょうか。
私も版書計画は何回も何回も作り直すので、手書きで書いて写真を撮ってフォルダーに収めたりしますし、何回も何回も書き直しているうちに頭の中に版書計画があるという定番教材もあったりするので、
成果物の共有方法
やっぱり版書計画をしっかり練って写真で撮ってフォルダーに置いておくということを繰り返すことによって、教材研究の蓄積ができるのではないかと思います。
特に若手の先生は定番教材で授業力をつけるのがいいという指摘もありましたので、私自身もこれを参考にして定番教材の自作自演模擬授業動画、これをやると若手の先生にとってはとても勉強になるんじゃないかなと思うので、
そういうことを視点に置きながら、これから自分のライフワークとして発信を続けたいと思っています。
そして教材研究の元になるのは、問題になったのは教科書の指導書ではとても物足りないということでした。
教科書の付属の指導書だけを見て授業を展開するというのはとても危険なことだというお話は他の先生からも聞かれました。
ちょっと昔は国文学とか解釈と研究という極めて評価の高い厚みのある雑誌が刊行されていたんですけれども、それも配管になってしまって過去のものしか手に入れることができなかったりめちゃくちゃ高かったりします。
今は日本語学という年に4回出る雑誌がとてもいいというふうに、中学校高校現場とそれから学術的論文をつなぐ雑誌としてはとても価値があるということで、国語学という機関誌を紹介していただきました。
3000円ぐらいするんですけれど、大変中身が良いということで、学校なんかで定期講読をされるといいのではないかと思います。
あとはインターネットでも研究論文は検索できて、例えばサイニーで検索するとPDFで簡単に得ることができるので、他の先生方の実践研究なんかはサイニーで検索すると簡単に手に入ると思います。
私もサイニーを使うことがありますので、お手軽なのはインターネット検索、そしてさらに重みのある厚みのある手応えのある教材研究を探すとすれば、日本語学ということになるでしょうか。
それから版書についても質問がありました。
版書というのが苦手なんですけど、構造的版書やグラフィックファシリテーションを身につけるのにはどうすればいいでしょうか。
黒瀬先生はどのようにして身につけてこられましたかという質問や、他の先生の授業参観されていたとおっしゃっていましたが、授業参観されるときは何を重視してご覧になっていましたかという質問がありました。
これは先ほどのお答えと重なるんですけれども、やっぱり先輩の授業を見るというのが一番でしたね。
イメージできないものは自分自身も教室で再生することはできません。
なので数多くの構造的版書やグラフィックファシリテーションを実際に見ること、これが非常に良かったと思っています。
そして見るときに何をポイントに絞るかというと、導入と集結と版書と発問と先生の受け答え、これをかなり重視して見ています。
特に版書にその先生の教材研究が現れるので、版書計画については時々は手書きで写すこともあります。
写真が許されている場合は写真を撮ったりなんかもします。
ということで、やっぱり実際に授業を見てイメージすることがとても大事だと思うので、ご自身でもいろんな構造的版書、
それからグラフィックファシリテーションの手法というのを積極的にまずはインターネットで探して数多く見ることがとても大事だと思いますね。
それから次の質問はワールドカフェという生徒の成果物を共有するシステムというか共有する方法があるんですけど、
ワールドカフェにはどのぐらい準備期間や発表時間を取りますか?
ポスターセッションの発表はどのような形でやっているのでしょうか?という質問がありました。
これをやるとかなり時間が食うので、私は省力化することにしています。
4人組を作って1人そのグループの発表担当を決めます。
そして残りの3人をテーブルごとにローテーションを組んでぐるぐる回して3分間ぐらいで発表させます。
8週ぐらいかな、5、6週から8週ぐらいやった後は元のテーブルに戻って、
1人残った発表者に残りの3人がどのような発表があったかっていうのを共有する時間を5分ぐらい取って、
それで合計だいたい30分から35分ぐらいで情報共有を行うようにしています。
そうすると残りの時間でそれを踏まえて対話する時間も取れますし、
それからいろいろなまとめの時間、書く時間も取れるので、
1時間で完結させるのが情報をギュッと凝縮させて把握する力にもなるので、
ワールドカフェ簡易版っていうのをよくやっています。
それから次の質問、短作文はどのようなことを書かせるのでしょうか。
そういう気づきや感想はプリントですか、それともタブレットですかという質問がありました。
教材研究の意義
短作文はね、論理的文章とか評論文だったら、その時間その時間でやったことで、
メインとなる発問、メインとなるテーマ、メインとなる書かせたいことを掲げて書かせることが多いですけれども、
小説教材の場合は多様な考えを拾うためにも、
今日の気づき感想を書きましょうということで広くとっています。
その方が鋭い質問とか尖った指摘とかが拾えて読みが深まるんですね。
だから小説の場合は焦点を絞って書かせるというよりも、
気づき感想の方が面白い授業になると私は思っています。
そしてそれを手書きでやるか、あるいはデジタルでやるかという質問なんですけど、
その時その時によるけど、これは絶対に即座にフィードバックしたいなっていうときは、
デジタルで書かせた方が早いですね。
例えばGoogleの、Googleフォームで書かせてすぐに見ることができる、
共有することができるとか、ロイロで書いて、
提出箱に提出させてすぐ回答共有をかけるというのが本当にレスポンスがいいので、
そういうことがある場合はそういうふうなシステムを取りますし、
もうちょっと深く即座に書かせたい、そういうときは手書きで書かせますし、
その時その時によるかな。
タブレットが一番生徒にとって集中力、それから書く意欲が発揮できるという場面、
それから手書きで書かせた方がここは生徒も非常に自分自身の思考力を使うことができるんじゃないかと、
そういう場面っていうのは私の中で瞬時に判断するっていうことが多いかなと思いますね。
でも手書きの場合は結構用意していくことが多いかな。
だから手書きで書かせる用意をして、その場で生徒の様子を見ながらデジタルに切り替えるっていうのが一番得策ではないでしょうか。
それから新人の先生特有の質問だと思うんだけど、漢字学習や語句調べは授業中にさせていますかっていうことなんだけども、
語句の意味っていうのを授業の中で扱うことができれば読解とミックスして扱うし、
そうじゃないその他っていうのはもう私自身の方で調べて投げかけたり、あるいは語句調べを宿題にしたりすることがあります。
あと漢字学習については学習が終わった後に試験前に何回か書かせる漢字プリントを配布していて、
もうできれば読解の方は先に重点的にやっておいて、残りの時間で漢字や語句調べをやるという感じですね。
事前にやるっていうこともあるかな、語句調べはね。
ということで次の話題は書読の感想を取るか取らないかという話題になりました。
あえて書読の感想を取らないというケースがあれば教えてくださいということなんだけど、私は小説の場合は書読の感想を取りますね。
それはやっぱり課題発見解決型学習のパターンにつながるからだと思います。
やっぱりね、学ぶっていうことは自分自身で疑問点を持つ、課題意識を持つ、問題点を発見する、
それを解決に向かってどのように学びを仕組んでいくか、そして解決をどういうふうに表現していくかということにつながるので書読の感想を取ることにしています。
けれども書読の感想を取らないという先生もいらっしゃいまして、
書読の感想を途中から取るというか、ちょっと導入で解説をしてそこから取るというふうにすると深まるよという先生もいらっしゃいました。
なのでその教材作り、授業作りに応じて書読の感想を取る、そして途中から取る、あえて取らないというのは授業の目的によるんじゃないでしょうか。
ということで、かなり深い質問がたくさん出ましたけれど、私が最大に嬉しかったのは、とても分かりやすい授業提案で私も目から鱗でした。
参加者の反響
今日はありがとうございました。すごく学びになりました。教材研究の話を身近でできる仲間を見つけたいと思います。
今日はめちゃくちゃ勉強になりました。定番教材の読み方を教えていただければ他になく、これから自信を持って教えられそうです。
他の教材研究もぜひ扱っていただきたいですという感謝の言葉が続々とチャット欄に入ってきて、本当にやってよかったなと思います。
教材研究というのは、なかなかオンラインでやるというのは見かけないんですけれど、教材研究仲間というのが私には、広島みおの会という仲間がいて、そこで教えてもらったことが大量にあるので、
それをどうやって後輩の新人の先生につなげていこうかなっていうのを考えてこの会を開催しました。
これをどうにか折に触れて定番化していけるっていうのを考えています。
こういう形式だったらおしゃべり授業堂で定番教材の講義をしてもいいかなと思っているので、
色々な方法を考えながら皆さんに時間を節約できて、それから勉強にもなってという方法をこれから考えていきたいと思います。
会の中で紹介していただいた参考文献については概要欄にリンクを貼っておきますので参考にしていただければと思います。
今日はなんと19分にもなってしまいました。
会に参加されなかった方もこの配信を聞くとかなり勉強になったのではないかと思います。
Googleスライドのリンクが欲しいという方は、何らかの形で私にDMとかメールとかくださるとリンクを紹介したいと思います。
SNSで貼り付けてしまうと生徒が検索してネタバレになる危険性がありますので、
こういう教材研究についてはDMでお知らせしてくださるとリンクをお知らせすることができますので、その辺ご配慮していただければと思います。
それでは今日の配信はここまでです。聞いてくださりありがとうございました。またお会いいたしましょう。