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こんにちは、横浜で15年以上、犬の保育園の先生を行っている、なおちゃん先生と申します。
今回も世界一周の船旅にお付き合いいただき、ありがとうございます。
ちょっとね、子供たちの夏風邪、クーラー病ですね、をもらってしまって、喉が痛く、少し鼻声になってしまっているんですけれども、最後までお付き合いいただければ幸いです。
出航79日目、7月19日の朝に訪れたのは、ヘノベサ島、ガラパゴス諸島クルーズでは3番目に訪れた島です。
この日の朝は、6時半にモーニングコールで起床、7時からの朝食では、焼きバナナにチーズを挟んであるという、なんとも異国情緒に漂う品をいただきました。
ここではポテトの代わりに甘くないバナナがよく使われている。さすが、赤道より南の国だ。
今日はまず、フィリップステップスという岩だらけの切り立った岸壁へ、そこに作られた階段をよじ登って、海鳥の王国を散策することに。
私たちのグループはテンダーボートに乗って、まずは島の岸壁周りをぐるりと見学した。
ガラパゴスは火山島のため溶岩がそのまま固まったような険しい地形が多い。
ヘノベサ島の湾は全体がカルデラになっていて、真ん中が深いのだそうだ。岩壁の上には早くも海鳥たちの姿。
アカメバト、グンカンドリ、ペリカン、サギの仲間。
ここを登るの?っていう感じの過労死で上に登れる階段。
階段というのにはおそ松すぎる。岩をめぐり取っただけの段差に、ついている手すりにボートは横付けされた。
島に上陸、というよりはよじ登っていく。
船着き場の岩のすぐ隣に、大きなアシカがゆうゆうとお出迎えしてくれていた。
人がいても全く動じず、こちらを眺めている。
みんなが手すりにつかまって、うんしょ、よいしょとよじ登り始めると、
彼らは侵入者に、知らさなきゃ、と言わんばかりに、海の中にその姿を消した。
ほぼ天然の階段をよじ登って、ひきなり飛び込んできたのは赤足カツオドリの巣。
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マスクカツオドリの巣。
今はコトダデスシーズンのようで、カツオドリの白いふわふわしたヒナが、
荒野のような寒木だらけの茂みの中の巣にちらほら見られる。
堤木に作られた巣の上で、親鳥を待っているヒナたちはとても可愛い。
どう見ても春見えなんだけれど、彼らは親鳥が来るまで、そこを動くことなくじっとこちらを見ている。
綿菓子のように真っ白でふわふわで、触りたいという気持ちを何とか沈めるのに苦労した。
ゴツゴツした岩肌がむき出しの地面。
堤木が密集する道なき道を通り、開けた海岸へ。
大きな木は見当たらず切り立った崖が海に落ち込んでいる。
そして青く高い空が一瞬黒い幕に覆われた。
と思ったらものすごい数の海鳥たちが飛び回っているのだった。
空の色を変えてしまうくらいの海鳥の数。
赤目鳩、マスク、赤足、軍艦、青足、その他たくさんの鳥たちが一瞬も休むことなく、
小さな虫を食べるために地面近くを飛び回っている。
上空では気流に乗った大きな鳥たちが気持ちよさそうに、まるでカイトのようにゆったりとその大きな翼を広げて旋回している。
青足やカツオドリ、赤足カツオドリはカツオドリと名前がつくぐらい漁の名人だ。
鋭い一つの矢のように海に突っ込んでいく。
そして少し経ったかと思うとそのくちばしに魚をくわえて再びすごい勢いで地上に戻ってくるのだ。
軍艦鳥の巣も地上にたくさん見られる。
成長過程別にヒネたちを観察できるから面白い。
軍艦鳥は羽を広げると2メートルくらいあり、堤木の上にちょこんと可愛い巣を作る。
卵は一つのみで、生まれてから飛び立つまで約1年ほどかかるのだそうだ。
ヒネはゴタブンに漏れずふわふわな綿毛に包まれていて真っ白。
成長につれて羽の先から黒くなっていく。
最後に頭が黒くなって育つのだ。
中にはもう親鳥よりも体格的には大きいんじゃないかというような立派なヒネもいる。
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親は変わる変わる餌を取りに飛び立ち、
一度食べ物を胃の中で液や油と混ぜて吹き出してヒネに与える。
そうすると栄養たっぷりの離乳食になるのだ。
本当はQIシーズンに見られる軍艦鳥特有のあの赤い胸の袋を膨らませている姿も見たかったんだけど、
その時期は残念ながら過ぎていた。
だけれどいろいろな成長過程のヒナを見れたのはとても貴重な体験だったな。
軍艦鳥は私の中ではこの島で一番美しいと思う鳥になった。
カギ状の鋭いくちばしとツヤツヤに輝く黒い美しい羽。
頭から背中にかけての一部の羽には黒というよりも深緑に近い色で、
日の光によって玉虫色に輝く神秘的な毛色だ。
飛翔する姿は悠々としていて、見る者の視界をイヤガオウにも奪う力強さがある。
岬の淵に立って二十分ぐらいの緑の王国の空と大地をただただ眺めていた。
写真に撮ってもこの生きる力がみなぎる命の躍動感は伝わらない。
五感でそれを感じている、その場に落ち着くしていると自分が飛べないことが不思議なぐらいだ。
近くに軍艦鳥の親子がいて、親鳥はすっと白いひなを抱いていた。
岩場に座り込んでいると自分はまるで巣の中にいるひなのように思えてくる。
ひなたちはなんで自分はまだ飛べないんだろうと思っているのかもしれないな。
走行していると針のように細い足でちょこまかと真似しつぐみが近づいてきた。
カラポゴスの生き物たちは全く逃げたりしないけれどこの真似しつぐみは向こうから近寄ってくるのは珍しい。
すばしっこく人のすぐそばまで寄ってくる。手を伸ばせば届きそうな音だ。
好奇心が強いのか人がいるところへ怖がりもせずに近づいてくるもののシャッターを押そうとするとパッといなくなっちゃう鳥。
海岸の近くはほとんど植物が生えていない溶岩地帯。
そこで目を引いたのは溶岩サボテンと呼ばれる苔のような表皮とニョロニョロみたいな姿で密集して生えるサボテンの一種だ。
このサボテンはとても原始的な植物で大地が溶岩だらけで栄養分が極めて乏しい状態でもわずかな土壌のミネラル分だけで育つ。
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3段階で成長しこの個体はまだ小さいということだった。
この島には彼らの天敵となるゾウガメがいないため
このサボテンにはトゲがない。なんだか不思議な植物だ。
他の島のサボテンにはトゲがある。それはゾウガメに食べられてしまわないように身を守るために進化した結果だという。
本当に進化って不思議だ。
来た道をガイドに従って戻るとき木の上にいる赤足カツオドリを見つけた。
同じカツオドリでも赤足くんはその名の通り足が赤く全体的に毛色は茶色っぽい。
くちばしは明るい青。すごいカラリングだ。
青足くんと違うのは足ひれなのに爪があって木の上に泊まって巣作りと子育てをすることだ。
青足くんの方がニューモラスで可愛かったが赤足くんも味がある。
テンダーボートに乗り船に戻ったのは11時頃。
部屋で一休みをしてプールデッキでランチ。
今日も天気が良くデッキの上で食べるランチは海風のエッセンスでより美味しく感じられる。
トウモロコシとチーズポテトの入ったエクアドルのスープをはじめ
ネギキャベツのサラダ。ツナやリップの乗ったアボカド。
シャンサイの効いたトマト風味のチキンとリガトーニ。
青豆とハムのサラダ。ポテトとチキンのサラダ。
野菜たっぷりのビーフメニューはどれも美味しい。
午後の集合時間になり今度は同じヘノベセ島のビーチ川へ上陸した。
1時間ほど辺りを散策してから待ちに待ったガラパゴスのシュノーケリングのはずだったのだがかなり寒そうだ。
普通に観光していても半袖で涼しすぎるのにこれで水に入るのか。
二十歳そこそこの当時から私は大の寒がりだったのでこれはかなりの覚悟がいった。
ビーチから海に入るのか岸壁からダイブするかという二種類を選べるのだが
友達はもちろん岸壁からでしょということでそのようにすることにした。
水着を着てダービングはへ。ウェットランディングするとげげげ冷たい。
足先でもこんなに冷たいのにここ泳ぐの?
真っ白い浜にはアシカの親子が仲良くお昼寝。
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ガイドさんに連れられてビーチの奥の方に分け入っていくと子育て中の軍艦鳥の一大コロニーが。
真っ白い雛から鳥だけという若鳥までいるいるたくさんいる。
さらに奥には塩だまりまであって水際ギリギリまで小さな魚の姿が見える。
まるで自然の宝石箱みたいな島だ。
浜へ戻って再びボートに乗り首脳ケルポイントへ。
ライフジャケットを借りてえいっと海中に飛び込む。
うわわわ冷たすぎる一瞬呼吸困難になりそうになったほどだ。
カルゼラで水底はとても深い光が届かないために視界もあまり良くないけれど
慣れてくると岩場の近くに魚たちの姿をたくさん見つけることができた。
種類は多くないものの中型から大型の魚たちがゆったりと優雅に
夏でも冷たい水の中に現れた侵入者たちを眺めている。
青い淵なりのある黒地の大きな魚が一瞬目に止まる。
彼が身をひるがえした瞬間にわずかな光を受けて光る青がとても印象的だった。
海上にあった人もいるとか。
もっともっと海の中の世界に身を委ねていたかったけれど
手足が凍えてきて頭痛までしてきたのでボートに戻ることにした。
17時を過ぎると風も冷たくなってきてバスタオルに体を巻いても震えが止まらない。
船にもどってシャワーを浴びたもののなかなか温まらなかった。
夕食時になり温かいお茶やスープでやっと体が温かくなってきた。
今日のディナーのメインディッシュはイカ。
以前出たエビ料理もプリプリで美味しかったけれど
イカも柔らかくてびっくり。
白ワインとバター、ガーリックが効いていて付け合わせのライスともとても合う。
身も心もホカホカになってその日は眠りにつきました。
次回はとうとうこのガラパゴスクルーズ最後の島
サン・クリストバル島の様子をお伝えいたします。
また次回までしばらくお待ちください。
今回もご乗船いただきありがとうございました。