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こんにちは。横浜で15年以上、犬の保育園の先生を行っている、なおちゃん先生と申します。
さて、東日本大震災からちょうど10年ということで、改めてペットの防災対策について、今回は最後の3回目になります。
前回は、ペットの防災対策、命を守るハウストレーニング実践編についてお話ししました。
最終回の最後は、何かの教訓になればという思いを込めて、私の経験から、あの震災の時、ペットを預かる施設では実際何が起きていたのか、そして国や民間の動物の救援対策についてお話ししたいと思います。
あの日は金曜日の午後でした。私は以前の施設、犬の幼稚園でワンちゃんと2人のスタッフとトレーニングを行っていました。
建物はプレハブだったので、まずは大きく物音が動く音、続いて立っていられないような強い横揺れを感じました。
上に物を置いたり、ケージを積み上げることをしていなかったので、倒れるものはほぼなかったのですが、スタッフたちと一緒に、お外のドック欄にクレートとキャリーを出し、犬たちをそこに避難させました。
避難ということを考えた場合、天井が空いているサークルや柵状になっているケージよりも、運ばれている面積の多いキャリーケースやクレートの方が安全性が高いと思います。
上から何か落ちてきたりしても、埋もられやすく運んだりするときにも便利です。
2頭だけ2階のお泊まり部屋にいたので、揺れる中、手すりにしがみつきながら2階の子たちを1階におろしたのを覚えています。
当時は犬のホテルも行っていたので、お泊まりのワンちゃんもいました。
印象的だったのは、幼稚園に来ているワンちゃんは全員大きなパニックもなく、おとなしくキャリーハウスの中で待機をしていてくれたんですが、
お泊まりにだけ来るワンちゃんは怖がって、キャリーハウスの中になかなか入ってくれず、自分の動きで余計にパニックになっていました。
私の住む施設はその後、ガス・水道はすぐ復活しましたが、23時近くまで停電が起きました。
当時はBGMに毎日ラジオをつけていたのですが、ご自身も不安な中、DJさんがリスナーを励ますような放送をされていたのを今でも覚えています。
お預かりワンちゃんたちの飼い主さんに、なかなか連絡がつかなかったのですが、幸い1頭を除く方以外は連絡が取れました。
連絡の取れない飼い主さんのワンちゃんとお泊まりワンちゃんを合わせて、3頭のワンちゃんたちと一緒に不安な夜を過ごしました。
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当時は24時間人がいる形のホテルを行っていて、いつもは2階がお泊まり部屋になっていたのですが、また大きな地震が来た時のために、1階にサークルやクレートを下ろしました。
その日の夜は私が施設に宿泊しました。
私は犬たちが見えるように、そして彼らからも私が見えるように近くに荷袋を敷いて寝ました。
時折来る余震に私も犬たちも不安な気持ちになりましたが、レスキューレミリー等で気持ちを落ち着かせました。
クレートには入れなかったパニックになったワンちゃんは施設の中で排泄ができなくなってしまったようで、停電の中、怪獣電灯を照らしながら近くの公園まで行き、やっと排泄してくれたことを安堵していたのを覚えています。
これがもし夜間無人のペットホテルだったら、地震が起きたのが無人の時間帯だったらと考えると、きっと動物たちも飼い主さんたちももっと不安だっただろうなと思います。
以前の配信ドックトレーナー直伝、ペットホテルの選び方でもお話しましたが、ペットホテルの選び方は本当に大事ですね。
皆さんはペットのための防災グッズはご用意されていらっしゃいますか?
当時も今でも私は何かの時のために犬用のフードや救急セット、お水、トイレシート、リード、食器、マナーベルトなどはある程度備蓄しています。
当時私の店舗では、全犬種対応のドライフード、食やストレスで食欲が低下してしまうこのための長期保存用可能な缶詰のフード、アレルギーの効用にアレルゲンをカットしたフード、犬用の蛍光補水液、レスキューレメディなどを用意していました。
投薬や特別なフードを食べているワンちゃんたちは、常日頃から余分を常備しているといいと思います。
また、緊急時に備えて、私は普段は生食のワンちゃんたちでもドライフードも食べられるようにしておくといいと思います。
また、一時的なショックやストレスで食欲不振になったりする場合もありますから、指向性の高いレトルトなどを少しだけ用意してもいいと思います。
あくまでも緊急用としてですし、その時にどんなワンちゃんがお泊りしているかはわかりませんから、ある程度すべてのワンちゃんに使えるものを3日分ぐらい用意していました。
ですが、特にお泊りの子については何かのために、食べ慣れているものを1食分は多く持ってきてもらうことにしていました。
皆さんも今後ホテルにワンちゃんを預ける際にはぜひ参考にしてみてくださいね。
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幸い、横浜の被害は少なく、その後も揺れはありましたが、ライフラインを断たれたりすることはありませんでした。
ですが、あの地震の経験は多くの犬たちにも影響を残し、しばらくの間、余震や緊急事態地震速報の音が流れると吠えたり、ソワソワするワンちゃんたちが増えました。
そこでも、ハウストレーニングの成果を発揮することができていて、余震の際にはさっとハウスの指示でクレートに入ったり、その中で落ち着くことができました。
さて、平成30年に環境省と日本獣医師会の主導で、人とペットの災害対策ガイドラインが設置されました。
これは、災害時におけるペットの救援・支援・飼育をどうするかというのを、国・地方自治体・日本獣医師会が協議の上、基本的なガイドラインを設置したものです。
少し難しい内容ですが、興味のある方は概要欄にリンクを紹介しますので、ぜひご一読してみてくださいね。
この中で一番最初に謳われていることは、ペットの救援は自助ということです。自助というのは自分を助ける、つまり飼い主がすべきということです。
それを踏まえた上で、国・自治体・獣医師会・民間ボランティア団体はどうすべきかが示されています。
ここでは、一般財団法人ペット災害対策推進協会をご紹介します。
この団体は何ぞやということを、そのホームページから抜粋してご紹介しますね。
一般財団法人ペット災害対策推進協会の役割
ペット災害対策推進協会は、日本動物愛護協会、日本愛顔動物協会、日本獣医師会の3団体から構成され、
大規模災害が起こった際など、他に18地方自治体の支援を行う。
主に、現地動物救護本部等や被災地の自治体を人材・物資・資金の面から支援するというものです。
以上が抜粋ですね。これができたとき、なんて斬新な機関ができたんだろうと、少し感動したものです。
その活動は、平常時と災害時に分けられているんですが、いかに災害時に行う活動について、抜粋をさせていただきます。
情報収集と現地調査、環境省などの関係行政機関、被災地自治体や現地動物救護本部等、協力団体などとの連絡調整、活動に関する協力や支援、
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現地動物救護本部等の組織化と活動への支援、ボランティア指導者の派遣、支援物資の送付調整、動物救護活動協力団体や施設リストの提供、寄附金の募集代行、海外からの支援窓口といった活動内容が書かれています。
これは、私も寄附や支援物資の送付、募集をして送ったことがあるので覚えているのですが、震災の後しばらくして、ペットの救援やボランティアに目が向けられたとき、大量の物資支援や寄附金、ボランティアの希望がありながら、なかなかまとめられず、それを利用した詐欺などが横行したことから、国が主導を取って体制ができてきたものと思われます。
実際、数々の災害の後、ペット対策協の活動と主導により、ボランティアや支援物資、寄附金が必要な場所に必要なだけ届くシステムが出来上がってきたのですが、それでもその物資や資金が一般の飼い主さんのもとに届くには時間がかかります。
だからこその、ペットの救援の基本は自助、飼い主が行うとされているのです。
最後に、今日の今回のまとめをもう一度言いますね。
災害時のペット救援は飼い主がすることが基本、国や自治体、民間団体も救援、支援してくれますが、それは時間がかかるので、常日頃からの備えやトレーニングが必要ということです。
最後まで聞いてくださってありがとうございました。
あなたとワンちゃんの今日が、ますます輝けるものになりますように。
それでは次回もよろしくお願いいたします。