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こんにちは、横浜で15年以上犬の保育園の先生を行っている、なおちゃん先生と申します。
犬と人の架け橋でありたい、私が犬に関する様々なお話、大好きな旅のお話、子供たちのお話などをマイペースにお届けしています。
新年早々、日本中に激震が走った石川県を中心とした北陸の大地震。
日曜ごとに被害の大きさが判明し、余震のお知らせが入るたびに胸が痛みますが、他の地にいらっしゃる方々、親戚やお知り合いのいらっしゃる方々、さぞかし不安で心配な日々をお過ごしだと思います。
どうぞ早く余震が収まり、平和な日々が戻りますこと、そして皆さんの心に安寧が戻りますことをお祈りいたします。
何ができるのか、それを私も考えながら日々の生活を前を向いてしていこうと思っています。
私は職業柄、やはり犬たちの様子に自然に意識が向きます。
今現在も、行方不明や迷子の動物たちの情報が寄せられてくることに心が痛みます。
大災害の時には人命救助が最優先です。
これは最も守られるべきことであり、私たちのような動物関連事業者の間でも周知徹底されている事柄であり、
何かの契約の折にも一般の使用者、飼い主さんと事業者の間の契約書ですね、
こちらにも有事の際には人命救助を最優先するということが盛り込まれていると思います。
その旨を皆さんに今一度確認をしていただきたいということは、以前も配信でお話をしていたと思います。
環境省の愛顔動物動向避難マニュアルにも掲載されているように、ペットの命は飼い主が守るということが大原則です。
災害時には現地の動物支援を行う地方自治体、地方獣医師会、民間団体、協賛企業等によって組織される
現地動物救護本部や日本獣医師会の呼びかけ等により設立される緊急災害時動物救援本部が設立され、
愛顔動物、小動物に向けられた支援や物資、獣医療が現地に届くことになります。
ただし、これらの支援、物資等の支援、人的支援についても、あくまでも基本的には人命が最優先です。
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これらの公的な支援が一般の飼い主様のもとに届くまでには、
自助・共助、これは自分で自分を助ける。
共助というのは、周囲の方々と共に助けるという字を書くのですが、
この自助・共助において、ペット、愛顔動物、小動物を守ることが基本とされているのですね。
これを機会に再度、皆様には、行政におけるペットと飼育者の避難、避難所の対応について
どのような基本方針が設定されているのか、それを確認しておいていただくことが良いと思います。
環境省のホームページ、パンフレット、報告書等のページには、
愛顔動物に関しての様々なパンフレットやマニュアルを自由に閲覧することができます。
ペットと災害については、ペットの災害対策マニュアルのほか、
一般の使用者向けの災害時ガイドラインとして、
ペットを守ろう防災対策というマニュアルがとても読みやすいです。
カラフルで絵もついていて、そしてチェック項目などもきちんと掲載されていて、
決して長い読み物ではありません。
こちらには、住まいと防災、健康管理としつけ、家族の話し合いやご近所との連携、
所有明示の徹底、情報収集と避難訓練、
人と動物の安全確保と動向避難、
ペットのための備蓄品、避難所と仮設住宅という小立てでわかりやすく記載されています。
概要欄にURLを記載しておきますので、チェック欄にチェックをされてみてはいかがでしょうか。
また、令和3年度場合の人とペットの防災対策ガイドライン、
防災への備えチェックリストも併せて概要欄に記載しておきます。
こちらは一般使用者向けというよりは、ペットと動向避難をしてきた方をどのように対応するのかという
市町村避難所向けに設定されたガイドラインとチェックリストになります。
地方自治体、市町村がどのような視点で一般使用者とペットを対応することになっているのか、
それをぜひ皆さんにも知っておいていただけるといいのではないかなと思います。
よかったらご一読ください。
地方自治体や行政の一般的なガイドラインを知っておくことで、
どうしてうちの自治体・市町村の避難所はペットに対してこういう対応なのかを理解しておくことができるからです。
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もしその対応に不満があるようであれば、
有事の際ではなく平常時に自治体に掛け合うことが必要だからです。
ぜひご一読されてみてください。
またペットの防災マニュアル等については数年おきにマニュアルが改訂されています。
大きな改訂については、環境省のほうから一般使用者向けにマニュアルがオンラインでも公開されますので、
時々は数年に一度、どうぞご確認いただければと思います。
過去配信においても、私は自分が東日本大震災の後に被災ペットボランティアに赴いたときの体験や災害時の備え・トレーニングについても配信しています。
こちらも概要欄に記載いたしますので、よろしければ何かのおりに聞いていただければと思います。
有事の際に備えること、大切なことを最後にお話ししていきます。
食料品や日曜日食品、治病の薬などの用意はもちろんのことですが、
何より大切なことの一つは、動物たちの心と体のケアです。
これは一つには日頃のトレーニングが大いに役立つとともに、飼い主さんの事前知識が非常に生きてきます。
トレーニングの話は一旦置いておいて、ここからは動物たちの心と体のケアと事前知識にフォーカスをしてお話をしていきたいと思います。
特別にケガをした、迷子や行方不明になったというペットではなくても、
災害時、心や体に影響を受けるペットはたくさんいます。
特に多いのは、時間帯によっては一人でお留守番中などに、地震などで怖い思いをし、心にトラウマを抱えてしまうケースです。
特に犬という生き物は、本来は猫のように単独ではなく集団で生きる生き物です。
何か予期せぬこと、不安、突然の強い恐怖に襲われた時に、完全に一人でいるということにより、さらに恐怖を強く感じる傾向にあります。
また、同じようなシチュエーションに置かれることで、その恐怖がフラッシュバックしたり、恐怖を予測してパニックに陥るということもあります。
過去、震災にあった犬たちに多く見られる症状としては、過度の分離不安症、音に対しての過敏な反応、興奮、不安症状からのパニック、予期恐怖、予測恐怖による攻撃行動などが挙げられます。
犬をはじめ、動物たちは人に感知できないほどの微細な余震を感じることがあります。
その余波は、動物たちを不安やパニック、恐怖や興奮に陥れ、通常時には見られない行動を引き起こすことが多々あります。
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また、災害時に一人きりでいたり、つながれた状態であったり、拘束されたり、閉じ込められた状態であった場合、その状態と同じ状態に置かれる、そういったことでパニックになったり、再びその状態、状況に戻ることを断固拒否する、時には攻撃的な行動に移るということすらあります。
例えば、ケージの中にいた時に大きな地震を経験した犬が、再び同じケージに入るということをとても嫌がる、といったケースは往々にしてあります。
そういう場合には、違うケージを違う環境に置く、など条件を変えて、一からハウストレーニングをやり直してあげるといいでしょう。
クレートやケージに入るというトレーニングは、災害時でも大変推奨されているトレーニングの一つでもあるからです。
特に、お留守番時に被災した犬は、その後一人でお留守番をさせると吠えたり、家具を噛みちぎる破壊行動や、過度ないたずら、トイレの疎走などをすることがあります。
そういう行為は、いたずらや寂しさ、やつ当たりなどではなく、ある種の脅迫観念に近いフラッシュバックであるということを理解してあげてほしいと思います。
そのことにより、叱ったり強制的にケージに閉じ込めたりするのではなく、お留守番の他の条件、時間帯や部屋などを変えて、短時間から少しずつまた一人でいるということにならしてあげてください。
犬はもともと、人や他の動物と共にいることで安心する生き物です。そもそも一人ぼっちは苦手な生き物です。
また、動物病院やベッドホテル、トリミングサロンなどに預けられているときに被災した犬たちは、その場所が苦手になったり、診察やシャンプーなど思わぬものと結びつけて、被災の恐怖を覚えてしまう場合があります。
こういった場合には、時として恐怖から攻撃行動に出ることもあります。
さらに、車の振動やペットカードの振動、ちょっとした揺れや地震の恐怖を呼び起こしたり、携帯電話から鳴る緊急地震速報やテレビのアラート音、似たようなアラーム、強い風が立てる音などの刺激が地震の恐怖を呼び起こすことがあります。
それらの刺激は、犬によっては人間より遥かに小さな刺激同士を結びつけることがあるため、こんなのは関係ないでしょうと人間側が思ったとしても、犬のトラウマとして残ることも少なくありません。
大きな震災や災害の後に犬の様子や行動が変わった場合、その多くの場合は親院性であり、その行動は時間の経過とともに減少するという傾向にあります。
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ですが、減少するのではなく増えていく、または一向に減らないという場合には、動物の行動療法を専門にケアする獣医師さんやドッグトレーナーにご相談されることもいいでしょう。
被災直後から犬を不安な状態で一人にしなくてはならない、一人暮らしの方などの場合には、リラックスする音楽やペットアロマ、ホメオパシーやハブティーなど、獣医療以外のホリスティックケアも役立つことがあります。
ですが一番は、飼い主さんがしっかりと犬の不安や恐怖を理解し、それを受け入れ、犬たちが立ち直る時間と心の余裕をもって対応してあげることだと思います。
お留守番が怖くてカーテンをビリビリに破いてしまった犬に、帰宅した飼い主さんが、「もうこんなことしてダメでしょ!」と叱るのではなく、冷静にどうしてこんなことを突然愛犬がしたのか、それを分析すること、もしかしたら過去のトラウマが引き起こしているのかもしれないということを理解すること。
このパターンでは、犬の行動面だけにフォーカスしてそれを修正する、というのではなく、その犬の心理面をしっかりケアすることが行動修正のためにも必要になります。
被災ペットにも心のケアが必要であること、実はこのことを飼い主さんや周囲の方が知っておくだけで、犬たちの生活の質、犬と人との暮らしが全く異なっていくということがあります。どうか心の片隅に置いていただけるといいなと思います。
今回も最後まで聞いていただきありがとうございました。もし私で何かできるお手伝いがあれば、遠慮なく声をかけてくださいね。
被災された皆様、そしてペットたちに、安心した生活が一日でも早く戻りますように、心からお祈りしております。