00:06
こんにちは。横浜で15年以上、犬の保育園の先生を行っている、なおちゃん先生と申します。
こちらの番組では、たくさんのワンちゃんや飼い主さんと関わってきた私が、
日本の犬と飼い主さんのQOLをあげるおテーマに、犬のあれこれについて、私個人の見解からお話ししています。
時には子育てネタや、留学時代や旅行の思い出などのお話もお届けいたします。
さて、あっという間に9月も明日でおしまいになりますね。
9月20日から26日は、毎年動物愛護週間に定められています。
動物愛護管理法では、国民の間に広く動物の愛護と適正な飼育についての理解と関心を深めていただくため、
9月20日から26日を愛護週間と定めています。
こちらは、動物愛護管理法第4条で決められている動物愛護週間についての案内になります。
動物愛護週間には、国や地方自治体、関係団体が協力をして、
例えば獣医師会などですね、動物の愛護と管理に関する普及啓発のための各種行事を全国で実施しています。
今年はもう終わってしまったんですが、屋内イベント・屋外イベント両方あって、屋外イベントは上野で、
その他にはオンラインイベントが9月24日の連休初日に開催されていました。
イベント概要は、動物愛護フェスティバルという環境省主導のページでご覧いただけますので、概要欄にリンク先を添付しておきます。
オンラインイベントは、YouTubeで動画を誰でも視聴できるように、イベント終了後に公開されていました。
3時間以上の長い長い動画になっていますが、ご興味のある部分だけでもよかったらご覧いただければと思います。
今年のフェスティバルのテーマは、「子どもも大人も一緒に考えよう。私たちと動物。」というテーマでした。
主にお二人の講演者の方が登壇されていたようですが、その中のお一人、藤井恵子さんのお話に私は関心が向いて、YouTubeを少し拝見していました。
実は、動物愛護という言葉は、私にとっては長年の間、なんとなく違和感があるものでした。
動物関連事業者は、動物愛護法をある程度知っていると思うのですが、この動物愛護という言葉はとてもよく出てきます。
その度になんとなく、もやっとしていた私でした。
愛護フェスティバルでの講演者プロフィールの一文を読んで、そのもやもやを藤井さんは的確に言葉として示してくれているような気がしました。
03:07
そちらを少しご紹介させていただきますね。
動物たちが教えてくれること。
これまで長い間、子どもと動物との関係は、動物との触れ合いを中心とした関わりにより、動物愛護思想を普及啓発することで、動物の命をはじめ、すべての命を大切にする心を育むことができると考えていました。
しかし、触れ合いだけでは、共感は育ちません。
動物への正しい対処を伝える、動物福祉の考え方を子どもたちに伝えることこそが、他者への共感、感情移入できる感性を育て、命を大切にする心につながると考えました。
という一文ですね。
愛護というのは、あくまでも人間側が動物を愛し、慈しむ心を育むために、動物と触れ合うということであります。
辞書で愛護という言葉を調べてみると、可愛がって庇護すること、可愛い守ることとあります。
動物愛護という言葉は、本当に動物側の視点に寄り添った考え方であるのかということが、長年私がもやもや感じていたことだったんです。
昨今では、動物福祉という言葉が少しずつ聞かれるようになってきましたが、皆さんはこの動物福祉と動物愛護の違い、わかりますか?
富士山は公園の中で、動物にとって心も体も健康で幸福で快適な状態であるか、それが動物福祉ですとおっしゃっていました。
動物を目にして触れて、動物って可愛いね、あったかいね、命があるものは大切に守って可愛がってあげなくちゃいけないよね、というのが動物愛護。
それをもう一歩進めた考え方が、動物本来の習性、本能、行動はどういうことだろう、それを知ってそのものの存在を尊重する扱い方をしましょう、というのが動物福祉だと私は思います。
福祉という言葉を調べると、公的な配慮、サービスによって社会の生員が等しく受けることのできる充足や安心、幸福な生活環境を公的扶助によって作り出そうとすること、とあります。
この社会の生員には動物も含まれる、それは野生動物もしかり、藤井さんはその観点から子どもたちにもわかりやすくお話をされていたことが印象的でした。
06:04
似たような考え方ですが、動物愛護だけでは、私は正直啓蒙活動としては良いけれど、この地球上に一緒に生きる生き物同士の共存を考える、共存のあり方を考える、という視点では全く足りていないなと思っていました。
動物福祉は、時に動物愛護とは逆の行動にさえ見えることもあります。
例えば、スズメやツバメなどの野生のヒネが巣から落ちているようだ。
動物愛護の観点から言えば、かわいそうだから保護して家に連れ帰ろう。
野生動物の福祉の観点から見ると、人間の手が加わることは不自然になり、逆に近くにいる親鳥を警戒させてしまう、ということも考えられます。
なお、怪我をしている希少種など放っておけないと判断された場合には、各都道府県の野生長寿保護担当機関に相談してください、と書かれていましたよ。
これは、野鳥というのは許可なく捕らえたり飼うことができないという法律上の決まりがあるということも原因になっています。
これらは、野生動物以外でも、ペットの動物でも、やはり同じように、相手の習性や本能、行動パターンを考えて対応しているか、飼育しているか、というところは、実は大きな問題になってきているのではないかなと思うことがあります。
長年犬と関わってきた私は、可愛いから放っておけないからという理由だけで、何ともの犬や猫を家に連れて帰り、適切な世話もしないまま繁殖が繰り返されて、結果的に飼育放棄とか飼育崩壊となってしまったというケースを何件も知っています。
この人たちに、愛護の精神がなかったと言えますでしょうか。
いえ、十分に愛情はあったと思います。
けれど、愛し、可愛がり、慈しむというだけでは、相手の存在を尊重した扱い方には至らないということが実際にはあるんだなと思います。
その結果、動物側にとっては快適とは言えない状態。
愛情を与えていることが事実として多々あります。
私はドッグトレーナーとしても、このようなケースをたくさん見てきました。
愛情はある。お金もある。時間もある。
09:01
けれど、何かが欠けている。
とっても広いお家に、毎日特注のシャンプー。
お洋服は専用クローゼットを持っているぐらい持っているのに、
お散歩には週に一回も行ってもらえないワンちゃん。
ご飯とお水はもらえるけれど、一日中鎖につながれて、狭い範囲でしか行動できないワンちゃん。
吠えるからと整体を切除されたワンちゃんや、噛むからと歯を抜かれたワンちゃんも知っています。
これらは犬本来の習性、行動パターン、本能を尊重した飼育の仕方と言えるのでしょうか。
動物福祉というのは、その動物が動物らしさを尊重されつつ、
心身ともに満たされて健康体であり、快適な状態であること。
それには相手の整体を知ることが何より大切だと、必要だと私は思っています。
それでは、自然本来のままの姿がいいだろうと言って、
例えば夜県をそのままにしておくとか、そういうことではまだないと思うんですけれどもね。
君のことを愛しているんだと言いながら、暴力を振るうパートナー。
それがその人の愛の形だとしても、あなたは受け入れられますか。
人間のカップルなら、別れたり公的手段に訴えることができますよね。
ですが、動物たち、ましてや小さな子供たちには、それができるわけではないですよね。
愛情をかけて可愛がるということと、相手の存在を尊重することは微妙な違いがあると思います。
動物愛護の先に、動物の存在自体を尊重するという思想が広がることを、
私は願っていますし、自分自身の仕事は、犬という生き物はどういうもので、
どうすれば人と共に楽しむ快適な生活を送ることができるか、
これを飼い主さんに伝えることが仕事だと思っています。
なので、自分をドックトレーナーと呼ぶことは正直念念自信がなくなっていますけれども、
例えば、動物を触るときには尻尾や耳をつかまない。
言うことを聞かないからと叩いたり蹴ったりしない。
野生動物や家畜動物であれば、逃げる動物をむやみに追いかけて怖がらせない。
追い詰めない。
行動や習性に沿った空間や環境で管理する。
行動や習性に沿った空間や環境で管理する。
などなどです。
12:01
小さな頃から動物とはこういう生き物で、こういう環境を好み、こうすると安心して、こういうことは嫌がります。
相手を尊重して接するようにしましょう。
ということを子どもたちに伝えることは、
共にこの地球上に生きる生き物同士としてとても重要なことだと思います。
人間の快適な生活のために利用される家畜や産業動物であればなおさら、
その生命を終えるまではできるだけ尊重してあげてほしい。
それは私の願いでもあります。
動物愛護と動物福祉の違い、少しでも伝わったら嬉しいです。
今回は少し厚く語ってしまいました。
10月のメンバーシップでは、少し動物業界や犬業界のリアルについて、
私がどう考え、接してきたかというのもお話ししていきたいなと思います。
引き続き、お役立ちグッズと効果的なトレーニングについてもお話をしていきますよ。
それでは本日も最後まで聞いていただきありがとうございました。
また次回もよろしくお願いいたします。