1. むらスペ
  2. POSITIVE DEVIA..
2022-11-15 20:47

POSITIVE DEVIANCE(ポジティブデビアンス)―学習する組織に進化する問題解決アプローチ

本日の音声配信では「POSITIVE DEVIANCE(ポジティブデビアンス)―学習する組織に進化する問題解決アプローチ」という本について簡単にご紹介しました。日本語教育の関係者にとっては自律学習やEdCampなどの研修方法に応用できる考え方が学べるのではないかと思います。

--- Send in a voice message: https://podcasters.spotify.com/pod/show/murasupe/message
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今日お話ししたいのは、ポジティブデビアンスという本ですね。
僕ね、この本ね、ポジティブディバイアンスって読むのかと思っていたら、そうじゃなかったみたいで、ポジティブデビアンスって読むみたいですね。
これはね、実はずいぶん前に、一回ダウンロードして読みかけていたんですけど、
なんとなくね、もっとそれ以外にも急いで読まなきゃいけない本があったりして、それっきりになっていたんですね。
ところがですね、ある別の本を読んで、読んでいる時にですね、
もしかしてこの事例ってあの本に書いてあったことじゃないかなというふうに思い出して、
それでもう一回この本を読んでみた、再び手に取ってみたということがありました。
でね、もう最近ね、いろいろなところで引用されているケースなので、もしかしたら皆さんも聞いたことあるかもしれませんけど、
一番有名な事例がこの本のですね、最初に出てくるんですよ。
最初に出てくるんですけど、ベトナムの、あのね、あれですね、セーブザ・チルドレンっていうNPOがありますよね、NGOかな、まあどっちでもいいんですけど、
でかつ両方であってもいいんですけど、それがベトナムに派遣された人の話で、もう半年以内に予算もなくいきなり結果を出さなければいけない状況になってしまって、
それで彼がやったことがですね、まず支援が必要な村落に行ってね、まず子供の栄養支柱を改善するという問題があったので、それを解決するために村落に行ってね、
なんか普通に、別にそんな金持ちでもないのに、普通に暮らしているのに子供の体重が多い、つまりガリガリに痩せこけてない、そういう子供のいる家はないかってことを探したんですね。
そうしたらね、やっぱりそういう家があって、そこでね、別にそんな何も普通のことしかしてないですよって言うんだけど、
だけど色々観察してみると、その家のお母さんとかお父さんがですね、田んぼでね、エビとかカニとかそれを捕まえてきて、それをご飯に入れてるっていうのがわかったんですね。
だけど当時はエビとかカニを食べるっていうのはベトナムではあまり良いこととはされてなくて、有害だとすら思われていたんですよね。
だから他の家は全然していなかったんですけど、それをしてみたら、やっぱりそれを村に普及させたらすごくポジティブな効果があって、子供たちの体重がすごく平均すると上がっていって、
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その栄養失調の問題が解決されていたっていう、そういう話なんですね。
このストーリーは結構いろんな本で最近紹介されているので、もしかしたら読んだことがある人、あるいはテレビとかそういうところで見たことがある人もいるかもしれません。
振り返ってこの本を再開して読み始めてみたら、実はこの本、このポジティブデビュアンスっていう本がまさにセーブ・ザ・チリドレンで、その現場に行ってベトナムの栄養失調の問題を解決した本人が書いている本だったんです。
それで、途中で読みかけて何かやめていたのを非常に後悔しました。
これをポジティブデビュアンスなので、略してPDって言うんですね。
ちなみに鼻筋PDって僕はいつもやってますけど、それはプロフェッショナルディベロップメントっていう意味で、職業研修とかそういう意味なんですけどね。
このポジティブデビュアンスっていうのは、ポジティブっていうのは肯定的なというか良い方のということですよね。
ネガティブじゃない。
デビュアンスは逸脱者っていうふうにこの本では書かれていますね。
つまり肯定的な逸脱者、つまり平均的ではないということです。
普通、統計とか研究とかするときには、グラフからいきなり飛び抜けちゃっているもの、そういうものは何かの異常値として、逸脱者、デビュアンスとして考慮されないことが多いんですけど、
だけど、そこのところに実は価値があるのではないかというふうに考えたのがこの本の著者たちなわけです。
ここまでが前置きが長くなってしまったんですけど、具体的なこの本のご紹介をちょっとしてみたいと思いますね。
この本のタイトルはもう一度読みますけど、ポジティブデビュアンスっていうのがメインタイトルで、サブタイトルで学習する組織に進化する問題解決アプローチっていうね、こういうサブタイトルがついています。
著者は3人いて、リチャード・パスカル、ジェリー・スターニン、モニーク・スターニンっていうね、この3人です。
ジェリー・スターニンとモニーク・スターニンっていうのは実は2人はご夫妻なんですね。
ジェリーの方はもう亡くなっているんですけど、実は途中で、著者が変わっているんですよ。
その章によってね、奥さんの方が書いている部分と、ご主人の方が書いている部分があって、それがちょっと分かってないとちょっとびっくりすることがあります。
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特にエジプトのね、女子のカツレの話が出てくるんですけど、
外国人の男がこんな話するのはちょっと無理だろうみたいに僕が思っていたら、実はその部分は奥さんが書いていたんですね。
だったり、そういうことがあったりしてですね、多分よく読むと、ここはモニーク・奥さんの方が書いているとわかるんだと思うんですけど、
ちょっとね、それが僕が気がつかないで読んでいたりするとちょっとびっくりするってことがありましたね。
今のところ34個の評価がついていて、5つ星のうちの4.4が平均になっていますね。
Kindle版が2860円で、印刷版が2860円ですね。
同じなのか。
僕なんかね、もうちょっと安く買った記憶があるんですけど、多分僕が買ったのは月替わりとか日替わりとかそういうやつだったのかもしれません。
でもね、2860円、これはね、もちろん収入とかにもよると思いますけど、
多分ね、すいません、僕はもっと安く買ったと思うんですけど、
だけど、読んでみた今としては2860円の価値はあるんじゃないかなととても思います。
本の長さは409ページなので、この手の本としてはちょっと長めになりますね。
発売日が2021年の3月なので、もう1年以上前になっていますね。
さっき、ベトナムの事例をご紹介しましたね。
エビとかカニを食べさせて、栄養失調の問題を解決した事例とか。
あとね、さっきもちょっと言いましたけど、エジプトの女性の滑稽の話がね、これも結構すごいですね。
ここはもう少し感動しましたよ。
あと今回、日本語教師ブッククラブでフェミニズムの本を読んでいるので、
そういう関係でも、ここはいろいろ勉強になると思います。
フェミニズムに関係するところでは、パキスタンとアフガニスタンの国境のあたりに、
パシュトゥーン人というすごく伝統的な暮らし方をしている人たちがいるんですけど、
そこの乳幼児死亡率を低下させる事例も出てくるんですけど、
これも本当にすごく面白かったですね。
それでもちろん、乳幼児死亡率も劇的に下がるんですけど、
その活動の結果、妻と夫の会話が始まったりして、
それまであったその他のいろいろな問題も、
このPDによって解決されていくというところもなかなか面白かったです。
以下は僕の感想なんですけど、
この本にも本当に何回も出てくるんですけど、
要するに自分がやっている特別なことが、実は自分ではわからないということが結構あるんですよね。
例えば一緒に仕事をしていて、
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他の人がこんな当たり前のことをあなたはやっていないんですかって、
ちょっとびっくりしたようなこともあるんですよね。
それは僕が全然特別だと思っていなかったことなんですけど。
でも逆に行動中心アプローチとかでは、
個人面談とかもしているんですけど、
意外とすごい経歴とかすごい才能を持っている人なのに、
それが日本語教育に役立つって全然自覚していない人、
そういう人がいたりするんですよ。
もう本当にちょっとびっくりしちゃうぐらい。
例えば空手の黒帯の人とか、ITエンジニアの人とか、
日本語教育と組み合わせたらすごくポジティブな組み合わせになりますよね。
ITエンジニアのための日本語とか、空手を習う時の日本語とか、
そういうコースを開くことができますから、
僕はそれはすごいことだと思うんですけど、
でもそういうことを全然自覚していない人とかがいたりします。
なのでこのエジプトの例とか、
そういうところでも自分がやっていて、
他の人がやっていないっていうことが、
実はその人たちは認識していないんですよ。
なのでそれを見つけるのが大変なんですよね、
このPDアプローチってやつは。
なので本当に頻繁にその場所に行って、
やっているところを見せてもらうとかね、
そういう形をしないとこのPDというのはなかなか難しいというのがありました。
あともう一つこのPDアプローチで非常に面白いなと思ったのは、
一見当事者ではないように思う人たちもすごく幅広く巻き込むんですね。
例えば病院では、
普通はこういう時に研修とかに出てくるの、
参加してもらうのはお医者さんと看護婦さんだけだったりするんですけど、
それだけじゃなくてジムの人とか清掃する人とか掃除する人、
そういう全てのスタッフを巻き込むことが重要とされているんですよ。
でもこれが本当に、
例えば院内感染の話から出てくるんですね、
これは先進国の病院の院内感染の感染率を下げるという時に、
実はお医者さんとか看護婦さんよりも、
清掃している人のやり方が実はすごく影響しているとかね、
そういうことがあったりするので、
それでいろんな、
一見当事者とは関係ないような人たちも全てを巻き込むことが必要。
逆に巻き込まなかったので失敗してしまった例とかも、
失敗というか問題になってしまった例とかも結構出てきます。
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この本が日本語の先生方にもすごく勉強になるところがあると思うんですけど、
特に自立学習、自立というのは自分で立つではなくて、
法律の律の方ですよね。
自立学習が好きな人とかにはこれはすごく向いているアプローチだと思います。
それから、自分で発見することの大切さというのもすごく強調されているので、
そういう意味では文法なんかを明示的に教えるんじゃなくて、
暗示的に教える、第二言語習得の原則とかにも結構近いところもありますね。
ちょっと関係するところを少し以下に引用してみますよ。
以下引用です。
学習を大きなチャンスに変えていくための重要な必須条件は、
コミュニティが自らの甲斐を発見することです。
この自己発見という重要な作業を外部の専門家に委託した場合、
予測される結果は痛みもなければ得るものもないというものです。
ここまで引用でした。
ここにも書いてある通りに、
先生とか専門家が知識のリソースとなるという、
そういうのが良くないということがこのPDアプローチでは何度も出てきます。
ちょっと以下も少しまた引用してみます。
PDアプローチを適用しようとするときに最大の障壁となるのは、
コミュニティのメンバー自身ではなく、
彼らを援助しようとする専門家や監督する立場にある当局です。
というのも、階層の最上位にいる者は下位にいる人たちよりも多くを知っており、
変革はトップダウンで外部から進めた方が効率的である、
という深く浸透した見解が存在しているからです。
ここまで引用でした。
僕も基金の専門家という人間なので、
ここに専門家という言葉が出てくるとちょっと矛盾しているように聞こえるかもしれません。
でも実は僕はこの辺には本当にすごく賛成しています。
だからこそ、今聞いている人は鼻筋というのは皆さんよく聞いてくださっていると思います。
参加してくださっていますけど、
それ以外にも、今インドの先生方を対象にエドキャンプというのをやっているんですよ。
エドキャンプというのはまさにこういうもので、
今こういう問題で困っていますとかそういう感じのトピックをいっぱい出してもらって、
それに他の人がアドバイスをしたりというイベントなんですね。
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エドキャンプの場合は、僕はこの会自体の主催者ではあるんです。
オーガナイザーで何月何日にやりますとかでメールを出したり、
ズームを開いたりとかね、
こっちはグーグルミート、
ズームなんですけど、
そういうものをやったりはしますけど、
だけど僕はそういう時にはアドバイスはしないんですよ。
こういう問題で困っていますという人がいても、
僕はアドバイスはしないで、
他のインド人の先生方が自分はこうしてますとかいうのを促すようにしてます。
こういう仕事をこの本ではCFOと言っています。
普通CFOというと財務責任者、
ファイナンスのFで出てくるんですけど、
このCFOというのはファシリテーションなんですよね。
だから最高ファシリテーションオフィサーなのかな、責任者、
最高ファシリテーション責任者みたいな、
そういう意味になるんですけど、
このCFOという言葉がこの本ではよく使われていますね。
それに関係するところも少しだけ引用してみたいと思いますね。
以下引用です。
専門家の存在はそれ自体でコミュニティのオーナーシップを奪い、
専門家の権威への依存度を高めます。
私たちは村の人たちが学習プロセスに参加し、
自分たちで解決策を発見したときに得られる成果を目の当たりにしました。
しかしながら専門家の専門知識はコミュニティからの学習の本質である
試行錯誤を奪ってしまうのです。
はい、ここまでですね。
これは例えば協力隊とかに行った人にとっては、
適正技術という言い方で聞いたことがあるかもしれません。
日本でものすごくハイテクなものを、
例えば自動車の技術とかがもてはやされていたとしても、
それが現地で使えないような場合は、
そういうハイテクは別に教えないで、
むしろ必要とされているのは、
もっと現地でも修理できるような、
そういうものなんですよということですね。
だけどこのエドキャンプとかハナキンとかでは、
自分の強みというのを自覚していることがやっぱり必要になってくるんですよね。
エドキャンプは自分の失敗談を聞いて、
これ皆さんどうしてますかとか聞くから大丈夫なんですけど、
特にハナキンも上手な人が発表してくれるのは、
それはすごくありがたいことなんですよね。
だけどそれからハナキンもやっぱりこれで困っていますというような、
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そういう部屋もたくさんあります。
だからそういうときに、
私はこういうふうに解決してますよというふうに教えてくれる人がいて、
そこで初めてそうやって解決できるんですね。
実は自分はそういうことは今までしていませんでしたって、
周りの人が言ったりすることがあります。
それでようやくその人がこれが自分の強みだったのって、
周りはこんなことをしていなかったのかということに気がつくということがよくあるんです。
そういう意味で、
こういうエドキャンプとかハナキンみたいなイベントにどんどん出てきて、
自分はこういうことで困っているんですよということをシェアしてくれると、
その人自身も解決策を知ることができるし、
それだけではなくて、
そこでコメントしている人たちが、
周りの人がこんな普通のことを皆さんやってないんですかというふうに、
そういうふうにびっくりすることも実は結構あるんですよ。
なのでそういう意味でもお互いのために、
僕はとてもいいのでやってみるといいのではないかと思います。
ただ、仕事としてやる分には、
ハナキンとかエドキャンプのイベントをやる時間もないというのもあるかもしれませんね。
そういう場合は、日本語教師の場合とかだったら、
特にお互いにティームティーチングの時に、
そういうことをコメントするのがいいんじゃないかと思います。
特にポジティブな部分をたくさんフィードバックして、
リストとかにしてもたくさん出して、
それをもらった人が、
自分が意識的に努力してそういうことをやっている場合もあれば、
実は自分が意識してなくて、
これがそんなにポジティブに見られるのねというふうに思うこともあると思うので、
そういうことをその人にお互いに知ること、
知ることというのが自分の強みとかを発見していくことにつながるので、
僕はいいのではないかと思います。
はい、それではですね、
今日のムラスペもこの辺までにしておきたいと思うんですけど、
今日のポジティブデビアンス、
学習する組織に進化する問題解決アプローチというこの本で、
無料のサンプルだけでもいいので、
ダウンロードしてみようかなという人がいらっしゃいましたら、
ハートのマークをお願いしたいと思います。
それではですね、本日もムラスペここまでにさせていただきたいと思います。
本日も良い一日をお過ごしくださいませ。
そして冒険は続きます。
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