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2022-10-11 20:50

子どもたちに民主主義を教えよう――対立から合意を導く力を育む

本日の #むらスペ は宿題の廃止や固定担任制の廃止などの公立中学校の改革で有名な工藤勇一さんと、「自由の相互承認」などで有名な教育哲学者の苫野一徳さんとの対談の本をご紹介しました。日本語教育に限らず教育関係者全員にお勧めできるとても読みやすい本です。

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今日お話ししたいのは、「子どもたちに民主主義を教えよう。対立から合意を導く力を育む」というタイトルの本なんですね。
この本について話そうと思ったのは、この著者の一人、工藤裕一さんの本を今までも何冊か読んだことがあって、
AmazonとかTwitterでもこの工藤裕一さんをフォローしているから、どっちだったかな?
正直Amazonで知ったのかTwitterで知ったのかよく覚えてないんですけど、そこで新刊が出るというのが分かったので、本が出る前に予約注文しておいて、
10月7日の夜だったかな?発売日は10月8日なんですけど、確か前の晩くらいにはもうダウンロードされてたと思います、Kindleの方にね。
それで急いで読んだというわけでもないです。
実は昨日ご紹介した毎日新聞の和田さんの「彼女はなぜこの国で?」という本を読んでいたので、ダウンロードしてすぐ読み始めたというわけじゃないんですけど、
その前の本を読み終わってすぐにこの本を開いて読み始めました。
ここで2人くらい集まっていらっしゃったので、
この工藤雄一さんって日本の公教育の中では本とかもたくさん書かれているし、講演会とかもされているんですけど、
日本語教育の世界の人ではないのであまり知らない人もいるかもしれません。
ちょっとお伺いしてみたいと思うんですけど、
工藤雄一さん。雄は有名の雄じゃなくて、勇気がある方の雄ですね。
工藤雄一さんの名前聞いたことがあるという方、
ちょっとハートのマークでリアクションいただけますか。
聞いたことないという方は涙のマークでリアクションいただければと思いますが、いかがでしょうか。
別に日本語教育の方ではないので、別に知らなくても全然恥ずかしいことでもなんでもないと思うんですけど。
ハートマークの方と涙のマークの方がいらっしゃるって感じですね。
ハートマークの方が、涙のマークの方が多いという感じだと思います。
この方はもともと数学の先生で、その後教育委員会の方に行ったりしたんですけど、
中国の広島地中学校というところで校長先生になって、
そこでいろいろな改革をして、それで有名になった方です。
ここからはこの本について具体的な話をしてみたいと思います。
タイトルをもう一回言いますと、
子どもたちに民主主義を教えよう、対立から合意を導く力を育む。
著者は、さっきご紹介した工藤祐一さんのほかに、教育哲学の富野一徳さん。
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このお二人が著者として名前が出ています。
評価が今のところ5つ星のうち5.0ですね。
これね、発売された直後だからっていうのもあると思いますけど、
でもそれにしても5つ星のうち5.0っていうのは、
僕がこの村滑とかで本を紹介し始めてから、多分初めてだと思います。
本の長さは201ページで、出版社はA字出版と書いてありますね。
だけどね、この本の中では浅間社というふうに書いてあって、
この浅間社とA字出版の関係がちょっと僕はよくわからないんですけど、
ググってみたらこの本については株式会社浅間社が発行し、
A字出版株式会社が発売しておりますという感じになっていますね。
発売日はさっきも申し上げましたが、2022年の10月8日ですよね。
今日が11日ですから3日前にまだ出たばかりのすごく新しい本だと思います。
で、この黒雄一さんはですね、学校の当たり前をやめたとかですね。
あと黒雄一さんと広上障子さん、脚本家の広上障子さんの対談の
学校ってなんだ、日本の教育はなぜ息苦しいのかというこういう本もありますし、
それから広島地中学校の型破り校長、非常識な教えというね、こういう本とかもあります。
この3冊は僕も読んだことがあってすごくですね、本当に面白いので、
高教育に関係していない日本語教育専門の人にも僕はすごくお勧めしたいと思いますね。
だけどもちろんそれだけじゃなくて、日本の高教育の制度の中で
日本語教育に関わっている人とかにとってはもう本当に筆読だと僕は思います。
どういうことをおっしゃっているかというと、
例えば宿題もやめたと、それから固定担任制というのもやめたと、
学年で複数の担任が、一クラス一人の担任じゃなくて、
学年に複数の担任がいて、
その全員がその学年の生徒全員にアクセスできるようなそういう担任制になっているとかですね。
あるいは定期テストを廃止したりとか、合唱コンクール廃止したりとかですね。
制服も廃止したりとかですね。
すごくいろいろ言ってみれば当たり前のことなんですけど、
宿題なんてやらなくていいというのはもう学術的にはずいぶん前から結論が出ているわけですしね。
でもそれをいろんな抵抗があるのに、
そういうことを抵抗があるからできない、当たり前のことが抵抗があるからできないという、
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そういう現状を打破している。
打破して、それでごく当たり前な、
それが非現実的に理想的なほどなんだけど、
でも理屈としては当たり前なことをちゃんとやっている校長先生ということで有名になっているんじゃないかと思います。
特に僕がすごく共感するところは自律性というところですよね。
自律の律は、律するの律のほうですね。律令の律。
立つのほうじゃなくてね。
それをすごく尊重しているということで、
僕もこの工藤校長の考え方に非常に共鳴するところがあります。
一方のこの戸間一徳さんのほうは、
今まで僕が読んだ本としては、
どのような教育が良い教育かという本とかですね。
あと、公教育を一から考えようという。
これはリヒテルズ・ナオコさんという、
確かオランダの方でしたかね。
そのリヒテルズ・ナオコさんと戸間一徳さんとの対談の本とかね。
あと何冊かちょっと読んだことはあるんですけど、
一番お勧めしたいのはどのような教育が良い教育かというね。
この本は僕はとてもわかりやすいし、
あとその中でもこの戸間一徳さんがおっしゃっている、
自由の相互承認というね。
この考え方は本当に今の民主主義の世界のすごく基本的な考え方になると思いますので、
ぜひ戸間さんの本もいろいろお勧めしたいと思っています。
この本について僕がまず皆さんにお勧めしたい理由はとても読みやすいんですよね。
なんでかというと対談形式になっているんですよ。
工藤祐一さんと戸間さんが手紙の往復書簡とかじゃなくて、
実際に顔を合わせて話をしているその録音のところを、
ちゃんと編集の方が手を入れて本にしているという、
そういう感じの本なので。
でも基本的にはやっぱり書き言葉じゃなくて読み言葉なんですよ。
なのですごく読みやすい。
しかも今僕も皆さんの名前が見えているから、
だからちょっと話しかけるような感じになるんですけど、
でも誰もいないところで、
なんていうんですかね、
ポッドキャストみたいにすると相手が見えないじゃないですか。
でもこれは対談だから、
対談だから本当に相手に伝えるという感じの話し方なので、
相手が特定されていてその相手に伝えるための話し方なので、
さらにそれがすごく読みやすいんですね。
あともう一つこれをお勧めしたい理由は、
サブタイトルが対立から合意を導く力を育むなんですよ。
これってまさに今月の日本語教師ブッククラブの話し合いの作法って、
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今皆さん読んでますよね、中原純さんの。
実際にあれとすごく共通するところなんですよ。
特にそのうちの第何章だったかな、
後ろの最後の方に実際に対立から合意を導く力を育むための方法とか、
いろいろそういうことも具体的に書いてあります。
例えばそれがすごく典型的に現れているところが一箇所あったんですけど、
じゃあ以下引用してみましょうか。
一方で、子どもサミットのような形で日本の子どもたちに本気で議論させると、
ほぼ現状への文句だけで終わります。
学校のこういうところが悪いとかね、
ここに問題がありそうだ、じゃあどうすればいいの、まで踏み込まなかったら議論でも何でもない。
こういうふうに書いてありますね。
これは本当に話し合いの作法で中原さんが書いていることに、
全く同じですよね。
なのでかなり似ている認識があるので、そういう意味でも読み比べてみるのがいいと思います。
この本を読んでいて、
これも僕もすごく共感するところなんですけど、
やっぱり民主的な学校を作ると教育の質が上がるってことなんですよね。
この工藤さんは提案の質が高いから驚いたって書いてあるんだけど、
それでその提案によって教育の質が上がってくるっていうのが明らかにあります。
ちょっと長いんですけど、一回引用してみますね。
要するに民主的な学校を作ると、
生徒の方からどんどん提案が出てくるってことなんですよ。
その提案についてのところです。
これ工藤さんが話しているところですね。
一回引用です。
何より驚いたのは提案の質です。
一つ目は理科と社会の一斉授業をやめてほしいという提案。
当時、数学の授業はAI型教材を導入したことで、
教わる授業から自分たちで学ぶ授業に変わっていましたが、
他の科目は相変わらず受け身の一斉授業。
生徒からの提案はこのままでは面白くない。
生徒自身が生徒たちに授業する、
いわゆる反転授業にしたらどうかというものでした。
教師はその都度間違っているところを直したり、
さらに深めたりする助言をすれば良いというのです。
一斉授業はつまらないと愚痴をこぼすことなら誰にでもできます。
しかし、しっかり自分たちで大提案まで用意してきたことに感心させられました。
ここで引用終わりですけどね。
こうやって生徒の方が授業の方法に対して、
ただ愚痴を言うだけじゃなくて具体的な提案までしてくると、
それは当然生徒が自分のために言っているわけですから、
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教育の質が上がってくるわけですよね。
あともう一つは合唱コンクールをやめたという話がありましたけど、
最初にさっきご紹介しましたけどね。
それも実は工藤祐一さんが校長としてトップダウンでやめさせたというわけではないんですよね。
それをもうちょっと以下引用してみましょう。
そう感じていたら、
翌年また生徒会から提案があった合唱コンクール自体をやめましょうという話が出てきたんです。
そもそも文化祭は誰でもエントリーできるし、
歌いたい人が歌えばいいので、
無理に全員が参加させられるコンクールはむしろ目的にあっていないと。
というふうに工藤さんが言っていますね。
それに対して戸間野さんが、
それを生徒たちが考えたんですねというふうに合図値を入れていると、
工藤さんがこういうふうに答えています。
学校の活動を民主主義を学べる場に少しずつ変えていくと、
周囲の大人が驚くくらい子どもたちは成長していく。
学校を変えるアイデアもどんどん出てくる。
これで引用終わりですね。
あとね、
学校の委員会とかを、
普通はクラスで何人、
例えば図書委員とかね、
そういうのをクラスで何人図書委員出してくださいとかっていうのも、
それを全校からのボランティアにしたっていうのがあって、
そこでこんなことが書いてあります。
はい、以下引用ですね。
新体制で生徒会が始まると、
これがまたすごく機能する。
図書委員なんて心の底から本が好き、
図書館の雰囲気が好きという子が集まってくるから、
命令されなくてもいろんな工夫をするし、
熱心に話し合いをするわけです。
はい、これで引用終わりですね。
でね、これ3日くらい前に生きる職場っていうね、
ニューギニア会社さんっていう会社、
エビ工場の話をしましたけど、
ここでも結構似てる話が書いてありますよね。
あの本でもエビ工場なんですけど、
嫌いな仕事はしなくていいっていうね、
そういうルールがあったんですよ。
結構皆さん多様なので、
他の人が嫌いな仕事でも自分は好きとかね、
そういう仕事がたくさんあるから、
嫌いな仕事はしなくてもいいっていう風にしても十分に回るし、
むしろその方が皆さん自分の好きな仕事に集中できるんで、
生産効率が上がるっていう話がありましたよね。
それとも全く同じような話が学校の中でも行われているというものがあります。
でね、この本、僕が逆に言うと、
この本のほとんどは僕が前から思っていたことに対して、
もう本当にそうだよねって膝を叩きたくなるような、
膝を打ちたくなるような、
そういう内容がすごくあるんですけど、
中にはですね、いくつかそうなのねって知らなかったことも結構いくつかありました。
例えばね、心の教育っていうのがこの本では結構批判されていて、
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僕も実際それって前から違和感とか嫌悪感みたいなのがあったんですけど、
あんまり具体的に言語化されたものをそれほど読んでいなかったので、
そうだったのかっていうのがすごく思ったところがあります。
今ね、ちょっと引用してみると、
ちょっとね、それだけじゃなくて、
心の教育だけではなくて、ちょっと変えなきゃいけないこと、
つまり民主主義ではないことが羅列してあるところをちょっと読んでみますね。
以下引用です。
今の日本の学校は民主主義とは真逆のことばかりしています。
自立させない。依存を作る。従順さを求める。
違いを認めない。同質性を求める。マイノリティを切り捨てる。
対話の機会を与えない。意見を言わせない。
対立を理性ではなく思いやり、愛といった心の教育で解決しようとする。
こういう感じで書いてあって、
これが自立させないとか違いを認めないとか、
対話の機会を与えないっていうのは、
僕も前からこういうところでも批判してたりしてたんですけど、
思いやりとか愛とかそういう心の教育で対立を解決させようとするっていうのは、
あんまりそんなに考えてなかったんですけど、
言われてみたらもう実際そうだなというふうに思いました。
あともう一つよく分かってなかったのは教員要請の問題ですね。
例えば教員要請自体がさっき言ったような
動執性とか従順さとか規律とか、
そういうものをひたすら求めるような場になっていると。
だからそれがフィルタリングみたいになって、
あるいはそれに感化されて、
それを受け入れた人たちだけが教員になるので、
だから教員とかも子どもたちに動執性とか従順さとか規律とか、
そういうものを求めるようになってしまうんだっていう、
そういう教員要請のあり方自体もかなり批判されています。
僕はこの辺は日本語教師の要請とか研修については関わっていますけど、
一般の公教育の教員要請については全然関わっていないので、
この辺は非常に勉強になりました。
あとこれはすごく基本的なところなんですけど、
やっぱり今の文部省が教示法にこだわっているってことですね。
要するに教示法よりも自立を支援する技術の方を
シフトしなければいけないってことを工藤さんがおっしゃっていて、
これも少し長くなりますけど最後に一つ引用させてください。
以下引用です。
工藤さんのセリフですね。
基本的に文科省がずっとやっているのは教える技術の向上、
つまりいかにわかりやすい授業ができるか、
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ここにずっとこだわっている。
でも実は教員の教える技術を磨けば磨くほど子どもたちは受け身になり、
主体的に学ぶ体験ができなくなります。
ひいてはそれが子どもの自立を奪い、
民主主義に必要な当事者意識も奪いかねない。
僕も数学教師として教える技術にこだわっていたこともあったし、
一流の職員になりたいと思っていた時期もあります。
でもさすがにそこは変えていくときが来ました。
これからの教員に求められる能力は、
自立を支援する技術だと思うんですね。
はい、これで引用終わりです。
もうこの辺は本当に日本語教育の先生方にとってもとても重要な観点だと思います。
もう他にもいろいろ引用したいところがすごくあるんですけど、
ちょっと長くなりますので今日はこの辺までしておきたいと思います。
最後にトマノさんが読書対話の回を企画して読んでほしいと書いてあるので、
少なくとも来月の日本語教師ブッククラブに提案ぐらいをしてみたいなと思いますし、
ちょっと余裕があったらハナキンのほうで、
この本の読んだ人同士の話し合いとかそういう機会が持てればいいなと思います。
ではリスナーの皆さんに最後に聞いてみたいんですけど、
この本をまず購入するかどうかはともかく、
無料のサンプルぐらいはダウンロードしてもいいかなという方はハートマークいただければと思います。
まだ自分にはちょっと早いかなとか、
ちょっと自分には合わないかなということは涙のマークでリアクションいただければと思いますけどいかがでしょうか。
それでは本日もハートマークいただいております。
ありがとうございます。
たくさんハートマークいただいております。
これ本当にお勧めなので、
少なくとも無料サンプルぐらいはダウンロードされるのは僕はすごくいいと思います。
今日の子どもたちに民主主義を教えようというこの本の僕が話したことについて、
質問とか感想とかコメントなどがありましたら、
ぜひムラスペのハッシュタグ付きでご共有いただければと思います。
それからこの著者のトマノさんと工藤さんのIDも、
昨日僕が明日このムラスペでこの本について話しますよって書いた投稿、
ツイッターの投稿にその2人のIDもありますので、
もし何か質問したら返事とかが来るかもしれません。
それでは本日も良い一日をお過ごしください。
そして冒険は続きます。
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