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2023-01-09 20:08

昨年読んだ本のうちの日本語教師におすすめの3冊

今日の音声配信では、2022年に読んだ200冊の本のうち、僕が日本語教師の皆さんに読んでほしい3冊の本について話しています。3冊の本とは以下です。

「学びとはなにか」今井なつみ

「私たちはどう学んでいるのか」鈴木宏昭

「OPEN(オープン): 「開く」ことができる人・組織・国家だけが生き残る」ヨハン・ノルベリ

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今日お話ししたいのは、昨年僕が読んだ本のうちの 日本語教師のおすすめの3冊ということなんですね。
これを話そうと思ったのは、まず今、さっきも申し上げましたけど、 録音始まる前にスペースで話していたんですが、
今、日本語教師ブッククラブ大賞というのをやっています。 これは皆さんのおすすめですよね。
だから、僕の個人的なおすすめとはちょっと違うものです。
そもそも、今日ご紹介するのはどれも、 日本語教師ブッククラブの中には入っていません。
もしかしたら、僕が提案したけど当選しなかったとか、 そういう本も入っていたかな。
ちょっとその辺はよく覚えていないんですけど、 日本語教師ブッククラブ大賞とは別に、
僕の方で個人的におすすめをしたい、 そういうものなんですね。
じゃあ最初に本のタイトルだけ言うと、 1冊目は学びとは何か、探究人になるために。
岩波新書、今井睦美さんの本ですね。
それから2冊目は、私たちはどう学んでいるのか。 創発から見る認知の変化。これが2冊目。
そして3冊目の本はですね、 オープン、開くことができる人、組織、国家だけが生き残る。
ヨハンノルベリさんという、 これは翻訳になりますけどね。この本です。
なので今日はこの本について、 本当にごく簡単にご説明をしてみたいと思います。
まず最初の、学びとは何か、今井睦美さんの本ですね。
学びとは何か、探究人になるために、 っていうこの本なんですけど、
この本はいくつかおすすめがあるんですけど、
一番いいのはですね、こういう人にいいというのは、
AmazonのUnlimitedっていう、 読み放題に入っている人には、
読み放題に入っている日本語教師の方には、 たぶんこれが一番おすすめだと思います。
もう無料で読むことができますからね。
ただですね、ちょっと、発売日が2016年なので、
もう一個ご紹介する、私たちはどう学んでいるのかっていう、 鈴木さんの本に比べると、やっぱり6年前なんですね。
なので、新しさという意味では、 こちらの鈴木さんの方がいいんですけど、
少なくとも買いやすいという意味では、 この今井睦美さんの学びとは何かの方がずっといいと思います。
それからね、この本の中で、 もう一つのこの本の今井睦美さんの本のいいところは、
その今井睦美さんはですね、 認知知識学だけではなくて言語ですよね。
特に言語の習得についても研究されているので、 そういう意味でも日本語教師にとってはおすすめですね。
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もう一冊の鈴木さんの本は、 ちょっとかなり内容は重なっているんですけど、
言語の習得に特化した本という感じではないです。
この今井睦美さんの本をもうちょっと詳しくご紹介すると、
ここでは知識観、観は観察の観ですよね。
知識観という言葉で、それがカタカナで、 エピステモロジーという言葉があるんですよ。
エピステモロジーというのが、知識はどういうものであるか、 知識はどういうふうにしたら伝わるのかという、
そういう感じ方ですよね、見方。
それがエピステモロジーというんですけど、 この言葉を初めて知ったのが、僕はこの本でしたね。
この今井睦美さんは、ドネルケバブモデルというのが、
悪い、古くて役に立たない、僕たちが脱却すべき知識観、 つまりエピステモロジーとして挙げられています。
つまり特に言語について、こういうふうに書いてあります。
以下引用ですね。
言語は断片的な知識をペタペタ貼り付けていき、 ボディをどんどん大きくしていけば使えるようになるわけではない。
これで引用終わりですけど。
これが一番大事な、これだけではないですけど、
でもこの本の中で僕が一番大事だと思うこと、
そして皆さんによく考えてほしいのはこの部分ですね。
言語というのは断片的な知識をペタペタ貼り付けていって、
ボディをどんどん大きくしていけば使えるようになるわけではないんですよ、
というここのところですよね。
これが今井睦美さんの本です。
もう一冊、三冊のうちの二冊目ですね。
この二冊はかなり重なっているので、
できればペアで一緒に読んだほうがいいと思うんですけど、
その認知に関わる本のもう一冊が鈴木博明さんの本ですね。
ちょっと詳しく紹介してみますね。
タイトルが私たちはどう学んでいるのか。
創発から見る認知の変化。
これはチクマ・プリマー新書というところですね。
著者は鈴木博明さんで、
五つ星のうちの4.6ですね、レビューは。
なのでレビューを見ると、
実を言うとさっきの今井睦美さんよりも高いです。
レビューの数も67あるので、
それなりにちゃんとしたレビューだと思います。
レビューの数だと思っていいと思いますね。
ただ825円かかるので、
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そういう意味では今井睦美さんは、
アンリミテッドに入っている人は無料で読めますからね。
鈴木さんの本は今年の6月9日に出版されたので、
新しいという意味でもこちらのほうがいいと思います。
これも実は鈴木さんの本にも、
かなりさっきの今井睦美さんの本と重なる部分はあるんですけど、
ちょっと大事なところを僕も引用してみたいと思いますね。
以下引用ですね。
知識は伝わらない。
なぜならそれは主体が自分の持つ認知的リソース、
環境の提供するリソースの中で創発するものだからだ。
これで引用終わりです。
創発というのは、
クリエイト、創造するの創に発は発明の発ですね。
知識は伝わらないというのは、
これもさっきの今井睦美さんがドネルケバブみたいに
ペタペタ貼り付けていくと使えるようになるものではない
ということと全く同じようなことを言っていると思います。
こういうものを構成主義という呼び方で呼ぶんですよ
ということも書いてありますね。
ここのところも引用してみますよ。
以下引用です。
伝えられた事柄、本で学んだ事柄が
どのような範囲をカバーするのか。
それは他の知識とどう関係するのか。
そしてどこで使われるのか。
そうしたことを考える作業を行わない限り、
その事柄は単に記憶としてしか存在せず、
知識とはならないのだ。
こういう考え方を構成主義、コンストラクティビズムと言う。
ここまでが引用ですね。
要するに記憶として伝えることはできるけど
でもそれは知識じゃないですよということですよね。
これもさっきの今井睦美さんの方にも
たくさん書いてあったことと大体同じなんですけど。
特に積み上げ式ですよね。
文型とか、文型じゃなくても機能でもいいんですけどね。
そういうものを積み上げていけばできるようになる。
分解してね。
例えば日本語なら日本語という
一つの全体的なスキルを小さな部品に分解して
それを一つ一つ伝えていって積み上げていけば
できるようになるというわけではないということが
この本の中でも書かれています。
日本語教育の文脈では書かれていないんですけど
でも日本語教育の文脈に即して言えば
そういうふうになるということがここには書いてあります。
ちょっとこれもそこの部分だけ引用してみますね。
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以下引用です。
要素分解して個々のスキルや能力を鍛えていけば
最終的にはちゃんと学習がなされるという話は成立しないのだということですね。
そこまでなんですけど。
こういうことを考えると本当に文型にしろ語彙にしろ
一つ一つやって積み上げていけばできるようになるというわけではない
よくわかるんじゃないかと思います。
これが今日ご紹介した3冊のうちの2冊ですね。
さっきも言いましたけどこの2冊は内容も非常に似ているので
できれば2冊とも読んでもらったほうが僕はいいんじゃないかなと思います。
よく言いますけど立体的に見えてくるんですよ。
今井さんの見た目と鈴木さんの見た目というのはやっぱり見方がちょっと
視点が違うわけなんですね。
その違う視点で同じようなことを見ると
本当に両目で物を見ると立体的に見えてくるような感じで
その構造がこっちから見るとこういうふうに見えるのねみたいな感じで
立体的に見えてくるというのがあります。
なのでこの2冊はできれば2冊とも読んでみると僕はいいんじゃないかなと思います。
少なくとも僕にとってはやっぱり2冊読んだ段階で
どっちが最初に読んだかわからない
最初鈴木さんの本を最初に1冊読んで
これは面白いなと思って確かこの村滑でもご紹介したと思うんですけど
その後に今井さんの本を読んで
なるほど鈴木さんが言いたかったのはこういうことだったのねということが
今井さんの視点から新たに見ることができて
僕は非常に勉強になりました。
少なくとも僕にとってはこの2冊を両方読むことができて
最初の1冊目に関しても非常に深く見ることができたんじゃないかと思います。
そしてその後もう1回この鈴木さんの本は読みました。
同じ本を僕2回読むということは滅多にないんですよ
去年もたくさん本読みましたけどその中で
多分2回読んだのって2冊しかないんじゃないかな
もう1冊は学習する組織だったかな
それに似てるんですけど
心理的安全性の本ですね
それもまた別の本を読んでから
あれもしかしたらこれはこういう意味だったのかなと思って
もう1回この心理的安全性の本を読んだというのがあります。
なので僕は同じ本を2回読むというのは非常に珍しいんですけど
この鈴木さんの本は本当にそういう感じで2回読むことができました。
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それだけの価値があると思いますね。
これが2冊。3冊目は今の知識感とは全然違うんですよ。
さっきの2冊は日本語教育の現場にも直接関わることです。
皆さんが毎日やっていることがこれっていいの?
もしかしたらこれって間違ってるんじゃないのか?
これって効果がないんじゃないのかっていうふうに
思う直接のきっかけになるそういう本です。
でも3冊目はどちらかというと
今の特に日本の国内で日本語を教えている人が
日本語教育そのものについて
自分たちのやっていることにどういう価値があるのかということは
時々忙しくて見失ってしまうことっていうのはよくあるんですよ。
それは僕もそういうこともありますし。
そういう時に皆さんのやっていることには非常に高い価値があるんだということを
それを思い出してもらうために読んでほしいなというか
僕自身も改めて僕のやっている仕事
さっき日本の国内って言いましたけど
でもそれは言葉を教えることの価値
そういうことがどれだけ世界に貢献しているかということですね
それを改めて考えるきっかけになったということで
3冊目をご紹介したいんですけど
3冊目はオープン
さっきも最初に言いましたよねタイトルだけは
オープン 開くことができる人 組織 国家だけが生き残る
こういう本ですね
これは著者はヨハンノルベリさんという人で
これはエコノミストっていう雑誌があるんですけど
そのブックオブザイヤーっていう賞を
2年連続でヨハンノルベリさんが受賞しました
その前の年は進歩 人類の未来が明るい自由の理由
こういう本なんですけどね
このオープンっていう本自体は
実は2年前か3年前ぐらいには英語版は出版されていたんですけど
でも日本語版が出版されたのが去年
2022年の4月22日だったんですね
それで日本ではまだかなり新しい方だと思います
もうこれは本当にタイトル見ればわかりますけど
オープン 開くことができる人 組織 国家だけが生き残る
こういうことですよね
実際日本も鎖国とか300年もしてて
その間にメリットが全くなかったわけではないとは思いますけど
でも江戸時代の終わりの頃には
欧米に比べて技術的にもものすごい遅れをとってしまっていて
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それを本当にわずか10年とかで追いつかなければいけないという
そういうとんでもないことになってしまっていたわけですよね
それを考えると今日本がまだまだ随分鎖国的なところがありますから
それがいかに日本に弊害をもたらしているかというのは
僕みたいに海外に住んでいる人間にとってはすごくよく見えるわけなんですね
そういうときにやっぱり日本語を教えるということは
日本が海外とつながることにすごくつながることですよね
もちろん日本人が英語とかヒンディ語を勉強することにも価値はありますけど
それは英語の先生とかヒンディ語の先生がやればいいことでして
逆に僕たちは海外の人に日本語を教えることによって
海外のインド人とか何人でもいいですけど
そういう人たちが日本語で日本人に海外はこうなっているんですよということを教えてくれる
そういうことになるお手伝いができるということで
このオープンというそれがわかるということで
このオープンという本をすごく僕は皆さんにもお勧めしたいと思っているところです
さっき今井さんの本と鈴木さんの本2冊読むと立体的に見えてきて
内容が重なるところもあるし重ならないところもあるんですけど
立体的に見えてきていいですよという話をしました
この本に関しても実はもう1冊一緒に読んでほしい本があります
それはこの多様性の科学という本なんですね
これはもう本当に多様性が足りない
画一的な組織というのはどんどんダメになってしまいますということが
いろんな科学的根拠が書かれていて
多様性であることがどれだけ社会とかコミュニティとか組織にとって貢献しているか
意味があるか価値を高めているかということが
この多様性の科学という本の中には書いてあるんですね
なので基本的にはオープンというのは開きましょうというのは
いろんな多様な考え方を受け入れましょうということですよね
多様性の科学の方は実際に多様になったらそれがどれだけ価値があるかということですね
そういうことが書いてあります
いろいろこの2冊とも重なるところはあるんですけど
やっぱり2人の全然違う著者が違うタイトルで
1つは開放性ということですよね
もう1つは多様性ということです
そういう視点から書いているので
これもこの2冊を別に一緒に読まなくてもいいんですけど
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別々に読んでもいいんですけど
でも1冊を読んだ後でもう1冊も読むと非常に立体的に見えてきて
納得できるところがあるんじゃないかなと思います
これを読むとやっぱり皆さんが
今日本語教師の皆さんがやっていることには意味があるんだということが
意味があるというか
それなしでは日本も世界も成立できなくなってしまうというような
そういうとても重要な仕事をしているんだということが
わかると思いますのでぜひこの2冊も読んでほしいと思います
あるいは排他的な人がいますよね
いわゆるネトウヨみたいなそういう人
そういう人に言われたときの理論武装みたいな意味で
せめてこの2冊ぐらいは読んでから反論しろよとか
そういうことが言えるようになるんじゃないかと思います
それだけでもとても役に立つと思います
それでは僕の今日言いたいことはここまでになりますので
もしリスナーの皆さんで
せめてサンプルだけでも読んでみたいという方がいらっしゃいましたら
ハートマークいただければと思いますがいかがでしょうか
それでは本日もムラスペにご参加くださいまして
ありがとうございました
今日の昨年読んだ本のうちの
日本語教師におすすめの3冊について
コメントとか感想とかあるいは
僕に対するご質問とかありましたら
ぜひムラスペのハッシュタグ付きで
ご共有いただければと思います
それでは今週も良い1週間をお過ごしくださいませ
そして冒険は続きます
20:08

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