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2022-10-31 19:46

クラッシェンの主張と冒険家メソッド

9月中旬にあったクラッシェン氏の講演会の関係で「クラッシェンの主張とは要するに冒険家メソッドなのか」という問いに対して、僕の考えを簡単に述べました。

--- Send in a voice message: https://podcasters.spotify.com/pod/show/murasupe/message
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本日の本題はですね、クラッシェンの主張と冒険化メソッドという、そういう話なんですね。
これを話そうと思ったのは、2、3日前にヒマヤンさんというような方が、
クラッシェンが言っている言葉、要するに冒険化メソッドなんだろうかというようなことをツイートでですね、
書いてらっしゃったんですね。で、それは何でクラッシェンの話が出ているかというと、
9月17日にですね、日本の語学教育者向けに、確か津川大学でしたっけね、
そこでクラッシェンのオンラインの講演会があって、そこで日本語教師の方ね、
たくさんそれに参加されて、クラッシェンの話を聞いたからということだと思います。
実は僕、その後にすぐ出張があって、出張の準備がすごく大変で、
クラッシェンの講演会にはちょっと参加できなかったんですけど、
もう本当にすごくたくさんの方がツイートしてくださったので、
だいたいの話の内容というのは把握できたように思います。
それでそこからですね、クラッシェンさんが、要するにクラッシェンさんがいつも話していることと、
それほど大きな距離のあるお話ではなかったようなので、
いつもクラッシェンさんが言っていること、プラス皆さんの投稿を読んで僕が考えたことと、
それと僕がいつも言っている冒険家メソッドについて、共通するところも実際すごくたくさんあるので、
そのへんについてこれからちょっとお話をしてみたいと思います。
まずですね、じゃあ冒険家メソッドって何なのっていうふうに思う方もいらっしゃると思うんですけど、
これはですね、僕もう一言で言ってしまうと、
ソーシャルメディアを通した自律的な第二言語の習得というふうに僕は言っています。
ソーシャルメディアを通した自律的な第二言語の習得ですね。
第二言語の習得というのは日本語教師の皆さんにとってはごく当たり前な前提になっていることなので、
ポイントはソーシャルメディアということと自律的であるということですね。
それで特にですね、2016年頃にもういろんな自律的に日本語を習得した人を30人ぐらいオンラインでインタビューして、
そうするとですね、結構面白いことがわかってきて、しかもですね、
大体3つぐらいのパターンがあるということがわかってきました。
人によってはね、これ4つのパターンという人もいます。
神戸千春先生とかは4つというふうに言っていますけど、
それは分類の違いで、言っていることは僕が見つけたことと神戸先生とかがおっしゃっていることと基本的には同じです。
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一つはですね、僕は言語オタク型というふうに言っているんですけど、
基本的には教科書を使って勉強する人ですね。
だけど、わからないこととかがあったら、そこでソーシャルメディアを使うという感じですね。
皆さん独習者なのでね、僕が自律的に勉強している人なので、教師について勉強するわけではないので、
言語オタク型の人たちは教科書を見ながら勉強して、
わからないところをソーシャルメディアで質問するというパターンの人たちでしたね。
これは正直言って、クラッシェンさんの主張している言語習得の形とはかなり違うものだと思いますね。
むしろ従来のクラッシェンさんが批判している学校教育の第二言語の教育の形にかなり近いものだと思います。
二番目はですね、僕はアニメ型と言っていますけど、
これは要するにコンテンツベースの言語習得ですね。
なので、僕はアニメ型という名前を使っていますけど、
なぜかというと、やはり日本語教育の世界ではコンテンツといえばアニメで勉強する人というのは非常に多いからですね。
かつクラッシェンさんもおっしゃっているように、耳からのインプットというのも非常に大事なわけです。
今回の講義では読書もずいぶん取り上げられていたみたいですけど、
日本語のコンテンツをベースに日本語を習得する場合は、
アニメ型とテキスト型という人もいるんですよね。
これは神戸千春先生とかの分類なんですけど、
神戸先生たちは、いわゆるCBLLですよね。
コンテンツベースの中を動画で見る人と、動画のコンテンツで日本語を習得する人と、
それから神戸先生は日本語じゃなくて英語を自分で読習している人たちの研究なんですね。
だから神戸千春先生の研究は日本語ではないです。
対象の言語は違っていても、やっていることはかなり非常に近いんですね。
神戸先生の研究では、コンテンツベースの中、
僕がアニメ型と呼んでいるものをテキスト型と動画型というふうに分けているんですけどね。
僕はそこがわかりやすく、ただアニメ型というふうに書いてしまっています。
でもそういう人がいらっしゃるのが一つで、それが二つ目ですね。
一番目が言語オタク型、二番目がアニメ型、
三つ目がソーシャル型というタイプで、
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もっと外交的で友達どんどん作りましょうという感じの人ですね。
そういう人はもうフェイスブックとかツイッターとかLINEとかでガンガン日本語をやり取りして、
日本語を習得しているわけです。
この中でも、まずさっき言語オタク型はクラッシェンさんの話とはだいぶ違うという話をしました。
二番目のアニメ型というのはもうかなりクラッシェンさんの主張にすごく近いところがありますね。
これね、僕がね、
すいません、じゃあまずマヨンさんという、ツイッターでマヨンさんという方がクラッシェンさんの話を引用して、
いろいろすごくたくさん紹介してくれているんですけどね。
その中でクラッシェンさんがこのように言ったという部分があります。
以下はマヨンさんからの引用です。
要するにまごびきなんですけどね。すいません。
話は理解可能で、話というのはインプットするための話ですよね。
読む本とかそういうものです。
はい、以下引用です。
話は理解可能で外国語を聞いているということを忘れてしまうぐらい面白くなければならないというふうにクラッシェンさんがおっしゃったというふうにマヨンさんが書いていますけど、
これも本当にまさにこのアニメ型の人たちはこういう感じですよね。
そもそも勉強しているというアレではないんですよ。
アニメが面白いからアニメを見ていて、
そこに自分のわかる言語の字幕はついているけど、
だけど音声自体は日本語そのまま。
そういう感じでもずっと聞いているというわけなんですね。
かつインプットがほとんどでアウトプットがほとんどないというのもこのアニメ型の人の特徴です。
その中でも特徴的だった人がルーマニアのジョルジアナさんという人ですね。
この人について僕が2016年の10月3日にブログで、
アウトプットなしでここまで上達できるルーマニアの冒険家ジョルジアナさんインタビューというこういうタイトルで2016年10月3日に投稿したブログがあるんですけど、
これが本当にすごく特徴的なことが書いてありました。
それが本当にずっとインプットだけで喋れるようになるんですよ。
インプットだけ、要するにアニメを見るだけで日本語を勉強したとも思っていないんですよ。
気がついたら日本語が喋れていたという、そういう感じなんですね。
日本語を話す相手は、ジョルジアナさんという人はルーマニアで大学院で日本語をちゃんと勉強してみたいと思って、
それで大学院のところに来て、そこで会ったのが知事岩さんという、当時国際交流基金の指導助手という立場でルーマニアのブカレスト大学に来て派遣されていた知事岩さんという人。
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その人に初めて会ったのが、日本語を話したのが初めてというんですよ。
この知事岩さんという人が驚いて、同じ大学にJFの専門家でクローダさんという人がいて、
ちなみにクローダさんという人はインドで一緒に働いているんですけど、
知事岩さんがクローダさんにジョルジアナさんを紹介して、そのクローダさんが僕に紹介してくれたんですよ。
僕はその時ブダペストにいたんですね。
だけど同じ東ヨーロッパの基金の専門家同士のネットワークとか色々あるので、
それで僕がこういう人たちにいつもインタビューしているということを知っていたんですね、クローダさんはね。
それでクローダさんが僕に紹介してくれて、僕がオンラインで話した。
だから僕は3人目なんです。
このジョルジアナさんが日本語をアウトプットしたのは、僕が3人目だったんですね。
だけどその3人目でほぼ完璧ですよ。文法的な間違いとか全然なくて、すごく緊張しているというのが彼女自身おっしゃっていたし、
もうそれが本当に見てわかるぐらいで申し訳なくなっちゃうぐらいちょっと緊張させてしまったんですけど、
でもそれでも本当に普通に話せるんですよ。びっくりしちゃうぐらい。
全然鉛とかアクセントとかもなくて、本当に自然に習得したという感じですよ。
かなり母語を習得したのにかなり近い過程で、過程はプロセスでね、
そういうプロセスで日本語を習得したという感じがかなりしました。
それを考えるとですね、別にアウトプットがいつでも必ず必要ないかというとそんなことはないかもしれないし、
かつアウトプットしていればもう少し日本語の習得を早めることができたのかもしれないというのはあります。
ジョルジアナさんもね、確かね、10代の半ばというか早めですよね。
いわゆる12歳とか13歳とかそのぐらいの時にこのアニメとかを見始めて、
もうこの時は10代後半だったと思うので、いやいや大学、学部を卒業して、
第二言語習得、すみません、学部が終わってから大学院に入りたいという頃だから、もう20歳過ぎた頃だと思いますね。
なのでそういうかなり長い年月、インプットだけで日本語を聞いてきたという状況なので、
もしかしたらアウトプットしていればもっと早く同じレベルに達していたかもしれないというのはありますけど、
でもね、僕が3人目という状況でちゃんと話せるようになるんだというのは僕にとっては本当に衝撃的でした。
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なので、本当にクラッシェンさんが言っている、少なくともインプットだけで文法的に正しい日本語をしゃべれるようになるというのは、
事実の一つだとは思いますが、それが足りない段階だとまだ文法的なミスとかはあると思うんですけど、
だけど本当にジョルジアナさんみたいに何年も何年も大量の日本語を毎日浴びていたら、文法的な間違いもない流暢な日本語がアウトプットなしでも身についてしまって、
しかもそれが僕みたいに話すのが3人目っていうね、日本語を話すのが3人目だっていう、そういう場合でも普通にしゃべれるんだということが、
僕はそれを知ることができたので非常にびっくりしました。そういうことがありましたね。
この冒険家メソッドには3つのタイプがあるという話をしました。3つ目がソーシャル型っていうタイプですね。
これはロシアのアンナさんという人が僕がインタビューした中では非常に典型的な人でした。
だけど彼女はもうソーシャル型なんで当然アウトプットとかもするわけなんですね。
ブログを書いたりもしていたし、LINEでもたくさん友達がいるんです。
僕がインタビューしたときにはLINEのチャットがとても多くて、たまにはLINEの電話も使うけど、
そういう電話もするぐらい親しい人達っていうのは1桁ぐらいしかいないと。
だけどそういう親しくない人も入れたらLINEに登録している人は100人ぐらい。
100人よりは少ないけどそのぐらいはいるっていう感じでしたね。
チャットするときはもう本当に即レス、すぐに返事するっていう即レスですね。
即レスしているので朝から夜まで1時間おきに話しているとかそのぐらいだって言っていました。
彼女は日本語でのツイッターとかもやっていましたね。
クラッシェンさんはこれに関して書くことは上達にはつながらないっていうふうにおっしゃってますね。
もしかしたらそれはそうかもしれないです。
僕もそれについては否定するつもりは全くないんですけど、
書くことそのものが習得につながらないっていうことをおっしゃっているんだったら僕は本当にその通りだと思います。
例えば漢字とか漢字の練習を100個書きましょうとか、
そういうのはあんまり意味がないので僕はやるべきじゃないと思います。
もう本当に迷走みたいなつもりでやるんだったらいいんですけど、
日本語の習得のつもりで何の文脈もなくて、
しかも自分の覚えている漢字を100回書きましょう、漢字を10回書きましょうみたいなのは僕はしなくていいと思っています。
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だけどコミュニケーションで相手がいて、その相手に伝えるために書くっていうことをするのは僕は上達につながる可能性があると思いますね。
その場合もクラッシェンさんが正しくて、書くこと自体は上達にはつながらない可能性は僕は排除しませんけど、
だけど自分がそうやって書くことによって、それによって得られる相手の返事っていうものがあるんですよ。
自分が書かないと相手は絶対に返事しないんですよ、普通はね。
なので相手が返事してくれたっていうそのコンテンツはクラッシェンさんは多読とかいっぱい推薦してますよね。
でもそういうのとは遥かに違うインパクトがあるんです。
自分のためにだけ書かれたコンテンツなわけですよ。
自分が何か書いてそれに返事してもらえたっていうのはね。
例えば昨日もですね、ちょっと僕の個人的な体験なんですけど、こういうことがありました。
このクラッシェンさんの後、僕はすぐ出張に行って、
僕が今いるカルナータカ州という隣のケララ州というところに行ってたんですけど、
そこでちょっとジョギングしてね、いつもみたいに朝起きてジョギングして、
ケララ州なんでインド洋があるんですよね。
インド洋まで行って帰ってきましたみたいなことをツイートしたらですね、
インド人の方が、インド人で日本語のわかる人も僕のフォロワーの中にいらっしゃるんで、
その方がですね、ヒンディー語で、ケララはどこもきれいだし、
どこもスワディストっていう僕がまだ知らない言葉があって、
どこもスワディストですよねっていうふうに、
そういうツイートをヒンディー語でリプライしてくれたんですね。
僕もね、前半もどこでもきれいですっていうところはわかったので、
そうですね、どこでもきれいですね、でもスワディストっていうのはどういう意味ですかって質問したら、
スワディストはおいしいっていう意味だっていうふうに、
その人日本語わかる学生なんで、日本語でコメントというか返事してくれたんですね。
そういう風にするとね、そういう文脈があったら、僕もスワディストっていう単語をね、
もうこれ一発で覚えますよ、それは本当に。
多読とかの時はいろんな数字ありますけど、よく言われるのは6回ぐらいね、
違う文脈で見るとそれが覚えるって言いますけど、
こういう風にですね、自分だけに書かれた、自分に向けた返事だったら、
そういう文脈がすごく明確だしインパクトもあるので、
かなり一発で覚えるっていうことがよく頻繁にあるんじゃないかと思います。
そういう意味で、こういう僕がソーシャル型という風に呼んでいる社交的なね、
たくさん読むけどたくさん書く、発信もする、アウトプットもするっていう、
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そういう人の日本語の上達にもつながるんじゃないかと思います。
それはどうしたかっていうと、やっぱり書くこと自体はもしかしたら
クラシエンさんの言う通りつながらないかもしれないけど、
書くことによって相手の返事が来て、そこに書いてある読みというのは、
普通の多読のコンテンツよりもはるかにインパクトが強い、印象の強い、
そういうインプットになるからです。
なので、そういう意味でこの冒険家メソッドと
クラシエンさんの第二言語習得の話はかなりつながるところはあると思います。
もちろん冒険家メソッドはインプットするにしても基本的にはソーシャルメディアで、
かつクラシエンさんは多読の印刷物の多読の本を今でもたくさん使っていらっしゃるんじゃないかと思いますし、
そういう違いはかなりあるとは思いますけど、
冒険家メソッドはそういう意味で第二言語習得の理論にもかなり近いものがあるのではないかと思っております。
それでは、本日も時間になっておりますので、
ムラスペ音声配信はここまでにしたいと思います。
リスナーの皆さんも、もしソーシャルメディアを使ってみたいということがありましたら、
是非、僕のムラスペにコメントなり感想なりしていただければと思います。
それでは、今日も良い一日をお過ごしください。そして冒険は続きます。
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