1. 向井蘭の『社長は労働法をこう使え!』
  2. 第521回 社員から「在宅勤務は..
2025-08-01 16:01

第521回 社員から「在宅勤務は労働者の権利です!」ーあなたならどう答えますか?

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▼番組の概要

在宅勤務は労働者の「権利」なのか?/フルリモートの権利主張/令和4年の判例から学ぶ/東京地裁の教訓/Slackでの社長批判と懲戒処分/フルリモートを前提とする採用/リモート勤務とパフォーマンス低下/アルコール依存/出社拒否は解雇の根拠になるのか

サマリー

このエピソードでは、在宅勤務が労働者の権利であるかどうかについて議論が行われています。特に、実際の働き方や労働契約、最近の判例に基づいて、労働者と企業の関係を考察しています。また、在宅勤務が労働者の権利であるという主張に対して、労働法上の観点からの反論が展開されています。具体的な事例を通じて、在宅勤務に関する誤解や企業の立場が明確にされています。

在宅勤務の要求
こんにちは、遠藤克樹です。向井蘭の社長は労働法をこう使え、向井先生よろしくお願い致します。
はい、よろしくお願いします。
ということでね、今日もお伝えしたいと思いますけれども、
今日、またですね、前回大学教授の方から、
専門型の裁量労働制って学校に行かなきゃいけないんだけど、それってどうなんだっていう話がね、あったんですけど、
それとね、ちょっと関連するような在宅勤務絡みのご質問がありまして、
それを今日はご紹介したいなと思っています。
早速いきましょう。
私の部署では、会社の上長の判断に委ねるという方針の下、業務の特性を考えて、
週3出社、週2の在宅というチームルールで長年うまく回してきました。
ところが先日、部下の一人から、在宅勤務はもはや労働者の権利だと思います。
特別な理由がない限り、出社は強制するのはおかしいのではないでしょうか。
原則、フルリモートにしてほしいですと、ワンオンワンで強く要求をされました。
正直なところ、その部下は在宅勤務の際にチャットの返信が遅れがちで、成果物のクオリティにも波があり、
私としてはもう少し出社をして顔を合わせながら仕事をしてほしいと感じているのが正直なところです。
しかし、彼の言う権利という言葉にどう反論すればよいのか、大変悩んでおります。
そもそも在宅勤務は会社や上司がその必要性や効果を認めて許可するものであって、
社員が一方的に主張できる権利ではないと私は考えていました。
この考えはもう既に古いのでしょうか。
部下から在宅は権利だと主張された時に、管理職の立場としてどのような心構えで対応するべきでしょうか。
そしてまた、チームの生産性や規律を維持しつつ部下を納得、説得するためには、
具体的にどのような言葉で何を伝えればよいのでしょうか。よろしくお願いいたします。
契約と在宅勤務の関係
はい。
いやー、今時の問題ですよね。
これ、超リアルじゃないですか。
超リアルですよね。
めちゃくちゃ気になります。
はい。
権利かどうかって言われたら答えられないですね。
はい。
あの、言葉に詰まっちゃいますよね。おそらく。問い詰められたら。
うん。
ね。
しかも、在宅を認めてたのに、それが無しとかするってなった時には、なおさら。
なおさらね。
ね、ってなりますね。
はい。そうなんですよ。
ズバリあるんですか。
ズバリ、契約によるんですね。まず前提として。
あー、まずね。
あの、もう最初からフルリモート限定契約であれば。
在宅勤務制限みたいな。
そうですね。あの、もう最初からそういった契約であれば、もちろんそれは在宅勤務は権利ですと。
はい。
会社は在宅勤務を受け入れてくださいと。これは正しいです。
ほうほうほう。
ただ、今はそこまでの働き方をやってる人は少数で。
なんとなくコロナきっかけに在宅勤務も一部認めるようみたいになって。
で、来たり来なかったりみたいな人が増えて。
で、それで場合によっては問題が起きるみたいな。そういう事例が多いですよね。
確かに。
状況のね、塩梅で調整していくって感じのね、曖昧な感じがありますね。
基本的には、先ほど言ったように在宅勤務限定じゃなければ、在宅勤務は労働者の権利ではないんですよ。
ないんですか?やっぱり。
はい。だから9時、6時で来てくださいって言われたら、それは行かないといけないんですよね。
であれば、この質問者の方としては、やっぱりそうじゃんって感じですね。
そうですね。この質問者の方が言ってるのは正しくて。
なるほど。
いや、やっぱりフルリモートだとこういう意思疎通がうまくいかなかったり、
まあ、何だろう、指導が、声がけとか指導がうまくできなかったりするからとか、
まあそういうことは理由になるので、それは問題ないので、
自信を持って会社に来て働いてくださいと。
フルリモートはちょっと無理ですと。
まあ一部リモートはもちろん認めますけども、
フルリモートはちょっとうちでは認められないんですよと言うしかないですね。
そうなんですね。このパターンはまさにですけど、
ただ元々週3出社、2は在宅でいいよというルールで運用してましたと。
これを例えば仮にですけども、
この主張者の社員さんはむしろフルリモートしてくれって言ってますけど、
むしろ上司としては、いやもう今度から週5出社でということだってあるわけじゃないですか。
これは例えば、労働者の立場に立てば、
不利益を被ったことになるんじゃないかみたいな話になりそうですけど。
なりそうですよね。要するにもうフルリモート辞めたと。
リモート勤務辞めたとあなた毎日出社してくださいと。
それは適法だと思います。
最近の判例の影響
それは適法ですか?
適法。要は結局契約で考えるんですけど、
もともとフルリモートのリモート勤務が前提になっているような、
そういう契約ではないわけですよね。
ないですね。
なので会社の裁量に委ねられるという、そういう就業規則だというものがあるので、
それはもう辞めて出社してくださいというのはOKなんですよ。
ただですね、令和4年にある判決が出まして、
だいぶ最近ですね。
最近の話題になった有名な判例がありまして、
令和4年の11月16日東京地裁判決というのがあるんですね。
これはどういう事案かというと簡単に言うと、
一応契約上は勤務地は会社ってなってるんですけど、
初日出社した以外は全部フルリモートの方がいたんですね。
仕事はITのソフトウェア開発とか、
そういうエンジニアの方だったらしいんですけど、
子育てがあって、
完全自宅勤務を希望するって転職サイトを通じて応募があって、
じゃあいいですようちはって。
契約書上は本社事務所ってあるんですけど、
実際はもう2日目からずっと在宅勤務だったらしいんですね。
確かに子育て契約には書かれてないけども、
入社のタイミングではフルリモートは一応認めるような
やり取りがあったっていう認識でいいんですか?
そうなんです。
実質もう最初からフルリモート前提のような内容なんですよね。
ところがスラックに社長の悪口を書いちゃったんですね。
スラックで管理者が見れちゃうわけですね。
上の権利の方がね。
それでDMを社長が見てしまって、悪口を言ってることが分かり、
懲戒処分を行い、かつ出社をしろという業務命令を下したんですね。
懲戒処分かつ出社命令。
懲戒処分は出勤停止なんですけど、その後出社しろっていう。
面白い感じの主張ですけどね。
私はフルリモート前提なんで出社しなくて、それで訴訟になったんですよね。
なるほど。
結果は会社が負けちゃったんですよ。
どういう方向に負けたんですか?
やっぱり実態がフルリモート前提になってるんですよね。
初日しか来てないんで会社に。
それで実態を見るとほとんどフルリモートですよと。
なるほど。
だから要は本当に必要性があれば、それは出社を求めるってのはできるけど、
悪口って言ったのは良くないけど、
それは事業員が悪口言ってるのはあるから、経営者のね。
それで毎日出社しろっていうのはやりすぎだってことで会社負けたんですよ。
ただこれはですよ。
もう本当初日からフルリモート、2日目からフルリモートの方で、
社長の悪口っていうちょっと悪口に対する報復ですよね。
そこは結構我々が素人、効率関係なく解釈できそうな観点であってるんですね。
どう考えても来る必要があるってより来れないのを分かって来いって言う。
感情論的報復に感じますね。
この2つがちょっと特殊なんで、実態と報復の業務命令っていうのが特殊なんで会社は負けちゃったんですけど、
例えば最初はもう出勤してたのにコロナで来たり来なかったらいいなって、
やっぱり対面じゃないとうち難しいよねみたいになってですね。
そういった場合にじゃあフル出社お願いしますって、
在宅勤務の権利についての議論
お子さんが病気とかになったら早退していいですよみたいなそういう配慮しながらですよ。
これ業務命令下してたら会社は勝ってますよね。
そうなんですね。
なるほどってかここに対して思考回したことがないだけで、
でも今回答をいただくと結構それはそうだよねって感じではありますよね。
常識的な内容なんで別にへーって感じなんですけど、
やっぱり世の中が変わっちゃったじゃないですかコロナで。
それでやっぱりフルリモートってさせないといけないのかみたいになっちゃってるんでしょうね。
確かにこういった社員さんが出てくるなんてね今まで想定してないですからね。
でも確かにこれを言われた時に、
権利?確かにちょっと待てとダメって言っていいのかとなりますもんね。
でもそう権利はないんですね。
そうなんです権利じゃないっていうのはもちろん契約書、
あと入社の経緯も大事なんですよ。
さっきの反例がそうでしたもんね。
やっぱりスカウトメールとか証拠で出したみたいですよ。
会社からこういうメールもらって、
いやいや子育て在宅でいいですよと言われてますと子育てに配慮をしてあってっていう、
そういうのも証拠にはなるんで。
ちなみにだとするとですよ、
今回の質問のケースのように会社来なさいと、
嫌ですと、行きたくない、
フルリモートがいいんですって権利主張、ただ権利はないよと言っても嫌ですとなった場合、
これは解雇する法的根拠になるんですか?
なるんです。
なるんですかここは?
なるのよ。
実はこれで結構問題社員の人辞めてもらったことあるんですよ。
2件くらいかな。
どういうことですか?
要は明らかに寝てるかどっかで何かやってるとしか思えないぐらい反応がない、
仕事量がほとんどなくなっちゃったとか、極端に仕事しなくなったとか、
あと真っ赤な顔で、
酒?
いやいるんですよ。
ある中になっちゃう人いるの。
それでそれはちょっとってなって、
出社しなさい、
向井さん出社命令出していいんですか本当にみたいな、
そういう相談あって、
いいですよ出していいですよって言ったら退職届が出てくるみたいなのが多かったですね。
逆手に取ったというか。
逆手に取ったっていうかそれが普通だから。
あるんですよ。
なるほど。
そっかそっかでもそういうことですか。
あとは何かあるかな。
もう十分出揃いましたよね。
このパターンは俺以前も触れた気がしますけど、
在宅勤務が認められたから地方に引っ越そうと。
あーはいはいはい。
引っ越しちゃって、
出社強制にそれこそ権利がないので在宅になっちゃった場合に、
今のケースどうするんですか。
それは大手IT企業にありましたよね最近。
それは会社が正しいんですよ。
では引っ越し直さなきゃいけないんですか。
もちろん。
もちろんな感じですか。
もちろんもちろん。
あーそうですか。
そうそうそう。
あーそうですか。
そうなんですよ。
嫌だったら辞めないといけない。
それは辞めさせるためにやってるんだよね。
穿った見方すると。
分かってやってる。
要は現実はですよ。
そんな自己管理できる人少ないんですよ。
企業の立場と労働法の解釈
なるほど。
在宅だから効率が上がるってのは、
労働者目線でそう言ってるだけで、
会社から言ったら微妙な人いっぱいいるんですよ。
まあね、確かに立場が違えばね、違いますけどね。
これを機にもう辞めてもらおうかっていうのは、
心のどっかにあるんです。
そういうことですか。
でもこの在宅勤務、フルリモートとかいうここがね、
実は労働法上、別に権利でもなんでもない、
一歩間違った解釈で、
主張なんて労働者側がした時には、
全然話になってないってことが起きえるっていうことになる。
まあそうですね。
いう事例なんですね。
厳しい言い方するけどそうなりますね。
なるほど。
はい。
面白いですね。
はい。
ということで。
いや、大変勉強になりました。
あ、そうですか。
またちょっとこういった話もありましたら、
是非質問いただけたらと思いますが、
今日のところ終わりたいと思います。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
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