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2016-11-10 22:31

第66回「質問:不採算部門の切り離しに会社分割は有効か?」

第66回「質問:不採算部門の切り離しに会社分割は有効か?」
弁護士の向井蘭が、経営者の立場に立って、労働法の基礎だけでなく、ビジネスに関する法律の問題をわかりやすく解説する番組です。
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向井蘭の社長は労働法をこう使え 法律のもとで展開されるビジネスの世界
ポッドキャスト社長は労働法をこう使えば、弁護士の向井蘭が経営者の立場に立って、経営者が知っておくべき労働法の基礎だけでなく、
ビジネスに関する法律の問題をわかりやすく解説します。
こんにちは、遠藤和樹です。向井蘭の社長は労働法をこう使え。向井さん、本日もよろしくお願いいたします。
よろしくお願いします。
さあ、前回はなかなかいろんな方向に話が広がりまして、盛り上がりました。
今回はですね、また私からすると難しい質問が来ておりますので、ご紹介したいと思います。
33歳の技術職の方ですね。
不採算部門の人員切り離しについて質問があります。
例えば、すでに会社のフォーカスから外れた研究部門の労働者、非効率な総務部の労働者が極端に言えば全く不要だとします。
早期退職制度を設けても全員応募するとは思えません。この場合、以下のような会社分割は有効でしょうか。
2つあります。1つ、その部門を会社分割、小会社化する。多少は資産を持たせるが最低限に抑える。
2、設立当初に3年は親会社から依頼、小会社にとっての売り上げを約束するが、その後は保証しない。
その間に小会社には他社のアウトソース需要を取り込み、一人立ちさせる。
一人立ちできなければ小会社は解散させる。
労働者側のメリットとしては転勤不要、これまでの会社資産はレンタル含めてそのまま利用でき、ビジネスが継続でできる点があります。
会社側のメリットとしては、小会社が利用するため、建物土地の賃料が期待でき、早期退職を払う必要がありません。
お聞きしたい観点としては、会社分割できる条件、本体に残る従業員のケア、
親会社、親子会社における労働組合の反発です。
また、一部切り離し部門のハイパフォーマーな労働者を本体に残すためには、どのような手段がありますか?
例えば、親会社の社内工房を労働組合に提案することは一般に有効と言えますか?
という質問です。
会社分割をご存知ない方がいらっしゃると思うので、ご説明します。
2000年に商法が改正され、1つの会社を2つ以上に分割する制度ができました。
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その際に、今まで別の会社に従業員を移籍させるには、個人の同意が必要でした。
それがスピーディーな組織再編に向かないということで、
雇用と労働条件を維持することを条件に、その分割対象になっている事業に関わっている人が、そのまま新しい会社に移ると。
こういう劇的な、今までの労働法制になかったような、2000年にできたのです。
その時の社会情勢としてはどういう流れでしたか?
バブル崩壊して、まだ金融機関の再編が進んでいたぐらいで、
おそらく水穂銀行ができたぐらいですよね。2000年前後は。
1998年か99年ぐらいに水穂銀行ができたぐらいで、
これから経済は縮小するから、企業の合唱連行と言います。
うまく機動的に組織再編をして、競争力維持する、活性化する、そういう目的で作った制度です。
画期的なのは、個人の同意なく働いている人を移籍させられる、これが当時は画期的で。
ところが、あまり今はそんなに使われていないのです。
雇用と労働条件を保証するのであれば、会社が分割して、個人の同意なくして移籍しちゃってOK。
もちろんいろんな要件があるのですが、基本的には事業とそれに関わる資産を移した上で、労働者を移す。
よく人事休業を計算しているような部門が、総務とか人事の一部を切り離して、企画じゃない方を作業されているような方を、
インハウスみたいな形で子会社化して、そちらの方に転席させるというか、転席して別会社にして、
時には他の外から案件も受けるみたいなこともしたり、みたいな、あのあれですかね。
流行りましたよね。今もやっている大企業は多いですけどね。
名刺を見ると、あれどうしたんですかと、実は分社化しましてという話は、私の新しい所属先はここになりますと。
でもやっていることは同じです、みたいな。
ちなみにそこの分割した先の会社は、資本がどうなっているかは別に、たぶん大抵100%とかなんですかね。
もしくはある程度親会社がかなり持つんでしょうけど、その後その会社のこの方もおっしゃっていたように、
おぉ、財産が合わなくなった場合の切り離しとか出ちゃう時は、その変な話会社が潰れちゃったとか。
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そう、理論上はありますよね。
ありますよね。
もちろんその会社から離れちゃってるから、独立財産で決算もしなきゃいけないし、結構シビアに数字が出ますよね。
そしたら当時よりも給料が下がるとか。
ボーナスが出ないとかね。
それはあって。
十分ありますよね。
なるほど。
経営者側としてもコスト意識を持ってもらって、例えば関節部門だからといって、コスト意識が甘いようでは困ると言って、それで分割することもあったと思いますよね。
なるほど。
ただ会社分割って、ローパフォーマンスの人とか、時代にそがれなくなった部門をリストラするために使う制度じゃないから、この方はどちらかというとそういう目的で使いたいようなので。
そういう風にも確かに読めますよね。
受けられますね。
そういうのってね、雰囲気でわかるんですよね。
なんとなくバレる。
バレるバレる。
それは労働者側から。
労働者側からバレるので、だから例えば将来の話をしてもはぐらかすとかね。
私の退職金とか醤油はどうなりますかって言っても、後ほど説明しますとか言って、ギリギリまではっきり言わないとか。
大幅に今後は労働条件が変わるかもしれないとか。
なんとなく分かるわけですよね、働いてる人は。
えり好みして会社分割はできないから、優秀な人もそうじゃない人もやっぱり移籍させないといけないんですよ。
ですので、もともとリストラするために使う制度じゃないから、まず相当社内政治で反発を受けて、社内政治で説得するだけの力がないとダメです。
法律上できるんだって通用しないから、どっかで潰されたら終わりですから。
この方がどのぐらいバックに政治的なものがあれば押し切れるかもしれないですよね。
なるほど、理論上法的にはこの方がおっしゃる通り、会社分割、子会社化みたいなことは当然できると。
できる。
けどもって話をされてるわけですね。
要件もそんなに難しくないんですよ。この方もご存知だと思いますけど、結構手続き的な要件が多くて。
だけど、労働問題って頭の中で考えてるようにはうまくいかなくて、やっぱり本音、目的、多産、こういうのがどっかで出ると全然うまくいかないんですよ。
例えば、この方最終的には生産ができるとおっしゃっているけど、はっきり書いてないけど生産に伴って辞めさせられると。
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場合によっては解雇できるともしかしたら思っているのかもしれないですね。
自分たちができなければ子会社は解散させると。
できないですよ、おそらく。できない。
理論上は?
理論上は可能ですね。理論が通らないのが労働問題だから。
なんぼでも苦労してますから。
今日は熱量感じますけど。
もう目に浮かぶ。
例えば、どうしてもローパフォーマーの人が希望退職募集しても応募しないと。
どんどん社内はガラガラになってきていると。
もちろん関節部門が独立して、外部から売上なんてなかなか上げられないですから、アウトソーシング部門として。
厳しいですからね。普通の価格競争の給与計算にしたって大変な厳しい社会ですから。
赤字だからつぶつぶってなったとしても、まず解雇して負けるでしょうね。
理屈はわかるんですよ。
負けるはずがないと。生産する場合は解雇は有効なはず。
ところが結局解雇って最終的には社会尊厳上合理的な理由かな?相当性が必要なので。
紫三寸でいいですか?日本語で。
何度でもなるから裁判官の。
例えばこれは形式的には生産解雇だけども、もともとは同じ会社だと。
グループ間の転職転席の圧戦全くやってないと。
やったとしても形式的に全然その協議を進めてないと。
非常に一方的な内容であると。
適応退職の内容も十分じゃないと。
いくらでも難癖つけれるから十分。
親会社で雇用しろっていうのも可能ですよ。
一旦改ざん、子会社の方したけども親会社が引き取ると。
理論上は分割してるけども、事実上この分割自体が最終的にはリストラ目的でやってるものだから。
いろんな例えば法人格の乱用だとかね。
いろんな理屈があるんですよ。
いくらでも使えるから。
だからこういう目的でやると絶対政治的にも失敗するし、法的にもうまくいかないですよ。
どうしたらいいんだということですけども。
やっぱり日本の会社がすごく甘いのは、この人コストが高いとか言っておきながら、努力をしてないんですよ。
コスト下げる。
例えばこの人はこういう仕事をして、年間何本こういう仕事をして、生産性はこういう仕事を何分間でやってるとか、
そういう数字、統計出したことないでしょ、おそらく。
ないですよね普通の。
普通の日系企業はないでしょうね。
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ところが製造業の世界になるとものすごい細かいじゃないですか。
ストップウォッチ系なやつですね。
外資系企業は実はホワイトカラーでもストップウォッチ使って測ったりするんですよ。
勘弁してほしいですね。
勘弁してほしいと思うでしょ。
だけど同じように給料払って能力悪いんだったら、どこがどう改善しなきゃいけないかという努力はやってないでしょ。
なるほど。
全然やってないと思います。
その努力なくしてのいきなりの解雇っていうのは企業努力不十分でしょうという形になってしまうわけですね。
そうだし問題社員の人の場合は仕事任せるとできないし、手間がかかるし、
クレームになるからあいつに任せるのはやめようってなって真空状態になるんですよね。
誰も近寄らない何て言うんだろうな。
何やってるのかわからない人みたいな人が誕生してるんですけど、
それもやっぱり普通はありえないですよね。
そういうところについて何も努力しないでこの人はできない、コストがかかってるって言って首にできるような社会ではないですよね。
研究部門についてもリコウっていう事務機器メーカー、世界的なメーカーありますよね。
大江機器のリコウさん。
リコウさんも欧州金融機器を発端にしてたと思いますけども、
世界的なリストラをして日本でも人員削減したんですよね。
ところが希望退職に募集しなかった人がいて、
どうしても応募してくれないということで出向したんですよ。
出向先がロジスティック部門で、
ロジスティック部門って名前はいいんですけど、
倉庫でダンボールの箱詰め作業を手伝ってるみたいな仕事だったらしいんですよ。
あれは結局リコウは負けちゃったんですけど、最終的には和解したんですけども、
実は裁判官は箱詰め作業自体はそんなに厳しく休断してないんですよ。
判決文で書いてるけど、分量にすると永遠で4,5行?5,6行くらい?
あと永遠と、例えば今まで外注に出してた仕事を正社員がやるのは構わないと、
職種転換も構わないと、それは仕方がないってのを永遠と実は書いてるんですよ。
だけどリコウはよくわからない人選基準で、
しかも3%だか5%の人を選別したって言ってるんだけども、
選考基準がなかったんですよ。
そう期待してたの?出向者の?
出向者のね。なかったの。
説明ができなかったんですよ。どうしてこの人が選ばれたか。
合理的説明なくしての?
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人選基準が曖昧だっていう理由で負けちゃったんですよね。
逆に言うと、人選基準さえしっかりしてれば、
今までの人事制度でマイナス評価が何年も続いてる人とか、
してればいいですよと全然違う仕事をやらせても、
場合によっては箱詰め作業は置いておいて、
例えばロジスティック部門の、何ですかね、
それは総務でもいいと思いますけどね、
今まで外注に出してた仕事をやってもらうとか、
それは構わないと。
本人からしたら屈辱的な可能性ありますよね。
その人、確か開発部門にいた研究者の人だったんですよね。
社長賞を取った人らしいんですよって書いてあったんですけど、
屈辱的じゃないですか。
例えば仮にロジスティック部門のシステム担当とかになったとしたって、
その方からしたらおそらく屈辱的でしょう。
だけどおそらく人選基準がはっきりして理由がついて、
すいませんと賃金を維持するのでこれをやってくださいって言ったら、
勝ったと思いますね。
そういうふうに読める内容だったんですよ、実は。
やっぱりすごく皆さん大企業苦しんで、
余剰人員になったっていう人についても、
なんとか仕事を見つけてですね、
仕事をする方も我慢してやってるわけですよね。
その方も不満があるしプライドも傷つけられて。
っていうので成り立っている労働法の世界だから、
この方おっしゃるようにスパッと切ってスパッと会社生産するっていうのはできないんですよ。
絶対に許せない世界だと思います、この方からすれば。
すごい情緒的非論理的な世界なんですよね、労働問題って。
法律科の先生がおっしゃるのはなんか面白いですね。
実は民法とかって数学に近いんですよ、刑法とか。
パズルみたいな世界なんですよ、実は。
こうなったらこうなるっていう。
労働問題だけはなんかぐちゃぐちゃしてるね。
労働問題というか民法?
民法の応用編になってますね、今の法体系でいくと。
だけど実際の実は本当になんだか情緒的感情的。
すごいですよ、小取引なんか英国非常というか、
最高裁判例なんか、血も涙もないみたいなのいっぱいありますよ。
優しいんですよね、労働問題になると。
優しいというのが逆にカオス化してるのが何とも言えないと思うでしょうけど。
だからちょっとご質問なのでね、もしかしたら答えてないかもしれないけども。
いやいや、そんなことない気がしましたけど。
法的解釈のみでいくと現実としてそれがロジックが組まれないのがこの世界のわけですね。
分社化するにしたって雇用は維持しますと、労働条件は維持しますと。
18:00
その代わり徹底的にコストを削減してコスト意識を高めてくださいと。
初年度の業績目標はこれで、達成できない場合は商用を大幅に減らしますと。
皆さんで事業計画を作ってくださいと。
話し合いをしてこちらから発注しますと、総務業務を。
それでやってみましょう。それは全然問題ない。
やっぱり働く人も変わりますよ。
変わる人はいると思いますけどね、それやってからですよね。
あとね、この方30代の方ですね。
上司の人おそらく50代とかじゃないですか。
場合によっては自分がそういう目に合う可能性があるから厳しくできないですよ、日本の大企業は。
共同体だから。
ルールが確立してるね。銀行とかありますよね。
メガバンクとか。
途中で役職に応じては出向して。
出向先で転職してとか。
その他の給与はこういう内容で保証するとか。
レールができてるんだったら本当にスムーズに進むんですけど。
こういう仕組みを作ってやるっていうのは、外資系とかだったらいいと思うんですけど。
日本の本当に伝統的な形でやると地祭りに挙げられる可能性があるから。
すごく心配です、この方。浮いてないか。
一生懸命なさってると思うんですけど。
本当に経営のトップの人とかが後押ししないと本当に気の毒になっちゃう。
やっぱり分からない抵抗勢力っていうのがいっぱいいるから。
抵抗勢力ってのは大変失礼だけど。
やっぱり自分の生活かかってるから、なんでこの野郎って。
いくらでも政治的に落とし入れることは可能でしょうから。
心配ですよね。
もうちょっとその。
情緒的、人間的なところを少し試しつつ。
人間的というか。
政治的な部分とか。
おそらくダメなかもしれないですけど。
やっぱり分析化するのはいいとしても、真正面からですね。
コスト意識皆さん持ってやってくださいと。
賃金制度変えたっていいと思うんですよね。
分析化した後。
いる人だってわかってるからこのままじゃいけないっていうのは。
仕事の内容に応じてランクを変えるとかね。
でもなかなか難しいよね。
子会社の社長さんが大抵どこかしらの親会社の部長さんが社長になったりするんで。
結局同じ運命共同体だった人間たちに給料下げるとかの制度ってなかなか浸透できないんですけどね。
浸透できないですよね。
頭で考えてるのと全然違うからね。
希望退職も金額によると思うんですよ。
どこまで本気かですよね会社が。
最後に軽くまとめていただいたアドバイスをこの方にいただけるとしたら。
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なかなか非論理的な世界なので。
労働問題は慎重に進めていただいて。
やっぱり結論を急ぐと苦労することが多いから気をつけて進めていただいて。
まずはオーソドックスに応用とかは触れないで。
労働条件も触れないで。
コスト意識を持ってやってもらうという目的で分析化すると。
それがいいんじゃないですかね。
法的な解釈だけじゃなく具体的に何か具体的な事象を見て思っているところがあれば。
今こういう問題を抱えているんだけどとか。
具体的に向井先生の方にいただけると。
それはそれで生々しいご回答もアドバイスもできると思いますので。
ぜひまたシェアしていただけると嬉しいですね。
本日もありがとうございました。
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