ポッドキャスト番組、犬からの伝言です。
この番組は、他の人よりも少しだけ犬と話すことが得意なドッグトレーナー、ひらたじゅんが犬との向き合い方、接し方を犬目線で考えていく番組です。
今日のテーマは、「休む」です。
これまでお散歩だったり、おやつ、記憶、喧嘩とか、割と活動的なお話が続いてきたんですけれども、今日はちょっと視点を変えて、休むということを一緒に考えていこうと思います。
中には、うちの子はいつも元気いっぱいで、疲れることなんてもう知らないのよ、みたいな思っている方もいらっしゃるかとは思うんですけれども、実はあなたの愛犬もちゃんと休めていない可能性があります。
犬は1日の半分以上寝て過ごすのは皆様ご存知かと思います。
でも、この睡眠の質というのが低いとイライラしたりとか、問題行動と言われるものが増えたりとか、免疫力が下がったりとかっていうのも起きてきます。
今回のお話を聞いていただくと、あなたの愛犬が本当に休めているのかというサインが分かったりとか、質の高い休息を提供する方法っていうのが見えてくるかと思います。
特に毎日お散歩に行かなきゃというプレッシャーからも少し解放されるかもしれませんので、最後までお楽しみください。
まず、犬の睡眠について基本的なことからお話をしていこうと思うんですけれども、犬は1日何時間寝ると思いますか?
これはワンちゃんと今一緒に過ごされている方とか、逆に難しい問題なのかもしれないです。
ワンちゃんは、生犬では12時間から15時間、子犬とかシニア犬だと18時間から19時間の睡眠時間が必要だと言われています。
子犬とかシニア犬の場合は人間の約2倍程度必要なんです。
そんなに寝てるって思う方もいらっしゃるかもしれないんですけれども、実は犬の睡眠には大きな特徴というのがあります。
この特徴というのは、睡眠の約80%が浅い眠りということです。
犬の睡眠は、レム睡眠とノンレム睡眠、人間と同じで2種類に分かれています。
深い眠りはわずかこのうちの20%、ノンレム睡眠はわずか20%しかありません。
これは野生時代の名残で、敵に襲われた時にすぐ逃げられるように常に警戒態勢を保っているという犬の習性です。
さらにちょっと興味深い研究結果がありまして、犬は浅い眠りと覚醒を約20分間隔で繰り返しているという報告があります。
つまり人間とは違ってぐっすり寝ているように見えても、実は20分ごとにちょっと起きかけてまた深い眠りに入って、ちょっと起きかけてまた深い眠りに入ってというのを繰り返しているんです。
なので長時間寝る必要があるんですね。
そしてもう一つハンガリーの研究なんですけれども、犬の睡眠中のノウハウを測定したところ、人間と似たパターンというのが見られたそうです。
この研究ではシグマ波というノウハウが犬の学習にも関連しているということがわかってきたそうです。
つまりですね、犬も人間と同じように睡眠中に記憶を整理して学習の内容を定着させている可能性というのが高いんです。
以前ですね、記憶のお話もしましたけれども、トレーニングで教えたことが定着するのも、実はそのトレーニングをした日の夜にちゃんと寝られたかどうかが影響している可能性も大にしてあるということですね。
この睡眠というのはただ体を休めればいいというだけではなくて、人間と同じように心の整理、記憶の定着、成長ホルモンの分泌、免疫細胞の活動とか犬の健康にとっても不可欠なものになります。
じゃあですよ、あなたの愛犬がもう休みたいと思っている時、どんなサインを出しているかあなたはご存知でしょうか。
実はカーミングシグナルとして知られる多くのサインが、疲れた休ませてのメッセージでもあります。
家の中とか散歩中に見られるこのカーミングシグナル、もう休みたいよって伝えている5つのサインというのをご紹介したいと思います。
1つ目はあくびを頻繁にする。あくびは眠いのサインだと思われがちなんですけれども、犬の場合は緊張不安、疲労のサインとも言われています。
散歩中に何度もあくびをするようだったら、もう疲れたとかペースを落として帰りたいって言っているのかもしれません。
2つ目、地面の匂いを必要に嗅ぐ立ち止まる。散歩中頻繁に立ち止まって同じ場所の匂いをずっと嗅いでいる。
これはもちろん情報収集でもあるんですけれども、ちょっと休憩したいとか、ペースが早すぎるよっていう風に伝えている場合もこんな行動が出てきます。
3つ目はパンティングです。ベロを出してハッハッハッと激しく息をする。これは暑い時期だけじゃなくて過度なストレスだったりとか疲労でも起こります。
これは体温調整とストレス反応両方の意味があるんですね。
4つ目は体を震わせる。水にも濡れてないのに体をブラブラブラって震わせることってありませんか。
これは緊張から解放された時のリセット行動でもあるんですけれども、一度落ち着きたいというサインでもあります。
5つ目は飼い主の足元で座り込む、伏せる。お散歩中に急に座り込んだり動きたがらなくなる。これはもう体力の限界か安心できる場所で休みたい、あなたのそばで休みたいというメッセージです。
こういうサインが複数出ている時は、あなたの愛犬からすると、もう今日はお散歩十分です、のサインかもしれません。
じゃあですよ、どんな時に犬は疲れてストレスが溜まるんでしょうか。
これも意外と見落とされがちなんですけれども、良かれと思ってやってることが実は犬を疲れさせているケースというのもいっぱいあります。
具体的な場面で説明していきたいと思います。
一つ目は前回お話しした喧嘩の翌日です。
前回のエピソードで犬同士の喧嘩についてお話をしたんですけれども、その時にアドレナリンが10分から15分ぐらい持続して、コルチゾールっていうストレスホルモンですね。
これは何時間も体の中に残るというふうにお話をしたかと思います。
つまりですね、昨日ドックランで他の犬と喧嘩になった。で、散歩中に知らない犬に吠えられて怖い思いをした。
こんな日の翌日は見た目は普通でも体の中ではまだストレスホルモンが残ってたりとかするんですよ。
なので飼い主からしたら、昨日喧嘩しちゃったから今日はたくさん遊ばしてあげようと思ってお散歩にいっぱい連れて行こうとされる方もいらっしゃるかもしれないんですけれども、
今日はゆっくり休ましてあげようが正解です。
2つ目の場面は長時間の散歩やドックランの後です。
もう昨日1時間以上散歩した、ドックランでも2時間も走り回ってた。
こんな日の翌日っていうのはあなたの愛犬も人間でいう筋肉痛の状態になってるんですよ。
関節とか筋肉が回復する時間っていうのも同じく必要になります。
特にドックランっていうのは他の犬と走り回ってすごく楽しそうじゃないですか。
でもあなたの愛犬からすると興奮しすぎて自分で疲れっていうのに気づいてないことっていうのがあるんですよ。
つまりオーバーワークの状態になってしまってるんですね。
帰宅後ぐったりして動けなくなるようであれば、かなりの疲れが溜まっているのでその翌日っていうのは休息日にしてあげましょう。
3つ目の場面は動物病院に行った日です。
もうあなたの愛犬からしたら病院に行くだけで大きなストレスなんですよ。
待合室ではいろんな子の声が聞こえてきたりとか、普段嗅ぎ慣れない匂いがしたりとか、いろんな人の往来があったりとかして緊張状態。
診察台の上では何をされるかがわかんなくて恐怖の状態。
注射の痛みだったりとかもあると思います。
帰宅後には落ち着いているように見えるかもしれないんですけれども、心の中では興奮状態が続いていることがあります。
ワクチンの接種後とかトリミングの後とかも同じで、お疲れ様の意味でその日はゆっくりさせてあげましょう。
4つ目の場面は環境の変化があった時です。
引っ越し、模様替え、新しい家族。
こういう変化の後というのは数時間は精神的に疲れやすい状況というのが続くんですね。
飼い主さんによっては早く慣れさせなきゃと思って無理やり活動させたりとかするかもしれないんですけれども、
無理に活動させるよりも新しい環境でゆっくり休めるようにサポートをする方が結果的には早く適応できるようになります。
5つ目の場面はトレーニングを頑張った日です。
新しいコマンドを教えたとか、あとは苦手なトレーニング、例えばマテンを何回も練習した。
こんなトレーニングの日は脳をフル回転させてるんですよ。
この頭を使うことっていうのは体を動かすこと以上に疲れるんですね。
前回の記憶の回でお話をしたんですけれども、学習内容が定着するのは睡眠中です。
頑張った日の翌日はしっかりと休ませることで学習効果がさらに高まります。
こういった5つの場面の後は無理に散歩に行かなくても大丈夫です。
むしろ休息を優先することが愛犬の心と体を守ることにもつながります。
ジャーですよ。犬からの伝言を聞いていただいている方でも多いとは思うんですけれども、
健康な犬は毎日の散歩が必須ですって思っている方多いんじゃないでしょうか。
もちろんお散歩は犬にとっても大切な活動です。
ただその日の犬の状態を見て判断するという視点も同じくらい大切だと私は思っています。
犬と割合このDNA配列とかが近いと言われている狼、
野生の狼も毎日何時間も歩くわけではないんですよ。
狩りに出て狩りが成功した後、狩りの後は数日休息をします。
活動と休息のサイクルが整っている方が野生の狼にとっては自然なんです。
またもう一つ動物福祉の考え方というのがありまして、
5つの自由、5フリーダムスと呼ばれるようなものがあります。
この中の一つが苦痛、障害、失病からの自由という項目があるんですけれども、
無理なお散歩はこの苦痛に該当する可能性があります。
特にさっき言ったようなカーミングシグナルでも歩きたくないって言ってるのに
飼い主さんが毎日1時間は散歩しないといけないって思い込んでしまっている場合
っていうのはこれに該当する可能性というのがあります。
お散歩を休んでいい日というのもあるんですよ。
特に前日に長時間遊んだ体が疲れ切ってる日、
人間だって激しい運動、ジムに行った翌日とか筋肉痛になるじゃないですか。
これは犬も同じです。
あとは天候が極端な日、猛暑だったり、極寒、大雨、台風、大雪、
こういった日は熱中症とか糖症のリスクがあるのに無理に行く方が危険なんですね。
あとは体調の変化がある日、
今日はなんかいつもより元気ないな、なんか足引きずってるな、食欲がないな、
こんな時は無理にお散歩に行かずに様子を見てあげましょう。
で、このお話をするとね、やっぱり飼い主さんから
散歩に行かないと運動不足にならないかとか、家の中で暴れちゃわないかとかって聞かれるんですけれども
1日散歩休んだぐらいで健康に悪影響が出ることはありません。
むしろ無理にお散歩に行って関節を痛めたりストレスをためることの方が問題なので、
今日は休もうっていう判断ができることもいい飼い主さんの条件だと私は思ってます。
じゃあ、お散歩を休んだ日、お家でどうやって過ごせばいいかなんですけれども、
これが一番大事かもしれないです。
寝ている犬を無理に起こさないということですね。
もちろんお子さんがいる家庭であれば子供にも寝ているとき休憩中は触らないであげましょうねというルールを徹底してあげてください。
あとはねもう可愛い愛犬の寝顔なんで写真とか撮ってインスタとかにあげたいと思うんですけれども、
やっぱり写真を撮ってパカシャっていう音がすると眠りの浅い時だとねそれがノイズになってしまうので、
写真を撮るのもなるべく控えてあげてください。
休憩中には触らないでゆっくり休ませてあげるというこの飼い主さんの寛容さ、この存在自体が安心の証にもなります。
じゃあ先ほど毎日お散歩に行かなくてもいいよと言ったんですけれども、
お散歩を休む日の過ごし方、こんな例もちょっと挙げておきたいなと思うんですけれども、
外でしか排泄ができない子は特に朝短時間の外勤も5分から10分程度で大丈夫です。
庭とかベランダとか家の前ちょっと5分10分歩いてみて、
トイレだけ外で済まして帰りましょう。
お昼ぐらいになったらチーク玩具でゆっくり遊んであげてください。
これも15分から20分程度でいいかなと思います。
もうその後は静かな音楽をかけてリラックスタイムをして、
夜になったらブラッシングマッサージ。
飼い主さんがそばでゆったり、スマホでもいいですし本でもいいですし、
あとはネットフリックスなんかちょっとテレビの音を小さめにして見る。
こんな過ごし方でもあなたの愛犬からしたら十分豊かな1日になりますし、
しっかりとした休息が取れる1日でもあります。
大切なのは活動と休息のバランスです。
散歩も遊びもトレーニングも全てはこの休息っていうのがあってこそ意味を持ちます。
そろそろまとめて参りましょう。本日の犬からの伝言です。
1つ目、休むことは次の活動のためのエネルギーチャージです。
2つ目、今日は休もうと判断できることもいい飼い主の条件です。
3つ目、質のいい休息があってこそ散歩も遊びも意味があります。
さあいかがでしたでしょうか。本日は休むというのを一緒に考えてみました。
もちろんこうやって毎日お散歩に行ってあげなきゃっていう先入観っていうのもどうしても持っているので、
散歩に行ってあげたくはなるんですけれども、毎日散歩に行くこと自体がいい飼い主の証ではないです。
その子その子によって遊びのペース、遊びたい時間の長さ、遊びに行きたいこのタイミングっていうのは全然違うので、
あなたの愛犬の様子をよく見て、今日は休もうって判断できること、これも大切な愛犬のケアです。
あなたの大切なパートナーだからこそ、今日はお休みが必要かなっていうふうにコントロールをしてあげるっていうのも大事なんじゃないかなと思います。
次回なんですけれども、本日ちょっとだけお話ししました、この家の中での豊かな過ごし方というのをお話ししていきたいと思います。
これは環境エンリッチメントと呼ばれるものなんですけれども、散歩に行けない日でも家の中で犬の心を満たしてあげるみたいな方法を具体的にお伝えしていこうと思います。
今回のエピソードから新しい発見があった方はぜひ身近な誰かとシェアしていただけると嬉しいです。
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それでは今回もお散歩お疲れ様でした。気をつけてお帰りください。
少しだけ犬と話すことが得意なドックトレーナーひらたじゅんでした。