ポッドキャスト番組、犬からの伝言です。
この番組は、他の人よりも少しだけ犬と話すことが得意なドッグトレーナー、
ひらたじゅんが犬との向き合い方、犬との接し方を犬目線で考えるポッドキャスト番組です。
今回は、みなさんと一緒におやつについて考えていこうと思います。
今日のテーマなんですけれども、もしかしたら昨日も今日も、
下手したらあなたが今もやっていることかもしれないんですけれども、
愛犬がいい子にしてくれたとき、おやつをあげるっていうのは、
これとてもいいことなんですけれども、
ちょっとしたやり方で犬が全く違う意味に受け取ってしまっているケースというのもすごく多いんですよ。
でも、この話をした時点でまた何か言われるかもってね、
身構えている方もいるかもしれないんですけど、
決しておやつの使い方を否定するものではないので、
一緒に学んでいただければと思います。
まずお話ししたいのは、そもそもなぜおやつを使うのかというお話ですね。
おやつは犬にとって本能的な嬉しいこと。
だから行動を強化しやすいんですよ。
この行動強化という言葉がなかなかわかりづらいとは思うんですけれども、
犬の行動に対して人間が何かをする。
それによって犬がその行動をまた再度起こすというのが、
犬の行動の強化というふうに思っていただければ良いかと思います。
例えばお座りと声をかけたら、
あなたの愛犬が座ったのでおやつをあげました。
これでまたお座りが出やすいように行動を強化したということです。
またおやつに関してはこんな実験があったそうです。
この研究は2021年ポルトガルで行われた実験で、
イエイラ・デ・カストロさんという方が行った実験談そうなんですけれども、
30頭前後の犬を対象に報酬中心のトレーニング。
報酬がわかりやすくおやつであったりとか、
褒めてあげることも報酬にはなってくるんですけれども、
こういったトレーニングをしたグループと罰を少し混ぜるトレーニング。
できなかった時にちょっと怒ったりとかしたんでしょうかね。
ここの2つのグループを比較した実験。
結果としてはもちろん報酬中心のトレーニングの方が行動が安定して、
飼い主との関係も穏やかに保たれて、
両方を混ぜる、罰も混ぜて報酬も混ぜてという行動なんですけれども、
こちらは不安定になったりとか、犬の行動というのがブレやすかったそうです。
つまり報酬は犬にノイズの少ない安心できる環境を提供して、
安定した行動を引き出すことができるツールだと思ってます。
例えばチュアワちゃんとかでもたまにいるんですけど、
歩かない子、お散歩に来たのに全く歩かない子っているじゃないですか。
ああいう全く歩かない子っていうのも一緒で、
歩かないからおやつを出して、
はいこっちおいで、歩いておいでっていう風にする方が
結構いらっしゃると思うんですけれども、
これもですね、やり方を間違えると
歩かずに止まるとおやつがもらえる
という風に強化している可能性があります。
3つ目の場面はですね、吠えやむタイミングがずれる場面です。
例えば郵便屋さんが来ました。
ご近所さんに迷惑をかけたくない。
こんな優しい飼い主さんの方に多いのがこのパターンなんですけれども、
ドアホーンが鳴ると犬が鳴き出してしまいました。
で、おやつをワンちゃんにあげて、
おやつに集中してもらいましょう。
その間に飼い主さんは玄関に行って、
郵便屋さんから物を受け取って、
郵便屋さんをやり過ごす。
これは本当に飼い主さんの気持ちは痛いほどわかるんですよ。
特に集合住宅で住まわれている方とか、
やっぱりお隣とかに声が響いちゃうと思ってらっしゃる方もいると思うので、
本当にこれは痛いほどわかるんですけれども、
これではですね、泣きやむどころか、
このお家という空間に部外者が来た。
だから吠えました。
ということに対して報酬を与えて、
行動を強化してしまっている可能性が高いです。
この場面1、2、3、どれも共通して言えることは、
みんなすごく優しい方で優しい行動なんですよ。
優しい行動だからこそもっとやってあげてほしいし、
あなたの愛犬もおやつがもらえて幸せなんですけれども、
ちょっとだけ歯車が噛み合ってないという方も多いです。
だからこそ少しだけ正しい方向に微調整できればなと思っております。
今挙げた例のような行動をしていて、
ドキッとした方ももしかしたらいるかもしれませんが、
これはあなたに問題があるわけではなくてですね、
理由がちゃんとあります。
この理由3つです。
1つ目、犬よりも人間の時間間隔が長いことです。
2つ目、優しく対処してあげたいという思いです。
3つ目、犬の無言の学習が見えづらいという事実です。
1つ目の理由はですね、犬は行動してから
0.5秒から1秒ないしの報酬が一番効果があります。
なのでお座りであれば、
我々トレーナーは犬がお尻を地面につけた瞬間に報酬を出します。
この0.5秒から1秒の時間の短さ、
その間にあなたの愛犬も動き続けているので、
このタイミングをしっかり見極めることが大事なんですね。
お座りをしてからポーチの中に手を入れて、
おやつの袋を取り出して、
おやつをちぎって、
よくできたねって言ってあげても、
お座りしてからは数秒経っているので、
犬は何でもらえたかが理解できません。
2つ目の理由は、
誰でも可愛い自分の愛犬に怒りたくはないじゃないですか。
とはいえね、
いつもいつもお仕事行く前で忙しい時とか、
犬の目、耳、鼻、
あとは尻尾、重心と、
あとはエネルギーとかを見極めて、
今はどういう感情が勝っていて、
次はどういう行動に出るのかなんて、
神経を張り続けるのもなかなか難しいと思うんですよ。
そこで困ってしまったら怒らなくてもいいし、
犬が喜ぶ方法で、
といった感じでおやつをあげる、
ということが困った行動を強化してしまっている、
ということになりかねないと思います。
3つ目の理由は、犬は言葉をしゃべりません。
これはあなたの愛犬だけではないのでご安心ください。
言葉をしゃべらないから、
今あげたタイミングが最適だったのか、
犬はなぜもらえたと思っているのか、
犬は何が強化されたかを聞くことができないんですね。
ただし最初に言ったように、
犬は本能的におやつが好きなので、
もうあげれば食べるし、
嫌がることじゃないから別にあげてもいいか、
私も癒されるし、
犬が何を学習しているかは別として与えている方も多いと思います。
犬よりも人間の時間間隔が長いということ、
優しく対処してあげたいという気持ち、
犬の無言の学習が見えづらい、
この3点が正しいおやつを与えられない大きな原因だと思っています。
他にはこんな研究があります。
この研究は2018年イギリスで行われた実験で、
アニカ・ブレムホルストさんという方が行った実験なんですけれども、
16頭の犬に同じおやつか毎回ちょっと違うおやつかを
選ばせる実験を60回以上繰り返したそうです。
結果としては毎回同じおやつではなくて、
毎回ちょっと違うおやつを選んでいたそうです。
これは実践のトレーニングにも非常に役立つ部分なんですけれども、
愛犬家の皆さんはですね、
よくペットグッズがいっぱい並んでいるお店に行かれると思います。
もうすぐテリーも誕生日だからおやつでも買っていこうかな
なんて感じでおやつコーナーを見てみると、
すごい量が並んでいるじゃないですか。
どのおやつが良くてどのおやつが良くなくて
と悩んでいる方もいるとは思うんですけれども、
一番の選定基準はもちろん安全であることです。
商品として売っているものなので安全ではもちろんあるんですけれども、
アレルギーはどうかとか、
あとは特に小型犬の場合喉につまらないかとか、
こういった安心安全の基準というのが第一になってきます。
二つ目は何と言っても愛犬の好みですよね。
レバーが好きだったり、ささみが好きだったり、
豆腐じゃないと食べなかったり、
愛犬の好みはあなたが誰よりも知っていると思います。
さあいよいよ何を選ぶかです。
ペットコーナーでよく見る商品を大きく分けていくつか紹介していきますが、
まずは最近主流でよく見かけるフリーズドライ、エアドライと言われるものですね。
これがですね、結構好きな子が多いです。
このフリーズドライ、エアドライ系というのはかなり犬にとっては美味しいらしくて、
反応が非常に出やすいです。
で、めちゃくちゃ美味しいので、
新しい行動の学習の時のトリーツ、報酬としては向いていると思います。
ただですね、これが日常化してしまうと、
このフリーズドライ、エアドライ系というのが美味しすぎちゃうので、
他のおやつへの反応がなくなっちゃうんですね。
なので、もうフリーズドライ、エアドライじゃないともう動きません。
もうこれ以上美味しい味知っちゃってるからっていう感じになっちゃうことがあったりとか、
あとは判断基準が行動ではなくて、
おやつがあるかないかっていうのになりやすいです。
なのでお座りって言っても、お座りをすること自体が大事なのではなくて、
これやっとけばとりあえずおやつもらえるんでしょって覚えちゃって、
おやつがもらえないということが分かると、
お座りをしなくなってしまうという行動にもなりかねません。
なので、トレーニングされる方、もしくは家であげる方は、
難しい場面だったりとか、
あとは新しいことを学習する際に使うのをお勧めしてます。
2個目はナチュラル系、無添加系と言われる、
添加物とかも入ってないし、自然の食品で作りましたみたいな感じのやつですね。
これはもちろん犬の体のことを思うと安心して使いやすいし、
日常的にあげても安心できるものではあるんですけれども、
報酬としては特別感はちょっと弱めにはなっていくのかなと思います。
なので、このナチュラル系とか無添加系っていうのは、
人間で言うとちょっと質素なご飯っていうような感じにはなるので、
日常生活の中のおやつ、ご飯とはちょっと違ったおやつであったりとか、
っていう使い方がいいのかなと思います。
トレーニングとはちょっと別の軸がいいかなと思います。
3つ目は昔からよくあるジャーキーとか、
こういうミート系って呼ばれるものですね。
噛みごたえが結構あるようなもの。
こちらはずっと噛んでられるので、
ナイシーは噛んでる間ずっと味は出るので満足感が高いんですよ。
なのでストレス緩和とかにはすごく使いやすいかなと思うんですけれども、
デメリットとしては噛む時間が長いんで、
お座りって言ってからジャーキーをあげても、
お座りで地面にお尻をつけました、ジャーキーあげました。
で、ジャーキーウマウマウマウマウマウマウマウマウマウマっていう風に噛んでると、
あれこれジャーキー今食べてるけど何で食べてるんだっけ?
っていう感じになってしまうことが多いです。
なので学習のテンポっていうのがちょっと崩れがちになります。
どちらかというと行動した後に、
はいじゃあ今日のトレーニング終わり、
じゃあジャーキー食べておいでっていう感じで、
締めとして使うのがいいのかなと思います。
他にも機能性のおやつと言われるデンタルケアであったりとか、
腸内ケア、あとは毛玉ができづらいですよ、
毛艶を良くしましょうみたいな、
こういう健康管理に役立つものっていうのもあります。
ただこれもやっぱりご褒美としては弱いというところもありますので、
トレーニングとは分離してもいいんじゃないかなと思います。
また特に体内のこと、
人間、私たち飼い主いくら愛していても見えないので、
お医者さんなんかに相談しながら選んでいくのがいいんじゃないかなと思います。
他にもアレルギー対応のものとか、
環境配慮系のもの、昆虫食なんかもいろいろあるんですけれども、
この辺はもう本当に好き嫌いが大きく分かれる部分なので、
まずは試してみて好きそうならっていったような感じでしょうか。
最後ですね、手作り系、家庭素材系と呼ばれるものなんですけれども、
これは本当に注意してください。
やること自体は否定はしないんですけれども、
やるなら中途半端じゃなくてしっかりと犬の体を理解して、
筋肉の作り、骨の作り、細胞の作り、毛の作りとか、
内臓がどういうふうに働いているのかとか、
こういったものをしっかり理解して、
食品にもどういった栄養が含まれているのか理解をした上で、
ちゃんと作らないと毒にもなり得ます。
僕自身この辺に関してはまだまだ勉強中なので、
もちろん多くは言わないんですけれども、
その段階の僕が見ても、
SNSとかを見ていると恐ろしい情報がたくさんあります。
またこれだけは言っておくんですけれども、
あなたが時間を削って手間暇かけて、
愛情を込めてお家で作ってあげるという行為は、
犬自身には全く関係ないことです。
飼い主の気持ちというのを乗せすぎないようにしてあげてください。
愛犬の健康と安全を第一に考えてあげていただければいいかなと思います。
ここまで聞くとわかると思うんですけれども、