ピアノの個体差
おはようございます。MORNING NOTEにようこそ。平瀬楽器の平瀬智樹です。
今日は、同じピアノなんて1台もないという話、というタイトルでお話をさせていただきます。
ピアノってね、実は1台1台全く違う性格を持っているって言っても過言じゃないんですよね。
同じメーカーでも、同じ型番でも、置く部屋とか、弾く人によって本当に育ち方が変わっていきます。
今日は調節師として、その現場で感じているピアノごとの癖みたいなお話をしてみたいなと思います。
この番組は兵庫県三沢市にあります平瀬楽器がお届けする毎朝10分ぐらいの音楽トーク番組です。
ピアノのこと、教室のこと、イベント作りや動画制作の裏話まで、音楽と街のちょっといい話を毎朝少しずつお話ししています。
朝の支度とか、通勤のお供に耳だけご参加ください。
今日は11月17日月曜日。
月曜日はピアノの耳頼りということで、ピアノに関するお話をさせていただいている日なんですが、
今日はですね、調節の現場でよく感じているピアノの癖みたいなものについてお話をしたいなというふうに思います。
ピアノってね、例えばヤマハのピアノやったらヤマハのピアノ、かわいいのピアノやったらかわいいのピアノ、いろいろあるんですけども、
このヤマハの、ヤマハやからこういう音ですよねって結構言われたりします。
そういうのもあるんでしょうけれども、実際はね、そのヤマハのピアノだからこうとか、かわいいのピアノだからこうとか、ヨーロッパのピアノだからこうとかいう以上に、
その個体差っていうのがあるんですよね。
その個体によってもちろん癖っていうか、性格が違うのと一緒で、
例えばその置かれている部屋の広さとかね、置かれている温度とか質度、あと床の材料とかね、弾く頻度とかによってもやっぱり変わってきます。
こういう要素でどんどんどんどんそのピアノの音はそのお家の音になっていくんですよね。
僕ら、調節行かせていただくと、初対面のピアノの場合、まずそのご機嫌うかがいじゃないんですけども、
どんな感じなんかなーって、このピアノどんな感じなんかなーっていうところから始まるんですよ。
ざっと触ってみて、あ、なるほどーっていうのがあるんですけど、
例えばそうですね、毎年ピアノの調節をされているようなピアノで、たまたま初対面だった場合とかは、
触ってみて、あ、そっか、高音が結構狂ってるなーとか、低音があんま狂ってないなーとか、中音が全然鳴らへんなーとか、
鍵盤が戻ってこーへんなーとか、ハンマーがちょっと戻りが悪いところがあるぞーとか、
そういうのをさっと見るんですね。そこで見て、何があったのかなーって考えながら仕事を始めるっていうのがよくあるパターンなんです。
例えば、同じヤマハのアップライトピアノ、例えばYU-33とか機種がいろいろあるじゃないですか。
それでもですね、しっかり弾きこまえてて定義的に調節していると、本当にすっきりした音で、はきはきしたっていうかね、そういう風な音が鳴りますし、
他にも極端な話ですけども、音はすごい綺麗なんですけども、鍵盤が重いなーとか、
あと湿気でハンマーとかが膨らんじゃってて、全体的にボンボン鳴ってるようなピアノとか、いろいろあります。
同じ品番で、例えば製造時期も大体同じ、やとしても性格がバラバラなんてこともあるんですよね。
各お家で製造の時期が同じものが近所になるってことはほぼないんですけども、
例えば公共の施設、幼稚園さんとか市民センターみたいなところであれば、同じタイミングでピアノ2台とか買うじゃないですか。
そしたら同じような製造番号のものが2つ来たりするんですよね。
そういうのを見ていると、こんだけは同じ時期に作ってるけども、こんだけ性格が違うんだなっていうのが見て取れるので面白いんですよね。
これなかなか一般の家庭1台だけではわかんないことなんですけどね。
置く場所の影響
あと置く場所でやっぱり変わってきます。
リビングに置いているピアノっていうのは、すごくよく響く傾向にあるなというふうに思います。
リビングって言ってもお家によっていろいろなんですけども、フローリングだと音はすごく跳ね返りやすいですし、
例えば和室に置くと畳が音を吸うので随分音が柔らかく感じることがあります。
うまく言って柔らかく、悪く言うと音吸われちゃうんですね。あんま鳴らへんとかね。
あと外の壁の窓に近づけておくと温度差とか減度差があって狂いやすいのかなというふうにあります。
最近だと床暖房があるお家とか、あと24時間換気って言ってね、ずっと部屋とか家の中を換気してるようなお家が結構あるんですよね。
そういうところっていうのはそれなりに音がどんどん変わっていっている傾向にあります。
特に床暖房なんかするとですね、ピアノがカッサカサになるので、あーあーっていう感じのちょっと残念な感じになったりするんですよね。
だから僕は床暖房はちょっとピアノにはあんまり良くないと思ってまして、
もしされてるんであればちょっと違うところにピアノ置きませんかとか、ここだけ切れませんかみたいな話をよくするんですけども、
それぐらいやっぱり置く場所によって音はどんどん変わっていっています。
あとはやっぱり弾く人によってもピアノって音がだんだん変わっていってまして、
調律の重要性
すごい優しいタッチの人、悪く言うと弱いタッチのピアノの人っていうのはどうしてもピアノ全体が優しい音になります。
優しいっていうのはよく言ってなんですけども、普通に言うとあんまり鳴らないピアノに育ってしまいます。
で、はっきりパンパンパンパン弾くようなピアノっていうのはやっぱり全体的にアタック音が強くなりやすいです。
これ本当にね、ピアノの方がそっちにこう慣れていくというか向かっていくんでしょうね。
もう本当にお家によって全然違う音になってくるんですね。本当に音に反映されるというか、そんな感じなんですよね。
なので調律っていう作業はもちろん音を整えるっていうのが仕事なんですけれども、
そのピアノに合う落とし所っていうのを作り出すような作業なのかなというふうに思います。
マニュアルっていうのはもちろんあるんです。手順みたいなマニュアルはね。
あるんですけれども、やっぱり癖っていうのが絶対ありますし、もっと言うと調律師によっても癖も絶対あるんですよね。
だからその癖をなんとなくざっと感じた上で、じゃあこのピアノはこういうふうにしましょうかっていうふうに合わせていくっていう、
気持ちのいいポイントに落とし所を決めてやっていくっていうのが仕事なのかなというふうに思います。
例えば、一般的にこのピアノはこんなになっているのが不自然なので、ちょっと音を落としましょうみたいな感じにすると、
それってやっぱり心地よくなくなると思うんですよ。そのうちの人にとっては。
だからそのうちの人にとって、鳴りすぎてるっていうのは別なんですけれども、
普通によく鳴っているのであればその方向で鳴らしてあげるっていうのがいいのかなというふうに思います。
あとはそうですね、鳴ってないピアノの場合はもうちょっとどうしたら鳴るのかなっていうのを考えたりします。
数日前もお話、1週間前かなお話したと思うんですけれども、
例えばアップライトピアノの背中と壁との距離がぴったり付いててあんまり鳴らないっていう場合は、
壁から少しだけ離しておきませんかっていうこともお話しますし、
ピアノの調律とその重要性
カバーがガバッとかかっているのであればこのカバー取りませんかっていうすごい単純なところからお話しますし、
他に調律でなんとかなる部分であればこういうふうにしたいんですけどっていうふうな話をさせてもらってから、
OKいただいたらこういうふうにしましょうかっていうふうにしたりしますね。
例えば鍵盤の高さがちょっと低いとなると、鍵盤の高さがちょっと低いとですね、
鍵盤のストロークが抑える部分が少なくなるので、どうしてもやっぱり力が伝わりにくくなるんですよ。
なので大きい音とかが出しにくくなります。
それを基準の寸度からすると狂っているのであれば基準の寸度通り合わせませんかっていうふうな話をします。
そういうふうにやっていると、それで嫌っていう場合はもちろんそのままいくんですけども、
そこがやっぱり気持ちがいいポイントっていうのがあると思うので、
そういうところに合わせていくっていうのが調律の仕事なのかなというふうに思いますね。
ピアノって工場で作っていて、日本のピアノって工業製品だよね。
ヨーロッパのピアノは一代一代手作りだからすごくいいよねっていうふうによく言われます。
もちろんそこはなんとなくわかるんです。ヨーロッパのピアノは一代一代手作りではないにしても手がかかっているところはたくさんあります。
日本のピアノは確かに工場で作っています。
でも、やっぱりピアノって確かに工場で作っているけれども、出てきて、皆さんが置いて弾かれている段階で、
どんどんそのピアノだけの音になってくるんですよね。
職人ってわけではないんですけども、一代一代違うものになっていっています。
一代一代違うピアノだからこそ、毎回毎回ピアノの調律に行くのが面白いですし、
逆に毎年毎年行っているピアノっていうのは大体こういう傾向にあるようになってわかるから、
仕事も早いですし、じゃあ今年はこういうことをしましょうかっていうことがなんとなく作戦が練れるんですよね。
すごい10年先のことはわかんないですけども、来年再来年こういう風な音にしておきたいから今こういうことをしておきましょうかっていう積み重ねができるっていうのが、
この生のピアノの面白いところ。電子ピアノにはできないところなのかなというふうに思います。
だからこそやっぱり電子ピアノでは残念ながらそんなに上手にはならなくて、
ピアノだと上手になるっていうのはここのポイントなのかなと思うんですよね。
少しずつどんどん音が変わっていって、そこに対して弾く人もまた違うアプローチでどんどん提唱できるっていうのが、
生のピアノの面白さなのかなというふうに思ったりします。
なので今日のタイトル同じピアノなんて一台もないっていうのはそういう話なんですよね。
同じ品番、同じメーカーであっても全然違うピアノにできるよっていうのが面白いところなんじゃないかなと思いながら、
日々の仕事をさせていただいているというお話でございました。
ピアノの製造と個性
はい、というわけで今日も最後まで聴いていただきましてありがとうございました。
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それではまた明日の朝もモーニングノートでお待ちしております。
音楽でこの街の笑顔を増やします。平瀬楽器の平瀬智樹でした。