ワールドカップに見る帰属意識
こんにちは。技術研の工業高校で教員をしているすみです。 この番組、未来をつなぐものづくりでは、日本の製造業を支える企業の技術や、そこで働く人たちの思い、そして工業高校の教育の魅力をお届けしていきます。
ワールドカップ熱狂に詰まれています。この前、私も早朝、いつも通りに散歩に出かけましたけども、そしたら、近隣の家から、わーっという歓声が聞こえたんです。
何かなって思ったら、サッカーで点が入った時の歓喜の声だったんですね。 なるほどと思いながら、またちょっと歩いてますと、今度はギャーっという悲鳴が聞こえて、今度は何だって思ったら、
点数を取られたんですよね。まあ、そんなことで一喜一憂しながらですね、月曜日の朝が始まったっていう今週でしたけどね。
ワールドカップっていうのは世界中の人が熱狂しますよね。 これは4年に1回行われる大イベントってことなんですけども、これなんでこんなに熱狂するのかっていうことなんですけども、
私が思うには、自分のアイデンティティ、日本人だってことを確認できる、そんな場になってるんじゃないかなっていうふうに思うんです。
それぞれの国の人もそうなんじゃないかなって思うんです。 4年に1回スポーツという安全な舞台で自分たちの貴族意識を確認して、そして熱狂すると。
まあ、そんなような構図がこのワールドカップにはあるんじゃないかなっていうふうに思っているんです。
今週は中学校へ、高校説明会で何を話そうかなーって思ってた時に、この貴族意識っていうのも関係してるんじゃないかなっていうふうに思ったんです。
ですから今日はちょっとサッカーと学校紹介と全く違うような話なんですけども、ちょっと繋がるとこもあるぞというところでお話できたらなというふうに思っています。
帰属意識と依存の違い
貴族とは何かということなんですが、自分がある上でどこに属するかを選ぶということですよね。
一方で貴族に似てますけども、依存というのは相手がないと自分が成立しないっていう状態なんです。
外部への集団への貴族、つまり会社や国、学校への貴族は、それ自体は自然な人間の営みです。
問題は貴族が依存に転落した時なんですよね。
会社が潰れたら自分も終わりとか、資格が取れなかった自分には価値がないとか、これはもう依存ですよね。
外部の状態が自分の存立条件になってしまっているっていうのは、これは依存状態です。
貴族意識というのはまだいいんですが、今みたいに依存となってしまっては本末転倒です。
しかし、高校を選択する時、もしくは職業を選択する時、何か依存してしまいそうな考え方で決めていないかなというふうに思うんです。
例えば工業高校を紹介するにあたっても、トヨタ自動車や川崎重工、三菱重工、大きな会社に高卒で入れますよ、いいところに就職できますよとか、もしくは進学できますよっていうことが進学は売りかもしれません。
だけどもそれは、この会社に入れば人生大丈夫だみたいな、この学校に入ればなんとなく人生うまくいきそうだっていう、そういう主体的なものじゃなく依存をアピールしてるんじゃないかなっていうふうに思うんです。
これはちょっと違うなというふうに最近感じています。
学び続けることの重要性
先日、全日空のラインメンテナンステクニクスに就職した卒業生が学校に遊びに来てくれました。
その際、一等航空整備士を取得したということを報告してくれたんですよね。
一等航空整備士を取ると立派な航空整備士ということに認められるんですけども、彼はやはり全日空に就職したのは、全日空という大きな会社が魅力的だったということもあるかもしれませんが、航空機が好き、そして自分の手で航空機を飛ばしたい。
そんなような大きな夢、目標があったんですよね。
ですから、高卒で一生懸命勉強して、7年後に一等航空整備士を見事に取得したということなんです。
人生はやはり学び続けるということがすごく大事なことだと思うんです。
なぜならば、こんだけAIが進化している中で、勉強しない、学び続けることができないということは、これは完全に取り残されてしまう可能性があります。
どんな仕事についても、これからは学び続けることが必須な時代です。
ですから依存していては、とても自分の人生を歩むことはできないんです。
では、学び続けることに必要なことは何かと言ったら、やはり好きかどうか、自分が興味あるかどうか、そういったことが大事なんじゃないかなと思うんです。
一等航空整備士を取った彼も、航機が好きだというのが根底にあり、自分の目標、夢を叶えるために仕事を終わってから、勉強を一生懸命しましたというふうに言っていました。
これが好きでもなんでもないような仕事だったらどうでしょう。勉強し続けるというのは結構苦痛じゃないでしょうか。
だからこの時代、いかに勉強し続けるために自分の興味あることを見つけて、それを少しでも職業に近づけられるということは、すごく大事なことなんじゃないかなというふうに思うんです。
工業高校の魅力と進路選択
だから今まで私は工業高校の説明をするときに、求人倍率が非常に良いですよとか、すごい大企業に就職できますよとか、
そういうことを結構話してたんですけども、ちょっと違うなというふうに思っているんです。
そういうことではなく、工業高校の良さってもう一度振り返ってみると、就職が良いはもちろんなんですけども、そこに至るまでいろんな経験をして、そして自分の好きを見つけられるっていう経験ができるってことが大事なことなんじゃないかな。
それができるのが工業高校なんじゃないかなっていうふうに思っているんです。
当然自分の夢が大学へ行った方が近道だと、そして高校で進学するために勉強するんだ、そういったのも一つ経験なんです。
だからどんな高校に行っても、結果的にはそこで3年間どんな経験をできるかということを中学生には真剣に考えてほしいんですよね。
なんとなくここに行けば安心とか、なんとなくここに進学すれば人生安泰なんて、そんなことはないですからね。
最近は何にでもなれる時代ですよね。例えば女性だから職業の選択が狭まるっていうことはほとんどないと考えてもいいでしょう。
むしろ本校からでも女性が航空整備士になったり、電車の整備士になったり、今までだったら男性がする重労働と呼ばれているようなジャンルでも女性が興味を持って、
そこでやりたいと思えば、そこで働きやすい環境も企業が整えてくれるという、そんな時代ですよね。
だからこそ今、自分がちょっとでも興味あることにどんどんチャレンジしていく、そんなことが求められると思います。
そして本当にそれが自分が好きだってわかれば、それを追求していけるような経験をもっともっと詰めばいいんです。
自己で人生を切り開く姿勢
話をまとめると、大学に行けば安心、大企業に入れば安心、これはかつては正しかったかもしれません。
でもそれは一歩間違えば依存という形になってしまい、自分を失ってしまいます。
どの進路に進んでも、その場所で自分自身が自らの人生を切り開いていけるのか、こういうことを常に問い続ける必要があるんじゃないかなというふうに思います。
チャットGPTにいろんなことを聞けば、的確にそれなりの答えは返してくれます。
しかし自分は何者なのか、自分の好きなことは何?って聞いたって、これは答えてくれません。
これを探すんです。これを探すために、高校進学した時にどんな経験ができるだろう、そんなことを逆算して、
中学生にも進路選択してほしいと思ってますし、高校生も進路を考えてほしいなというふうに思ってます。
未来をつなぐものづくりは毎週月曜日朝7時に配信しております。皆さんのお便りをお待ちしております。
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ぜひご確認ください。ではまたお会いしましょう。さようなら。