多忙な日常と共通点の発見
こんにちは。岐阜県の工業高校で教員をしているすみです。この番組、未来をつなぐものづくりでは、日本の製造業を支える企業の技術や、そこで働く人たちの思い、そして工業高校の教育の魅力をお届けしていきます。
先週は本当に忙しい1週間でした。音声配信も1週飛ばしてしまうことになって申し訳なかったです。
何が忙しいかと言ったら、ものづくりコンテスト東海大会の運営の準備をしているんですけれども、その資料作りがですね、なかなか大変なんです。
大会運営のための多くの資料を作っているんですけれども、ホテルの案内とか、昼食の案内、周辺施設の案内とか、駐車場の案内とか、
その大会そのものの課題やルールについても書面化するんですけれども、その他の部分でもですね、資料が山積みなんですよね。
それに付け加えてですね、今年の航空機械工学科の3年生の一部の生徒が、集会の時の態度が悪いということのクレームを受けまして、私も何とかならないかなというところで、色々試行錯誤していた1週間です。
この一見2つのことは全く違うことに見えるんですけれども、私何かここに共通点を見つけてしまったんですね。
それは本当の優しさ、本当の厳しさとはどんなものなのかということをちょっと今日はテーマに話してみたいと思います。
ものづくりコンテスト準備における過剰な配慮
まずものづくりコンテスト東海大会の選番部門というのが、4年に1回岐阜県で行われるんですね。東海4県、愛知県、三重県、静岡県、そして岐阜県と、
その4県で1年ごとに持ち回りをしている関係で、今年は岐阜県が担当ということで、岐阜工業高校の私が担当ということで、運営の準備に今携わっているところです。
もうあまりにも忙しいということで、各県の担当校の先生方はもう授業そっちのけで準備されるんですよね。
そして私の番に回ってきたことし、さすがに資料を見た時に何かたくさんあるなというふうに思うんですけれども、
これ本当に必要かなという、そういったものもたくさんあるんですよね。
例えばですね、昼食の準備。昼食は今、コンビニでも近くにありますからね、来る時に昼食準備して来ればいいんですけれども、
こちらで弁当を頼みますか、頼みませんかとかね、そんなことを手配するっていうのが例年のやり方みたいなんですよね。
他にはホテルの案内、どこに泊まったら近いですよとか、そんなことも案内しなきゃいけない。
しかしよくよく考えてみますとですね、年々引き継がれているものなんですけれども、
昔はなかなかネットで探すといっても普及してなかったり、もしくはなかなかサイトが出そろってないとか、
そういったこともあったかもわかりませんけれども、今このご時世ですね、探せばいくらでも探せるんですよね。
ですから私が先回りしていろいろ段取りをするという時代ではないんじゃないかなというふうに思っているんです。
このスマホやAIがある時代、宿泊先や飲食店なんかも自分で調べれますからね。
過剰な案内になってないかなっていうところも一つ考えてたところなんです。
これは親切なのかもしれませんけれども、ちょっと過保護しすぎるんじゃないかなっていうところもあるんです。
ですから来年度のためにも、私は少しこういった部分を見直して、
より簡素化したような流れで各担当の先生がもっとシンプルにこの役をこなせるようにしたいなというふうに思っているんです。
身の回りにも何かこうありませんかね。このように年々受け継がれてきているけれども、時代にそぐわない。
ある意味親切だったのかもしれないけれども、今の時代大きなお世話になっているっていうことも考えられますよね。
そういったところに一つメスを入れるっていうのも、今大事なことなのかもしれません。
生徒指導における「親切すぎる」指導
そして生徒指導でも先ほど言いましたが、周回の時の態度が悪いっていう生徒がいるということで、どうしようかなって思ってたんですよね。
これ一見何も関係ないような話に聞こえますけれども、実はすごく関係あるなというふうに思ったんです。
まあことは、周回中に話を聞かなかったり姿勢が悪い生徒が、注意しても何回も繰り返されているっていう現状があるんですよね。
今までもそういったことがあって、強く叱ったりとか強く管理するとか、そういったことを考えてやってきましたけれども、
そもそも静かにしろとか姿勢を正せというのも、これもある意味親切すぎるんじゃないかなというふうに思うんですよね。
これ何のために注意するのかといったら、教員側としてはやはり今後の行動というものが変わってほしいという願いからなんですよね。
例えば就職してから辞めてしまう生徒を見てみると、やはり人間関係というものが大きな問題だということが多々あるんです。
でもよくよくここを掘り下げてみると、自分なりに判断して行動しているが、周囲との認識がずれているんですよね。
そして注意されて、自分はしっかりやっているのにって納得できず、孤立して人間関係が悪くなり退職してしまう。
そういった構図が結構あるんです。
集会の時も、静かにしろという注意の中には、周りを見てみろと、君と周りは違うぞと、
そんな自分と周りとの違いの変化に気づくとか、俯瞰的に自分を見られるとか、そういったことになってほしいなというふうに思っているんですけども、
生徒側からしたら、注意されたら直す程度で終わってしまっているんですよね。
もっと言うと、何で注意されたのか分からないというまま、言われたから直すという程度で終わっていることが多いんです。
学校というのは、生徒が困らないように先回りして注意して、声をかけて何度も指導するんですけども、
だけど、企業に行ったら何度も指導されるとは限りませんし、注意されなくとも信頼は失っていきますし、
仕事を任されなくなり居場所を失っていくという状況と比較すると、やっぱり叱ってもらえる環境というのは実は優しすぎるんじゃないかというふうにも思うわけです。
本当は責任を自分自身で取らなきゃいけないということに気づいてほしいんですけども、
教員側も行事を成功させなきゃいけないとか、周囲に迷惑かけたら一生懸命頑張っている子に申し訳ないなとか、
そんなことを考えますので、最終的には生徒が困らないようにいろんな意味で先回りして注意したりやっちゃってるっていうことが結構あるんですよね。
そうすると、こんなにやってるのになんで直んないんだっていう不満が生まれてくるんです。
それは教師が頑張っているにも関わらず生徒が受け身で全然変わっていかないからですよね。
理想論を語れば、やはり生徒は失敗するということで成長すると思ってるんです。
しかし現実は失敗が周囲へ悪影響を及ぼしたり、大会の運営やクラスの運営、チームの活動、そういったところに影響が出てしまう。
だから失敗もさせれないっていう現実もあるんです。
本当の優しさ・厳しさと過保護・管理の違い
ここで少し考えてみたいと思います。
まずは本当の優しさと過保護の違い。
心理学者のハイム・ギノットは、援助は相手が求めたときに求めた分だけ与えると言いました。
本当の優しさは相手の成長を信じることです。
過保護は相手の無力を前提にすることです。
例えば大会の資料の例で言えば、スマホで調べてくださいっていうことが失礼なのか、それとも参加者を大人として尊重するのか。
これは答えはその時と場合によるかもしれませんけども、困らせないことイコール優しさっていうことはイコールではないっていう考えを持つ必要もありますよね。
そして本当の厳しさと単なる管理の違い。
出席して一度は生徒が言うことを聞く状態にはなるかもしれませんが、それは本当に理解したと言えるのかというところですね。
集会中に話を聞かない生徒への対応で言えば、なぜ聞かなければならないのかを生徒自身が言語化できるかどうかが問題ですよね。
出席するとその機会を奪ってしまうという可能性があります。
自分の行動が周囲からどう見られているのか、これに気づかせる。これは認知行動療法でいうメタ認知と言われるものなんですよね。
これに気づかせることが本当に大事なことなんじゃないかなって思っています。
そして学校と教育の共通点と違いっていうことなんですけども、それぞれ人が育つのに失敗が必要という原理は共通だとは思いますけども、
企業では失敗のコストは当人が多いですよね。
学校では失敗のコストを教師や学校そのもの、そして保護者、他の生徒が分担してしまうんです。
だから失敗させる教育が構造的に難しいっていうところが一つ問題なんですよね。
では自分で気づく力を育てる具体的な方法って何かあるのかなっていうふうに思ってるんですよね。
教育における課題と個別最適化の必要性
じゃあどのようにしていけばいいのか、これは本当にこれこそが教育の課題ですよね。
一律的にこうするんだっていうものがないです。
それはなぜかといったら、やはり自律的な生徒を育てたいというような理想はあるんですけども、
しかし発達段階とか家庭環境とか認知特性とかいろいろなものが人によって違いますよね。
実際先回りしてもらわなければいけない生徒もいますからね。
任せれば育つっていうのは平均的な前提であって、
個別範囲的には優しさか過保護かという時点でも、これは生徒ごとに解く必要があるんじゃないかなっていうふうに思っています。
まあといっても一つやってみたいなということはあるんですよね。構造で解決したいなっていうところです。
人を変えようとするっていうところから、そうせざるを得ない状況を作るっていうふうにシステム作れないかなっていうふうに思います。
そうするとそういった状況に置かれた時に気づきやすいんじゃないかなっていうふうに思います。
自分の行動の結果が自分に見える形で返ってくる仕組みっていうのを何とか作れたらなっていうふうに漠然というふうに思ってますけども、
またアイデアがあれば教えてもらいたいなというふうに思っています。
教育の本質と問い続けることの重要性
今回はものづくりコンテストの資料作りから生徒指導の関係まで幅広い内容でしたが、
親切とは優しさとは、それも時代や個人によって変わってくる境界線なのかもしれません。
しかしその変わってくる境界線をいかに客観的に把握できるのか、これが教育としても大事なとこじゃないかと思っています。
なかなか一律的にこうすればいいっていう答えはないんですけども、
こういったことをやはり問い続けることで教育の本質っていうものを上げていきたいなっていうふうに思っています。
皆さんも優しさ厳しさなんていうキーワードで少し掘り下げて考えてみる時間があればぜひ考えてみてください。
未来をつなぐものづくりでは皆さんからのコメントをお待ちしております。
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ではまた来週。さようなら。