工業高校の紹介
こんにちは。岐阜県の工業高校の教員をしている、すみです。
この番組、未来をつなぐものづくりは、地域の魅力ある企業や工業高校の教育の現場、
そしてそこに関わる人たちの思いを伝えていくポッドキャストです。
この番組を始めた理由なんですが、私は普段工業高校で生徒たちと接していて、進路の相談にもたくさん乗っています。
やっぱり多くの生徒たちは、名前を知っている大手企業に憧れる傾向があります。
もちろん、それは悪いことではありません。大手企業は知名度もあって、福利構成もしっかりしている。
魅力があるのは当然です。
でも、実は地元にもすごい企業がたくさんあるんです。
高度な技術を持っていたり、社員を家族のように大切にしていたり、そういう企業を知らないから選ばれない。
これはものすごくもったいないと思ったんです。
そこで、だったら僕が伝えようと思いました。
工業高校の教員という立場だからこそ、企業の現場と教育の現場、両方をフラットに見てつなぐことができるんじゃないかと思っています。
それに、この番組は現役の高校生や保護者だけじゃなく、すでに地元企業で働いている卒業生にも届くと思っています。
自分の会社の魅力を改めて知ったり、社長さんの話を聞いて共感したり、この会社に入ってよかったなって誇りに思えるようなきっかけになれば嬉しいです。
そしてもう一つ、工業高校ってどんな学校か、意外と一般の人には知られていません。
だからこの番組では、工業高校の取り組みや日々の教育についても少しずつ紹介していけたらと思っています。
在校生にも励みになるし、地域の方々にも知ってもらえたらいいなって思っています。
そんな思いを込めて未来をつなぐものづくり、いよいよスタートです。
それでは今日のエピソード、どうぞお楽しみください。
工業高校の誤解
今回の話は、そもそも工業高校ってどんな学校なの?というテーマでお話ししていきたいと思います。
工業高校って名前は聞いたことあるけども、実際はよく知らないという方も多いと思いますので、
今日は3つの切り口からご紹介していきます。
まず一つ目は、工業高校ってものづくりが好きな人だけが行く学校なんじゃない?という疑問です。
確かに将来は機械の仕事がしたいとか、ロボットを作りたいとか、そんなはっきりした目標を持っている生徒もいます。
でも実はそうじゃない生徒もたくさんいます。
むしろちょっと興味がある、なんとなく面白そう、やってみたい気もする、そんな気になる気持ちがあれば十分に工業高校に向いています。
実際生徒も、最初はなんとなく面白そうで選んだんですけど、実際に機械を触ってみるともっと詳しく知りたくなりました、とも言っています。
もし入ってみてやっぱり好きだなと思えばそのままその道に進めばいいし、もっと学びたければ大学進学や専門学校へ進学もできます。
逆にちょっと違うなぁと感じたら違う進路に変えることもできるんです。
大事なのは一度やってみることです。
自分は何が好きなんだろうって高校、大学になって見つかってない人も多いです。
だから一つの選択肢を減らすという意味ではとても価値のあることなんです。
まず気になったらやってみてほしいと思っています。
2つ目は工業高校って勉強しなくていいんでしょ?という誤解についてです。
これ結構そう思っている生徒もいるんです。そんなことは決してありません。
普通科と同じように語教科もありますし、家庭科や美術、体育もあります。
じゃあ何が違うのかっていうと、専門教科や実習があるということですね。
例えば電気回路を組んでみたり、金属を加工してみたり、
プログラムを組んでロボットを動かしてみたり、
学ぶだけでなくやってみる授業がたくさんあるということです。
さらに3年生になると課題研究という授業があって、
2から3時間ぐらいまとまった時間を使って仲間と一つのテーマに取り組みます。
企業とコラボしたり、大学の先生にアドバイスをもらったりしながら、
自分たちのアイデアを形にしていく、そういう授業があります。
実社会につながる経験が高校のうちからできるというのが特徴です。
もちろん受験のようなプレッシャーは少ないかもしれません。
勉強は大事ですよ。社会に出たら学びは一生続きます。
だからこそ学びを楽しく感じられるかどうかを試す機関として、
高校時代を活用してほしいと思っています。
女性の進出
3つ目は、工業高校って男の子ばっかりで女の子は生きにくいんじゃないの?という声です。
確かに全体としては男子生徒の方が多いですが、最近は女子生徒もどんどん増えています。
特にデザイン系や建築、科学などの学科では女子の比率も高くなっていますし、
私のいる航空機械工学科でも最近は電車や航空機の整備に女子生徒が就職している例もあります。
最初はやはり不安もあったみたいですけれども、
実際に同じ興味を持った仲間と同じように学ぶというのは非常に楽しいというようなことを言っていました。
先ほども話しました電車や航空機の整備に女子生徒が就職したということで、
本人たちに話を聞いてみると、今はチームでの作業も多くて省力化も進んでいるから大丈夫とのことでした。
企業側も女性の活躍を応援する姿勢が強くなってきていると感じています。
ただ保護者世代の中には工業高校ってちょっと荒れている?みたいな昔のイメージが起こっていることもありますよね。
でも今の工業高校は全く違います。落ち着いた雰囲気の中でしっかり学び技術を身につける場所になっています。
ですから女の子でも少し興味があれば工業高校という選択肢は大いにありだと思います。
というわけで今日は工業高校とはどんな学校なのかについて話しました。
ものづくりが好きな人だけの学校ではない。
ちゃんと勉強する実践的な学びがある。
女子生徒も増えていて進路の幅が広がっている。
この3点の視点からお話ししました。
まだまだ疑問点ある方も多いと思いますが、興味を持ってくれた方はぜひ地域の工業高校の文化祭や学校説明会など足を運んでみてください。
きっと新しい発見があると思います。
それでは今回の話はここまで。
いかがでしたでしょうか。
今回の放送は私がなぜ音声配信を始めたかということと工業高校について話をさせていただきました。
工業高校についてはまだまだ話足らないところもありますので、継続していろんな情報を発信していきたいと思います。
またこんなことを聞いてみたいというリクエストや質問がありましたら、ぜひお便りをいただければ嬉しいです。
今後は具体的に地元企業の発信なども積極的に行っていく予定ですので、どうぞお楽しみに。
番組のご感想やご意見もぜひお聞かせください。
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次回の配信は来週月曜日の朝7時を予定しています。お楽しみに。