1. 未来をつなぐものづくり
  2. #3岐阜県の産業について 自動..
2025-05-19 10:35

#3岐阜県の産業について 自動車産業編

岐阜県の産業の中でも自動車産業をピックアップして話をします。愛知県に隣接する岐阜県には多くの自動車産業があります。その産業の特徴を伝えたいと思います。

サマリー

岐阜県の自動車産業は、トヨタ自動車が集積する愛知県に隣接しているため、多くの自動車部品メーカーが存在し、自動化が進んでいます。また、学園制度を通じて高校生の人材育成が行われており、産業の変革期に対応するための技術や知識の重要性が増しています。

岐阜県の自動車産業の現状
こんにちは、私は岐阜県の工業高校で教員をしているすみです。
この番組、未来をつなぐものづくりでは、日本の製造業を支える企業の技術や、そこで働く人たちの熱い思いを紹介していきます。
前回は、岐阜県の航空機産業について取り上げましたが、今回は同じく、岐阜県の製造業の中核を担う自動車産業にスポットを当てていきたいと思います。
まず、岐阜県の自動車産業の現状からお話ししましょう。
岐阜県には大規模な完成車メーカーの工場はありませんが、隣接する愛知県にはトヨタ自動車をはじめ大手自動車メーカーが集積しています。
この地理的優位性を生かして、岐阜県には数多くの自動車部品メーカーが立地しています。
県内製造品出荷額の約25%を自動車関連産業が占めており、地域産業を支える重要な産業となっています。
特に自動車部品の製造するにあたって、炭造、プレス、金型、樹脂成型、機械加工などの技術を持つ中小企業が多く点在しています。
最近の自動車業界の変化についても触れておきましょう。
ご存じの通り、自動車産業は今、100年に一度と言われる大変革期を迎えています。
電動化、自動運転、技術やビジネスモデルが急速に変わりつつあります。
岐阜県の自動車関連企業も、この変化に対応すべく様々な取り組みを行っています。
自動化と人材育成
例えば、電気自動車の普及に備え、モーター部品やバッテリー関連部品の開発、製造に力を入れる企業が増えてきています。
また、軽量化技術の重要性が高まる中、炭素繊維複合材を活用した部品開発も活発です。
一時、自動車はすべてEVになるんじゃないかというぐらい、かなり電動化に向かうような方向だったとは思いますが、
多くの企業の方と話をすると、その辺も変わりつつあるという感じがします。
皆さんもご存知の通り、ロシアとウクライナの戦争で、ロシアからの天然ガスの供給がヨーロッパの方に行っていないということが続いており、
エネルギーが不足して電気が作れないという懸念もあります。
やはり既存の石油燃料を使いながら電気自動車に移行していくんじゃないかということで、
ハイブリッドがこれからまだ続くだろうということを言っている方もいますし、
早々にEVに変わっていくだろうということを言ってみる方もいますし、
とにかく先はどうなるのかということは本当に見えないという状況ですが、
これからこそ各企業はどのような方向に世界が舵を切っても対応できるようにということを会社の方は考えて製品開発をしているというふうに感じています。
それでは私の視点から3つ、自動車産業ってこういう産業だよというところを高校生も含めて伝えられたらなというふうに思っています。
まず一つ目は工場はかなり自動化が進んでいます。
自動車は大量生産のため同じ部品を大量に作るということになりますが、
工作機械1台につき1人ついているっていうそういったことは全くありません。
むしろ工場を見学しに行くと人がどこにいるのかなっていうふうに探すぐらい人がいないです。
そのぐらい自動化が進んでいます。
検査のところに人はいますが、検査は最終的に人の目というものがロボットよりも優れているということです。
もし自動車部品を作る会社に就職したら、いかに自動化を進められるのかということが考えられる人材が求められていると思います。
決められたことだけやっていればいいというそんな仕事は少なくなっていくということになっていきます。
二つ目は豊田系の会社の多くは学園という企業内教育機関を持っています。
工業高校生を対象に1年間学園生を募ってしっかりと勉強させ現場に配属させるというシステムです。
この学園生は非常に工業高校生に人気が高く、中部地区からの高校生だけでなく親元を離れて九州地区からも多くの生徒が応募して入社しています。
親元を離れてこちらに出てくるわけですから非常に意識の高い生徒が多くて、中部地区の高校生は度肝を抜かれるという感じらしいです。
ただ最近この学園生でも変化が起きているみたいです。
これはどちらかというと生徒側の意識の問題です。
最近人材不足ということで就職するというハードルが非常に下がっている現状があります。
希望さえすれば工業高校生は非常に高い確率で第一希望の会社に入ることができます。
ちなみに本校の求人倍率は20倍を去年は超えてました。
そんな中で高校生が働きながら学ぶと給料をもらいながら働くということを忘れて
何か高校4年生の延長みたいな感じで学園生活を送っているということも見受けられるようです。
やはりまだ生産性のない学園生に対して給料を支払うということはそれだけ会社の期待を背負っているわけですから
高い意識が必要ということになってきます。
これから学園生を狙うという生徒はそういったことも自覚して
しっかりと勉強するという気持ちを忘れずに臨んでほしいと思っております。
ちなみに学園生は中には技能五輪に出られるぐらいの技能を高めたり
現場に行って生産管理や現場の管理をするような立場で仕事をするということも聞いています。
就職したら研修期間も少なくすぐ現場に出るという会社も中にはありますが
学園というものはそれと比べたら研修期間が1年もあり
変革期の自動車産業
かなり充実した教育制度だというふうに思っています。
3つ目は自動車産業といっても本当に数多くの触手があるということです。
航空機ですと完成機はボーイング車に部品を運んで組み付けられます。
自動車はトヨタ自動車が愛知県にありますから
多くの部品が日本で作られて愛知県に集められます。
そのため自動車産業といっても冒頭にも話しましたが
鋳造部品、プレスで作った部品、金型を作る会社、金型でも樹脂成型用なのか
それとも金属プレス用なのか、そして機械加工
本当に多くの触手があります。
ですから一言で自動車産業といっても
自分がやってみたいなという触手があれば
その会社を選ぶというのも手かなというふうに思っています。
大きく自動車産業というふうな括りをするのではなく
各会社がどのような製造をしているのかといったところもしっかりと調べて
自分の進路に行かせれるといいんじゃないかなというふうに考えています。
というわけで今日は自動車産業についてお話ししました。
自動車産業で特に部品製造についてはほとんど工場が自動化されているという現状
そして学園という制度がありますがその学園制そのものに対しての意識の変化
自動車産業の触手の多さ
そんなことを私の視点から3つお話しさせていただきました。
とにかく自動車産業は変革の時期に来ているというふうに感じています。
どんな方向に行っても確かな技術があれば対応ができるということを各会社の人は言っておられます。
その会社の一員となって貢献するためにも高い技術や知識を身につけて
ものづくりができる人材になっていくということが求められていると思います。
こうした変革期の中で技術的な発展を支えるのは結局のところ人です。
優れた技術者の存在なくして産業の発展はありません。
その意味で工業高校と企業が連携して人材育成に取り組むことの重要性は今後さらに高まっていくと思っております。
次回は工業高校ではそのようなニーズに応えるためにどのような勉強をしているのかということを少しお話しできたらというふうに思っております。
またこんなことを聞いてみたいというリクエストや質問がありましたらぜひお便りをいただけると嬉しいです。
番組の感想やご意見もぜひお聞かせください。
ポッドキャストやスポティファイのレビューでは私にとっては大きな励みになりますし新しいリスナーの方々に番組を見つけていただくのにも役立ちます。
SNSでも番組の最新情報を発信してますのでインスタグラムでぜひフォローしてください。
次回の配信は来週月曜日の朝7時を予定しています。お楽しみに。
それではまた来週お会いしましょう。
10:35

コメント

スクロール