北海道での学会発表
皆さん、こんにちは。未来をつなぐものづくりパーソナリティの岐阜県の工業高校教員、すみです。
さて、今日のテーマは北海道です。
実は先日、小型人工衛星の製作運用に関するポスターセッション発表のため、生徒と一緒に北海道へ行ってきました。
その学会発表の様子と、初めての北海道で私が感動したエピソードなどをお届けします。
今回参加したのは、宇宙科学技術連合会という、企業の方も含めて多くの方が集まる大きな学会です。
生徒たちにとっては、自分たちが手がけた小型人工衛星のプロジェクトを、まさに宇宙技術の最先端で活躍するプロの方々の前で発表する、またとない機会となりました。
実は私、この学会で2年前に発表したことがあるんです。
その時はなんと、ノーベル賞を受賞された利川博士の直後に、私が登壇するということになってて、
すごい大人数の前で、これで喋るの?って思いながら緊張していましたけども。
利川博士の発表が終わると聞いていた方々は、皆さんそれぞれの発表ブースへ散らばっていったので、おかげで私発表はそれほど緊張せずに発表させてもらいました。
でもああいう経験ってなかなかないなと思いながら思い出していました。
今回はポスターセッションということで、ポスターを貼ってその前に見に来た方々に質問に答えるようなプレゼンを発表するというよりは、少し気楽に臨めたんじゃないかなというふうに思っています。
そして今回私は人生で初めて北海道に上陸しました。
北海道といえばカニ、ジンギスカン、ラーメンといった食べ物しか思い浮かびませんけども、まず最初に行ったのはエスコンヒールドです。
日ハムの本拠地ですが、これは構造物的にも大変面白いもので、ガラス張りの球場、そして天井開閉型の球場ということで本当に圧巻でした。
試合がない日は選手たちがプレーしているグラウンドにも足を下ろすことができるので、大変貴重な経験になりましたね。
もちろん北海道の先ほど言ったグルメも堪能してきました。
パフェかなと思うぐらい果物の代わりに海鮮が乗っているような海鮮丼を食べたり、朝の市場では新鮮な海鮮丼やウニがワンコインで食べられたりと、なかなか貴重な体験させてもらいました。
そしてもう一つここを愛し運びたいなと思っていたところがあります。それは日本航空大学校の地等生キャンパスなんですね。
ここは昨年度の卒業生がお世話になっているんですけども、なかなか北海道の学校まで見に行く機会ありませんから、これを機にということで見に行かせてもらいました。
空港からすぐということだったんですけども、タクシーで信号のない道を10分ぐらい走りまして、さすがに広大な敷地に本物の飛行機が置いてあったりとか、まあそれは航空専門学校生にとっては贅沢な環境でしたね。
この素晴らしい環境で卒業生も学んでいるんだなと思うと本当に良かったなというふうに思っています。
生徒たちの成長と宇宙産業の未来
さてここからが本題、生徒たちとの発表とそこから見えてきたキャリアの未来についてもう少し深くお話ししたいと思います。
ポスターセッションで生徒たちは専門家の方と対等に話す経験をしました。
生徒たちが大変勉強になったと言っていたように、若い時から前向きで志の高い大人の方々と直接対話することは、生徒たちの精神的な成長にとって最大のきっかけになると感じています。
実は最近企業の方から聞いた話では、工業高校卒業の生徒は現場で技能を高めることには熱心ですが、年を重ねて管理職という立場をどうかということになると、なかなか立候補してくれないという悩みがあるそうです。
これはやはり若い頃に多様な人たちに揉まれる経験が不足していることが関係しているのではないかという話でした。
私も思うところがあるんですね。人生100年時代と言われる中で、平均寿命が伸びてきて、社会的なモラトリアム機関が後ろにずれてきているのではないかなという感じる時が多々あります。
だとすれば、工業高校卒業後すぐに就職するメリットはもちろんありますけれども、長い目で見た時に進学をするということもこれから考えていく必要があるんじゃないかなと思います。
ただ進学するだけではありません。進学した先で多くの大人や国籍、人種を超えてコミュニケーションを取る機会があれば、それは将来素晴らしい技術者になるための大きな財産になるのではないかと強く感じています。
そしてもう一つ注目すべきは宇宙産業の盛り上がりの加熱です。以前と比べて多くの企業が宇宙産業に参入しやすくなってきており、年々この学会も参加企業が増加しています。
自分たちの持つ技術が宇宙関連分野に生かされるということがだんだん周知されてきているため、この分野への注目度はますます上がってきていると感じています。
私たちが作った人工衛星も現在まだ通信ができていませんが、なんとか成功させてオーストラリアとリトアニアと国際交流につなげていきたいと考えています。
そのために今はISS、国際宇宙ステーション、ユイさんが乗っていますよね。ここからの信号を受信する練習をしたりとか、今後はアンテナや電波に関する知識も深めていく予定です。
今回の話は北海道での話でしたが、どうでしたか? 帰り際にですね、北海道大学にも寄ってきたんですよ。
クラーク博士、皆さん知ってますか? 少年よ大使よいだけという名言を残された方ですけれども、北海道大学のクラーク博士は実は1年も北海道にいなかったんですよね。
たった数ヶ月の滞在で、ものすごく大きな財産を日本に残していって行かれた方なんですね。
そういったことも北海道大学の博物館で知ることができました。 そしてクラーク博士の教育への熱い思いを少し感じれたと思っています。
今回のように工業高校での学びは、教室の中だけではなく、卒業後の進路先、そして日本全国、世界宇宙へと生徒たちの可能性を広げています。
今回の貴重な経験とこれからのプロジェクトが、生徒たちのものづくりに対するさらなる意欲につながってくれると信じています。
次回のエピソードは、ある県で工業高校が新しい学校になるということで、その説明会に行ってきました。
その内容についてお話しできたらなと思っています。 ではまた来週。さようなら。