もちろんお医者さんは大切です近代医学の進歩は目覚ましその専門的な知識や健診的な治療そして新しい薬の開発にはわしは常に深い敬意と感謝の念を抱いています。
しかしねどれほど医学が進歩しようとも本当の主人は他の誰でもない君自身なんやでというこの一点だけは決して忘れてはいけない。
自分自身の心の持ち方病気に対する積極的なそして建設的な態度そして何よりも今ここに生きていること宇宙の大きな力によって活かされていることへの深い感謝の念
それこそがどんな名医やどんな高価な特効薬にも絶対に勝る最強のそして最高の治療薬となるのだと私は長年の体験を通して固く固く信じています。
困難への感謝と心の再構築一見すると矛盾しているように見えるかもしれない苦難や逆境に対する感謝の心というものはわしが長い人生とそれこそ数えきれないほどの事業上の試練
そして生涯つきまとった病のまさに死闘ともいえる戦いを通して骨身に染みて学びそして魂のレベルで大得した最も尊いそして最も力強い人生の極意の一つなんです。
病気をあるいは人生における様々な困難をただ耐え忍ぶべき不幸な出来事として受動的にそして被害者意識をもって捉えるのではなく自分自身という人間を深く見つめ直し人生のあり方そして意味を根本から考えそしてそこから新たな強さや他者への深い優しさ
宇宙の真理に対する言葉にならないほどの深い洞察を得るための又とない学びの源泉でありそしてそれ故に感謝すべき理由であると意識的に積極的に再構築していったんです。
病気の犠牲者としてただただ運命を呪い不平不満を言い続けるのかそれとも病気という名の厳しいしかし愛情深い学生としてそこから何かを謙虚に学び取り魂の成長の糧とするのか
そのたった一つの視点の転換心の持ち方一つでその体験の持つ意味もそしてその後の人生の展開も180度まるで昼と夜のようにあるいは地獄と極楽のように全く異なるものとなっていくんです。
そしてその厳しい逆境の中に肯定的な意味さらには感謝の念を見出すことができたとき人間は自分自身でも想像しなかったほどの信じられないような内なる力をまるで内に秘められた火山が時を待って噴火するように力強く発揮することができるんです。
少し話が関連的にあるいは難しくなったかもしれませんがしかしどうかもう一度静かに考えてもみてください。
この広大な計り知れないほどの宇宙の中でこの小さなしかし美しい地球という星に私たち人間としてこのかけがえのない生命を受けたことそれ自体がどれほど奇跡的で言葉では到底言い尽くせないほどのありがたいことか。
私はねしばしばこの宇宙の根本的な起源である根源という目には見えないしかし確実に存在する偉大な力について語りますが自分自身が今こうして今ここにこうして存在していることこの尊い命を与えられていることに対して常に心の奥底から深い深い感謝の念を抱いています。
この宇宙の計り知れないほどの偉大な力そして寸分の狂いもない厳粛な節理によって今ここにこうして生かされているそう思うと日々の生活の中で起こる様々な些細な悩みやつまらない不平不満など本当にとるに足らない実に小さなことだと思えてくるんです。
この根源への絶対的なそして無条件の感謝こそがわしの世界観人生観の決して揺らぐことのない最も強固な土台を形成しているんです。
事業経営と感謝の心。
もちろんビジネスの世界、事業経営というものは常に厳しいものです。
甘い鑑賞や関連論だけでは到底乗り切れるものではありません。
日々の経営判断、従業員との人間関係、経済全体の大きな変動、すべてがいつも自分の思い通りに順風満帆に進むということはまずあり得ません。
わし自身何度もそれこそ会社が潰れるかどうかの瀬戸際に立たされた経験があります。
しかしそうした時に非常に現実と思える事業活動においてもこの感謝の心というものは極めてそして決定的に重要なんです。
まず我が社の商品を買ってくださるサービスを利用してくださる大切なお客様に対する心からの感謝。
次に日々会社のためにそして社会のために額に汗して一生懸命働いてくれるかけがえのない従業員一人一人に対する深い感謝と人間としての尊重の念。
そして材料を供給してくれたり製品を販売してくれたりする多くの取引先の皆さんに対する偽りのない感謝。
さらには自分たちの事業活動を陰から支えてくれている地域社会全体に対する大きなそして尽きることのない感謝。
これらあらゆるものあらゆる人々に対する感謝の気持ちを経営者としてまた一人の人間として片時も忘れず常に素直な心でつまりいかなる偏見やあるいは過去の成功体験から来る先入観にとらわれることなく
ありのままの事実を謙虚にそして客観的に見つめ常に社会への奉仕貢献を第一に考え従業員一人一人の人間としての尊厳を何よりも大切に尊重し共に学び共に成長し共に反映していこうとするその謙虚で誠実な姿勢。
それが松下電機というわしが文字通り一台で築き上げた会社がかつては大阪のバス停とも言えるような場所にあったほんの小さな3人だけの町工場からやがて日本を代表するそして世界的な企業へと成長することができた最も根本的な理由の一つであるとわしは堅くそう信じています。
倫理観に基づかないただ儲かればいい自分さえ良ければいいというような自己中心的な経営はたとえ一時的に成功したとしても決して長続きはしません必ずどこかで社会からの信頼を失い人間関係を損ないそして最終的には破綻をきたすものであります。