2025-06-29 12:27

②松下幸之助が語る感謝の心【人生を変える名講義集】

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サマリー

松下幸之助は、老いと別れの中に感謝の心を見出し、人生の経験を通じてその教えを深めています。彼は感謝の心を持つことで、過去や現在、未来への不安を和らげ、人生を豊かにすることができると語ります。

老いと感謝の心
老いと別れと感謝。晩年に見つけた静かな幸福。
年齢を重ねるにつれて避けられないものがあります。
体が少しずつ動かなくなる。できていたことができなくなる。
別れが増えていく。病気や孤独が影のように寄り添ってくる。
心にも体にも静かに重くのしかかってくる老いという現実。
ある日、ふと、自分の人生はこのままで良かったのだろうか?
と問いが差し込むことがあります。
けれど、松下幸之助はこう言いました。
老いの中にこそ感謝の光がある。と。
喪失の中で初めて見えるものがある。
晩年、彼の体は少しずつ重いように動かなくなっていった。
かつては毎日働き、決断し、人を動かしていた。
その手足が鈍り始める。
言葉が重いように出てこない。
息切れがしやすくなる。
それを彼は逃げずにまっすぐ受け止めました。
しかしそれだけではなかった。
彼が大切にしていたのは、できなくなったことに感謝することでした。
なぜなら、できていた日々があったからこそ、
今、そのありがたさを知ることができたからです。
若い頃、元気に働けていた毎日。
好きな仕事ができていた自由な時間。
人と語り合えていた当たり前の日常。
その時間がどれほど尊く豊かなものだったのか。
できなくなった今だからこそ身に染みてわかる。
だからこそ、できていたことに感謝する。
それが松下幸之助の晩年を穏やかなものにしていった。
そして死を前にしても感謝は失われませんでした。
人生の試練と感謝
死、それは誰にとっても避けられないテーマです。
松下幸之助も晩年にはそのことを深く考えていた。
けれど彼は死に怯えなかった。
感じていたのはただ一つ。
命が与えられたことへの感謝。
それを支えてくれた人たちへの感謝。
命があった。
生かされてきた。
支えてくれる人がいた。
それだけで人生はありがたい。
死という出来事が恐れではなく静けさに変わる瞬間、
それは感謝の心から生まれます。
生きることも死ぬことも感謝とともに迎えていく。
松下幸之助の人生はまさにその心で貫かれていました。
生きるということの中には喜びだけでなく苦しみもあった。
死ぬということの中にも悲しみだけでなく静けさがあった。
その両方に等しくありがとうを込めること。
それが彼の晩年を深く静かで温かいものに変えたんです。
松下幸之助が晩年、最も大切にしていたのは感謝が生む心の穏やかさでした。
年齢を重ねると自分ではどうにもできないことが増えていく。
体の自由がきかなくなる。
大切な人が旅立っていく。
住まい、仕事、環境、何もかもが変わっていく。
そんな中で心に広がるのは不安や虚しさ。
しかし彼は感謝の心でそれをそっと和らげました。
特別なことではない。
それは身近な人への感謝だ。
家族、友人、看病してくれる人たち。
ありがとうと思うだけで孤独や不安は少しずつほどけていく。
そして彼は自分の過去にも感謝を向けました。
若かった頃の自分。
何もわからず迷いながらも走り続けた日々。
失敗したこと、悩んだこと、誰かを傷つけてしまったこと。
そのすべてにありがとうと言えた時、
過去は自分を責めるものではなく、自分を包んでくれるものに変わる。
感謝はただの気分ではない。
過去を癒し、今を受け入れ、未来への不安を和らげる心の力です。
晩年の松下幸之助がどこまでも穏やかで、
どこまでも深い幸福を感じていた理由。
それはきっと、人生のどの瞬間にもありがとうと言える心を持っていたから。
どれだけ老いても、どれだけ手放しても、
感謝の力
人は感謝とともに深く豊かになれる。
それが松下幸之助の最後にして最も美しい教えだったんです。
感謝は死に勝る。
人生の最後に何が残るのか。
財産でもない、名誉でもない、評価でもない、
残るのはありがとうと言えた記憶。
どれほど辛くても、どれほど報われなくても、
それでもありがたかったと心から思えるなら、
人生は最後には静かな光で包まれます。
死という終わりを越えても感謝は生きて残るんです。
その人の中に、誰かの心の中に、
そしてこの世に、
あなたの人生にもきっとたくさんのありがとうが眠っています。
過去に、今に、そしてこれからも。
こんにちは、松下幸之助です。
さて、今日は皆さんのこれからの人生がもっと明るく、もっと豊かで、
そして何より心からの喜びと感謝に満ちたものとなるための、
わしが長い長い人生と、それこそ数え切れないほどの試練の中から、
この身を持って掴み取った一つの非常に大切な心の持ち方について、
じっくりとお話ししたいと思うんです。
人生の後半、あるいは大きな転換期を迎えたとき、
ふと、自分の人生、本当にこれで良かったんだろうか、
という言葉にならない不安に襲われたことはありませんかな?
あるいは、次から次へと了者なく訪れる困難や、
思いもよらない病に心が折れそうになったことは?
もし、その苦しみや不安のすべてを、あたかも錬金術のように、
あなたの人生における最大の幸運へと変えることができる、たった一つの、
しかし、この上なく強力な心の法則があるとしたら、
君はその話に少し耳を傾けたいとは思わないかね?
それは、決して遠い理想論ではなく、君が今日から、
いや、今この瞬間から実践できる、確かな道筋なのです。
わしはね、決して人様に誇れるような恵まれた生まれでもなければ、
特別に頑健な体に恵まれたわけでもありませんでした。
むしろその逆です。
幼くして父を亡くし、家は貧しく、小学校もろくに出ることができず、
9歳という若さで大阪の別地房工に出ました。
その後も、20代前半で独立するまでの間、
自転車の小僧をしたり、伝統会社の見習いをしたりと、
決して楽な道のりではありませんでした。
そして、生涯を通じて様々な病と、
それこそ古い友達のように長年付き合ってきたような人生です。
寿命を起こしてからも、皆さんがご存知のような、
いわゆる経営の神様などと持ち上げていただくような、
旬風満帆な時ばかりではありませんでした。
関東大震災による工場の消失、世界恐慌の煽りを受けての倒産の危機、
そして、戦争と戦後の未曾有の困難、
幾度となくもうダメか、晩作尽きたか、と思うような、
それこそ絶望の淵に立たされたことも一度や二度ではありません。
その度に眠れない夜を過ごし、
どうすればこの苦境を乗り越えられるのかと、
自問自答を繰り返したものです。
しかし、その度に不思議と脚をすくい上げ、
再び前へ前へと押し進めてくれたものがありました。
それは特別な才能があったからでも、
誰よりも寝ずに努力したからでも、
あるいはただ単に運が良かったからだけでもない。
もちろんそれらもある程度は大切でしょう。
しかし、もっともっと根本的なところにわしの人生を支え、
いくたの困難の道を開いてくれた一つの大きな、
そして普遍的な力があったと、
わしの心の底から確信しているんです。
それが今日みなさんにわしの魂を込めてお伝えしたい
感謝の心というものなのです。
これはわしが人生のさまざまな経験を通して、
まさに骨身に染みて感じ、そして固く信じるようになった言葉です。
感謝の気持ちを常にどんな時でも、
どんな些細なことに対しても持ち続けること。
それが人間にとって幸福に、
そして力強く前向きに生きるために何よりも、
そして絶対に不可欠なことなんです。
そしてこの感謝の心がもし万が一にも欠けてしまうと、
人は驚くほど容易に不平不満の沼に陥り、
不安と恐怖に心を支配され、
自分自身で不幸の種を蒔いてしまうことになる。
逆にこの感謝の心を意識的に、そして積極的に、
まるで庭の草花を慈しむように育てれば育てるほど、
それに正比例してわたしたちの心の幸福感もまた、
大きく、大きく、それこそ無限に増大していくものなのです。
感謝の心は鉄を黄金に変えるほどのもの。
わしは本気で心の底からそう信じています。
これは決して大げさな表現ではありません。
どういうことかと言いますとね、
たとえ目の前にあるものが一見何の偏鉄もない、
何の価値もない、
まるで道端に転がっている冷たい鉄くずのようなものであったとしてもだ。
感謝の心という、いわば魔法の、そして万能のレンズを通して、
それをじっと見つめ、その存在そのものにありがたいなと、
心の底から深く感じ入り、
その中に隠されたまだ見ぬ可能性や、
秘められた本当の価値を見出そうと真剣に努めるならば、
何の偏鉄もなかったはずの鉄くずが、
やがて時を得てまるで錬金術のように光り輝く純粋な黄金へと、
その姿を変えることがあるということなんです。
これは決して単なる物質的なものだけに限った話ではありません。
わたしたちの人生で起こるありとあらゆる出来事、
いいことも悪いことも含めたすべての経験、
あらゆる人との出会い、
そして特に私たちが最も避けたいと願い、
恐れるあらゆる困難や試練、病気や逆境に対しても、
全く同じことが言えるんです。
これらをただの不幸な出来事として意味嫌い、
不運を嘆き、運命を呪うのか、
それともその厳しい体験の中に何か自分を成長させるための、
天からの尊い学びや、新たな深い築きの種、
そしてそれでもなお感謝すべき何かを見出そうと懸命に勤めるのか、
そのたった一つの心の持ち方、心の在り方一つで、
その出来事の持つ意味も、そしてその後の人生の展開も、
まるで昼と夜のように全く異なるものとなっていくんです。
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