今回は、心学研究科の小林正観さんの教えから、人生のトラブルと頼まれ事という、私たちが日々直面する問題について、その向き合い方を深掘りしていきたいと思います。
人生にトラブルが多いと感じている人や、頼まれ事をどうすればいいか悩んでいる人にとって、今回の話は、心に光を灯してくれるようなヒントになるかもしれません。
人生のトラブルは本当にトラブル?
人生にトラブルが多いと感じている人はたくさんいます。
しかし、本当にそうなんでしょうか?
結論から言えば、そんなことはないようです。
その理由がよくわかる、小林正観さんの興味深いお話をご紹介します。
台風がもたらした奇跡のリンゴ
1991年、台風の被害により青森県のリンゴの実の9割が地面に落ちてしまいました。
多くの農家が741億円もの甚大な被害に落胆しましたが、たった一人、残った1割のリンゴに目を向けた人がいました。
彼は下ばかり見ていた他の農家とは違い、上を見ていたんです。
そして、その落ちなかったリンゴを落ちないリンゴという商品名で、
1個1000円で神社などで受験生に向けて販売したところ、飛ぶように売れたと言います。
正観さんも実際にそのリンゴを食べたそうですが、体に力が満ちる感じがしたと語っていました。
正観さんは言います。極端な場合を除き、どんな出来事にもプラスとマイナスの両面が同居している。
つまり、物事の見方を変えればマイナスだと思っていた出来事をプラスに捉えることができるのです。
人生にトラブルが多いと感じている人は、単に人や出来事のマイナス面ばかりを見ていて批判的になっているから、そう見えるだけなのかもしれません。
反対に、プラスの面に目を向けるようになると、それほど嫌なことに囲まれているわけではない、ということに気がつきます。
人生にトラブルはさほどなく、ただ単に私たちがそう見ているだけだった、ということに気づくことができるのです。
プラスの見方が引き寄せるもの。
人や出来事をプラスに見るようになると、その人から発せられる気が柔らかくなります。
すると、多くの人が笑顔で近づいてきたり、何か頼み事をしても心よく引き受けてくれたりするようになります。
まるで投げかけたものが返ってくる、という引き寄せの法則のように、人生がどんどん楽しくなり、たくさんの奇跡が起こるようになるのです。
物事の見方が変わると、過去や未来に対しても大きな影響を与えます。
過去の嫌な出来事に対しても、自分にとって必要なことだったんだ、とプラスの面に気づくことができれば、少し心が軽くなります。
そして、これから起こる未来の出来事に対しても、今まではトラブルだと捉えていただろう出来事が気にならなくなるかもしれません。
嫌なことは起こらないと信じられるようになり、毎日が楽しいと感じられるようになるのです。
人生は自分の思い通りにはできません。
しかし、物の見方や捉え方を変えるだけで、マイナスがプラスに変わったり、ピンチがチャンスになったり、トラブルが感謝に変わったりするようです。
頼まれ事は人生を運んでくるチャンス。
ここからは、頼まれ事との向き合い方について見ていきましょう。
心学研究家の小林誠観さんは、「頼まれ事は、なるべく断らない方がいい。」とおっしゃいました。
しかし、難しい頼まれ事が来たら、誰でも悩んでしまいますよね。
頼まれ事を断らない方がいい理由は、頼まれ事が人生を運んでくれるチャンスだからです。
頼まれ事を引き受けることは、相手を喜ばせることにつながります。
その結果、仕事が増えたり、お金に困らなくなったり、人生が楽しくなったり、自分が想像もできなかったようなステージに運んでもらえることがあると誠観さんは語りました。
断ってもいい頼まれ事の基準。
一方で、聖観塾師範大の高嶋良さんは、「頼まれ事は人生のチャンスであり、喜ばれる行為であることを踏まえた上で、断るか断らないかは自分で選択していい。」と言います。
聖観さんの教えは法定式であって、守らなければならない規則ではないので、どちらを選んでも問題はないとのことです。
では、聖観さんが言う、考えるまでもなく断ってもいい頼まれ事とはどのようなものでしょうか。
一つ目、相手が自分を尊重していない頼まれ事。
聖観さんの言う頼まれ事には条件があります。
それは、自分を尊重して頼んでくれたことです。
例えば、「お金を貸して?」という頼まれ事は、自分ではなくお金に用があるのであって断ってもかまいません。
また、人数合わせの頼まれ事も頼まれ事には含まれません。
まずは、自分が尊重されているかどうかを目安にしましょう。
二つ目、すでに戦略がある場合。
すでに他の予定が入っている頼まれ事は断っても問題ありません。
三つ目、物理的に無理な頼まれ事。
100キロの荷物を持ってください、など物理的に不可能な頼まれ事は断ってもいいでしょう。
四つ目、能力的にできない頼まれ事。
英語が話せないのに英語の先生をやってください、など能力的に不可能な頼まれ事も断ってかまいません。
以上の場合は、そもそも政官さんの言う頼まれ事ではないので、深く悩む必要はありません。
できない頼まれ事はやってこない。
私には無理ですと頼まれ事を断ってしまうのは、政官さん流に言うと傲慢になってしまうようです。
なぜなら、そもそもできない頼まれ事は私たちのもとには基本的には来ないようにできているからなのです。
もし引き受けた結果、たとえうまくできなかったとしても、ごめんなさいと謝ればいいだけだと政官さんは語ります。
この考え方を聞くと、頼まれ事に対するハードルがぐっと低く感じられますね。
政官さんがおっしゃったのはあくまで人生が楽しくなる方程式であり、守るべき規則ではありません。
ですから、無理に引き受ける必要はなく断ってもいいのです。
たとえ断ったとしても、不平不満や愚痴、悪口を言わずにいれば、また別の頼まれ事がやってきます。
あまり難しく考えずに、このお話を参考にしていただけたら幸いです。
最後まで聞いていただいてどうもありがとうございました。