他人の幸せを考える前に
今回は、心学研究科の小林正観さんが語った、他人の幸せを願うことについての教えをお話しします。
一見、素晴らしい行動に見える人の幸せを願うことですが、そこには私たちが陥りがちな落とし穴があるようです。
この動画では、ある相談者の例を挙げながら、他者のために行動する前にまず何をするべきなのか、そして真に人を幸せにする方法について深く掘り下げていきます。
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他人の幸せを願うあなたへ
正観さんの講演会に40代の女性が質問にやってきました。
彼女は、おじ夫婦が二人とも癌を患い、仲が悪いため別々の病院に通っていること、いつも怒鳴りあって幸せそうに見えないことを悲痛な面持ちで語りました。
なんとか二人を幸せにしてあげたいんです。 私はどうすればいいでしょうか。
正観さんは、その女性にこう問いかけました。
私に相談に来たあなた自身が、講演会の間もその後の短い時間でも一度も笑っていませんでしたね。
あなたは今幸せなんですか。 女性は、いいえと答えました。
正観さんは続けます。 自分が幸せでないのに他人の幸せを考えても、その人たちをより幸せから遠ざけてしまうかもしれません。
この言葉は私たちにとって大きなヒントとなります。 私たちは困っている人や不幸な人を見ると、なんとかしてあげたいと強く願います。
しかしその根底にあるのは、この人をなんとかしてあげなければという相手を自分の理想通りに変えたいという自我や願望かもしれません。
自分の人生に不平不満を抱え、笑顔を忘れている状態で、果たして本当に人を幸せにすることができるのでしょうか。
正観さんは、それは難しいと言います。 なぜなら、あなたが放つ不幸せな波動が、相手をさらに不幸にしてしまう可能性があるからです。
他人の幸せを願う上での3つの注意点。 他人の幸せよりもまず自分の幸せを考える、という正観さんの教えをさらに深く理解するために、3つの注意点を見ていきましょう。
自分を変えることの重要性
1つ目、投げかけたものが返ってくる。 人間は自分が発した言葉や感情をそのまま受け取ることになります。
他人に対し、困っている、大変だといくら言っても、投げかけたものが返ってきます。
つまり、あなたは、困った、大変だという現実を自分の人生に引き寄せてしまうのです。
人の状況を心配したところで、事態は改善しません。 むしろ、あなた自身の心が心配や不安に満たされてしまうのです。
2つ目、人は変えられない。
小林正観さんの教えの根幹には、人は変えられない、という考え方があります。
あの人さえ変わってくれれば、あの人がこうしてくれたら、と、いくら相手を変えたいと思っても、相手は決して変わりません。
人を変えることは、ほぼ不可能なのです。 そうであるにもかかわらず、相手を変えようとすれば、
自分の理想通りにいかない現実に直面し、自分の悩みや苦しみに変わってしまいます。
不平不満や愚痴、泣き言をこぼしている状態で、誰かを幸せにすることはできません。
3つ目、自分が変われば、周りも変わる可能性がある。
では、どうすればいいのでしょうか。 それは、自分自身が変わることです。
セイカンさんは、愛や幸せの気持ちは、周りの気持ちを明るく変化させると言います。
それはまるで、暖かい光が周囲を照らすように。 先ほどの相談者の例で考えてみましょう。
女性が、おじ夫婦に仲良くしてほしいといくら言っても、二人の関係は変わりません。
しかし、女性自身が明るく、笑顔で温かな対応を心がけていたら、どうなるでしょうか。
おじ夫婦は、この子に心配をかけたくないなとか、いつまでも喧嘩していてもしょうがないなという気持ちから、少しずつ歩み寄る可能性は十分にあります。
たとえ、二人の関係が変わらなくても、少なくとも女性の前では、暖かで幸せな気持ちを感じるはずです。
このように、まず自分が幸せでいることが、結果として周りの人を幸せにする一番の近道なのです。
最後に、人の幸せを願うことは素晴らしい行為です。
しかし、それが叶わないと困るという執着になると、それは願望、つまり欲望に変わってしまいます。
清漢さんは、こう言いました。
ただ純粋に、人の幸せを願うだけなら問題ありません。
しかし、その願いが叶わないと困るというこだわりは持たないほうがいいと。
ですから、願うのをやめて、人の幸せを心から喜ぶことにしましょう。
おじとおばが幸せになってくれたら嬉しいなというように、他者の幸せを自分のことのように喜んであげるのです。
お釈迦様の言葉に、「随機駆読」というものがあります。
これは、人の幸せを喜ぶことが、徳を積む行為になるという意味です。
まず、自分が幸せだと言えるようになること。
そして、周りの人の幸せを喜んであげられるような人格を維持すること。
そうすれば、あなたの人生はより楽になり、同時にあなたの周りの人も幸せになっていくのではないでしょうか。
