よろしくお願いします。ありがとうございます。櫻井さんからも聴きたいことがたくさんあるということはわかっている上で、
せっかくお越しいただいたので、まずは是非櫻井さんの本を読んでいただいて、
二村さんどんなご感想とか、感銘を受けてらっしゃったということをおっしゃっていただいた中で、
ご感想みたいなところを最初にぜひお伺いしてもいいですか。
聴くっていうことを、相手を否定しないで相手のことをまず聴く。
最初の何秒間かだったり、文章であれば最初の一行だったり、とりあえずって言い方はよくないね。
まず相手を聴く、それから相手の中に肯定的意図があるっていうことを信じて聴くっていうことね。
これ本当に僕の書いた本を読んでいるような性とか恋愛とかにコンプレックスがある、
男性の場合はそもそも恋愛ができない、結婚したくてもできない、
セックスのやり方がわからない、みたいな男性だったり。
女性の場合は、皆さんお仕事もちゃんとやっていたり、ご結婚もされたりしていて、
だけどその上でやっぱりセックスや恋愛に悩みがあるという方たちに、
本当に読んでもらいたい本だと思ったんですよね。
僕の本の中にある「心の穴」っていう、コテンラジオでも喋りましたけど、
人間がみんな持っているそれぞれの個性というのは、
おそらく無意識レベルになんかの欠落感みたいなものがあって、
それは子どもの頃から、これはフロイト的な考え方なんですけど、
子どもの頃から常にやっぱり人間の持っている欲望とか欲求って、
我慢させられ続けて生きていくわけですよね。
何を諦めてきたかによって人間の性格ができるって言ってるんですよ。
これすげえかっこいいなと思いまして。
これはちょっとネガティブな、諦めてきたっていうとネガティブな言い方ですけど、
櫻井さんのお話を僕が勝手に解釈してるんで、もし間違ってたらご指摘いただきたいんですけど、
櫻井さんはそれをどんな人間にも、人間がネガティブなことを言ったりやったりするときに、
必ずそこに肯定的意図があるはずだと。
それを信じることから相手の話を聴くっていうことが始まったっていうことを、
この本の中で繰り返しおっしゃってて、
いやそれ全くおっしゃる通りだなと。
櫻井さん、肯定的意図を含めて、
肯定的意図っていうのはその人の心の中にある芯みたいなもの、
その人がどう生きていきたいかっていうことであり、
そこから出てくる欲求みたいなものが仮に、
世間的に見て、社会的に見て、良くないことであったり、
あるいは性的欲望の場合は、
良くなくはないんだけど恥ずかしいみたいなことがあるじゃないですか。
そういうことが出てくるときに、それがみんなこれだけ多様なわけですよね。
一人ひとりの人間がみんな違う、ちょっとずつ違う欲望を持っていたり、
あと恋愛や性の相手と、パートナーとすり合わせができないっていう、
このご本の中でも親しい人とほど相手のことを聴くことができない、
対話ができないっていうことをおっしゃってて、
これも本当に僕が常々思っていることで、
だから対話のワークショップが大事になってくるんですけど、
そういう自分の持っている信念とか認知のあり方っていう言い方を、
櫻井さん、あるいは心理学の公の、普通の心理学ではそういう言い方をすると思うんですけど、
僕はそういうの、ちょっと雑な言い方なんですけど、
全部まとめてあなたの心の穴はねっていう言い方をする。
やっぱりそのことを考えないと対話ができないし、
すごい具体的な話で言うとですね、櫻井さんのご本の第4章で書かれているPIマトリックスっていう図があるんですね。
もしラジオを聴きながら、皆さん櫻井さんのご本読んでいる方だと思うんで、
これがなんでAV監督の心に触れた気がするか。
まさかPIマトリクスが。
そうなんですよ。これ別に恋愛マトリクスでもセックスマトリクスでもなくて、
PIマトリクスを書いてもらえるのに、僕もPIって何のことかよくわかんないで勝手に考えてるんですけど、
要するに一番下の層に、4段階目の層に価値観とか信念、その人の人生やキャリアやタスクを形作ってる、
一番外に現れているものが行動とか言動ですよね。
それを支えているものにその人の多分論理的な思考があり、
その下にその人を動かしてしまう、その人の中で生じてくる感情っていうものがあり、
さらにその下に、だから僕だったらここに心の穴って書くんですよ。
その人の人生と言動を生んでるのはその人の心の穴だと。
櫻井さんはここに価値観、信念っていう、多分普通の方にはね、
僕の多分心の穴って言い方は相当エモいんで、これはまず狙ってやってるんですけど、
そういうことによって恋愛やセックスの方向から自己啓発っていうか、
自分をよりよく生かせたい、より良い恋愛がしたい、より良いセックスがしたいと思う人は、
その心の穴っていう言葉に納得するんですけど、
この本はビジネス書なので、価値観、信念っていう、
同じことを言ってるんだと思うんですよね。
他にもたくさんあります。
たくさんあるんですけど。
1個だけ聴いていいですか?
心の穴っていうところに辿り着いたプロセスを
ちょっとお伺いしたいなと思ったんですけど、
コテンラジオで前編、中編、後編とあって、
後編の中で二村さんの自分のストーリーの話をされてたんですけど、
子どもの頃からエッチなことが大好きでずっと考えてたって話をされてたんですけど、
その方向で行くならば別に心の穴なんていうものを扱わなくても、
いい可能性もあるじゃないですか。
でもその活動をしていく中で、
どこかで心の穴ということに触れたほうが、
自分が喜ぶ話なのか、
それともそれを扱った作品のほうが、
みんなにとっていいものが届くなのか、
その辺の心の穴っていうところに二村さんが立脚したというか、
そこにフォーカスが当たったプロセスって
どんなものだったんだろうっていうのがすごく。
扱った作品そのものが絶対良くなるかどうかっていうのは、
ポルノというのは特に日本のこんだけ多様化したアダルトの中で、
やっぱりユーザーのニーズを掴もうとしてないんですけどね。
僕がこれはセクシーだなと思うものをその時にやってて、
どんどん表現というかテーマがニッチになっていくので、
その辺の話は話し出すと1時間かかるんで、
あくまでも僕の自分勝手な欲望。
一番最初は僕は男性が女性に対して欲望を果たすものじゃなくて、
女性が男性に対して欲望を果たすっていうものを、
男性向けに撮ったんですよね。
男性の方はお好きな方も多いと思うんですけど、
いわゆる痴女と呼ばれるジャンルですよね。
それはそこからどんどんいろんなことをやってきたんですけど、
もう30年以上監督やってますけど、
ずっとやっていくに従ってどんどんニッチになっていくんですけど、
割と手応えがあるというか、
僕が次にやろうと思ったことが、
割とメジャーなジャンルになっていくっていう。
しかも僕は別に自分がイノベーターだとは思ってるんですけど、エロの。
オリジナリティが本当にあるとは思ってなくて、
例えば僕がやってるジェンダーを乗り越えるみたいなね。
男性も綺麗にお化粧してAV女優になっていいんだみたいな、
もうめちゃくちゃニッチなことを今やってるんですけど、
エッチな漫画の世界とかではずいぶん昔からあることなんですよね。
もとをただせば、
集団、複数の女性が一人の男性を可愛がるみたいなのも、
男の夢としては昔からあったんだけど、
あんまり実写で映像をやる人が僕の前にはいなかったっていう。
だってこれ、みんな実は好きでしょっていう確信が、
確信というか、それこそ信念。歪んだ信念なんです。
認知の歪みがあるから新しいアイデアを、
新しくもないんだけど、
実写化する人はそれまでそんなにいなかったアイデアを、
初めてやってみるっていう。
やってみたらそれは一つのジャンルになって、
みんながそれを、これは一つのジャンルだね、
エロいねっていう女優さんも演じるフォーマットが、
こういうふうにできたねってなると、
そうなった時には僕は飽きちゃって、
次のもっとニッチなとこに入り込んでいくっていうことは、
僕の癖としてずっとやってます。
だからお尋ねの心の穴が人間一人一人違うけれども、
違うんだけど一種の方程式があって、
そんなには違わない。
だけど微妙に一人一人違っている。
そしてそこからおそらく人間の不充足とか寂しさとか、
お仕事であればなぜ働くのかとかね、
生きていくためだけではなくて、
なぜ働くのかっていうのは僕は欲望レベルの問題だと思うんですけど、
あとはやっぱり異性とは限りませんけど、
性の相手の好みですよね。
そういうものが一人一人、
方程式はあるんだけど、パターンはあるんだけど違う。
パターンによって分類されてるんじゃなくて、
おそらく一人一人の、
何か持ってきた心の傷に関係あるんだろうなっていう、
これも直感というか。
何でそこに注目したかっていうと、
さっきも言った作品のエンジンというか、
元になったんじゃなくて、そういう作品を作っていくうちに、
やっぱり女優さんと1on1を、
若い頃僕めちゃめちゃしてたんですよね。
1on1っていう言葉が、
こんなかっこいい言葉が俺の口から出てるのかっていう感じ。
僕らの世界では「ザ・面接」なんて言い方をしますけど、
要するに、
女優さんの持ってる心の穴について、
話すことになっちゃうんですよね。
これ、『すべてはモテるためである』っていう本の、
最後の方にもちょっと書きましたけど、
ちょっとエッチな話をします。
聴いておられる女性の方、もしお聴きぐるしかったらすいません。
例えば、おっぱいの大きな女優さんがいるんですよね。
AV女優としては、それはすごいバリューのあることなんで、
デビューすることになると。
デビューするまでは、多くのおっぱいの大きい女性が、
やっぱりそのことをコンプレックスに思ってるんですよね。
男性社会の中で、おっぱいが大きいっていうことで傷ついてくることが多い。
そういうふうに、そういう目で見られたくない人からそういうふうに見られて、
しまうっていうことが、
どうしても僕らの社会、まだまだ男性社会なんで、
そういうことがあると。
だけど、これAVだけじゃなくて、
グラビアアイドルの方とかもそうだと思うんですけど、
そこに価値があるんだよっていうふうに、自分の中でマインドシフトが起きて、
じゃあ、そのことを自分の一つの価値として生きていこうっていうふうになると、
変わるんですよね。自分の胸に対する。
ただ、そのことを誇らしげにやってるだけだと、
やっぱりあんまりエロくないじゃないですか。男性の方も女性の方も大人の方だったらわかると思うんですけど、
恥ずかしさみたいな、そのことが自分を苦しめているっていうネガティブな部分がないと、
どっかに影がないとやっぱりエロチックじゃない。
そういうふうに本人の心の中で、本人が自分のおっぱいがどう嫌いでどう好きかっていう話を、
それを基にしてそういう台本を書くわけじゃないんですけど、
監督がそれ分かってるだけで全然映像が違ってくると思うんですよね。
今のところがちょっと今まさに心の中にフォーカスしたプロセスっていうのを聴きたかったところなんですけど、
一般的にはですけど、多分マーケットニーズからこういうものが好きそうな人がいるので、
そこに対して作品を出していくっていうのが、世の中の製品作りとマーケティングみたいな話だと思うんですけど、
多分二村さんどちらかというと一対一で話した時に、そこに一般的な言葉で言うとコンプレックスみたいなものとか、
その方の心の穴みたいなものを見つけ、それが違う、コテンラジオとかで言われたのは、
嘘をつかなくていい状態でそこにいられるという表現ができた時に、
女の人がガチになってるみたいなものがエロいじゃないですかっていう話をされてたと思うんですけど、
っていうところにいたれたのは、本当にたくさんの方と1on1面談、面接をしていく中で、
そこに共通項を見出していったのか、それとも二村さんの興味・関心というか、
それを引き出したいっていう、二村さん側から何か生み出される何かがあったのかみたいなところをお伺いしたいなと思ったんですけど。
だからそれ両方じゃないですか。女性の方もやっぱり話したがっているし、
あとやっぱりお仕事でエッチなことをするわけですけど、お仕事でやってるんだから安全にやってねっていう風になると、
それはセックスではないわけですよね。こんな話をしていいのかどうかわかんないんですけど、
僕は劇映画でセクシーな場面を撮る場合は、これからの常識としてインティマシーコーディネーターは絶対入るべきだと思うんですけど、
逆に言うとインティマシーコーディネーションが入ってしまったらポルノはポルノではなくなると思うんですよね。
だってセックスのフリをしてるんじゃなくてセックスをしてるわけだから。
じゃあ例えばそれこそ暴力的な映像はどうなのか、それは本当にやってるのかどうなのかっていうことを、
またポルノ、アンチポルノ派の方からは突っ込まれてしまう部分で難しいんですけど、
僕らが作っているものであっても、女性とは限らない、被害者の側が嫌がっているから見る方が興奮するみたいなものを作るときは、
当然インティマシーコーディネーションが入るべきなんでしょうね。
だけどこれが同じ暴力的なセックスって言ってもSMっていう、お互いが被害者だと見えてしまう方もそれで喜んでいる場合があって、
ここに信頼関係がないけども、ルールでこうだからこうやってカット割って取りましょうねみたいなことをやってたら、おそらくぶち壊しなんです。
非常にデリケートな問題で、僕はポルノと性的な映画は違うものだっていうふうに思ってますけど、
ちょっと話が専門的になってるかもしれないですけど、でも櫻井さんが聴かれたことはよくわかります。
お答えするならば、僕が何でそうなったかっていうと、
僕よりもたくさんの作品をね、月に何十本も出している大きなメーカーのキャスティングプロデューサーとかの方が、
それこそ女優さんの、櫻井さんが考えるような1on1ではなくて、
あくまでも、今彼氏はいるの?とか性感帯は?とかですね、どういうつもりで女優さんになったの?みたいな、
コーディネーションの部分の面談みたいなことは、もちろん僕個人よりたくさんの経験を積んでおられる方いると思うんですけど、
だからやっぱり僕がそういうもののフェチだったんじゃないですか。
だけじゃなくて、僕、時によっては男優さんにも聴きますからね。