1. 『まず、ちゃんと聴く。』ラジオ
  2. vol.20 井戸上勝一さん(後編..
2024-12-17 32:06

vol.20 井戸上勝一さん(後編)コミュニケーションをあきらめない「スタミナ」とは?

spotify

「コミュニケーションのエンジンの一つに、スタミナがある」。NPO法人サイレントボイスの無言語ワークショップで、この言葉に出会いました。コミュニケーションのスキルとマインドは、コミュニケーションをあきらめない持久力(スタミナ)が備わって初めて機能する、というものです。

井戸上勝一さんは、スタミナの幅は「圧倒的に伝わらない経験をどれぐらいしたかっていうことに、起因するんじゃないかな」といいます。サイレントボイスとエールに共通するものを探りつつ、これからの「他者との共存」と「自分らしい選択」に不可欠な力についての対話が続きました。

NPO法人サイレントボイス

https://silentvoice.org/

井戸上勝一さん(いどうえ・しょういち)

1996年生まれ奈良県出身。ろう者の母と盲ろう者の父の元で育ったコーダ。新卒で株式会社LITALICOに入社した後、2020年にSilent Voiceに中途入社。オンライン教育事業の責任者を中心に新規事業開発に従事する。

サマリー

井戸上勝一さんとの対話を通じて、サイレントボイスのビジョンや障害者の社会参加の意義が掘り下げられています。特に、教育や環境整備を通じて、個々の強みを生かしつつ共生を目指す取り組みが語られています。井戸上さんのエピソードでは、コミュニケーションのスタミナの重要性やその持続可能性が話題になっています。特に、聴くことの難しさや非言語コミュニケーションが人々をどのように結びつけるかについて深く考察されています。また、異なる感覚が新しいアイデアを生み出す可能性についても語られています。無言語研修の必要性や、参加者からのリクエストによってエールでの研修が実現できる可能性についても触れられています。

サイレントボイスが見ている世界
山田さん:こんにちは、エールの山田です。この番組は、エール代表の櫻井さんの書籍、『まず、ちゃんと聴く。』の内容を中心に、聴くや伝えるについて、ざっくばらんに対話をしながら深めていこうというポッドキャストです。
前回に引き続き、井戸上さんをゲストにお迎えして、櫻井さんと山田の3人でお送りしていきたいと思います。 では、井戸上さん、櫻井さん、今回もよろしくお願いします。
櫻井さん:よろしくお願いします。
山田さん:前半も話したいことがいっぱいあったり、後編も何を話そうかということで、大変混迷したというか、盛り上がったというか、という感じでしたが。
櫻井さん:5時間ぐらいやりたい感じですね。
山田さん:そうですね。合宿できそうな感じで。
井戸上さん:確かにやりたいな。
山田さん:前半は、実際聴くとか、デフの方のコミュニケーションみたいなことからだったんですけど、
もうちょっとこの活動する、エールという会社、サイレントボイスという団体の中での意図みたいなことに目を向けるといいんじゃないかなというのが、櫻井さんから最後に出ていたのでいいかなと思うんですけど。
もうちょっとどんな話をしたいかというところを、櫻井さん、聴いてもいいですか。
櫻井さん:最初にお話ししたんですけど、出会ったとき立ち話で、たぶんマジで5分10分ぐらいしかお話ししてないんですけど、
表層的にやってることは言ったら全然違う、コミュニケーションを扱ってるんですけど、全然違うと思ってるんですけど、
根底で何かですね、目指しているものというか、見ている世界がすごい共通している感じがしていて、
その共通したものを違う手段で社会に対して働きかけをしているというふうに感じている自分がいたんで、
なんかその辺の話ができるといいなと思っていて。この視聴者は割とエールのビジョンとか、エールがどんな世界を見ているかということを
割と知っている方が多いんで、逆にサイレントボイスさんが何かどういうことを目指してとか、
どんな世界を見てそこに向かってやってるのかみたいなところからお伺いできると嬉しいなと思いました。
自分らしい選択をできる状態を増やすために
井戸上さん:ありがとうございます。
サイレントボイスの活動、前半でもお話はしたんですけども、一番見たい世界観としては、
今ビジョンの中にも書いている言葉として、デフの人たちを主語にしている会社ではあるんですが、
社会からの何か障害っていうラベルに縛られたりとか、その眼差しを受けて何かを選ぶとかではなくて、
本当にその人が、その人らしい選択をできる状態をどうやったら作れるのかっていう、
そのためにいろんな事業を今取り組んでいるっていうようなところです。
実際今も社会の中には障害者雇用という制度があったりとか、
事業の中でも障害福祉の事業がいろいろあり、それを受けられる、ある種、セーフティーネット等はあるとは思うんですけども、
今まで仕事がなくて、本当に仕事に就ける人を増やしていこうっていう、そういう時代からどんどんその人らしい生き方であったりとか、
その人の強みがもっと活かされる場所を求められているフェーズになっているにもかかわらず、
ここのアップデートが今ほとんどかかっていないという課題認識が私たちの法人の中にまずあります。
実際に就労の現場とか行かせていただいても、
上司と部下の関係性の中で、その人の働きやすい環境を作るために、いろんな環境整備とかをしていても、
なかなか一歩踏み出してチャレンジすることができない当事者の人の存在とかも見てきました。
そこの背景とかいろいろと言っていくと、やはり幼少期の頃に、
人と一緒に何か協力した経験というのが非常に機会として少なかったりだとか、
そもそも同じクラスのメンバーが5人とか10人とかだったりする環境にいた方もいらっしゃるので、
そうなると物事が多様な視点で存在するんだみたいなことを知らなかったりする。
ある意味、自分の思っていることが基本正しいし受け入れられるんだみたいな。
そういう環境を過ごしてきたことによって、なかなか社会に出て、
異なる他者と一緒に協働したりとか、異なる他者にある種聴いてもらえるっていう、
そういう経験を持ちづらかったりする結果、社会に出た後に転職活動を繰り返してもなかなかうまくいかないみたいな
当事者の方の存在とか、私たちも見てきました。
なので就労の分野で環境改善をしつつも、教育の分野でまずは子どもたちの、ある種、聴いてもらえる時間をどれぐらい増やせるかとか、
聴いてもらえる人たちの幅をどれぐらい増やせるか、そういった授業を今教室の中であったりとか、オンラインの中でやっています。
櫻井さん:そうですね、違いという、強みっていう言葉とか違いっていうものを自覚するっていうところで、
例えば僕たちで言うと、デフの方って言われると一つのラベルっぽく感じちゃうんですけど、
デフの方が10人いたら10人違う度合いだったりとか特徴があるじゃないですか、
多分その障害と言われているものの中に。
っていうことの解像度が受け取り側も上がっていかなきゃいけないし、
本人側も一つのラベルで自分が何かであるって、何かが得意みたいな話ではなくて、
そこの解像度が本人側も受け取り側も上がっていて相互にそこの理解が深まっていくと、
自然と共生できるというか、お互いに強みを生かし合える、特徴を生かし合えるっていうことが本来はあるんだろうなと思うんだけど、
これだけ効率化されていったり分断されていく社会の中で、
何かそういうものがやりづらくなってきた世の中、この高度経済成長の世の中で多分そっちに向かっていった、
それはそれで効率性が良いし生産性が高い社会だったんだと思うんだけど、
もうちょっと相互の理解とか自己の理解っていうことと、それによる共生した社会が生まれていくっていうことで、
その中にコミュニケーションっていうこととか、聴くっていうことって深く関わってるような気がするなーみたいなことを今思いながら聴いてた感じですかね。
「他者と共存できるOS」を実装させたい
井戸上さん:先ほど私が話した自分らしい選択をできる人を増やしていくっていう状態を作っていくルートとして、
2つやっぱり変えないといけないなと思っていることが、1つがさっきの、その人のまずは教育の選択肢だったりとか、
まずは自分自身のスキルを磨いていくルートをちゃんと作っていくっていうこと、そもそも支援だったりとか教育の社会資源自体が全体的に足りないっていう問題があるので、
ここは今事業としてやっている領域なんですけども、実際社会に出た後に出会う人たちっていうのは、
ある種当事者の周りの人たちの存在がすごくキーになると思っているんですよ。
そこを考えるときには社会の側をアップデートしていくっていう、この活動が両軸で走ってないと、
その人たちのやりたい選択肢にまずマッチングできるような状況が作れないと思いますし、
共に協働できるっていう土台みたいなものも生まれてこないなと思っているので、
僕らが今やろうとしているのが共存できるそのOSをどういうふうに教育機関であったりとか、
職場の中に実装させていけるのかっていう、こういう取り組みをしようと思ったときに、
ある種、エールさんが本当に取り組まれているようなサービスの影響っていうのは非常に大きいんじゃないかなというふうに思っていて。
異なる他者がチームに入ってきたときとか、異なる他者と対峙したときに、
どういう想像力を持ってその人と関わっていくのか、その人の価値が発揮できる場所を見つけていくのかっていう、
ある種コーディネーター的な役割の人がいて初めて全体の調和が取れる部分っていうのはあると思うんですよね。
今は事業としてなかなかそこにコミットしきれてない部分はあるんですけども、
その社会の範囲まで広げた活動っていうのは私たちの取り組みの範囲として見据えているところではあります。
山田さん:共通点みたいなところで大きく2つ僕なりに今聴いてて感じたのは、
1つは僕、篠田さんとも別でポッドキャストをやっていて、
そこで企業の組織の中の変化として、ブロック塀型から石垣型へのってよく篠田さんが表現しているのは、
ブロック塀っていうのは同じ規格で同じ形をたくさん作るっていうことがいい組織づくりだったところから、
みんな違う前提で組み上げるっていう、石垣って全部違う石じゃないですかってなるよねっていうと、
やっぱり一人ひとり違う存在であるっていうところにいかに目を向けられるかっていうところに、
前提を変えなきゃいけないって話をしてるんですよねっていうのは、
僕らはそれを、いまの事業だと組織内でそれが起こるようにしましょうねってことを言ってるっていうのは、
根底で一人ひとりの個性をそのままっていうことは似てるんだなって思いました。
すごい共通点だなって思った、1個目で。
2個目は、これちょっと言い方難しいんですけど、
社会の構造として何かが変わってほしいってすごい最後思ってる感じがありつつ、
その中での一人のその場の人のその人の体験とか、
いい生き方ができるようになってほしいって思ってるって、
社会構造というか、そっち側を見たい意図がすごいあるんだなっていうのは、
井戸上さんのお話を聴いててすごい僕なりには感じたところで、
そこは似てるんじゃないかなってすごい感じがしました。
井戸上さん:そうですね。
櫻井さん:この現状を引き起こしている構造は何が起きてるんだろう、
そこにどういう新しい構造を埋め込むと、
もしくは昔からあったものをちょっと形を変える、
田坂広志さんがよく言う螺旋を一段登るみたいな話かもしれないですけど、
昔からあったものを一段形を変えて、
今の時代にあった表現にすると、
この社会の構造が少し変わっていくかみたいなことを、
あれですよね、山田さん覚えてるかもしれないですけど、
エールの株主にファンケルの創業者の方がやられている、
池森さんという方がやられている、
池森ベンチャーサポートというファンドが入ってるんですけど、
池森さんにエールの説明をしたときに、
「これは昔お坊さんがやってたことやな」、みたいなことを言われたんですよね。
で、多分そういう何ていうのか、
昔は何かで担保されていたものとか、表現されていたものが、
時代を経て違う形になって表現されるっていうことって、
なんかあるんだろうなって、
そういうことで構造が少し変わっていくっていうところに、
両者ともに意図が結構あるんだろうなっていうのは確かにそうですね。
コミュニケーションのスタミナ
櫻井さん:……なんか、もう一回だけ具体に最後戻っていいですか。
なんか抽象度上げちゃったんですけど、一回。
なんか本、『まず、ちゃんと聴く。』という本の中で、
聴くってことを因数分解していったつもりだったんですけど、
この前、井戸上さんとかサイレントボイスさんとお話ししていて、
それは完全に抜けてる概念だなっていうことを思ったのが、
「コミュニケーションにはスタミナっていうものがある」っていう話をされていた概念で、
僕はコンディションという言葉で表現したんですけど、
そこに近いんだけど多分外れている、本には絶対入ってないし、
僕の中では概念としてあんまり想定してなかったものだったんですよね。
で、このスタミナってものをちょっとなんか、
僕が説明するより井戸上さんが説明していただいてるんですけど、
コミュニケーションのスタミナってどういうことを言ってるのかみたいなところをちょっとお伺い、
もう一度したいなと思って。
井戸上さん:ありがとうございます。
私たちもデフと一緒に働いたりする中で、
コミュニケーション、よく語られがちなのが、
いろんなスキル、手法あるよねって話はね、
書籍とかでも学べたりする一方、
その裏側にあるそれを動かしていくマインドセットが必要だよねって。
この2つで表現されることが一定数多い一方、
人との関係ってその単発で終わるものでもなく、
やっぱり持続的に作っていく中で、
あるいはその持久力のようなものが備わってて初めてその2つは機能するんじゃないのかなっていう、
そういう前提で立って話をしたときに、
スタミナっていう概念がベースである種全部を動かしているエンジンのような役割としてあるんじゃないか。
そういう仮説の下、こういう3つのフレームワークでコミュニケーションを語らせていただいてるんですけども、
少しそこから派生して話をすると、
エールの中でもね、コンディションっていう言葉が使われていたりする部分の、
僕としての解釈の仕方として、
コンディションが整っていないときにどれだけ向き合えるかっていうことが、
スタミナを言い換えているのかなっていうふうに思うんですよ。
結局コンディションがいいときはスタミナっても続くと思うんですよ。
でも伝わらない時間があまりにも長かったり、
分かってもらえない時間が、
続くとストレスが溜まるし、
どっか場所をかえたいとか、人をかえたいっていう、
そういう選択肢も容易に取れる中で、
それをこう受け入れてどう向き合うかっていう、
ここの幅というかキャパシティがスタミナを示しているのかなっていうふうに、
自分なりに言語化できたところがあって、
ここの深さってどうやったら増えていくのかなっていうことを考えたときに、
圧倒的に伝わらない経験をどれぐらいしたかっていうことに、
なんか起因するんじゃないかなっていうふうに思うんですよね。
ある意味その人にとってのスタミナの基準ってその人しか作れないじゃないですか。
ここまでは自分の経験の中で伝わらない、分かってるんだ、
もうそういう前提なんだって思えてる人ほどそこのキャパシティが、
大きくある気がしているんですよね。
僕も高校生ぐらいのときに、
父と家庭内のすごい揉め事をしたときに、
当時手話を使ってはいたんですけど、
本当に指文字っていう五十音を手話に変える表現と、
簡単な家の中だけで伝わるホームサインっていう、
それだけでコミュニケーションしたので、手話を言語としてしっかり身につけて話せるわけじゃなかったんですよ。
なので自分の伝えられるボキャブラリーが、
頭の中にあるものの30%ぐらいしか伝えられない。
逆に父は手話でしか話せない、手話で話してくるので、
それを僕がどれぐらい読み取れてるかっていう、かなり想像で補ってるみたいなところがあったので、
すごい気持ちはあるんだが伝わらないみたいな経験を繰り返したときに、
最初は相手のせいにお互いしてたんですけど、
それじゃ物事前進しないよなって、どっかのタイミングでいい意味で諦め始める。
諦めるっていう言葉も明るいっていう、
違う道を示すみたいなところから語源が来てるって話を聴いたのが、すごく僕もしっくりきたところがあって、
いい意味で諦めを持つみたいなことが、もしかしたらスタミナの幅を広げる1個のポイントだったりもするのかなっていうふうに思ったりもしますね。
話す側にも結構スタミナがいる
櫻井さん:これちょっと同じことを言ってるかどうかを知りたいなと思ってなんですけど、
最初にこの場をセットして、聴く仮説としてわからないにい続けられるっていう話、
理解できないにい続けられるっていう話をしたと思ってるんですけど、
聴くっていうことで言うと、すごいそこが1個大きいなと思って、相手が言ってることがマジでわかんない。
理解できてると思ってるんだけど、できていないという前提にい続けるみたいなところって、すごくスタミナに影響してるだろうなっていうことを思ってるのが1個と、
もう1個なんか今の話で話する聴くで言うと、聴く側がスタミナっていう話もあるんだけど、話す側にも結構スタミナがいるっていうか、
伝わらない相手に何とか伝えようとするっていう、このスタミナって話す聴くだとあんまり育たない感じがしてるんだけど、
この前無言語ワークで、自分が好きなものを周りの3人の人に伝えてくださいって言葉を使わずにっていうのをやったときに、
これやってると伝える側にスタミナがついてくる感じがしてて、
分かってくれないけど分かってもらいたいっていうことをなんか必死にする。
これ言葉だとね、なんか、いやだから言ってんじゃんみたいなことになりがちなところの、
喋る側のスタミナ、伝える側のスタミナっていうのも結構あるのかなみたいなことを思って、ワークを受けていたときに感じてました。
井戸上さん:確かに双方にスタミナの量がないと、片方だけがあっても一方通行になるっていう現象はありますよね。
山田さん:特にエールの事業をやってる中だと、ビジネスパーソンの中でのコミュニケーションに目が行くじゃないですか。
スタミナを要するようなコミュニケーションそのものがすごいダメなもの扱いされるじゃないですか。
櫻井さん:そうですね。
山田さん:分かりやすく言えよとか、ちゃんと聴けよみたいなことになるので、省エネできてこそいいコミュニケーションって感じありますねっていうのが今、
2人の聴いてて、ある種正しいと思うんですよね。
いかに少ない時間でより良い成果を出すかはビジネスの世界の中で必要なのでっていう中で、
そこに傾きすぎると非言語だったりとか、分からない、伝わっていないに耐えるみたいなことは本当に筋力つかないですねっていう構図ですね。
井戸上さん:僕らも社内のコミュニケーションツールでSlack使ってたりするんですけど、
大量の文字情報がやり取りされる中で、割と社内のスタンスとして、そこで表示される言葉をいい意味で疑うっていう前提は会社の中にあるなあと思うんですよ。
櫻井さん:前提だなあ、それ。
井戸上さん:そこに本質が本当に現れてるのかなっていうところに立ち返れるからこそ、
行間でその人の思ってることを聴くようなコミュニケーションが別で生まれたりだとか、
本心がどこにあるのかなっていうのは常に別軸でずっと探してる感覚っていうのは、
もしかしたら聴こえる人と聴こえない人が働いてるからこそ、生まれてくる問いだったりもするのかなと思っていて、
実際、言語化至上主義に対してのアンチテーゼみたいなのを僕自身も持ってたりはするんですけど、
本に対しての違和感を何でも持つかなと思うと、どうしても伝わらないっていう状況の対峙してる2人の中に、
ある意味、感覚の違いみたいなのが分かりやすく、社会でいうと障害っていうラベルで分けられたときに、
どっちかが正しくて、どっちかが間違ってるみたいな構図が生まれやすいなって思ったんですよ。
それがある種、どこか支援する人と支援される人の関係性みたいに、
その人たちも思ってしまったりとか、周りにもそう見えてしまったりするっていう、
そういう状況を僕らは法人として作りたいわけではないのに、むしろそこの関係を逆転させたりとか、
そういう状況をフラットにするための工夫とかアイデアをずっと事業の中でも、
会社の組織作りの中でも考えてきた、模索してきたっていう心の中で、
スタミナっていう部分をお互いに引き延ばしていくっていう過程の中に、
そこのクリエイティブなヒントっていうのがあるんじゃないかなっていうふうに思うんですよね。
法人の紹介のところで少し説明し漏れたなと思って今改めて言ったんですけど、
社会の中にも組織の中にも、支援するされるの構図を取っ払った関係性ってどう表現できるんだっけっていう、
これを自分たちの組織から証明したいっていうのは一つ強い思いとしてありますね。
全員がマイノリティである、というところから始まる
櫻井さん:例えばデフの方が今エールに一人二人入ってきた時って、
その方々を支援するっていうマインドになっちゃいがちだと思うんですよね。
マイノリティだと。
それはこれは多分女性活躍みたいな話とか、
DE&Iで女性が語られるの多分同じ構造だと思うんですけど、
マイノリティじゃない数になった時にしか起きないコミュニケーションの変化とか、
構造の変化っていうのが起きるって話をしてくれたような気がしていて、
僕で言ったら同じことずっとできないんですよ。
多動っぽいんで、ちょっとADHDっぽさがあるなと自分でも思うんで。すごい多動だし、
決まったことずっとやってるとか無理なんですよね。
それぞれやっぱり特性とか個性っていう話だと思うんで、
そこを本当に見に行くっていうことをしないと、
結局誰かがマイノリティになるから、
マイノリティになるとそこにコミュニケーション合わないっていうか、
そこには変化が起きないから、
全員がマイノリティであるっていうか、
全員がっていう思想に本気で立ちにいかないと、
そのコミュニケーションって変化って生まれないんだろうなっていうことを。
例えばなんですけど、
エールって割と個性とか大事にするから、
会議の議事録とかって文字にすることが正しいと世の中的にはされてるじゃないですか。
僕文字読むの超苦手だから、動画でくれたほうが理解できるんですよ。
だから文字情報じゃなくて、
動画情報、音声情報、あとは絵にしてくれてもいいと思うんですけどっていう、
コミュニケーションっていろんなもので理解できる人がいるし、
受け取り方が全然違うしっていうことを、
配慮できるようになっていくってどうするんだろう。
また抽象度上げたわけわかんない問いになっちゃった。
ここ、でも配慮してくれるのすごい、
僕はありがたいなってエールの中で思うんです。
文字情報で議事録送られてきたら読むんですけどあんま入ってこなくて、
それがストーリー調になった、大切な会議はストーリー調になって、
誰が何て言ったああだこうだっていうストーリーになってることもあれば、
動画でそのまま見れることもあれば、
人によって受け取りのチャンネルが違ったりするっていうことを配慮できるって、
今のさっき山田さんが言った効率性を重視するとやっぱり言語、言葉になっていきがちなんだけど、
そうじゃない世界、社会、組織ってどう作るのかなの方が多分自分が解ける問いなので、
そういう組織ってどうやって成り立たせるんだろうなーみたいなことをちょっと今考えめぐらせてた感じですね。
感覚の違いにアイデアのヒントが詰まっている
井戸上さん:そこに対してなんか僕も思うこといろいろあるんですけど、
ビジネスのシーンとかになると、
効率っていう言葉の中でスピードであったりとか、
作業工数をどれぐらい減らせるかっていう評価軸で語られがちな一方、
一番大事なのってそれぞれのパフォーマンスが100パー以上、
120パー出せるような組み合わせができているかっていうことの方が相対的に出せる、
その組織のインパクトって大きいんじゃないかなと思うと、
その人の持っている強みであったり特性をどれぐらい見極めて、
最適なパズルの組み合わせをどうするのかっていう、
ここの調整が一番重要なのかなと思ったときに、
さっきの支援する、されるの構図じゃないですけど、
自分にとっての正しさとかを一旦取っ払った上で、
目の前にいる人の持っているものとか、
自分との違いって何なんだろうかみたいなことに、
純粋に思いを馳せられる人の総数が増えれば増えるほど、
気づきの量自体が増えるんじゃないかなと思うんですよ。
その人から引き出せるものっていうのが。
実際に感覚が違う人が存在するから、
新しい問いが生まれたりアイデアが生まれるっていうシーン、
僕らもいくつも見てきたなと思っていて、
うちの会議室、また来ていただきたいなと思うんですけど、
基本的には死角がないんですよね。
誰がどこにいてもどんなことをしてるのかっていうのが、
見てわかる状況にしてる。
普通の会議室って仕切りをいっぱい作って、
プライベート空間を用意したりすると思うんですけど、
僕らの場合、それはある種情報を遮断してることになるので、
こういう人の身体感覚で場の空間を見たときに、
視覚情報ができるだけ多いような空間を設計をする。
または会議室とかそういうプライベート空間を作りたいときは、
ボタン一つで曇りガラスになったりとか、
透明になったりする部屋を一つ用意しておくっていう。
曇りガラスになってるときは誰かが中にいるから、
静かにしようねっていう。それがサインになったりするっていう。
こういうのって異なる感覚の人がいるから、
どういう場の作りが一番ベストなのだろうかっていう、
別の問いがそこに浮かぶ。
そこに対して全然違う角度で新しいアイデアが浮かぶ。
この作用って本来どの組織でも起こり得るんじゃないかなと思う一方、
そういう違いを起点に新たな問いを作るっていうことの価値が、
なかなか社会の中でもイメージしづらい部分があるんだろうかなとは思ったりするんですよね。
なので、アイデアのヒントが僕は感覚の違いにとてつもなく詰まってるなっていうことへの好奇心が一番大きいんですよね。
櫻井さん:そこ結構何度も繰り返してくださるんで、
そこに強い関心があるっていうか、そこにあるんだろうなっていうのが、
あと3時間ぐらい飲みながら話したいですね。
無言語研修、リクエストお待ちしています
山田さん:やっぱり合宿するぐらいの時間が必要な感じで。
割と長いこと後編も撮ってきたので、そろそろ残念ながらおしまいにしようかと思うんですが、
櫻井さんどうでした? 前回、今回と渡って。
櫻井さん:楽しかったです。
ちょっと反省というか、があって、
自分の興味、関心にまっすぐではなく、
聴いてくださる方を意識して喋っちゃったなって思っていて、
反省してます。
山田さん:それはじゃあまたどこか違うところでやりたいですね。
改めて前編後編含め、井戸上さんいかがでしたか。
井戸上さん:逆に僕はリスナーさんのことを想像する以上に、
櫻井さんと山田さんに伝えたいことを伝えすぎたなっていう反省がありますね。
櫻井さん:ちょうど良かったですね。
井戸上さん:確かにバランス感としては。
ただトータル、自分たちのやってる活動とエールの重なりみたいなことを話しながら、
どんどん自分自身が言語ができたり、気づけた時間でもあったなと思いますし、
自分の経験踏まえ、やってる活動領域が社会的に見るとかなりニッチであり、
少し珍しかったりするんだろうなと思いつつも、
なかなかどういうポイントが面白いと思ってもらえてるのかっていうことを、
自分でも気づけてなかった部分もあったなと思うので、
こういうコミュニケーションを軸にした語りっていうのは、
エールさんと引き続き、もっと増やせたら面白いことができるのかなというふうに思いました。
山田さん:ありがとうございます。
何か井戸上さん、もしおありであれば、最後聴いていただいている方に、
ご案内とかご紹介したいこと、おありだったりされますか?
井戸上さん:はい。
勝手にこんな紹介していいのかわかんないんですけど、
無言語研修を私たちもいろんな企業でやったりとか、団体に対して提供している中で、
先日、エールのサポーターとかスタッフの方に研修させていただきました。
なので、エールのサポーターの皆さんが無言語研修、
エールでやってほしいという要望、リクエスト出していただければ、
エールの中で特別にできるかもしれないので、ぜひそういうリクエストお待ちしております。
櫻井さん:なるほど。いいですね。
やりたいっていうサポーターたくさんいるだろうな。
山田さん:そうですね。今日の話を聴いて、いろんな問いが浮かんでみんなやりたくなっている感じがしますよね。
櫻井さん:本当はサポーターの説明会というか、契約までのプロセスの中に入れたいぐらいだなって僕は思っているので、
そこはちょっと設計を考えたいなと思っています。
山田さん:またちょっとその辺も僕らも考えられたら嬉しいですね。
はい。ということで前編後編を含めまして井戸上さんにお付き合いいただきました。
どうもありがとうございました。
井戸上さん:ありがとうございました。
32:06

コメント

スクロール