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2024-09-21 10:03

【表現】ピアノレコーディングは精神力と体力を存分に使う修行の時間

生ピアノを使ったレコーディング作業は、精神力と体力を存分に使う修行の時間。電子ピアノと全く違うグランドピアノを扱う難しさと魅力について存分に語ってみました。
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皆さんこんにちは、作曲家で大学教員の小松正史です。
今日はね、今のちょうど録音ね、ピアノのレコーディングが何日間か終わったんですけど、その感想ね、
ピアノを手名付けるのはめちゃくちゃ難しいみたいな、そんな話をしてみたいなっていうふうに思います。
この番組は、未来の音好きを増やすために、小松がいろんな話を伝えている番組となっております。
最近ね、忙しい忙しいと言いながらお伝えはしているんですけども、
ピアノのレコーディングを何年ぶりかな、生ピアノを演奏するの、たぶん2年ぐらい経ってると思いますね。
2022年の夏前にたぶん録音したんだと思うんですけど、それから2年経って、
レコーディング、ピアノの生のね、グランドピアノを使ったレコーディングを始めて、
今日で3日かな、もうね、さっきまでやってきてもうヘロヘロになりますね。
2時間ぶっ続けで演奏をして、それでほとんどテイクが失敗ばっかりなんですよ。
10回テイクして1回成功するっていうか、それほど難易度の高いレコーディングなんですよね。
それでずっとやってきて、今ですね、15曲即興入れてレコーディングの曲を決めてるんですけど、
ありがたいことに10曲ぐらいできましたかね。
はい、それでもうヘロヘロとしか言えないっていう感じですよ。
そんなことを伝えたいと思うんですけど、
よく自宅で僕、ピアノのライブ配信をYouTubeとか、
あとは録音でもコンピューター使ってやる場合は、ほとんどMIDIのデジタルピアノを使ってるんですね。
一応アコースティックピアノ仕様のグランドピアノタッチなんですけど、
これは本当におもちゃというか、電子ピアノはめちゃおもちゃだね。
本当にそればっかりやってると、音楽をピアノでやる心髄が得られないって感じですよね。
車でいうところの本物のベンツと、おもちゃのミニカーのベンツみたいぐらい違いますよ。
一言で何が違うかというと、物体そのものを制御して扱ってるって感じなんですよね。
グランドピアノの生ピアノの構造っていうのは、かなり複雑で、
弦が張ってあって、1本だったり2本だったり3本だったりするんですけど、
その弦をハンマーという羊の毛をグググッとフェルトを固めて作ったような、
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トンカチっていうかな、金槌みたいな形なんですけどね。
そういうのがあって、それをハンマーで弦を弾いて、
そのハンマーの駆動部分が鍵盤にひっついてるわけなんですけど、ざっくり言うとね。
それでピアノの鍵盤をポンと打つと、それで駆動部分がハンマーに力を伝えて、
そして弦を弾くっていうような、物体そのものを鳴らすっていう感じですよね。
ピアノって吹き物楽器と違って、押したら音は出るんですけど、
押し方がやっぱり全然違うんですよね。
相当気合い入れるというか、力を入れるとかそういう意味じゃないんですけど、
相当馬でいうところの手綱をしっかり引っ張って、細かく制御しないと理想の音が出ないんですよね。
適当にやっちゃうと音が出ないどころか、音が持続して鳴らすっていうような、
そういう気候があるんですね、ダンパーペダルで。
それが上手いこと音を伸ばさないんですよね。途中でピュッと切れたりとか、なんか変になっちゃうんですよね。
なので本当に一瞬たりとも気を抜けないっていうのが、とにかく生ピアノの制御の仕方でして。
しかも普通に演奏というか、練習段階で演奏してるぐらいのレベルだったら何とか弾けるんでしょうけど、
なんせ録音ですよ。永遠に残る、半永久的に残るっていうことなんで。
間違えないことは絶対ないんだけど、できる限り間違えない体制、間違えないことは当たり前なんだけど、
そこから深みのある演奏っていうんですかね。
ちょっと奥行きのある理想の響き合いっていうのがあるんですよね。共鳴感っていうのかな。
それを演奏で表現しようと思ったら、なみなみならぬ体力が必要なんです。
体力と精神力と、気持ち的には神に委ねるぐらいまでいくような。
もうヘロヘロになっちゃうんですよね。そういう身体の使い方っていうのがあって。
簡単に言うと、自分で身体とか精神の荷重をかけてピアノを演奏することで初めて聞くに耐えうる、
そしてレコーディングとして記録に耐えうる演奏ができるわけなんですけど、
そのためにはすごいコミットしないと無理なんですね。本当にコミットっていうか、
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関わりすぎる以上に関わる。しかも関わりすぎて表現欲が出ると、そこで途端に乱れるんですよ。
もう淡々としていくっていうか、無我の境地ですよね。
無我の境地でずっと淡々とやっていくっていうのが、特に生ピアノとか生楽器のスタジオレコーディングの極みみたいなところなんですよね。
そういうのが、今ピアノのレコーディングの話はしてるけど、
人間関係とか、特に親子とか家族関係にそうしたことと共通した趣があるんじゃないかなっていうふうに思うんですよ。
親子というか、僕子供が中二なんですけど、
適当に関わっていると、やっぱり後でしっぺ返し食らいますよね。
話したいときにしっかり忙しくても、ずっと僕家に帰っても仕事してるんですよね。
終わらないので、本当に早く休みたいって思うんだけど、それは置いといて。
それでもちゃんと向き合って聞くっていうか、
そうなんか、そうなんか、へーとかね。
否定はせず聞くっていうのは大事ですよね。子供に対してね。
子供のみならずね。家族、奥さんとか、学生にもそうですよね。
否定から始まっても何も対話にならないので、
その心持ちってやっぱりピアノのレコーディングと近いものがありますよね。
適当にかわしてるとやっぱすごく、あんまり良くないというか。
でも人間って限りがありますから、日々の体力、リソースって限られてるから、
ここぞという時にしか僕はそれできないんですけど、
それでも家族とかそういう大事な部分にちゃんと面と向かってじゃないけど、
ちゃんと反らさずにやらなくちゃならないなっていう時はね、
そういう風にしなくちゃならないじゃないですかね。
そんなところをピアノのレコーディングを重ねていって思うんですけどね。
全部人間の気度愛楽とか、落とし穴とか、トラップとか、
そういうものが全てレコーディングに入ってるなって僕は思うんですよね。
ここまで9割できたっていう曲が何曲かあったんですよ。
もうお分かりでしょう。鋭いあなたはお分かりだよね。
最後の1音でね、「あー!」って。
この音、あれ?
最後の1音でダメだっていう感じになるんですよ。
繋ぎはしたくないからね。
繋ぎって何か言ったら、編集は一切しないで、
5分だったら5分の曲、7分だったら7分の曲をずっとやるっていうか、
しっかりと繋がないで。
繋ぐと空気が変わるし、ダメなんですよ。
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本当に、繋ぎは僕はしたことないです。
生ピアノの演奏においては、録音においてはね。
コンピューターだとある程度繋ぎしますけど、
だからすごいね、もうごまかし一切聞かないんですよね。
そんな風なことをしてようやくできるというか、
なので僕、時間がないないと言いながら何でやってるかというと、
レコーディングが練習っていう、すごい極みな練習じゃないですか。
練習しながらすぐレコーディングというね。
いや、効果的、効率いいですよね。
練習してからレコーディングって、僕はありえないなと思って。
時間の余裕のある人はそれでいいと思うんですけどね。
そんな風にして、ピアノレコーディングはまるで、
手綱を引くかのような、そんな体力、精神力がいるという、
そんなお話を今日はしてみました。
いや、まだまだ頑張って15曲やりますよ。
ということで、お楽しみにということで、
今日もありがとうございます。
バイバーイ。
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