この作品2006年に映画化された作品でございまして、東京のとある街を舞台とした高校2年生の女子高生、金野真琴が主人公。
彼女は津田浩介、春に転校してきた真宮千明という2人のクラスメイトの男子と遊び仲間として3人で楽しく過ごしていました。
高校2年生周りは受験だとか意識し始める頃ですけども、真琴としては将来特になりたいこともないなということで、ただただ今遊んでいることを楽しんでおりました。
そんな夏のある日、真琴は偶然立ち入った理科準備室で不審な人影を目撃します。
その人物が何者かを確認しようとした時、真琴は転倒して不思議な感覚を経験します。
そして気づいた時は誰もいない室内で倒れていました。
その後真琴は自分の自転車に乗って帰宅をするんですけども、その帰宅途中に自分の自転車のブレーキが故障していることに気づきます。
ただ既に自転車を走らせておりまして、このままでは事故に遭ってしまうと思って必死に自転車を止めようとするんですけども、自転車はブレーキが効かず猛スピードで電車が接近している踏切に突入していきます。
その瞬間真琴は死を覚悟しますが、気が付くと彼女は坂道の途中で通行人と衝突しそうになって転んでいました。
ふと時計を見ると少し前の時間に戻っていました。過去に戻った?そんな不思議な経験をして驚いた真琴。
彼女は博物館に勤めるおばである魔女おばさんなんて呼ばれる吉山和子を訪れます。
自分に起きた不思議な体験を話すんですけども、和子としてはそれがタイムリープといって真琴の年頃の少女にはよくあることだよという話をします。
こんな経験そうそうないよ、よくあることじゃないよと不倫をしてない真琴は帰宅後に自分の意思で過去へ戻れることができるか、タイムリープできるかを試みます。
そして成功します。それによって真琴は自分に特別な能力が備わったこと、これを実感します。
その後真琴はタイムリープを使って抜き打ちテストで良い成績を収めたり、
甲介は千秋と遊びに行ったりカラオケをしたり、それを時間を戻して何度も何度も経験をした。
そうやって自らの遊びたいとか楽しむ欲を満たしていました。
今まさに楽しんでいる、それで真琴は幸せいっぱいでした。
ただそんなある日、甲介が部活の後輩である藤谷嘉穂から告白をされます。
甲介は真琴のことが好きだったりするんですけども、ただ真琴としては甲介はあくまで遊び友達と思っていたところもありまして、
甲介の気持ちを受け止めることはできない。
それでタイムリープを使って甲介が自分、真琴に告白をする前の時間に戻って、
甲介と藤谷嘉穂をくっつけるように動いたりもします。
そうやって甲介は藤谷嘉穂と仲良くなっていくんですけども、
ただこの甲介が告白をされたこと、これをきっかけに真琴は千秋からも交際を持ちかけられるようになります。
このことに真琴は戸惑いまして、千秋のことも友達と思っていた恋人とは考えられないと動揺します。
そして真琴は千秋の告白もなかったことにしようとして、タイムリープで時を戻して告白の前に戻る。
それで告白をしそうになった時には千秋を避ける、そんなことを繰り返しています。
真琴はそのことも和子おばさんにも相談するんですけども、和子からはせっかく思いを伝えているのに千秋君がかわいそうと指摘されるんですけども、
真琴は千秋の気持ちを受け止める準備ができていませんでした。
そんな中、真琴の親友である早川由里が千秋との仲を深めていくようになります。
由里と千秋が仲良くなっていくことに対して真琴としては複雑な感情を持つようになります。
そしてそれと並行して甲介と嘉穂、この二人も仲良くなっていくんですけども、
ある日、甲介と嘉穂はブレーキが故障していることをこれを知らずに真琴の自転車を借りていきます。
そして甲介と嘉穂、二人は一緒に自転車に乗ってブレーキの効かない自転車で踏切へ突っ込んでいくことになりました。
危ない!と真琴は思い、時を戻そうとしたんですけども、真琴はその時、タイムリープの能力を使い果たしていました。
時を戻すことはできない。このままでは甲介と嘉穂が電車に引かれてしまう。
そして自分はなんてくだらないことにタイムリープを使っていたんだと後悔します。
絶望した真琴ですけども、その時、時間が止まります。
真琴の周りの時間が止まり、その中では真琴だけが動けていました。
何が起きているのか動揺している時に、時が止まった世界の中で千明だけが動いていました。
そして千明が真琴に声をかけてきます。
千明は自分が未来から来た人間であることを語ります。
そして真琴のタイムリープ能力が本来千明が持っていたものであることを説明します。
千明もあと1回だけタイムリープ能力を残していました。
そしてそれを甲介たちを助けるために、最後のタイムリープ能力を使いました。
そのことを真琴に打ち分けます。
千明はなぜ未来からこの時代に来たのか、それを語るんですけども、
未来ではもう見れなくなった絵、これを見るために千明は未来からやってきました。
現代から未来の間では様々なことが起こりまして、
現代に残ったものが未来ではもう残っていない、そんなことを千明は真琴に告げます。
そして千明が見たいと思っていた絵、その絵はこの時代にあるということが確認できたものの、
その絵は現在真琴のおばである家族が博物館で修復をしているその絵でした。
そしてその絵は修復中でありまして、まだ博物館で飾られてはいませんでした。
その絵を見るために未来からやってきたのであれば、絵を見れないのであれば、
また未来に帰るなりして時代を変えればよかったんですけども、
その時に出会った真琴や広介と過ごす毎日が楽しくて、未来に帰れなかった、
そのことを千明は告げます。
そしてそんな楽しい日々を過ごしていくうち、タイムリープ能力の持つものを無くしていたことに気づきます。
そしてそのタイムリープ能力を持つものを真琴が持っていた、
ただ真琴は使い果たしてしまった、そのことを千明は知ります。
もうタイムリープ能力が無くなった、未来に帰れなくなってしまった千明、
そしてタイムリープを過去の人間に知らせてはならない、
このルールを破ってしまったということで千明は真琴たちの前から姿を消すことになります。
千明と突然のお別れを経験した真琴、
翌日には自主退学したという千明の話題で学校が騒然としました。
もう千明に会うことはできない、そう悟った真琴は千明が大事なことを話してくれたのに、
何もなかったことにしてしまった、何度も何度も自分に告白してくれたのに、
何もなかったことにしてしまった、そのことを悔やみ、屋上で一人号泣します。
そしてその時に千明のことが好きだったことを初めて自覚します。
塞ぎ込む真琴に数子おばさんは、自分も高校の頃に好きになったある男性のこと、
彼が離れてしまった今でもずっと待ち続けている、そのことを語ります。
ただ自分と真琴は違う、待ち合わせに遅れてきた人がいたら、
走って迎えに行くのが真琴でしょう、というふうに慰めたりもします。
ただそう言われても真琴はもう千明に出会うこともできないと途方に暮れてしまいます。
ただその夜真琴は自分自身のタイムリープ能力が一度だけ可能になっていることに気づきます。
千明がタイムリープをして真琴が最後のタイムリープを使う前に戻った、
そのことによって自分の能力が1回分だけ戻ったことを彼女は察知します。
そして未来に戻れなくなった千明を助けるため真琴は最後のタイムリープを行います。
まだ千明のタイムリープ能力が残っている頃に戻った真琴、
そしてその時には百合に対しても自分は千明が好きだということを告げます。
百合に対してそれを告げられるほど自分は千明が好きであること、
これから逃げないという覚悟を決めた瞬間でもあります。
そして親友である百合も真琴の覚悟を指しまして真琴を応援します。
真琴は千明の元へ向かい千明の手首にまだ1回分タイムリープ能力が残っていること、これを確認します。
そして真琴はタイムリープのことや千明が未来から来ていること、
それをもうすでに聞いているよということを千明に告げます。
そして千明は残り1回のタイムリープを使って未来に戻ることにします。
ただその千明のために真琴は千明が見たがっていた絵を未来でも必ず見られるようにする、そう約束します。
そして2人の別れ際、千明が去った後真琴は泣きじゃくりますが千明は真琴を引き寄せ、
未来で待ってると言葉を残します。
そしてその言葉に答えるように真琴は笑ってすぐ行く、走って行くと言います。
その後千明は表向きの理由として留学のために学校を退学していました。
千明の秘密を何も知らない康介は千明が何も言わずに退学したことについて腑に落ちない様子でしたけども、
真琴は千明がやりたいことが決まったんだよと返し、
そして私もさ、やることは決まったんだと康介に告げます。
特に夢もなく過ごしていた真琴には新たな夢、絵を残すこと、絵を修復する仕事になること、
これを覚悟したんだなという様子で物語は終わります。
というところがアニメ版時をかける少女のあらすじでございました。
少年少女たちの青春物語ですね。
夏を舞台にしている作品ということもありまして、昨日ではお祭りで遊ぶ3人であったりだとか、
物語のラストカットは夏を思わせる青い空と白い雲のカットで終わることもありまして、
本当夏に見たくなる作品でございます。
この作品めちゃくちゃ面白いので是非とも見ていただきたい作品なんですけども、
この作品をより面白く見たいという方は是非とも筒井康隆先生の原作小説、
原作小説とアニメ映画は異なる部分もありますけども、
理科準備室で主人公が能力に目覚める。
少女1人、少年1人の3人組がメインの当たり。
そしてそのうちの1人が未来人。
未来人は未来にはもう残っていないもののために過去に生きている。
少女と未来人が恋に落ちるけども別れることになるというように、
小説とアニメ映画の共通点も非常に多かったりもします。
ただこの2つ、小説とアニメ映画なんですけども、
アニメ映画なんで原作通りにやらなかったのか?
なんで原作と微妙に変えたのか?と言いますと、
これそもそも原作通りにアニメ化するわけにはいかないという事情がありました。
と言いますのも、アニメ映画の方は原作小説から20年後の設定になっております。
そしてアニメ映画に出てくる魔女おばさんことカズ子おばさん、
彼女こそが原作小説のヒロインである吉山カズ子だからでございます。
なのでこの原作小説とアニメ映画というのは、
20年後ということもありまして、いろいろ繋がりがあります。
このこと知ってるかどうかで、アニメ映画の話が全然感じ方変わってきます。
まずそもそも、誠がカズ子に時間を戻れるタイムリープ能力があることを相談するんですけども、
カズ子が私も若い頃にはあったものよとタイムリープのことをすぐに受け入れております。
これは確かにカズ子が過去にタイムリープを経験したことがあるからということではあるんですけども、
だからこそ誠の話をすんなり受け入れられたという場面ではあるんですけども、
この場面本当におかしいんですよ。
カズ子はカズ王と別れる際に、タイムリープの秘密を守るために記憶を消されてるんですよ。
タイムリープに関わることから、もちろんカズ王のことなども忘れてる花のカズ子が、
タイムリープのことを受け入れる、そして自分にもあったものよというように話すというのは、
これ本当におかしいんですよ。
なのでこれカズ子が20年の時を経って、記憶がもう戻っているということを暗示してるんですよね。
そしてこれアニメ映画の中でも出てきますけども、カズ子は結婚しないで誰かを待っているという描写があります。
記憶が戻ったカズ子はカズ王を待ち続けていること、これを暗示させています。
でもじゃあなぜカズ王は現れていないのか。
千秋というタイムリーパーがいる、つまりタイムリープする薬などは開発されている。
しかも開発者であるカズ王、なぜ彼は戻れないのか。
これについては千秋の話の中でもあるんですけども、
タイムリープのことを現代の人は過去のことに知られてはいけない。
これは罪になるということがあります。
ここらへんは原作小説の中でもあったような気もするんですけども、
タイムリープという能力は過去を改ざんできてしまう。
大きな罪につながるという能力でありまして、このタイムリープを開発した深町カズ王は何かしらの罪に問われていること、これを暗示させています。
そのためにカズ子の前に現れることはできないんじゃないかということを描写しています。
おそらく記録は戻っているカズ子自身も20年も経っているのにカズ王が現れないこと、これにいろいろと感じることはあると思います。
タイムリープ能力を使えばいつでも自分の前に現れることができるはず、でも現れないカズ王。
もしかすると未来で何かあったのかもしれない。
もう自分の前には現れないのかもしれない。
そういうふうに考えられるんですけども、それでもカズ子はカズ王を待ち続けている。
これ原作小説読んでいる方ですと吉山和子の深町カズ王への思いの強さを感じられて、もうまた2人の秘伝というのを感じさせられるので、これ知ってるかどうかでアニメ映画の感じ方がすごい変わってくるんですよ。
なので原作小説読んだ人はアニメ映画の魔女おばさんことカズ子おばさんへのキャラクターの思い入れが全然変わってくると思います。
でまたこのカズ子おばさんと深町カズ王のことがあるからこそ、誠と千明はもう二度と会えないんだな、このことを強く感じられます。
だからこそ誠が未来の千明のために千明が見たがっていた絵を残すというメッセージ、もう二度と会えない恋人へのメッセージということをより強く感動することもできます。
なので原作小説、篤井康隆先生の原作を読んでいるかどうかはアニメ映画をより楽しめるかどうかによって非常に重要なポイントだったりもします。
そしてこの篤井康隆先生の小説もそうなんですけども他にもこの作品重要なものがあります。それは奥花子さんによる名曲変わらないものとガーネットこの2曲でございます。
これほんと時をかける少女においてとても重要な曲です。
ご存知の方も多いと思うんですけどもこの2曲は変わらないものが千明目線、ガーネットが誠目線の曲になっております。
例えば歌詞を読ませていただきますとまず変わらないもの千明目線の曲ですと帰り道ふざけて歩いたわけもなく君を怒らせたいろんな顔の君を見たかったんだという歌詞。
これまさに作中において千明が誠をよくからかっています。
このからかっているということは帰り道ふざけていろんな君の顔を見たかったんだよそれでからかったんだというのが諸に歌詞に現れています。
他にも彷徨う時の中で君と恋をしたここはまさに未来からやってきた千明が誠に恋をしたという歌詞にもなっております。
そして変わらないものを探していたこの歌詞。
現代と未来では大きく変わっていることがあるこれはもう作中においてもたびたび描写されております。
絵がもう残っていないことであるとか誠や光介千明たちはよく野球やってるんですけどもこの野球がもう未来に残っていないとか過去と未来で変わったものが多いでもそんな中でも変わらないものを探していた。
恋や愛と呼ばれるものそういった変わらないものを探してきたこれを見事に表しておりましてそして歌詞の最後の方では時を超えていく思いがある僕は今すぐ君に会いたい
過去と未来で離れていても思う気持ちは変わらないよ今すぐにでも君に会いたいんだそういった千明の心情を見事に表しています。
なのでこの変わらないものという曲はもう本当これは良い曲ですしでまたこの変わらないものは僕という表現をたびたび使っております。
で一方のガーネットこちらは誠目線の曲なんですけども好きという気持ちがわからなくて二度とは戻らないこの時間がその意味を私に教えてくれた。
私という表現をすることで誠の目線だよということを強調しておりますしそして最初千明、光介にも好きだということを言ってられるシーンがありますけどもそのことを理解できていなかった誠。
好きという気持ちがわからなかった。そして千明ともう二度と会えないことを実感した時には好きという気持ちの重要な意味を実感することができたという作中の誠のことをまさに表しています。
でまた他にも果てしない時間の中であなたに会えたことは何よりも私を強くしてくれた。
未来人と現代人という本来は出会うこともない果てしない時間の中で出会うことができた千明と誠。
そして千明に出会えたことで日々を無気力に過ごしていた誠に夢を与えてくれた。自分を強くしてくれたという千明への思いを示しています。
といったようにガーネットもまた作中の誠の気持ちを綺麗に表現しております。
またガーネットの花言葉には変わらぬ友情変わらぬ愛といった意味もあります。
まさにこの変わらぬというものが千明目線の曲である変わらないものと見事にリンクもしています。
この変わらないものとガーネットも本当に曲とも作品を見事に表していますしこの時をかける少女という作品においてとても重要な2曲になっています。
そしてこの2曲がどういった場面で流れるのかこれはもう一度作中を見ていただければなと思います。
ここでこの曲使うのねというところにこの作品の魅力がまた詰まっております。
時をかける少女という作品本当に素敵な作品です。
もうこの絵が何度でも見たくなる作品ではあるんですけどもただもしも辻矢坂先生の原作小説に触れたことがないという方であったりガーネットや変わらないものあまり注目してなかったよという方
よろしければ原作小説やこの2曲に触れてからもう一度作品をご覧くださいませ。
ここからはアフタートークです。
もうだいたいもう本編で語ったのでもう語ることもないんですけどもガーネットと変わらないものの2曲ですと
昔知り合いと話してた時に印象に残っているエピソードがありまして
その知り合いはこのガーネットと変わらないものって時をかける少女でもすごい良いんだけど秒速5センチメートルの方で流れる曲だよねと言ってた知り合いがいたんですよ。
僕最初何言ってるんだと思ったんですけども変わらないものとガーネットの歌詞を読み返すと確かに秒速5センチメートルっぽいんですよね。
時をかける少女は細田守監督作品でありまして秒速5センチメートルは別監督の新海誠監督になるんですけども
ただ確かに秒速5センチメートルってこの2曲が表してるなと本当によくわかります。
見たことない方いらっしゃるかもしれませんけども秒速5センチメートル。
ほとんどざっとだけあらすじ言いますとお互い初恋であった男女のカップルただ離れ離れになってしまうと。
で男の方は初恋の女性を忘れられない過去のことを忘れられないで何をするにもいまいち先へ進めないというのが男。
女性の方は初恋確かに素敵なものでありました。
でも初恋はあくまで初恋次の恋であるとかその先の人生に向けて前を向いて進んでいくというのが女性という話でございます。
正直あらすじざっと言えばこんなもんだと思います。
ただこれを新海誠監督のあの綺麗な絵でねっとりと表現しているのが秒速5センチメートルでございます。
僕はもう正直新海誠監督作品で一番好きかもしれないですね秒速5センチメートル。