00:06
定年退職まであと2ヶ月ちょっとというような状況になりました。
38年間教師をやってきて、それを辞める時が来るっていうようなのは、本当に何か思いもしなかったという理屈では分かっていたけれども、ようやく何か頭の中っていうか何か腑に落ちてきたような感じが今しています。
そして何か気持ちはザワザワしていますね。リアルな気持ちです。退職前の人間というのは何かこんなふうになるのかなと思って。
このザワザワという気持ちの不安定な気持ちというのは、思ってたような4月が来るわけじゃないということですよね。毎年毎年繰り返されてきた4月とは別の4月、それも未知のですね、自分にとって未知な4月がやってくるというわけです。
これはすごい不安なんですよね。不安ではあるけれども、おそらくこれは麻木健一郎さんの言う偶有性というやつですかね、思っても見ないことが起きることへの不安とワクワク感の入り混じったようなもの、偶有性を楽しむというそういう気持ちになっていくといいんだろうなと思います。
そういう自分を、今のそういう不安を持っている自分というのを、メタの視点から楽しむということですね。そういうことができていくと、より人生楽しめるなあというふうに思いますね。
4月からはですね、もう38年間身を置いていた教育の現場からは離れる仕事をするつもりです。ずいぶん悩みました。
やっぱり教育の仕事というのはですね、昔からそうですけど教育一筋とかよく言いますね。ずっと教育に身を捧げてきた先輩たちというのはですね、もう定年になっても65歳までずっと教育の現場で一生懸命働かれて、そしてそれが終わった後でもね、いろんな場面で支援をしに来てくださったりとかですね、
本当教育という仕事が好きで、教育という仕事が自分のアイデンティティーであった方々だろうというふうに思いますね。そういう中にあって、お前は教育現場からいなくなるのかというような、直接そういうことを言われたことはないんですけれども、残念ですと言われたようなことっていうのは何度もありますね。
そういう気持ちの裏には、教育一筋ではないのかというような気持ちというのか、それを非難するわけじゃないんですけれども、意外というようなですね、思いがきっと終わりなのかなというふうに思います。私も非常に悩みましてね。でもマルチポテンシャライトということで自分を位置づけてみたときに気持ちがスーッと楽になった、あの一昨年の冬ですね。それ以降ですね、迷いがなくなりました。
まあ正直ゼロになったわけじゃないんですけどね、非常に軽くなりました。それはですね、自分はその教育という仕事がすごく自分の性にあっていて、そして本当に打ち込んでやりがいがものすごくあって、とっても素晴らしい仕事だと、本当にですね、こんな自分にとってぴったりと合う仕事は他にはないというぐらい、教育という仕事が自分が好きでね、やりがいがありました。
03:17
ところがね、不思議なことに、じゃああなたは誰ですかと言われたとき、私は教育者ですという答え方をするのはずっとですね、違和感があったんですね。私は教育者であろうか。いや、教育者と言われたらちょっと自分を表しているわけじゃないなというところで、自分は教師であるというところにどうもアイデンティティがなかったんですね。
じゃあどこにあったかというと、ずっとやっぱりいろいろ考えていたけれども、一番しっくりくるのはクリエイターであると。クリエイターですと言ったときにものすごくしっくりくるんですよ。つまり自分は教育という仕事に本当に打ち込んでやりがいがあって楽しくて、教育のためなら時間は全く厭わずにですね、苦労も時間も全く何とも思わずに頑張ってきたような私のアイデンティティというのは決して教師ではなかったんですね。
クリエイターだったんですよ。それがきっとマルチポテンシャライトというものなんだろうなというふうに思いますね。ですからマルチポテンシャライトの働き方の中にフェニックスアプローチというのがありまして、一つの仕事をしっかりやりあげて成果も出して、そしてピタッとやめて次の仕事、つまり生まれ変わるというような意味でのフェニックスですね。そして次の仕事へ移っていくという、そのようなアプローチの仕方があるんですが。
僕の仕事の仕方、人生の中での仕事の仕方としては、このマルチポテンシャライトの仕事の仕方として、このフェニックスアプローチというのは非常に合っている気がしますし、そういう仕事の選び方というのはあるんだということをね。そしてそのことに何も特に私たちみたいな教育畑にいる人間がね、後ろめたくならなくてもいいんだという、そういうような気持ちでいます。
フェニックスアプローチというやり方を使って、これまで本当に身も心も捧げてきた教育という仕事を一旦スパッと終わらせて、そして生まれ変わってクリエイターという仕事に移っていきたいなというふうに思っています。