ということで、先週から成功塾シリーズをやっておりますが、今日は第2回です。
先週のことを覚えているでしょうかね。
経営の神様から学ぶ成功塾編ということで、成功塾、経営の神様から学ぶ編をやったわけですけれどもね。
稲森和夫さんの成功方程式、覚えているかな?
後でちょっと復習します。
で、稲森さんが4兆円企業、5兆円企業、そして3万2千人の従業員の経営発展から立ち直すという、
10割超えのヒッター、事業ヒッター、一郎さんの超一郎みたいなやつですよね。
野球ってあんなに毎日毎日バッと打ってても、3割打ったら天才なんですよね。
3割って10回のうち3回、ルイに出ればいいっていうことなんだよね。
すごい少ないよね。圧倒的にピッチャーの方が有利なやつなんだけどさ。
3割出したらすごいのに、稲森和夫さんも10割出したなわけですよね。
もちろん1割出してるけれども、自分の手がけた、創業した企業、そして再建した企業というのは、
100%すごい成果を上げているという方が、なぜそれを再生産できるのか。
なぜ再現、再現性を持って多くの人に、それを多くの従業員に抱えていてもできるようになったのかというところが、
彼は心というものを出してますけど、考え方というところを非常に重視している。
売り上げを上げることはできたとしても、
もしここの心の部分、考え方の部分が悪ければ、掛け算なのでマイナスになっているよ。
これを気にしていると、今週もいろいろあったよね。
東京女子医大とかも理事長さんが逮捕されちゃったりしましたよね。
何億円、1億何千万円、キックバックで応料してたんじゃないかという。
それが生まれた背景は、医大と大学病院、東京にあるところはドル箱なんだよね。
基本的には。なのに患者もどんどん減ってきちゃっていて、それでも油をかけるような状況ですよね。
みなさん、医大というのは、どんだけお金を払っても行きたいと医者の子どもたちが受験に向かってくるところのトップを務めている。
というところで、多くのお金を結構自分の好きなように使えたんじゃないかと言われているけれども、
その経営自体、医学なんていうのも分かりやすいですよね。
本当は世のため人のためとか、人を助けるために事業をやっていきたいはずなのに、
いつの間にか、他の目的のために反対意見がいる人をすべて排除して、だいぶ女性になっていたと言われていますけれども、
心の在り方が事業、社会の方向に向いていなかったんじゃないか。
その在り方がマイナスだったから、その瞬間にはバレないかもしれないけど、いつか必ずわかる。
特にこのSNS時代だから、別に文春さんが抜かなくても必ずわかってしまう時代なので、
どんだけその上まで富を蓄えてきて、その大学病院というのがどんだけブランドが高まっていっても、
一回こういう思いでやっていたら、もう患者としても行きたくなくなっちゃうじゃない。
受験生としてもちょっと嫌だなと思うし、働いている人も嫌だなと思うし、本当に台無しにしてしまう。
それは経営が下手だったからとか、そういうこととは違う次元だよね。
心の持ち方がマイナスだったんじゃないか。
一生懸命みんなが他に頑張って、他の授業いっぱいの人がやっていたんだけれども、どうしようもないというような話なんですよね。
なので、どうしても事業家を目指している皆さんが先に売り上げを上げたいという思いが先立つと思うんだけど、
これは結論から言ってしまうと、売り上げを上げるというのは必ずできます。できるそうです。
それよりもちょっと遠回りだけど、心の在り方をしっかり持ってからやらないと取り返しがつかないよということで、
時間をかけて成功塾シリーズをやっていきます。
今日は史上最強の商人の少年編です。前回の続きをやっていきます。
稲森和夫さんが経営をしていく上で、最も大事なのは心の在り方のマネージメントだというふうに、
若い頃、無法にやって気づいたんですね。最初の共生談の時に。
その時から心の在り方、それをどこで学んだのか、ある着物から学んだというふうに言っています。
これは稲森さんだけじゃなくて、宋正義さんもそうだし、藤田添さんもそうだし、
いろんな人がここから学んで偉大なる商人にその通りになっているわけですよね。
これがちょっと高い本なので、じっくりこれをやっていこうということでやっていますが、その第2弾です。
今日はこの本をやっていきますけれども、
みなさん、なかなか買って読むのは大変なので、金額の上でも大変なので、
買わなくても中身がわかるように、私が読みます。
私がだいぶ朗読するパートが今日は多いので、後半寝ている人が特にするんじゃないかなと思っておりますが、
1万円を買って自分で読むのか、ただというかどうかわかりませんけれども、
今日ここに座っているだけでエッセンスがわかるというところをお届けしたいと思います。
今日この中でも巻物まで行けるかどうかわかりませんけれども、物語の部分。
これはハフィドという地上最強の商人、現在地上最強の商人が、
少年時代はただの落田使い、落田の世話係だったわけですけれども、
そこからどうやって地上最強の商人になったのかという冒頭のお話のところを、
今日はメインに扱っていこうと思いますので、物語のパートです。
冒頭、願いを叶える、成功するということを扱っていくわけですけれども、
今日のテーマソングはこちらです。
前回から世界観としては、アラジンの世界観ですよ、アラビアンナイト、
アラビアンデイトは言わないよね。アラビアンモーニングって言わないよね。
なんで夜が魅惑的なんですかね。アラビアンモーニングでもいいはずなんですけどね。
溜めるんだ。
歌っちゃおう。
寄付。
寄付。
半分を寄付せよ、それぞれのキャラクター。
ちゃんと違う答えを出してくれてありがとうございます。
この中に正解があります。
じゃあ、ちょっと。
でですね、私が一方的に読んでいるだけでも非常に高い本の価値はあると思うんですけれども
飽きられるのが私は怖くてですね、クイズにしておりますので
1章ごとにクイズがあります。
今日はクイズいっぱいありますので
これ、答えを読んだ後にですね、クイズ出ますので
クイズのトップを目指してやってほしいなと。
国語の授業みたいな感じですね。
この文中に何が書いてあったかということをですね。
もう始めから答えを出してますからね。
答えというか問いを出してますからね。
ハビットは履歴の半分をどう使ってきたのかということが
読んだ後に問われますので答えられるように注目してください。
今回もいつもと同じように正解を書きます。
選択問題じゃなくて書きます。
何に使った。
早ければ早いほど点数が高い仕組みになっておりますのでね。
早押し、早く。
早く正解をしてたくさんの点数を稼げほしいなと思います。
じゃあ、いきましょう。
第1章 史上最強のアラグン
これハフィドが、晩年の話ですね。
ハフィド・リンガードは青銅の鏡の中に映る自分の姿をじっと見つめた。
老いたな。若さが残っているのはもう目だけじゃ。と呟いた。
そして広い台席の床の上をゆっくりと歩み去っていった。
この部屋は豪華なものだった。金銀で飾られた天井。
何本もの黒いシマメノウの柱。
彼は年老いた弱々しい足取りで造下細工の組み込まれた
キプロス杉のテーブルの脇をゆっくりと過ぎていく。
別校で飾られた長い椅子やソファーは輝き、
宝石で象眼が施された壁は光を放ち、
年入りにデザインされた2式の壁掛けの文様には
ちらちらと金紙銀紙がきらめいている。
青銅の鉢に植えられた巨大な朱露が何本も、
石膏製の妖精が立つ噴水を囲むように配置されている。
宝石の散りばめられた室内花壇の箱には様々な花が植えられ、
それぞれの美を競い合うようにいるようである。
このハフィドの宮殿になれば、
誰しも彼が巨大な富を保有する大商人であることは疑わないことだろう。
ハフィドは中庭を横切り、その向こうにある倉庫に入っていった。
その倉庫は館の跡から500歩ほどの長さに渡って伸びている。
入口のところにエラスムスが緊張した様子でハフィドを待っていた。
彼はハフィドの全帳簿を管理している番頭である。
おはようございます、ご主人様。
ハフィドは軽くうなずいただけ、そのまま奥へ歩みを進めていった。
エラスムスもその後に従ってついていったが、
彼の表情はハフィドがいつもと違って、
なぜこのような場所で会いたがるのだろうかと不安を隠しきれなかった。
ハフィドは荷物を上げ下ろしする場所に立ち止まると、
馬車から商品が下ろされ、数が数えられ、台の上に積まれていくのをしばらく見つめていた。
ウール、上等のリネ、羊皮紙、蜂蜜、カーペット、オイル、いずれも小アジア原産のもので、
ガラス一塾、ナッツ、バルサムから採った香料などはハフィドの生まれ故郷からのものであった。
パルミラ産の織物に薬品、アラビアからの神社、シナモン、宝石、
エジプトからは穀物、紙、花崗岩、石膏、玄武岩、バビロンからの綴れ織、ローマの絵画、そしてギリシャの彫像もあった。
バルサムの香りは重く辺りに漂っていたが、長年の経験で鍛えられたハフィドの嗅覚は鋭く、
甘いプラムやリンゴ、そしてチーズやジンジャーなどの匂いを嗅ぎ分けることができた。
しばらくして彼はエラスムスの方へ向きを直っていった。
時にエラスムス、今までに我々が宝箱に蓄えた財産はどのくらいになったかな?
エラスムスの顔色は青ざめた。
全部でございますか、ご主人様。
そう、全部でじゃ。
最近の総額は計算しておりませんが、私の推定するところ700万タレントは上回ると存じますが。
それでは今、ここの倉庫の品物と市場に出ている商品すべてを黄金に変えたらいくらぐらいになるのかのう。
今朝の在庫目録はまだ出てきておりませんが、少なく見積もっても300万タレントはございましょう。
ハフィロはうなずいてから言った。
商品の仕入れはもうしなくてよい。そしてすべての商品を黄金に変えるのじゃ。
そのためにはどうしたらいいか、直ちにその方策を考えてもらいたい。
エラスムスはあまりの驚きに口を開けたまま、声も出ない様子だった。
彼は殴られたようによろめき、かろうじて踏みとどまり、ようやく声を出すことができた。
ご主人様、私にはわかりません。今年は特に儲かっております。
どの市場からも売り上げは前年度を上回っているという報告が来ております。
ローマの軍隊でさえ、今や我々の顧客です。
現にあなた様はここ2週間の間にアラブのタネウマ200島をエルサレムのローマ軍隊の軍団の行政官に放りになったではございませんか。
ご主人様のご命令には何一つとして疑問を差し挟んだことのない私ではございますが、今度ばかりはどうにも納得しかねます。
サフィドは微笑み、優しくエラスムスの手を握りしめた。
エラスムスよ、お前は初めて家へ来たときのことを覚えておるじゃろう。
その時、私はどんなことをお前に言ったかな。
エラスムスは額にシワを寄せてじっと考えていたが、すぐその表情は明るく輝いていった。
ご主人様はこうしました。毎年の利益の半分は貧しい人たちに分け与えるようにと。
その時、さぞかしお前は私を愚かな商人だと思ったであろうな。
不安な気持ちになったのは事実でございます。
サフィドは大きくなずいた。そして両手を広げて、前方の荷物の上げ下ろしを差し示していった。
どうじゃな、今ではお前のその心配も意味のないものであったことを悟ったであろうな。
はい、ご主人様。
では、なぜあの時、私があのような決断をしたのか。その説明が終わるまで、しばらく辛抱して聞いてはくれないか。
私ももう歳じゃ、欲しいと思う者とて、もうほとんどない。
最愛の妻、リシャも先立ってしまった。
今の私の望みは、今までに得た財産をこの町の貧しい人々に分かち与えることなのじゃ。
私の取り分としては、余生を不自由ない程度でよい。
そこで、そのための書類を作成してほしいのじゃ。
それと、市場関係の書類もな。
私は今、市場で私のために働いている者たちに、その場所の所有権を譲り渡してやりたいのじゃ。
それと、それぞれの支配人たちへ、長年金属のお礼として、五千タレントずつ分け与えてもらいたい。
そうすれば彼らは彼らなりの才格で、新しい商品を揃えることができるじゃろう。
ここでエラスムスは話し出そうとしたが、ハフィロは手を挙げ、それを制した。
どうやら、私の申し付けが気に入らぬようじゃの。
エラスムスは首を振って、笑顔を浮かべようとした。
いや、決してそうではございません。
ただ、私はあなた様となさろうとすることの理由が全くわからず、とても不安なのです。
それに、お言葉を聞いていると、まるでご遺言のようにも感じられるではございませんか。
お前は良い性質をしているのを、エラスムスよ。
お前はいつも自分のことより、私のことを案じておる。
お前は、この我々の貿易帝国がなくなってしまうときに、まず自分の先行きが心配にならんのかも。
ご主人様とは、もう何十年もの間、一緒に仕事をしてまいりました。
その私が、どうして自分のことだけを考えられましょう。
ハフィロは古い友の体を優しく抱きしめた。
私のことを心配する必要はないと、直ちに五万タレントをお前の命令に書き換えるようにしてくれ。
そしてな、私が遠い昔に立てた、ある誓いを果たすまで、私と一緒にここにいてほしいのじゃ。
その誓いが果たせたなら、この宮殿も倉庫も、お前に譲り渡そう。
そのときは、妻のリシャの元へ行く用意ができたのじゃからな。
エラスムスは、主人の言葉の意味することがわからず、主人の顔を見つめて、ただ、ブツブツとつぶやくだけだった。
五万タレント?宮殿?倉庫?と、とんでもない。
ハフィロはうなずいた。お前のその忠実さは、私にとって最高の財産だと金々思っておった。
私がお前にしてやれることなど、今までお前が私に尽くしてくれたことに比べれば、わずかなものじゃ。
お前は自分のためだけでなく、他人のためにも働くことができる人間なのじゃ。
これこそ、男の中の男であるゆえんだと、私は思う。
さあ、ぐずぐずしてはいられない。
私のこの計画を完結するために、お前には急いでもらわねばならぬ。
今の私にとって最も貴重なるものは時間なのじゃ。
私に与えられた時間はもう残り少ない。
エラスムスは顔を背け、流れる涙を隠しながら、しわがれた声で尋ねた。
では、その果たさねばならぬ誓いとは、どのようなことでございましょうか。
長い間、失礼ながら、兄弟のように一緒に過ごさせていただきましたが、
そのようなお話は、追続があったことはございません。
ハフィロは腕組みをして微笑んだ。
今朝、お前に頼んだ仕事をすっかり片付けたら、お前にまた会おう。
その時には、すべての秘密をお前に話そう。
30年以上も、妻のリシャー以外には決して誰にも話せなかった秘密をな。
という大秘書でした。
さあ、ここでクイズでございます。
今日はこれが続きますからね。
どうしよう。
商売の心得とコツを身につければ、誰でもいくらでも売れるものだ、と。
もし、みんなが愚か者と呼んでいるあのカレグでさえ、
商売のコツを覚えられるのなら、何でこの私にも覚えられないことがありましょう。
一つ聞きたいのだが、何でお前はそのように商売のコツを覚えたがるのか。
何か目的でもあるのか。
パフィドは答えるのを少しためらった後。
ご主人様はこの国最大の商人であると、人々は皆そう申しております。
世界中どこを探しても、ご主人様のように商売の道を極め、
貿易の一大稽古を築き上げた者はございません。
私もご主人様のように大人のような偉大な商人になりたいのでございます。
世界一の金持ち、世界一偉大な商人になりたいのでございます。
パトロスは身をそらすようにして、この若者の黒く日に焼けた顔をじっと見つめた。
粗末な衣服に家畜の匂いがしみついてはいたが、しかしその態度にはある種の義憤が漂っていた。
では聞くが、その大きな富とそれに伴った恐ろしいまでの権力を、お前はどのように使うつもりなのか。
ご主人様のように家族に素晴らしい生活をさせてやる。
またその残りは貧しい人たちに分けてやりたいと思います。
パトロスは首を横に振って言った。
富、それは人生の究極的な目的にされるべきではない。
お前の言葉は巧みに表現されてはいるが、それは真実ではない。
本当の富とは心にあるもので、それは財布の中身ではないのだ。
ハフィドは反発した。
ではあなた様はお金持ちではないのでしょうか。
パトロスはハフィドの若さゆえに少々無礼なこの言葉を聞いて微笑んだ。
ハフィドよ、物質的な富に関して言えば、この私とペロット宮殿の周りにたむろしている子敷たちとの違いは次の一点でしかない。
すなわち子敷は次の食べ物にありつけるかどうかだけを考えるが、私は人生の最後の日の食べ物について考えているのだ。
ハフィドよ、お前は物質的な富にのみ目を奪われてはいけない。
金持ちになることだけに心を奪われてはならないのだ。
大切なことは喜びを求めることだ。
それは何かといえば、愛し愛されることだ。
そしてこの世において最も重要なことは心からの安らぎを得ることなのだ。
ハフィドはなお反論した。
しかし、そのようなこともお金あってこそ初めて得られるのではないでしょうか。
貧しい者がどうして心安らぎでいられましょう。
からこの胃袋を抱えて、からこの胃袋を抱えて、どうして幸せでいられましょう。
与えるべき食物も着るものも家もなくて、どうやって家族を愛することができましょうか。
あなた様はかつて他の人々にも喜びをもたらすならば、その富は良いものだとおっしゃいました。
であるならば、私の金持ちになりたいという気持ちがなぜ悪いのでしょうか。
貧しいということも一つの特権かもしれません。
砂漠に住む修道士にとっては貧しく生きるということは心の支えであるかもしれません。
しかし修道士は自分一人の心の支えを求めているのです。
現在のお前は例えてみれば青い一軸だ。
一軸は熟さなければ一軸とは言えないように、
お前は何回もの風説に出会い、
経験を積み熟成しなければ一人前の商人とは言えない。
では私は何を始めればよいのでしょうか。
明日の朝、二社の場所に行き、
シルビオに会って私に言われてきたと言いなさい。
彼はお前に縫い目のない極上のローブを手渡してくれるはずだ。
このローブはヤギの毛で折られており、非常に丈夫なものだ。
赤目の赤い染料で染められているが、
雨風にさらされても色あせることはない。
内側のヘリのところを見てみよう。
そこに星のマークが縫い取られてある。
これはトラ共同組合の印だ。
トラ共同組合で作られたローブは世界的に有名なものだ。
この星のマークに並んで正方形の中に丸のマークがある。
お前も知っての通り、これは私の店の商標だ。
この二つの商標は上等な品質のものとして人々によく知られている。
私は今までもこのローブを何千着も売ってきた。
このローブはユダヤ人の間ではアベヤという名前で呼ばれている。
それはそれだけユダヤ人たちに売られているという証だ。
ロバ一頭にこのローブ一着を積んでベツレヘム駅に売ってみよう。
そうだ、我々のキャラバンがここへ到着する前に通過してきた街だ。
うちの連中はまだ誰もそこへ売りに行ったことがない。
彼らはいくだけ無駄だという。
それほどこの街は貧乏だというのだ。
しかしもうかなり昔になる。
私はそこの羊飼いにこのローブを何百着も売ったことがある。
売れないはずがない。
ハフィドは興奮を抑えられぬ様子でうなずいた。
値段はどのくらいで売ったらよろしいでしょうか、ご主人様。
帳簿には1銀デナリスと付けておこう。
お前が帰ってきたときに1デナリスを返してくれればいい。
それ以上は全部お前の儲けだ。
だから小売値段はお前が決めればいい。
街の南の入口に市場がある。
まずそこへ行ってみるか。
あるいは街の人々に直接売ることを考えてみるのもよかろう。
街には1000件以上の家がある。
だったらローブの1枚ぐらいは売れるのではないか。
どうだ、そう思わんか。
ハフィドは再びうなずいた。
彼の心はすでに明日のことへと飛んでいた。
パトロスは彼の肩に優しく手を置いていった。
もしうまくいかなくてもあまり楽談するな。
お前の楽談の仕事はあげておく。
お前が商人に向いていないとしても、それは決してはずべきことではない。
また何かに失敗することもそうだ。
この世には失敗の経験がないものなどいない。
もしいるとすればそれはあらかじめ何もしないものだけだ。
お前が帰ってきたら、お前の体験したことをできるだけ詳しく聞かせてくれ。
その上でお前の夢が実現するにはどうしたらいいか考えてみることにしよう。
ハフィドはお辞儀して出ていこうとした。
サトロスはなおも話を続けた。
ハフィドよ、今お前が新しい人生を始めるにあたって、
ぜひとも心を得ておかねばならぬ今しめというものがある。
この今しめを常に心の中にとどめておくことが大切だ。
それにしても売ろうとして、人の家の小口に近づいていく時のこの振動をつかまれるような恐ろしさはどうしたら克服できるのだろうか。
ハフィドは自分の失敗に嫌気を覚え激しく頭を振った。
結局私は商売に向いていないのかもしれない。楽団の世話をしてその賃金をもらって生きるのが分相応なのかもしれない。
彼には品物を売って幾百万の儲けを得て再び大正へ帰れることなど、到底えがたい幸運のように思えてきた。
アトロスは私のこと若き戦士と呼んでくれた。だがそれは敗北した戦士だ。
ハフィドは一瞬の中このままロバを引いて大正へ帰りたくなった。
ただその時、愛しいリシャの顔と、そしてあのいかめしい父親カルネエの顔が頭に浮かんできた。
すると今までの不安も一瞬のうちに薄らいでいった。
今晩も宿賃を浮かすために野宿しなければならない。
よし、明日こそはあのローブを売ってみせるぞ。
夕弁を振ってきっと良い値段で売ってみせる。
夜が明けたらすぐ出かけよう。
そして町の井戸のそばに陣取ってそこで売ろう。
近くを通る人々に声をかけよう。
やがて銀貨を財布に納めて大正の松オリーブさんに戻っていくのだ。
ハフィドは手を伸ばし食べ残したパンを取り食べ始めた。
パトロスはきっと褒めてくれるだろう。
とにかく諦めず売ることができたのだからな。
そしてパトロスから教えてもらえばたった一枚のローブを売るのにこんなに時間をかけないで済むようになるだろう。
少なくとも二日以内に売れるようにはすぐ慣れるだろう。
そして間もなく何枚ものローブを安々と売りさばけるようになるだろう。
その時こそ私は大商人としての評判を得るのだ。
ハフィドは騒がしい食堂を出てロバの繋いである洞窟の方へ帰っていった。
空気は冷たく草は下に覆われており彼の足の下で乾いた音を立てていた。
彼は今夜も野宿するつもりだった。
洞窟の中でロバと共に一夜を明かすのだ。
今やハフィドはなぜ商人たちが商売をせずこの街を通過していってしまうのかその訳が分かった。
それほどこの街は不景気なのだ。
にもかかわらず彼はやる気だった。
とにかくパトロスは何年か前この街で何枚ものローブを売ったのだ。
その時と今は事情が違うかもしれないがしかしやはり彼は偉大な商人なのだとハフィドは思った。
ふと彼方の洞窟の中からわずかながら、わずかながら明かりがチラチラと漏れているのを見て彼はギョッとした。
もしや盗賊ではあるまいかと怯えた彼は石灰岩の洞窟の入り口を目指して走り出した。
もし盗賊がローブを盗もうとしているならばすぐそれを取り返さねばならない。
しかしその光景を見たとき彼は急に力が抜けた。
それは奇妙な図だった。
小さなろうそくが岩の裂け目に立っている。
あたりをぼんやりと照らし出している。
そこにはむさ苦しいアゴヒエを生やした男と若い女が寄り添う。
身を縮めていた。
彼らの足元には石のくぼみを利用した貝羽桶が置いてある。
その中に赤ん坊が眠っていた。
ハフィドは赤ん坊についての知識はほとんどなかったが、
それでもその赤ん坊のシワのよった赤い肌を見てたった今その子が生まれたものであることに気がついた。
寒さから守るために男と女の上着で赤ん坊を包んであり、
小さな頭だけがそこから出ていた。
男はハフィドを見て軽くなずいた。
挨拶のつもりだったのだろう。
女は赤ん坊を見るよう守るように身を寄せた。
三人とも全く無言のまましばらくむじろぎもしなかった。
だがその時になればその者はそれとわかる
ある特別な知らせを告げてくれるのだという
私はその特別な知らせを告げてくれるという
その人物が現れるのを何年も待ちながら
巻物の教えに従ってきることにより
莫大な財産を手にすることができた。
長い年月が過ぎ私も歳をとった。
私はもうそのような人物は私が死ぬまでは現れないのではないかと
思い始めておったのだ。
だがお前がベツレヘムから戻った夜
お前の背後から従ってきたあの明るく輝いてる星を見て
あの夜お前こそがこの巻物を受け取るべく
選ばれた人物であることを悟ったのだ。
私はこの星の意味するところについて
ずいぶんと考えていたが結局わからずじまいだった。
神のなさることには我々人間には
測り知れぬものもあるのだろう。
しかしあの大切な老母、お前が見知らぬもの
その赤ん坊に与えてしまったことを聞いたとき
私はうちなる者の声を聞いたのだ。
そして知ったのだ。
長い間探し続けてきた人物が実はすぐそばにいたこと。
こうして私はついに
私から巻物を受け継ぐべき運命づけられたものを発見した。
すると不思議なことに
私の体から少しずつ生命エネルギーが抜け始めたのだ。
おそらくこれは私のこの世における使命が果たされたからだろう。
これで私は安らかにこの世に別れを告げることができる。
話している間にパトロスの声がだんだん小さくなっていた。
彼は骨張った拳を固く握りしめ、ハフィドの方へにじり寄った。
よく聞け、ハフィドよ。私にはもう話を繰り返す力はないのだ。
ハフィドの瞳はうるんできた。
そしてパトロスの声に身を寄せると、二人の手が触れ合った。
パトロスは力を振り絞って大きく息を吸い込んだ。
これからお前にこの木箱と価値ある中身を渡すのだが、
その前にお前に守ってもらいたい条件がある。
木箱の中には金貨が百タレント入ったサイズがある。
この金でお前は生活もできるし、敷物を少し仕入れて商売を始めることもできる。
私はもちろんもっと大きな財産を授けることはできるが、
それではかえってお前のために災難を引き起こすことともなろう。
小さな資本からスタートして、自分の力で富を築いていくのが望ましいのだ。
お前は全く自分自身の力で地上最強の商人となるのだ。
よいか、私はお前が話したお前の目標を忘れてはいないぞ。
バトロスはひくりながらもきっとした声で言った。
今すぐこの町を出て、ダマズカスは行くのだ。
あの町にはこの巻物の教えを実践する機会がふんだんにある。
最初、宿に着き、落ち着いたらすぐ第1巻の巻物を開き、読み始めよう。
そしてしばらくはこの第1巻のみを繰り返し、繰り返し読むのだ。
そこには他の9巻に解かれている秋内の秘訣を学ぶための秘密の方法が書かれている。
これを完全に理解し、かつ身についたなら他の巻物に進んでもよかろう。
他の巻物に進んだなら、そろそろ商売を始めてもよかろう。
仕入れておいた敷物を売り始めるのだ。
そして巻物の教えと実際の体験が結びついていき、
第1巻で知った秘密の方法で他の巻物を次々と学んでいくならば、
お前の商売は次第に大きなものになっていくことだろう。
そこで私の言う最初の条件とは、第1巻に書かれてある教えに従うことを誓うことだ。
どうだ、誓えるか?
はい、誓います。
よろしい、よろしい。
お前が巻物にかかえてある原理に従う限り、
お前がかつて夢見たよりも遥かに広大な富を手に入れることができるのだ。
さて、私の言う第2の条件だが、
それは商売で得た儲けの半分を常に貧しい人たちに分けてやることだ。
この条件は決して互いではならぬ。
どうだ、できると誓えるか?
はい、誓います。
さて、次の第3の条件だが、