おはよう、こんにちは、こんばんは。薬と健康に関するラジオ、略してくすけんラジオのうっちーです。
このラジオでは、薬剤師である私、うっちーが薬のことや健康のことなどで、ラジオ置きの方や患者様からの質問等を紹介しながら、質問に答えたり、薬や健康についてのお話をしていくというラジオです。どうぞよろしくお願いしまーす。
今回、リスナー様よりテーマをいただきましたのは、まことにありがとうございます。今回テーマをいただきましたのは、流しのムーミン様。まことにありがとうございます。
流しのムーミン様からは、過去にもいくつものテーマをいただいております。その質問、本当にありがとうございます。
まず、今回いただきましたメッセージ、読ませていただきますと、
いつも楽しく番組聞かせていただいております。最近、名探偵コナンなど漫画関連の回を配信されていたので、その流れで質問させていただきたいことがあります。
薬屋のひとりごとという作品で、蘇りの薬というものが出てきますけども、実際、ああいった薬はあるんでしょうか?気になったので質問させていただきました。
というメッセージをいただきました。まことにありがとうございます。ということで、今回話をさせていただきますタイトルはこちら。
薬屋のひとりごとの蘇りの薬は本当にあるのか?
ということで、今回、薬屋のひとりごとという作品に出てくる、蘇りの薬について話をさせていただきます。
この薬屋のひとりごとという作品、かなり話題になっているかなと思います。
このドアはライトノベル発信で、そこからコミカライズ、コミカライズが2社されているというね。そこからアニメ化もされておりますね。
患者様からもあの作品面白いねということがたまに話題になったりします。
薬屋のひとりごとのイラストが入ったお薬手帳というのが、薬剤師会所属の薬局で配られたりもしてるんですけども、そのお薬手帳ありますか?ということでよく患者様から聞かれたりもします。
ただあまりにも人気が高すぎて、どの薬局もシナウンス状態だったりとか、まだ入ってきてないよという薬局も多く、それだけファンが多い作品なんだなというのを改めて痛感しております。
この作品がどういう作品かというのは、今回あまり話をするつもりはないんですけども、ざっとだけあらつじ話させていただきますと、
中世の中国を元にしたような架空の時代、架空の国の設定ではありますけども、
クス師、薬という字に師匠の師で、薬剤師を漢字で書いた時に、その真ん中の財を抜いて薬と師だけ残した感じですね。
それクス師なんですけども、薬とか植物とかを調合して、それで医療に携わっているという主人公であるクス師の少女、マオマオが薬の知識であるとか、医療の知識とかを元にして宮中皇帝が住んでおりまして、
日本でいう大奥のようなところですね。そこで起こる様々なミステリーを解決していくというのが、この薬屋の一人ごとという作品でございます。
その話の中で、よみがえりの薬というものが出てきます。ある事件を起こした犯人が、その薬を用いて死んだようになると。
心臓も止まった、呼吸もなくなっている、犯人死んだんだなと思わせておいて、後によみがえって、その場面から、宮中から脱出するという場面があります。
また別のシーンにおきましては、とある地域の子供たちを救うためにも、そのよみがえりの薬が使われたりもしております。
なので、この薬屋の一人ごとにおきまして、よみがえりの薬はかなり重要な薬ではあるんですけども、このよみがえりの薬を使えば、死んだようになると。
そこから一旦死んだような、過死状態になって、後にまた生き返るという薬でございます。今回はその薬って実際にあるのという話をさせていただきます。
まずあらかじめとなんですけども、結論から述べさせていただきますと、このよみがえりの薬のような薬、実際にはないんですけども、ただそれに近しいことを起こす毒はあります。
薬となりますと、毎回毎回その事象、一回過死状態になって、後によみがえってというこの事象を確実に起こせるようでないと薬とは言えないんですけども、そういった薬はないんですけども、ただ過死状態が起きるという毒は世の中に存在します。
しかもその特性を用いまして、ある地域のある儀式で使われていたと言われております。ということで、そんな毒がありますよということも含めて今回話をさせていただきます。
今回はこの薬屋の独り言という作品にちなんだ質問ということもありまして、作中にも出てきております。2つの毒のことで話をさせていただきます。
一応その2つの毒というのは、1つ目はマンダラゲごと朝鮮アサガオ、もう1つはフグが持っている毒で有名なテトロドトキシンでございます。
まず1つ目、マンダラゲごと朝鮮アサガオで話をさせていただきます。朝鮮アサガオというのは食べるようとすると猛毒の植物があるんですけども、この植物の中にはアトロピン、スコポラミン、ヒオシアミンなどの成分が入っているんですけども、
こういった成分が中枢神経、脳とか脊髄など命に関わる重要な部分の神経に対して強い中毒作用を起こします。
どういう症状がそれによって出るかと言いますと、神経へのダメージによりまして強い幻覚を見たり、錯乱を起こしやすくなったりとか、意識障害が出て昏睡したりもします。
また中枢神経の中には命に関わる部分として呼吸を操作する部分もありまして、そこへダメージも与えまして呼吸障害、呼吸がしにくくなるとか呼吸ができなくなる、そんなような状況にもなります。
またアトロピンには目の瞳孔を開かせるという特徴があります。
刑事ドラマとか刑事系の作品ではよくありますが、死体に対して目に光を当てるという瞳孔のチェックをしています。
人間は死ぬと瞳孔が広がります。これは目の瞳孔を閉じようとする筋肉が死んでしまうことで働かなくなります。
そうしますと瞳孔が閉じようとされないで広がるようになります。
よく死亡したかどうかで目に光を当てるのも眩しい光が入りすぎますとその光によって物がよく見えないと眩しすぎて物が見えない状況になってしまう。
それで瞳孔を閉じて入ってくる光を少なくすることで物を見ようとする働き、これが起きます。
ただ光を当てた眩しいはずなのに瞳孔が閉じないとなると瞳孔を閉じる筋肉も働いてないな死んでるんだなという判断になります。
人間が死亡したかどうかを判断する三聴光というものがありまして3つのものがクリアされているとこの人はもう亡くなったんだなというふうになるんですけども
その三聴光というのが呼吸停止、心臓停止、瞳孔拡大の3つでございます。
なので瞳孔が広がっているとか呼吸止まっている心臓が止まっているこの3つが揃いますとお亡くなりになったんだなというのが判断されます。
なのでこの瞳孔とか呼吸の停止というのはやっぱり死亡判断においてとても重要であったりします。
なのでこういった呼吸とか目のこととかでそういったのが症状が起きますので朝鮮朝顔を使うことで
死亡までは実は至ってないでも瞳孔が広がっているとか呼吸が停止しているというような状況が起きて朝鮮朝顔によって過死状態というのは作られる可能性はゼロではないと言われております。
また薬屋のひとりごとという作品の中でもよみがわりの薬の中には材料として朝鮮朝顔を使われているんじゃないかというのは重要視されている場面もあったりします。
ただ実は作品内でも語られている場面はあるんですけども朝鮮朝顔は作品の中でもよみがわりの薬のメインの原料ではなかったりします。
と言いますのも朝鮮朝顔に含まれるアトロピンは心臓の動きを早めます。脈を落とすのではなく早くしてしまいます。
実際医療現場でも脈が下がっている方に対してアトロピンを使うことで脈を早めるということは使われます。
過死状態を作るためには心臓の動きをなるべく抑えたいのにむしろ早めてしまう特徴もあるということもあります。
朝鮮朝顔を取りすぎて脳や神経にダメージを与えてしまった。結果的に心臓の動きが停止してしまった。
意図的には朝鮮朝顔は心臓の動きを抑えるものではないということもありまして作中でもよみがわりの薬のメインでは語られていなかったりします。
では薬名の一人言でもよみがわりの薬のメインの材料として語られているものは何かと言いますと
それが2つ目の毒となりますフグの毒ことテトロドトキシンでございます。
実際テトロドトキシンの方がよみがわりの薬、過死状態を作るのに適しているという特徴もあったりします。
ではこのテトロドトキシンどういう特徴があるのかと言いますと
まず根本的にこのテトロドトキシンどういう毒かと言いますと神経毒です。神経に対する毒です。
神経というのは情報を伝え合っています。例えば暑いと感じたら暑いという情報を順に伝えていきますよね。
体を動かそうと思えばその情報を伝えていって体を動かそうとします。
心臓を動かす呼吸とか無意識に行われているようなことにおいても神経が関わって心臓の動きとか呼吸とかを調節してくれたりもします。
この神経の働きを止めてしまうそうなりますと体が動かせなくなる。
情報を伝えても体が動かなくなりますよというのもありますし
体の動きとして呼吸とか心臓の動きこういったのもままならなくなります。
ちなみにこのテトロドキシンの毒性なんですけども過去に話題にさせていただいたことある生産狩り
その生産狩りの1000倍以上の強さがテトロドキシンの毒性としてあると言われております。
神経の働きもう少し話させていただきますと神経の働きを遮断することで筋肉の働きも麻痺してしまう。
筋肉を動かすの神経がかかるんですけどもそこが動かなければ筋肉も動かないですよね。
目の瞳孔の周りも筋肉なんですけどもここも動かなくなってしまいます。
となりますと瞳孔を閉じようとする筋肉が働かないので瞳孔は広がりやすくなります。
呼吸に携わる肺とかの動きも筋肉、横隔膜とかで調節されておりますけどもここも動かなくなるので呼吸が停止していきます。
心臓これも筋肉でありますし神経が無意識に心臓の動きを調節しているんですけども
その神経の働きが阻害されることで心臓の動きも停止していきます。
ということでテトロドクシンにおきましては脂肪の三兆候をしっかりクリアされてしまうというのがあります。
なので寮とかによっては過死状態が生み出される可能性はあるとは思うんですけども
ただ普通に危険なものです。有効な下毒薬もないですし非常に危険なものですので
もう摂取してしまったら普通にお亡くなりになるという可能性が非常に高いです。
なのでこのテトロドクシンを使って一回過死状態作ってよみがえろうというその薬の調整とかそういうのは非常に難しいです。
なのでよみがえの薬を実際に作るのはほぼありえない話なんですけども
ただ作中とかでありますけどもこういったフィクションとかにおいてテトロドクシンがよみがえの薬になり得る可能性というのはやはり秘めております。
テトロドクシンはよみがえの薬として使いやすいという表現もあるんですけども
その特徴の一つとして体の外から出ていく時間が比較的早めという特徴があります。
主に尿としてなんですけどもテトロドクシン体内に入りますと尿として外へ出ていきやすいです。
数時間あれば体の中で回るテトロドクシンの量が半分ぐらいになるよと言われております。
毒が体内から抜けていけば毒によって神経が遮断されているとなりますと
毒が抜ければ神経の働き回復していくんじゃないかとなりますと心臓とか脳の働きも回復する可能性なくはないですよね。
実際現実問題としましてもフグを食べて当たってしまったという方
こういった方フグの毒によって呼吸とか心臓とか動かすこと難しくなるんですけども
病院に運ばれて人工呼吸器で呼吸させてあげるとか心臓を動かす機械を使って心臓を動かしてあげてというので
テトロドクシンが体の外にしっかり出ていくまで数日くらい耐えればその後に回復していくというケースはあります。
実際テトロドクシンを摂取してからすぐになくなるというよりは食べてしばらくして体が吸収されてから
だんだんとあれ体が痺れてきたぞという風に症状が出てきたと思ったら
だんだんだんだん重くなっていって呼吸が止まる心臓が止まるというのが起きるそうでして
あフグ当たったなということでその後に救急搬送されれば助かるというケースも多いと言われております
ただ薬の一人ごとにおきましてはよく心臓を動かす機械とか人工呼吸器とかを使ってる病者ないですので
実際のところ過死状態になって本当に心臓とか止まってしまったらそのままなくなってしまう可能性非常に高いと思うんですけども
そこらへんは漫画的要素というのも入っておりますのでフィクションと考えれば問題ないですけども
割と現実に沿っての部分のフィクションがあるかなと全くの嘘というわけでもないかなというところがあったりします
でまた作集でも出てくるんですけども
読み替えの薬使いますと読み替えた後でも麻痺が出るとか記憶障害とかの副作用が出るというのもあるんですけども
ここらへんもやっぱり神経の働きがおかしくなってしまえばやっぱり麻痺は残るでしょうし
他にも心停止とかして脳への血流が止まってしまったとなりますと脳の機能が落ちるので
せっかく復活しても記憶障害起きるというのは普通にあり得ることだなと思われます
でまたこのテトロドトクシンとカシ状態というのは実は薬屋の一人事だけではなくて
他にも用いられてたんじゃないかという作品であったりとか
いやこれ実際に使ってましたよねっていうケースもあったりはします
例えば別の作品で言いますとロミオとジュリエット
ロミオとジュリエットの中でもカシ状態になる薬というのが出てきますけども
これもテトロドトクシンでのカシ状態というのが伝わってたんじゃないか
それでシェイクスピアが採用したんじゃないかとも言われたりもしております
と言いますのもロミオとジュリエットは1595年頃の作品なんですけども
1500年代頃にハイチの方ではブードゥ教という宗教におきまして
ゾンビパウダーというものを使いまして人間を復活させて
ゾンビとして操り労働力して使うということが信じられたそうですし
実際そういった儀式が行われたと言われております
このゾンビパウダーに使われたのがまさにテトロドトクシンだったんじゃないかと言われております
テトロドトクシンを使いまして蘇りをさせて記憶障害が残ってしまった
そういった人を洗脳させて働かせていたんじゃないかなんて言われております
ロミオとジュリエットに関しましてはテトロドトクシンということ自体が伝わってないかもしれませんけども
蘇りの薬とかカシ状態を作る薬があったというのが伝わってた可能性があるんじゃないかとも言われております
ただそういうのは細かいことは考えなくても実際こんな便利な薬があったらいいなということで
シェイクスピアが適当に考えただけかもしれないんですけども
ただ読み替えの薬というのはカシ状態を作る薬というのは
そういった昔から他の作品とかにも使われたりもしておりますし
実際使われてたんじゃないかという地域もあることはあります
ただもう重ね重ねになりますけどもテトロドトクシンは非常に毒性が強いです
0.5ミリから2ミリグラムというね非常に少ない量で死に至ることがあります
とてつもなく危険なものなので薬として使われるのは実際の現状としてはほぼないものだったりもします
といったところが今回のテーマ
薬屋の独り言に出てくる読み替えの薬は本当にあるのかということでして
そういう薬は実際ないんですけども読み替えというかカシ状態の現象が起こり得る毒は
世の中ありますよという話でございました