悩みの相談内容
どうも、コウブンです。
栃木県の片田川にある蓮城院というお寺で、副住職をしております。
今日はですね、お悩み相談会をお送りしたいと思います。
このお悩み相談会というのは、
ハスノハというお坊さんが答えるお悩み相談のウェブサイトというのがありまして、
そちらに寄せられたお悩み相談を、私、コウブンがお坊さんとして答えるといったものでございます。
では早速行きたいと思いますが、
今日のご相談内容はちょっと長いですので、
もしちょっと聞くのが大変という方は、
数分飛ばしていただいても結構です。
後でね、ちょっとまとめた形で、私の方で言いますので。
というわけで早速行きたいと思います。
30代の女性の方より、タイトルがですね、プロフィールの偽りについてです。
では本文をお読みいたします。
現在、マッチングアプリで出会った方、年上の方と結婚の前提に交際をしています。
どちらの両親にもお互いを紹介済みです。
先日、同棲に向けてお金の話をした際に、年収の話になりました。
彼と出会った時、彼は春に転職をしており、まだ前の会社に所属している時、
アプリの年収欄は600万から800万となっており、
それを私は覚えていたのですが、実際のところを聞いてみたら最高500万だったそうです。
転職先の会社は、転職したばかりのため、今年は年収は450万ぐらいになりそうだということです。
なぜ年収を偽って記載したのか確認すると、
謝罪と、男はマッチングがしにくく、年収でマッチング数が変わってきて、
正直者が損をする世界で目を張ってしまった。
また、年収より貯金が来るのが大切だと思っていた。
貯金は900万円あると話していました。
正直、私も働いており、相手の貯金もあり、今の年収でも結婚しても暮らせないことはないと思いますが、
嘘をつかれていたことに不信感を覚えました。
同時に、彼に大学を2年留年していることを打ち明けられました。
留年した経緯としては、所属していた部活がブラック部活で、
辞めようとすると逮罰をされたり、追いかけ回されたりして、マインドコントロールのようになり、
辞めるに辞めれなかったと。
理由は確かに不憫であるとは思いますが、
なぜ両親と会う前に話してくれなかったのかと不満に思っていることはあります。
私は彼の突如の告白に対してパニックになってしまい、
私の親にこの経緯を直接話してくれと彼に伝え、年収、留年のことを話してもらいました。
親は彼の話をちゃんと聞いてはくれたものの、
私に嘘をつく時点で何が本当の姿なのかわからないし、
まだ嘘をついているのかもしれない。
最初が肝心だ。彼と結婚はしない方がいい。
情だけで動くなと猛反対をされています。
ただ彼に精神、誠意、これからできることは全てやると謝罪され、
通帳や社会人になってからの給与明細など全て見せてくれました。
また何より私も彼のことが好きであり、
これ以上嘘をつかないと言われたので、
それを信じて前を向いて結婚したい気持ちがあります。
ただ両親の気持ちもわかり、かつ猛反対もあり、
結婚はやめるべきなのかも迷っています。
自分の気持ちに従うべきなのか、周りの助言を聞いた方が良いのか、
正直どうしたらいいのかわからなくなっています。
ご意見をお聞かせください。
嘘の影響と教え
はい、といったお悩み相談でございます。
嘘ということでね、
信じられなくなってしまった。
しかも人生のパートナーとして、
これから一緒に人生を歩もうと考えていた人からの嘘の告白、
それをもって信用ができなくなってしまったというのは、
これは無理もない話です。
まあ、誰もがわかると思うんですけど、
やっぱり嘘をつく人って、またこの人が嘘をつくんじゃないかという疑心暗鬼を持ってしまうということはありますよね。
だから、この相談者さんは、そういう悩みをどうにか乗り越えようというその姿勢は大変素晴らしいものだと思います。
というところからお話をしていきたいと思います。
嘘をつくという行為、誰しもが理解していることといえば、
良くないこととは、皆さん当然ながら理解をしていますよね。
それは良くないですよ、嘘をつくのはね。
でも、でもですよ。
私たち、嘘をついたことないという人をね、
自分の人生において一度たりとも嘘をついたことがないという人もいないのも、またこれも事実なんですよね。
嘘というのはね、自分の身を守る手段としてね、
手っ取り早いって言ったらいいんでしょうかね。
まあ、その場しのひと言ったらいいんでしょうかね。
とにかく嘘というものをね、用いることによって身を守るということがね、
どうしてもね、私たち人間はね、瞬間瞬間そういった反応をしてしまうことっていうのはあるんです。
それは全ては自分の身を守るためが根本にあるんですが、
まあその身を守りたいがゆえに嘘をついてしまう。
小さいお子さんだって、年を重ねたベテランの老人の方でもそういったことはあるんですよね。
というところだからこそ、ついついついてしまう嘘。
これはね、結果的にその場はもしかしたら切り抜けるかもしれない。
けども、長い目で見たら人生においては良くないですよね。
人間関係、悪い方向に行きますよね。
ということで仏教においてはね、やっぱり嘘をついてはいけませんと。
そういうね、戒律があるんですよね。
もちろん、これは仏教に限らずだと思います。
そもそも宗教に限らず、これはもう皆さんの人生において経験則として嘘をついてはいけないということはね、分かっているとは思います。
だからこそ、仏教ではね、そういう戒律というもので定めてきちんと嘘というのは良くないんだよというのはしっかりと明言している。
というところがあるんですよね。
仏教においての嘘をどういうふうに扱っているかというと、不毛誤解というね、戒律があって、不毛誤解。
ちょっと詳しくは調べてもらうのが分かりやすいかな。
漢字はちょっと説明するのが難しいので、詳しくは調べてください。
とにかく仏教においては、不毛誤解というものを持って嘘をつくということに対して忌ましめているということです。
なぜなら、自分の人生をより良いもの、心穏やかに良い人生を過ごすのであれば、避けたほうがいいですよねということだからですよね。
で、嘘をつくことによってどんな不利益があるのかというと、当然ながらこの相談者さんもそうですけど、疑心暗鬼になりますよね、この方。
また嘘をつくんじゃないとか、過去に嘘をついたから、何となく言っていることが信用できない、そういう形になってしまいますよね。
まだ何か隠し持っているんじゃないかとかね、そういうふうな状態に陥りやすいし、また嘘をついている自分自身も、
また嘘をついている自分自身も、あの嘘、いつかバレるんじゃないかとかね、嘘をバレないようにするためにまたさらに嘘を重ねるみたいな形で、どんどんどんどん自分にとって良くない方向、不安に思うようなことというのはどんどんどんどん増えていきますよね。
それによって自己肯定感といったらいいんでしょうかね、自信を持っていろいろ発言することもできなくなる、そういった心の不安をいつまでも抱えている状態になりやすいというのがありますよね。
他にも、嘘をつくという行為によって周りの態度というものがどちらかというと良くない方向に変容しますよね。
例えば、あの人、よく嘘をつくから困ったときにあんまり助けようと思わないよね、自業自得だよね、みたいな形になって本当に困ったときに助けてくれる人がいない、みたいな形で嘘によって自分が困難なときに誰も助けてくれる人がいなくなるとか、最終的な不利益をこむるみたいな形になってしまう。
そういったことが嘘というのはそういう性質があるから、だから仏教において、仏教に限らずですが嘘は良くないよねと、嘘はなるべくつかず正直にいきましょうということを言っているんですよね。
嘘の種類
とはいえ、先ほども言いましたけれども、誰しもがどこかで嘘というついた経験はあると思います。100%嘘つかないということはありません。
もっと言うんだったら、今私が語っている言葉、どこかの誰かが言った言葉を記憶のどこかにあってそれを引っ張り出しているだけかもしれない。
私自身が経験して、私自身が紡いだ言葉とは言いがたりというところがありますよね。これって借り物の言葉、厳密に言うと嘘にもなりますよね。
ここまで厳しく判定する必要はないと思うんですけれども、嘘というのもグラデーションがあるという事実は覚えておいた方がいいかなと思うんです。
嘘、どういう種類があるのかというのを整理して考えてみますと、まずは自己利益のための嘘、いわゆる黒い嘘ですよね。
そういったものはありますよね。自分の利益を得るためだけ、不利益とか罰を避けるために作る嘘、経歴差症、相談者さんの婚約者さんもそうですよね、経歴差症とかもこの公園に入るかなというところですよね。
これが最も多く非難されるタイプの嘘ですよね。他にもどういう嘘があるかというと、他者を害するための嘘、他人の評判を貶めたりとか精神的に傷つけたりするための嘘、いわゆる誹謗中傷、虚偽の告発など。
SNSでよく盛んに出回ってますよね。フェイクニュースなんかもこれに回答するかなと思います。
他にどんな嘘があるかというと、他者を思いやるための嘘、白い嘘とも言えるかな。これは相手を傷つけないように、あるいは喜ばせるための思いやりから作る嘘。
例えば、病気の入院している人が言ったとします。今日は顔色がいいよねって言って、少しでも喜ばせるというか、気持ちを明るくさせるためにつくような嘘、そういう類もありますよね。
これは相手のことを思いやるための嘘です。これはもしかしたら最終的には良くないのかもしれませんが、ただ根底にあるのは自分の利益じゃなくて相手の利益というような、そういう嘘もあるということですね。
仏教で言う方弁ももしかしたらここに入ってくるかもしれません。方弁というのは、相手を仏教の方に導くため、仏教の教えを導くため、より良い人生、安心のある人生に導くために仏教の教えというのを噛み砕いた物語形式であったりとか、そういったいろんな表現方法を持って語ることを方弁と言うんですが、
だからフィクションのようなお話だったとしても、その仏教の方弁として語られるということがあるんです。こういったものも相手のことを思いやるための嘘になるのかなと思います。
あとはもう一つ言うんであれば社会事例、社交事例の嘘というのもありますよね。これはどちらかというと人間関係を円滑にするための建前とかお世辞とかですよね。こういう種類の嘘があるということです。
そういった様々な嘘がある中で、この相談者さんの婚約者の方は、やっぱり自己利益のための嘘というところに該当しちゃいますよね。年収を殺傷しているわけですから。あとは学歴も殺傷していますよね。
これはあくまでも自己保証であったりとか、マッチングアプリでよりマッチング数を獲得するためとか、とにかく自己中心的な理由を持って自分の利益のためだけの嘘に該当するとは思います。
じゃあ、この相談者さんはどうしたらいいの?というところなんですけれども、ご両親が言っているように、信用はガタ落ちです。
しかも嘘というのは、信頼関係を再構築するのは非常に難しいかなと思いますね。なぜなら、また嘘をつくかもしれないという疑心暗鬼が生まれてしまうからですよね。
なので、そういう嘘をつくことによって、いろんな人生において不利益になることが多いんだということを理解した上で、それを彼が、婚約者さんが乗り越えるかどうかというところを見極めるというのが焦点なのかなと思うんです。
結婚における判断
誰しもが、やっぱりさっきも言ったように、己の身を守るために、つい嘘をついてしまうということがあるんです。
この方だって、結婚するという目的があって、それは何で結婚したいのかといったら、自分の子孫を残したいとかね。
あとはね、この方も言い訳で言ってますけど、やっぱり嘘をつくことによって少しでもマッチング数を増やしたい。
そうすることによって、自分の人生というものがざむくんじゃないかということで、嘘をつくことによって、マイナスの部分というのをちょっとでも避けるために嘘をついたということですよね。
だから、それをついてしまったことに対して、反省をしてどうやって乗り越えていくかというところを、この婚約者さんは、相談者さんは、しっかりと見極めていくしかないと思います。
なので、非常に結婚をしたいであれば、非常に時間がかかることですよね。
周りの反対も非常に厳しいと。そういった逆境の状態で、果たしてこの方の人生は良いのだろうかということは、きちんと考えた方がいいかと思います。
これは冷たい言い方かもしれませんが、もしそれだけの時間をかけるべきではないと思うのであれば、さっさと諦めて別の方に探したほうがいいかなということすらは思います。
なぜなら、先ほども言ったように、信頼関係を再構築するのは非常に時間がかかるからですね。
誰しもが失敗することではありますが、その嘘によって生まれてしまった疑心暗鬼というもの、不信感というものを除去するためには非常に時間がかかるからということですね。
というわけで、私の結論としては、もちろんその嘘を許すという寛大な心も大事だし、でも嘘を許して、そしてその方が反省をしてもう二度とそういったことをしませんということを最終的に納得するまでに非常に時間がかかりますよということです。
そこをどのように自分は判断するのか。
自分の人生、有限です。
子どもを、この方30代ですから、子どもを産むということまで考えたら、それほど時間はかけられないかなと思うんです。
であれば、もうちょっと正直な人を探すというのも一つの手間ではないでしょうか。
あるいは、どうしてもこの方、非常に反省をしてて可能性を感じる。
だから一緒に人生を歩みたいんだというのであれば、それも良いとは思います。
ただし、周りの信頼を得るまで非常に時間がかかるということを覚悟を持ってされることが良いのかなと思います。
そのような結論でございます。
というわけで、今日のお話はここで終わりたいと思います。
今日のような人生相談、お悩み相談などあれば、私の放送のコメント欄、あるいはフォームですね。
そちらの方もご用意してますので、そちらから投稿していただければ必ずお答えいたします。
どうぞよろしくお願いいたします。
またリクエストなど、こういうことを聞きたいんだというようなリクエストがあれば、そういったことも書いていただいて結構です。
それと、今週の日曜日、8月の24日に私のお寺連常院にて行うイベントの宣伝をいたします。
8月の24日日曜日夕方から百鬼夜行という会談のイベントを行います。
お子さんと夏の思い出を作るにはぴったりかなと思うんです。
どうか興味を持った方、概要欄の方に貼ってある公式ページ、公式のホームページから確認をしていただき、よろしければ参加していただければと思います。
というわけで、連常院副住職の幸文でした。ではまたね。
