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2021-03-27 10:18

【おはなし回】『モチモチの木』

Kon
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『モチモチの木』

出版:岩崎書店
作:斎藤 隆介
絵:滝平 二郎

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豆太は夜中のトイレに一人で行けない臆病な子
おじいちゃんからモチモチの木の不思議なお話を聞くが
臆病な自分には縁のない話だと思っていた
しかしある晩、おじいちゃんが苦しんでいて…

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00:06
みなさん、おはようございます。
こんのゆるラジチャブットへようこそ。
この放送は、子どもも大人もゆったり過ごせるよう、
絵本とともに、朝のほんのひと時をお届けします。
今日のお話は、
【モチモチの木】です。
出版、岩崎書店、作、斉藤隆介、絵、滝平二郎です。
それでは、読んでいきますね。
【モチモチの木】
まったく、まめたほど臆病なやつはいない。
もう、五つにもなったんだから、夜中に一人で、
節鎮ぐらいに行けたっていい。
ところが、まめたは節鎮は表にあるし、
表には大きなモチモチの木が突っ立っていて、
空いっぱいの髪の毛をバサバサとふるって、
両手をワーッとあげるからって、
夜中にはじさまについて行ってもらわないと、
一人じゃしょうべんもできないのだ。
じさまはぐっすり眠っている真夜中に、
まめたが、「じさまー!」ってどんなに小さい声で言っても、
しょんべんか?とすぐ目を覚ましてくれる。
一緒に寝ている一枚しかない布団を、
ぬらされちまうよりいいからな。
それに峠の漁師小屋に、
自分とたった二人で暮らしているまめたが、
かわいそうでかわいかったからだろう。
けれど、まめたのお父だって、
くまと組打ちして、
頭をぶっさかれて死んだほどの気もすけだったし、
じさまだって64の今、
まだ青じしを追っかけて肝を冷やすような、
岩から岩への飛び移りだって見事にやってのける。
それなのにどうしてまめただけが、
女子みたいに色ばっかりなまっ白くて、
こんなに臆病なんだろうか。
もちもちの木ってのはな、
まめたがつけた名前だ。
小屋のすぐ前に立っているでっかいでっかい木だ。
秋になるとピカピカ光った実をいっぱい振り落としてくれる。
その実をじさまが木薄でついて、
石薄でひいて粉にする。
粉にしたやつをもちにこねあげて、
ふかして食べると、
ほっぺたが落っこちるほどうまいんだ。
やい木、もちもちの木、
実落とせ!
なんて昼間は木の下に立って片足で足踏みして、
03:02
威張って最速したりするくせに、
夜になるとまめたはもうだめなんだ。
木が怒って両手で
おばけーって上からおどかすんだ。
夜のもちもちの木はそっちを見ただけで、
もうしょんべんなんか出なくなっちまう。
じさまがしゃがんだ膝の中にまめたをかかえて、
ああ、いい夜だ。
星に手が届きそうだ。
奥山じゃ鹿やクマメラが
鼻上陣だしてねっこけてやがるべ。
それ、しーっていってくれなきゃとっても出やしない。
しないでねると、
明日の朝床の中が洪水になっちまうもんだから、
じさまは必ずそうしてくれるんだ。
五つになってしーなんてみっともないやな。
でもまめたはそうしなくっちゃだめなんだ。
そのもちもちの木に今夜は火が灯る晩なんだそうだ。
じさまが言った。
霜月二十日のうしみつにはもちもちの木に火が灯る。
起きてて見てみろ。そりゃあきれいだ。
おらも子供のころに見たことがある。
死んだお前の夫も見たそうだ。
山の神様のお祭りなんだ。
それは一人の子供しか見ることはできね。
それも勇気のある子供だけだ。
それじゃあ、おらはとってもだめだ。
まめたはちっちゃい声で泣きそうに言った。
だってじさまも夫も見たんなら、
自分も見たかったけど、
こんな冬の真夜中にもちもちの木を、
それもたった一人で見に出るなんて、
とんでもねえ話だ。ブルブルだ。
木の枝の枝の細かいところにまで、
みんな火が灯って、木が明るくぼーっと輝いて、
まるでそれは夢みてえにきれいなんだそうだが、
そしてまめたは、
昼間だったらみてえなとそっと思ったんだが、
ブルブル、夜なんて考えただけでも、
おしっこをもらしてしまいそうだ。
まめたははじめからあきらめて、
布団にもぐりこむと、
じさまのたばこ臭い胸ん中に鼻を押しつけて、
よいの口から寝てしまった。
まめたは真夜中にひょっと目を覚ました。
06:00
頭の上でクマのうなり声が聞こえたからだ。
じさまー、
夢中でじさまにしがみつこうとしたが、
じさまはいない。
ま、まめた、しんぺいすんな。
じさまは、じさまはちょっと腹がいてえだけだ。
まくらもとでクマみたいに体をまるめてうなっていたのは、
じさまだった。
じさまー、
こわくてびっくらして、
まめたはじさまにとびついた。
けれどもじさまはころりと畳にころげると、
歯をくいしばってますますすごくうなるだけだ。
いしゃさまをよばなくっちゃ。
まめたはこいぬみたいに体をまるめて、
おもてどをからだでふっとばして走りだした。
ねまきのまんま、はだしで、
はんみちもあるふもとのむらまで、
そとはすごいほしで、つきもでていた。
とうげのくだりのさかみちは、
いちべんのまっしろいしもでゆきみたいだった。
しもがあしにかみついた。
あしからはちがでた。
まめたはなきなきはしった。
いたくてさむくてこわかったからな。
でもだいすきなじさまのしんじまんほうが、
もっとこわかったから、
なきなきふもとのいしゃさまへはしった。
これもとしおりじさまのいしゃさまは、
まめたからわけをきくと、
おーおーといってねんねこばんてんに、
くすりばことまめたをおぼうと、
まよなかのとうげみちをえっちらおっちら、
じさまのこやへのぼってきた。
とちゅうでつきがでてるのに、
ゆきがふりはじめた。
このふゆはじめてのゆきだ。
まめたはそいつをねんねこのなかからみた。
そしていしゃさまのこしをあしでどんどんけとばした。
じさまがなんだかしんじまいそうなきがしたからな。
まめたはこやへはいるとき、
もうひとつふしぎなものをみた。
もちもちのきにひがついてる。
けれどいしゃさまは、
あ、ほんとだ。まるでひがついたようだ。
だどもあれはとちのきのうしろにちょうどつきがでてきて、
えだのあいだにほしがひかってるんだ。
そこにゆきがふってるからあかりがついたようにみえるんだべ、
といってこやのなかへはいってしまった。
だからまめたはそのあとはしらない。
いしゃさまのてつだいをしてかまどにまきをくべたり、
ゆをわかしたりなんだりいそがしかったからな。
でもつぎのきのあさ、
09:02
はらいたがなおってげんきになったじさまは、
いしゃさまのかえったあとでこうゆった。
おまえはやまのかみさまのまつりをみたんだ。
もちもちのきにはひがついたんだ。
おまえはひとりでよみちをいしゃさまよびにいけるほど
ゆうきのあるこどもだったんだからな。
じぶんでじぶんをよわむしだなんておもうな。
にんげんやさしささえあれば、
やらなきゃならないことはきっとやるもんだ。
それをみてたにんがびっくらするわけよ。
それでもまめたはじさまがげんきになると、
そのばんからじさまとしょんべんにじさまをおこしたとさ。
おしまい。
いかがでしたでしょうか。
これぜひえほんでよんでいただきたいんですけど、
もちもちのきのひがともるシーンですね。
そちらがすっごくきれいにえがかれているので、
もしきかいがありましたらぜひごらんいただけるとさいわいです。
それではきょうもおききくださりありがとうございました。
こんでした。ではまた。
10:18

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