1. 心の砂地#
  2. 第96回『あややの映画を2本。』
2024-11-20 50:48

第96回『あややの映画を2本。』

spotify apple_podcasts

《奥行きのある画面と個性的な俳優な脇役俳優に支えられて、ハッピーエンドばかりではない、観終わった後に長く強い余韻の残る大映映画》(小西康陽責任編集・大映映画スチール写真集『いま見ているのが夢なら止めろ、止めて写真に撮れ。』、解題より引用)《若尾文子は日本映画がもっとも頂点に到達したとき、そのまさに頂点に位置していた女優である。彼女は可憐な女学生を演じ、悪の化身として男たちを破滅させる魔性の女を演じ、そして激情に我を忘れる人妻を演じた。》(『映画女優 若尾文子【新装版】』、「はじめに」より引用)

「いまこそ、昔の映画を観よう。」今回も[傑作との出会い]を求めて。時代としては50年代半ば〜60年代前半。つまりは日本映画の(二度目の)全盛期。その中でも「大映映画」を2本取り上げます。59年公開、増村保造『最高殊勲夫人』。62年公開、川島雄三『しとやかな獣』。両作に出演する若尾文子さん(あやや!)の魅力。最高のラブコメと、こんなの見たことない、とんでもない傑作。2024年も引き続き素晴らしい魅力を放つ映画について、お話いたします。

◇エピソードのゲスト出演者

・野中愛

⁠⁠▶︎X⁠⁠ ⁠⁠▶︎⁠Instagram⁠⁠

・『ぜったい大丈夫だよラジオ』

⁠⁠▷Spotify⁠⁠ ⁠⁠▷Apple podcast⁠⁠

◆増村保造監督作『最高殊勲夫人』 (1959)

▶︎PrimeVideo (角川シネマコレクション)

・あらすじ

《三原家の兄弟と野々村家の姉妹。両家の長男長女、次男次女は三原商事の営業部長と秘書のニ組のカップルとして、それぞれ結婚し、うまくいっていた。両家は、残る三男の三郎と三女の杏子を結ばせようと画策するが、若い二人はこれに反発し……。》

◇川島雄三監督作『しとやかな獣』 (1962)

▶︎⁠PrimeVideo(角川シネマコレクション)⁠ ▶︎⁠U-NEXT

・あらすじ

《舞台は高度経済成長、真っ只中。二部屋しかない公営住宅。バルコニー越しに、夫婦が家具を移動させている場面から映画は始まる。来客にあわせて、部屋を綺麗にしているのかと思えば……。》

◆参考文献

四方田犬彦,斉藤綾子 編著『映画女優 若尾文子【新装版】』(⁠⁠みすず書房:⁠⁠16)

『映画秘宝EX日本映画クロニクルvol.1技と情熱の「大映」篇』(⁠⁠洋泉社⁠:16)

中川右介『社長たちの映画史 映画に賭けた経営者の攻防と興亡』(日本実業出版社:23)

川崎公平,北村匡平,志村三代子 編『川島雄三は二度生まれる』(水声社:18)


◆Discord

⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠https://discord.gg/SPvb8vJhGV⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠

「心の砂地#kokosuna コミュニティ」をDiscordにて立ち上げました。リスナーさんたちの感想や雑談などが書ける掲示板のようなものです。良ければ上記リンクから参加してください。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

【Discord】⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠https://discord.gg/SPvb8vJhGV⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠

ここすなリンク集→ ⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠https://lit.link/kokosuna⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠

各種SNSに感想など、投稿していただける場合のハッシュタグは#kokosuna でお願いします!

番組感想、お便りは kokoronosuna@gmail.com  

⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠もしくは以下のフォームまで!⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠

⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠https://forms.gle/9npfECP8TPzag1jF7⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠

artwork:⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠セキヤ@sekiyanabemotsu⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠

ED theme:⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠@k5_y4⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠ ⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠@toma__ko⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠ ーーーーーーーーーーーーーーーー

サマリー

このエピソードでは、増村保造監督の『最高殊勲夫人』と川島雄三監督の『しとやかな獣』の2本の日本映画について、それぞれの魅力や演出が深く掘り下げられています。特に、若尾文子の演技や映画表現が視聴者に与える影響が詳しく分析されています。また、大映株式会社とその映画作品についても語られており、増村保造監督や若尾文子を中心に、映画制作の背景や特徴が深く掘り下げられています。さらに、増村監督と川島雄三監督の作品を通じて、若尾文子の魅力や映画のスタイルについても触れられ、特に『最高殊勲夫人』と『しとやかな獣』の特徴やキャラクター描写、時代背景について印象的に述べられています。今回のエピソードでは映画『最高殊勲夫人』と『しとやかな獣』の魅力や表現方法が深く掘り下げられ、あややが選ぶ2本の映画についての感想や解説を通じて、映画の魅力とその影響力が探求されています。

日本映画の紹介
この番組、心の砂地は様々な文化や日常の気づきをヒントに考え続けることで、言葉の記憶装置を目指す教養バラエティ番組です。
私、シャークくんです。
今こそ昔の映画を見るというエピソードシリーズ第3弾でございます。
日本映画、大映の映画を2作見るというシリーズでやっていこうかなと思っております。
このエピソードシリーズ、ゲストを毎度お迎えしておりまして、今回もポッドキャスト番組、ぜったい大丈夫だよラジオの愛ちゃんです。
どうぞ。
はい、ぜったい大丈夫だよラジオの愛です。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
今回3弾目ということで、見てもらった作品がですね、
増村保造監督の『最高殊勲夫人』という映画と、川島雄三監督の『しとやかな獣』という映画でございます。
『最高殊勲夫人』が59年、『しとやかな獣』が62年ということで、日本映画の興行としては一番盛り上がってた時期の大映という会社の作品ということなんですけれども、
共通しているのは若尾文子さんという大映の大女優さんがどちらも出ていて、『最高殊勲夫人』は完全な主演で、『しとやかな獣』の方は主演で出てるんだけど、ずっと若尾さんが出てるみたいな感じではないみたいな感じの映画ではあってって感じなんですけれども、
『最高殊勲夫人』の魅力
この2作を見てくださいと言って今日に至っているので、どんな感じの感想を持ったかなっていうのを先に愛ちゃんからお聞きしたいんですが。
『最高殊勲夫人』を見て『しとやかな獣』を見たんですけど、なんて言ったらいいんだろうな、『しとやかな獣』がちょっと面白すぎて。
そうね、やっぱそうか。
そうなんですよね。『最高殊勲夫人』は絵のかっこよさプラス物語もすごい入りやすいというか、いわゆるラブコメっぽい感じ。
もう完全なラブコメ。
そうですよね。テンポよく見れる感じで、面白かったなって思って。
でも若尾文子さんの可憐さが最大限に楽しめるというか、そこが本当に魅力の大きな一つだなっていう感じで見ていたんですけど、
『しとやかな獣』はうって代わって陰な感じというか、ずっと暗い感じで、最初はどうなるんだろうと思ってたんですけど、そのかっこいい絵プラス演出の面白さで。
すごいよね。
内容としては誰かに感情移入できたり、このセリフが超いいみたいなのとか全然なかったんですけど、もうその映画表現の面白さで、もう一本面白かったと思って見ました。
なるほど。『しとやかな獣』はやっぱり今でも日本映画の傑作として語られる映画で、映画会社によってこの時代ってそれぞれカラーがあって、
東宝が好きとか松竹が好き、東映が好き、大映が好き、日活が好きってみんな結構別れるんだけど、「大映の映画が好き」、≒若尾文子最高だよねみたいな話に大体なるんですよね。
その見てもらったら分かるように、もう3年ぐらいしか違わないんですけど、50年代若尾文子と60年代若尾文子と結構違う。
いや、3年とは思えないですね、あの感じ。
一般的にみんなが好きな若尾文子って、やっぱりその『しとやかな獣』に出てくるような感じの若尾さんという感じ。いわゆるファムファタルとか言われたりする存在。
『最高殊勲夫人』をとった増村監督とのペアでそういう映画にもどんどんなっていくんだけど、それの入門としてこんなみずみずしい感じと、この男を手玉にとって自分の旅館をやっていくっていう若尾さんとっていうのをどっちも見てほしくて。
このみずみずしい方もいいなと思っていて、それでどっちも見てもらったらいいかなというチョイスだったんですが、僕もどっちも好きで、ただでも『しとやかな獣』が印象に残ったっていうのは若尾さんの魅力もあるけど、どっちかというと演出面とか、そっちの方が愛ちゃん的な日々だった感じなのかな。
そうですね。若尾文子さんの個人的な受け取る魅力のところで言うと、『最高殊勲夫人』の方が好みではあったんですけど、なんでまあどっちもめっちゃ良かったですね。面白かったです。
脚本とかそのキャラクターの設定だったりとか、物語上の、娘が親のものだったりとか、家族のものみたいな雰囲気がどっちもあったりとか、結婚感についてとかは、今多分語られている結婚感とかこうしていたほうがいいよねっていうものとは違うから気になるところめっちゃあるんですけど、ただこう面白かったです。見てて。
うん、そうね。当たり前のように《お前も結婚するんだからな》とか、結婚したらもう働かないでいるみたいなね。玉の腰に乗ることがゴールだと思ってるみたいな。ただ若尾さんが演じる役はそこに対してちょっとこう違うっていうね。
自分の欲望とか。旧来の女性像みたいなものに対する反骨した存在。自由意志を持ってる女性っていう。当たり前なんだけど。そういうのを体現してるところがあって、今の人たちが見てもこの若尾さんの存在とかに対して乗れる感じがすごいあるし、演技も素晴らしいしみたいなところです。一つのね、みんな若尾さんのことが好きだなって思える。そういうとこなんだなっていうところを僕も見ながら思ったりしましたね。
『しとやかな獣』の影響
一回、『しとやかな獣』の方、先に話しますか。はい、話しましょう。
『しとやかな獣』、このまずタイトルの最高さね。そうですね。この映画見たらね、これしかないなっていう感じがしますね。
そう、ART-SCHOOLっていうバンドがこのタイトルを使ってて、僕それで元ネタを見るみたいな一環で見てるんですけど、20代前半くらいの時に。やっぱりすごい面白いし。
これ当時も結構言われてたんですけど、ポンジュノの『パラサイト 半地下の家族』にすごく影響があるんではないのかという。
なるほど。ポンジュノもすごい見てる人だから、なんかその辺もありそうだなって思うところと、愛ちゃんと一緒に見た、『裏窓』的な感じがあるんですよね。
めっちゃそれ思いました。『裏窓』をすごい思い出しながら。
実際、双眼鏡で見るみたいな、まんまだなみたいなシーンがあったりとか、この団地ね、晴海に当時あった団地の中で展開される話なんだけども、ショットが素晴らしいショットの連発で、
僕の周り映像をやってる人とか、スチールを撮ってるとか、カメラマンの人とかも結構この映画が好きっていう人もすごい多いのは、
多分その室内でこんなにいろんなかっこいい映画撮れるみたいなアイディアの宝庫にもすごいなるみたいなね、そういう映画でもあって。
そうですよね。
その辺がやっぱり、そうね、始めから最後の緊張感と、どこに行くんだろうみたいなっていう感じがすごい面白いし、
誰が見ても面白い、やっぱ傑作、日本映画がこんなにかっこいい時代があったんだなっていうことがすごい感じれる、やっぱ作品だなぁみたいなのは僕思ったりしますね。
なんかそのカットっていうか、絵のかっこよさみたいなところで、なんていうんですか、一番肝となるシーンがあるじゃないですか、その、この家族が、ちょっと正確なセリフ忘れちゃいましたけど、
あの時代に戻りたいのか、映画の日本の状況的に高度経済成長の始まりぐらいですかね。
そうですね、55年とかからなんで。
そうそう、なので、この家族は戦後の一番貧しい時期を経験していて、そのこのお父さんとなる人は、その時代への、なんていうんだろう、もう絶対にここには俺は戻らないっていう強い気持ちから、その家族を自分たちのためにというか、主に自分のためにお金をちょっと悪い方法とか、いろんな方法を使って、
お金を稼ぐというか、もう盗むって感じだと思うんですけど。
まあ、そうね、パラサイトしてる。そうですよね。
なんかそれを見ている人に、決定的にこう分からせるカットっていうのがあるんですけど、それが説明が本当に、セリフ一言で、みんなの顔のアップと無音みたいなところで見せるところの凄さ。
もうあれだけで、あの家族全員のアップと一言と無音で、この人たちがなんでこの悪いことしてるかっていうのを、力技で分からせるのが凄すぎて。
いやー、そこはやっぱ凄いね。
なんかもう、あそこでこれは凄いものだ、みたいな。
凄い映画だってあるよね、あっこはね。
あそこまでは面白いんですけど、凄く変わった演出したりとかっていうのは、もちろんおしゃれだったりかっこよかったりはするけど、そんなになくて、あそこから一気にあの映画の世界に誘われる瞬間な感じがして、あれを見るだけでもこの映画見てよかったなって思いました。
ああ、そうね。
おっと、こうやっぱ、普通に面白えみたいな。
いや、そうなんです。
あそこから捕まれる瞬間みたいなのが、『しとやかな獣』にはあって、もう室内のカットパンパンパンって行くところでも、おーってもちろんなると思うんだけど。
それで、やっぱあそこに来るとこがね、やっぱ、わあ凄いなっていうところは、やっぱみんな感じてくれるんじゃないかなとは思うね、本当に。
そうですね。
基本は引きで、しかもその変なとこにカメラを置きまくって撮ってるっていう感じとかが。
庵野秀明とかね、あの、庵野さんが直接的に影響を受けたのはウルトラマンとかの実相寺昭雄監督とかだと思うんだけど、結構この最後のシンエヴァとかで、室内をすごいいろんなカットでわけわからんところにカメラ置いてみたいなのをやりまくったんだけど、あの辺とかは多分この辺の時代のこういう映画からの影響が凄いあるんだろうなっていう。
なるほど。
印象的な使い方とかもやっぱ、エヴァとかでもよくあるし、エヴァ以降のアニメでもすごく顔のアップでカンカンカンってやるみたいなのがシャフトだったりとか、そういうのとかでもあったりするけど、あの辺の大元ネタはこの辺にもあると思うから。
かっこいいアニメーションが好きな人とかでも、この川島監督の『しとやかな獣』はすごい面白いと思うなというのを感じたりとか。
いや、本当そうですね。アオリのカットとかも。
そうそう、アオリが多いんだけど。
こんな室内でアオる?ぐらい煽ってましたね。
どう置いてんだって感じするもんね。
お、鼻の穴みたいな感じのカットとかあって、あと窓とか小窓?扉についてる覗き窓みたいなものの使い方とか、お風呂場の窓の使い方とか、なんていうんですかね、あの部屋の中でめちゃめちゃ奥行き出してくるの、すごすぎやろみたいな。
部屋の構造がわかってるはずなのに、これどうなってんだみたいな。
なんかね、平面的じゃないんですよね、全然。
うん、あれはでも本当にすごいよね。
あとなんか、ミノルっていう息子が出てくるじゃないですか。
はいはいはい。
やべえ息子が。
そうですね。
ミノルが結構基本音割れてるんですよね、ずっとなんかおっきい声で喋ってるから。
そう、叫びまくってるから。
こんなずっと音割れてて成立するんだという驚きもありました。
そうね、ミノル、息子の演技はすごいでかい。一人だけちょっとでかくて、言ったらしとやかじゃないというか、一人だけそのルールに外れてるから、結構やられてるみたいなところとかもすごい面白いし。
そうですね。
とか、ちょくちょくゲスト的に出てくる、はじめのピノサクっていうわけがわからんインチキ歌手みたいな人とか、何々この人って思って、もうおらんようになったら出てこないみたいなとか。
あと、銀座のクラブのママでね、関西弁のミヤコ蝶々さんっていう方が出られてますけど、この辺とかもやっぱすごいいいんだよね、アクセントとして。部屋にいろんな人が来るみたいなとこも。
そうですね。
すごい面白いし。なんかミヤコ蝶々さんって、高畑勲の『ホーホケキョ となりの山田くん』のおばあちゃん役をやってるよね、もうほんと晩年。
大映の映画制作の魅力
で、高畑監督のレコーディング、音響の撮りのときに、やっぱもうちゃんと読まれへんというか、「いや、もうこんなんやりたないわ。」みたいな。
めっちゃゴネるのを、高畑監督が粘るみたいな、すごい緊張感のあるドキュメンタリーが載ってる。その辺もね、「あっ、この人が後々高畑さんに呼ばれてこうなるんだ。」みたいな。
そういうのとかも見れるので、ぜひ楽しんでいただければと思いますが。そんなとこかな。
後で、『最高殊勲夫人』と『しとやかな獣』については、いろいろお話できたらなと思ってるんですけども。
《ジングル》
これはどっちも大映株式会社という映画会社、今はもう存在しないですけども、権利は角川が買って、
今は角川大映スタジオっていうところになって、撮影所自体は残ってはいるんですけど。
結構、僕はこの大映の映画が昔の映画の会社だと一番好きで。
女優さんを見る映画っていう点で東宝の女優さんが好き、松竹んの女優さんが好きとかあるんだけど、
その中でも大映の人がやっぱ好きだなみたいなのがあって。
なんで大映からちょっとやろうかなと思って、今回取り上げたんですけど。
特にやっぱ若尾文子さんは、現在のファンではみんなあややって呼んでたりするんですね。
これは作家の山内マリコさんとか、柄本佑さんとかもすごいファンで。
そういう女優さんの魅力っていうのもあるし、この時代って撮影所、いわゆるスタジオシステム時代の映画。
それぞれ日活だったら日活の撮影所、東宝だったら東宝の撮影所、東映でも東映の撮影所っていうのがあって、
戦前からある会社もあれば戦後立ち上がったところもあるんだけど、スターも俳優もスタッフもみんなそこにいて、
各社も毎週1本公開するぞっていう感じでどんどん映画を作っていくっていう時代なんですよね。
すごいですね。
それが60年代後半ぐらいからちょっとどんどん落ちていって、
立ち行かなくなって70年代初めぐらいにそういうもっと極端な路線に振って何とか立ち上がった会社と、
本当に大映はそこでなくなっちゃって、
違う徳間とかが買って、
そのまま昔の大映の撮影所の感じではなくなって続くみたいな感じもなったりするんだけど、
今回見てもらったのは大映東京の映画なんで、どっちも現代劇で東京で撮ってるやつなんだけど、
各会社、京都にも撮影所があって当時は。
時代劇は京都、現代劇は東京みたいな感じの流れで日本映画っていうのは進んでいってるんですね。
ちょっと大映のお話っていうのをさせていただきたいんですけど、
僕が大映映画っていうのを意識して見たのは結構最近で、
それこそ『しとやかな獣』とか、作品自体はいろいろ見てたり後々するんですけど、
僕の一番影響を受けてる人として、ピチカート・ファイヴの小西康陽さんという方がいらっしゃるんですけど、
小西さんが、これはいつだ?2018年。
『今見ているのが夢なら止めろ、止めて写真に撮れ』っていう大映映画のスチール写真集というのを出してます。
これが大映のスチールを小西さんがバーってまとめた写真集なんだけど、
これがとにかくかっこよくて。
DVDサイズで、縦にしたらDVDなんだけど、横長のね。
それとかを見てて、すごい、うわ、全部見てえなみたいな。スチールだけで。
これ見てえなみたいな感じで、この写真集が出てから配信時代にどんどんなっていく中で、
今、UNEXTとかでめっちゃ見れるようになったから、そういうのでスチールでかっこいいなっていうやつを後追いでちょっとずつ見ていって、
っていう時間を過ごしてたっていう感じでね。
気になるなってなった人はね、今もこの写真集買えると思うんで、おすすめでございます。
今見ているのが夢なら止めろ、止めて写真に撮れという大映映画スチール写真集っていうのがね、出てますんで。
これもめっちゃかっこいいスチールの連発みたいな感じで。
なんか見たらやっぱりまた、動いてるとまたそれはそれでめちゃめちゃかっこいいなとか、
やっぱ俳優の魅力がすごいなみたいなのを感じてて。
そういうので本当におすすめ、入門として。
僕がここから入ったっていうのもあるんだけど、すごくおすすめですね。
ちょっと話脱線してもいいですか。
どうぞです。
小西さんってベースを弾かれてるイメージがあるんですけど、ピチカート・ファイヴで。
その方がなぜこの写真集をっていう驚きが今あって。
小西さんは渋谷系というジャンルを作った。
言ったらほとんど小西さんのセンスで渋谷系みたいなのができたみたいなところはあるんだけど。
なんかすごいいろんなものを紹介する人でもあるんですよね。
これがかっこいいよねみたいな。
昔渋谷系時代にそれこそ大映の市川崑監督の『黒い十人の女』っていう映画をかけたりしてたの。
自分たちがそういうイベントやりますよみたいなので。
元からたぶん昔の日本映画とかそういうのは好き。
それこそゴダールとかもめっちゃ好きみたいな。
そういうのを今これがかっこいいよねっていうのを紹介していく人だったんだけど。
で、ここ数年は年間300本とかひたすら日本の映画見てんのよ、小西さんで。
で、毎年小西さんの年末のブログに今まで見た映画を全部つけていくのね。
で、良かったやつは星3つまで。
星ついてないやつもあれば、良かったやつは星がついてて、最大星3つまでついてるみたいな。
だからそういうのをたぶんここ10年ぐらいかなずっとやってて。
今でも名画座行くと小西さんに出会うことめっちゃ多いんだけど。
へー。
何回も僕も遭遇したことがあるんだけど。
まあなんかそういう中で、昔、『黒い十人の女』をかけたりとかしてたっていうのの中で、
この表紙になってる勝新のスチールみたいなのを見たときに、
いつかこれは僕が編んで写真集にしないといけないなって思ったみたいなことは、
本の後書きとかにも書いてて。
でまあ、たぶんそういう企画が持ち込まれて、小西さん責任編集っていう感じでやってるっていう感じですかね。
なるほどー。
なんで。
じゃあもうその熱量でやられて、何でもやられる人なんですね。
めちゃめちゃこだわった製本もちょっと変わった製本してるし、
小西さんは大映のモノクロの黒っていうのがすごい大事だみたいな、めっちゃ黒いみたいな黒が。
っていう風に言ってて、普通に刷ったんだったらその黒が出ないから、
たぶんこれ2回刷ってるっぽくて、黒をくっきり出させたの。
そういうのも小西康陽こだわりなんで、めちゃめちゃいいアイテムです。
最高ですね。なんかその2本見てても、これ全部カットを写真集にしたらめっちゃ勉強になるやんと思ったら、
もうあったっていう。
そうそうそう。ぜひね。映像内のショットではないものではあるんだけど、
ただその美学はやっぱり紡がれてるんで。
そうですよね。
すごくこれはこれでおすすめでございます。
増村監督の独特なキャリア
ありがとうございます。
大映っていうのがじゃあなんやねんという感じなんですけど、
設立当初の名前は大日本映画制作株式会社っていう名前で、
この名前的にもちょっとあれかなっていう感じはするんですけども、
戦時中、42年にできたんですけど、当時の戦時統制ってやつですね。
企業とかはもう戦争時だからどんどんまとめて合併させていくみたいなね、政府主導で。
っていう中で、もう映画は東宝、松竹にもう全部まとめようやと政府は言い出したらしいのね。
ただ、その中でもいろいろ動く人たちがいて、後に大映の代表になる人とかが、
いやもう3案にしましょうやというところで、
当時日活もあったんだけど、日活の制作部門、本当に映画を作る部門と、
他のいくつかの会社を全部まとめて東宝松竹大映、この3体制でいきましょうというのを提案した人がいて、
それでできた会社っていう感じですね。
戦時中はそれで動き始めて、戦後になって、大日本何々ってついてるのもあれなんで、
大映株式会社っていう名前に戦後からなってって感じですね。
そういう経緯でできた、ちょっと不思議な鉄道会社が立ち上げてとか、
なんかそういうのが多いんだけど、外科会社とかって。
戦争の統制というので生まれた会社っていう、ちょっと変わった成り立ちですね。
ただ、制作部門は一番昔からある日活の制作部門も軸にしてるっていうところもあるから、
進行だけどすごくベテランの人とかもいるみたいな、そういう感じの撮影上。
オーナーの永田雅一さんっていう人が、2代目オーナーなんだけど、
その人がワンマン体制で大映っていうのはずっとやっていくんですよね。
この人がそれこそ若尾文子さんにも、「ヒクネの花だ」って言ったっていう。
東宝の女優さんとかは高嶺の花って感じだけど、
親しみやすい女優さんっていうののスターに、君はなるんだよみたいなことを言ったっていう。
結構失礼なんだけど、若尾さんの、今回見た『最高殊勲夫人』とかの魅力みたいな、
親しみのあるめっちゃ綺麗な人みたいな。
雰囲気っていうのは掴んでるから、結構そういう話は若尾さんの話でよく言われるやつですね。
この時はもう本当にみんなそれぞれ、東映の社長、東宝の社長、松竹の社長、みんなクセ物だらけで、
その人たちのワンマン体制みたいな感じで進んでいくっていうのが映画会社だね。
そういうワンマンでやってるから、カラーもバキッてみんな別れるって感じかな。
なるほど。
そんなところでございます。大映のお話、長々と言いましたけども。
知らないことがいろいろありました。
そうですよね。そういう時代の。
今回見た『最高殊勲夫人』の増村監督は、大映の監督でございます。大映にずっとついてる監督ですね。
川島雄三監督は、珍しくいろんなとこ渡り歩いて、大映でも撮ったよみたいな。
だからその演出力もすごい巧みなとこって、そういうとこもあるんだろうなっていうふうにはすごい思ったりしてて。
増村監督は、めっちゃインテリ。言ったら、東大を2回出てるっていう。
どういうことですか。
1回法学部出て、大映に助監督として入ったんだけど、もうちょっと勉強したいってことで、助監督やりながら哲学科に再入学して通ってたっていう。
とんでもないですね。
しかもその当時の戦後の映画界の中でそれが許されてたっていう感じだから、相当なね、あったんだろうなっていう。
だからすごく不思議で、イタリアにもその時代に留学していて、当時のイタリアの国立映画実験センターっていうところで、
フェデリコ・フェリーニとか、ルキノ・ヴィスコンティとかいう名匠たちのもとで勉強とかしてるから、
日本の映画監督の中ではなかなかないキャリアの監督なんですね。
だからイタリア時代とかにも、日本映画はこれがダメだみたいな文章みたいなのをすごい書いてて、
その辺はトリュフォーっぽいっていうか。
その前に大映の助監督についてた時とかにも、いわゆる昔からある家父長制の中の「母もの」みたいなね、母親のすごい無性の愛を描く、
増村監督と若尾文子
無垢なる母親の愛情を賛美する日本映画っていう風に書いてるんだけど、そういうの映画じゃないよねみたいな感じで文章とか書いてて、
日本帰ってきた時にそういうのはたぶんやりたくなかったんだと思うんですよね。
そういうのじゃない女性というのを増村監督の中で体現してたのが、監督2作目の『青空娘』というので出会った若尾文子さんだったという感じですね。
で、若尾増村ペアでだいたい20作品ぐらいあるかなという感じですね。
だんだん2人ともキャリアを重ねていくし、求められていく演じる若尾文子も変わっていくし、増村監督もちょっとずつ変わっていくみたいなところで、
すごく面白い映画監督ですね。
で、川島監督はもともと松竹に入って、いろんな、それこそ小津監督とか木下恵介監督とかの助監督をして監督になった人で、
その後、日活がまた動くよってなって日活行って、日活時代に花開いたというか、という監督ですね。
一番有名なのは、『幕末太陽傳』っていうフランキー堺さん主演の喜劇の映画かなっていうので、この辺はたぶん日本の傑作映画、100選とかになったら絶対入ってる映画なんやけど。
で、その後は日活でずっと骨を詰めるわけじゃなくて、東宝系の東京映画っていうところ行って、東宝でいろんな映画を撮ってて、その中で大映でも3作品撮ったと。
その3作品が全部若尾俳子主演ですね。だから基本、若尾さん、若尾松村ペアが一番本数も多いしっていう感じだけど、川島監督も大映来たら若尾さんと3作やったっていう。
だから2人、でも全然違うじゃないですか、今回見た作品でも。だからその辺見せ方も違うし、時代も違うんだけどっていうのが。
川島雄三監督の女は二度生まれる、元の寺、『しとやかな獣』っていう、この3作はもう全部傑作。で、今回の『しとやかな獣』が川島雄三監督が大映で撮った最後の作品ですね。
川島監督の映画は本当に、基本コメディみたいなのがいいやつ多いなって僕は思うんだけど、まあ散らばってて、いろんな作品撮りすぎてて。
だから結構先手掘ってみると面白いかなっていう、なんじゃこれみたいなやつもめっちゃあるし、なんかでもただ文芸物みたいなのもしっかり撮ってたりもするし、なんかすごい面白い監督ですね。
松竹、日活、東宝、大映と、その4つで撮ったことがあるっていう監督でもあって、っていうところが面白いところかなと思います。
川島雄三監督の作品
ありがとうございます。
はい、説明みたいなところでは以上になりますね。
改めて、『最高殊勲夫人』『しとやかな獣』についてお話できたらなと思うんですが、『最高殊勲夫人』で何か言いたいことというか、ここ良かったなみたいなんてありますか。
そうですね、でも今の監督の経歴というか、キャラクター、人物像を聞いて、すごい納得があるような、本当にコミカルで面白いんですけど、インテリジェンスな感じがずっとあって。
最初のところとかも、結構洋画っぽい曲が流れてくるところから始まると思うんですけど。
オープニングね、かっこいいよね。
そうそう、めっちゃかっこよくて、その建物の窓、グリッド状になった窓が出てきて、そこにクレジットが載って、なんか色のベターみたいなのが載って、すごいデザイン的にされてたりとかするところがめっちゃかっこいいなと思ってたんですけど、
そのイタリア行ったとか、そういう話を聞いてて、そういうのと繋がってるのかなって想像をしたり、でもあそこはめっちゃ良かった。
確かになんかちょっとね、色使いとかがあんまり日本映画っぽくないんよね、この時の。
そうでしたよね、ハイカラな感じしました。
そうそう、ヨーロッパ感がすごいあるよね。
ありました。
おしゃれでかっこいいし、脚本は白坂依志夫さんっていう方が、この時20何歳とかかな。
若い脚本家さんと組んでるっていうのもあって、たぶんそういうみずみずしい感じが、若尾さんの魅力もあるし、増村監督のその演出力もあるし、たぶんその辺が噛み合った超最高な作品で。
このDVDとかのパッケージになってるんですけど、本当のラストシーンのポラーがガンってDVDとかポスターの表紙になってることが多いんですけど、これがやっぱすごい好きで。
いやーいいですよね、この写真、めっちゃいい。
これが本当に好きで、これを大映特集上映とか若尾文子特集上映、みたいな名画座でちょくちょくあるんだけど、その時にこれだろ絶対見るやつと思って見たんだよね、当時名画座で。
それでもうなんか、始めから最後まで最高みたいな。それがやっぱ好きでしたね、『最高殊勲夫人』は。
僕の中で、これちょっと伝わるかどうか微妙なんやけど、ちょっと『らんま1/2』感があるんですよ。女兄弟三人みたいなところとか、なんて言ったらいいんかな、この、
あかねちゃんとらんまの関係みたいな。好きなんかどうかあれなのに、川口浩、若尾文子の関係がちょっと俺の中で高橋留美子の作品の主人公っぽい感じみたいなのがあって、
ああいうポップさがあって結構好きみたいな。
なんかそういう感じがするんだよね。
確かにそれは言われてみたらありますね。
あと、若尾文子が演じている京子もすごく自由でというか、自分の意思をすごく大事にしてるし、セリフでもすごいそういうこと言ってたと思うんですよね。
親の話をされたときにそれはお父さんじゃなくて私のことですよねみたいなことを言ったりとか、そういう孤児を大事にするようなセリフがめっちゃあったのが印象的だったんですけど、
そのサブローの元婚約者になるんですかね。
はいはい、富士子さんね。
富士子さんがめっちゃ最高で、
またいいんだよな。
富士子さんが最高でしたね。
富士子さんも富士子さんで自由意思みたいなのを持った人なのね。
富士子さんとサブローの別れ際が良すぎて、
最高最高。
富士子さんはサブローに振られるわけなんですけど、サブローは京子さんのことが好きになっていって、
でもなんか楽しむ暇なんてないわみたいな、なんか私海外に行くのみたいな感じで去っていって、かっけーって思いましたね。
わけわからない習い事みたいなのいっぱいしてるよね。
あれがまたいいんだよな。
前衛の書道みたいなやつとかやってたりとか。
そうなんですよね。しかも人間形成のためにやってるっていうのもかっこよくて。
後の宇多田ヒカルの《人間活動のため…》みたいなのが脳裏に浮かぶよね。
言いてーみたいな。
でもなんかこういう女性像みたいなのが出てくるのも結構面白いよね。
で、やっぱり若尾文子と同じくらい映ってるお姉さんのね、桃子さん。
ワンも絶対に結婚した方がいいと思ってて、その人がいろいろやるみたいな感じなんだけど、
桃子さんは桃子さんで、これ『しとやかな獣』とかの通じるんやけど、
家が貧乏だったのが嫌だったからこっちの生活の方が絶対いいと思っていて、
いい家に入るっていうのがいいんだよって本気で思ってて、そういうふうに動いてるっていう感じとかも。
見てるとちょっと好きなようにさせてあるよみたいな感じは思うんやけど、
桃子さんの気持ちもだんだんわかってくるみたいなところもあってね。
そこがなんか面白かったところで、本当に身近にいたらたまんないというか、
やめてくれよって感じなんですけど、
あんたはこの人と結婚した方がいい、家のために。
貧乏でいたくないでしょみたいなのとか、なんか嫌だけど、
桃子さんっていう個人で考えたら、
自分が嫌な経験をして絶対にそこに戻らないために、
自力でなんでもやってしまうっていう力強さみたいなのは、拍手って感じ。
面白いよね。
子供欲しいって言いまくって、2日であっちが折れたみたいな。
キャラクターと描写
ちょっとコメディみたいな感じでね、撮ってるところとかも。
ちょっと嫌味な感じでは映るけど、理由もわかってくるし、
高速のコメディでポップな感じだから、
そんなに嫌な印象を見たと思ってないっていうのも結構面白いなっていう感じがするね。
私の親戚にこういう人がいて、すごい思い出した。
文章にすると嫌なんですけど、
その人のキャラクターとか生き様で、
この人はこういう人だしなみたいな、思わせられる魅力みたいなのを感じて、
よかったですね、桃子さん。
よかったね。
若尾さんと共通して出てるのは、船越英二さんはどっちもに共通して出てますね。
そうですね。
頑張った。船越さんがちょっとヨーロッパ系のイケメンじゃないですか。
でもどっちもダメなやつなんだ。
ダメなやつがすごいお上手ですよね。
この女性関係でダメなやつっていうのが、なんかしっくりくるんよね。
あとね、三姉妹のお父さんもいいですよね。
よかったですね。
こっちのお父さんもいいんですよ、また。
よかったですね。なんか、哀愁がすごかったですね。
本当に今までのお父さん像みたいな、
『しとやかな獣』のお父さんみたいな狂犬的な感じはないけど、
また違うお父さん像というかね。
そういうのでよかったな。
増村監督がみんなをこの映画ではみずみずしく撮ってるから、
やっぱキャラ立たせるのがすごい上手い監督だなっていうのは思ったかな。
そうですね、なんか全員嫌なとこがないですよね。
その辺が俺の一番近いもので考えると、やっぱ高橋留美子っぽいなって思っちゃうみたいな。
多分ことなんだろうな。
そうかも。ヒロイン像がまさしく高橋留美子っぽさがありますよね。
ちょっとるみ子っぽいだよ。
のびのびしてる感じとか。
自分の可憐さみたいなものに気づいてるのか気づいてないのかよくわかんない感じとか。
あのさっぱり感が。
野宮家か。
若葉由加さんの実家のシーンとかめっちゃランマの家っぽいんだよな。
ぽいですね。
庭があってみたいな。そこでキャッチボールしてて、空いてて中にいるやつと奥にいるやつで見えるみたいな。
めっちゃランマなんだよな。
ぽいですね。ランマだったのか。
なんで、ランマ2分の1が好きな人は絶対好きです。
あとね、美術とか、この時の日本映画って通行人みたいな人も撮影所がいっぱい抱えてるからさ。
もう使い放題だから、雑踏のシーンとか会社のシーンとか店のシーンとか全員が動いてるから、それぞれで。
やっぱすげーなって思うんだよな。
いいしね、バーとかトンカツ屋とか、会社もそうなんだけど、あと撮影スタジオとか、全部がみんなたくさん映ってて、通行人しかやってない俳優さんみたいなのもいるわけだから。
そこの高度経済成長のいっぱい人間がいて、いっぱい動いてるみたいなのをすごいみずみずしく感じるんよね。
景気がいいですよね、すごい。
景気いい。
画面が景気いいなみたいな。
ありました。
かっこいいしね。
本当にかっこいい。バーで電話するシーンとか、このサブロが。
いいよね。
黒髪のサラリーマンで黒いスーツを着てる人が何人かいて、後ろにも黒髪でスーツのサブロがいて、真っ赤な電話を持ってるっていうのがめっちゃ印象に残ってるんですけど。
映画『最高殊勲夫人』の魅力
そう、なんかそういうもうこの絵だけでポストカードができるじゃんみたいなのがめっちゃありましたね。
色使いとかがやっぱかっこいいよな。
あとまあ社長の部屋とかの壁紙とかもめっちゃおしゃれだったりとか。
おしゃれでしたね。
なんか全部にやっぱ気が利いてるんだよな。服装もみんないいし。
なんかやっぱいいんだよな、あの辺が。
やっぱすごい楽しい映画ですね、『最高殊勲夫人』は。
元気出したいときとかにね、ぜひ見ていただければと思いますね。
そうですね。全員さっぱりしてるし。
最高みたいな感じでね。
まあ入りとしてはもう、若尾文子さんの映画、入りとしては俺ここからが一番いいんじゃないかなといつも思ってる映画ですね。
《ジングル》
はい、まあ『最高殊勲夫人』はそんなところで。
『しとやかな獣』の背景
じゃあ『しとやかな獣』のもうちょっと話しておきたいところを話しておきましょうか。
言ってなかったところで言うと、原作脚本が新藤兼人さんという方です。
今、新藤兼人賞ってあるんですけど、日本のインディペンデントで映画を作った。
監督もされてるんですけど、日本のすごいインディペンデントな映画の先駆者として新藤兼人さんって言われてたりとかしてて。
今も新藤兼人賞っていうので、今年もそれこそナミビアの砂漠とかそういうのが今ノミネートされてますけど、そういう方の脚本ですね。
監督は川島雄三監督でございます。
はい。
やっぱまあ囃子、能の囃子らしいんだけど音楽が。
あれはすごいですね。
映画始まったらいいよー、パンパンパンパンみたいなんで。
謎の団地が映って、おじさんとおばさんがなんか物を整理してるところから始まるっていう。
なんでこの服を脱いだりテレビ片付けたりしとんやと思うと、みたいな感じでね。
どうにもからすごいですね。
すごいですね。
本当に。
結構これって現代的じゃないですか、団地が。団地映画だと思うんだけど。
なんか能の囃子っていうすごいプリミティブというか、なんて言ったらいいんかな。
現代的じゃないものがかかるっていうのが多分演出的な意図なんだろうなと思うんですけど。
これもこの能のどっかの場面からというと、すごい意味合いはいろいろ重層的に重なってるらしいんだけど。
なんかあれがやっぱいいんだよね。
能がかかるところがすごい。
能と合わせて、登場人物の心象風景みたいな感じで真っ白の階段が出てくるところ。
階段やばいね。
歌舞伎とかでもああいう表現があったと思うんですけど、ちょっと詳しくは調べられてないんですけど、
あれを登る降りるで意味合いが変わったりとか、
あの時に登場人物たちの心の声が知れるみたいなところがあったりとかして、
本当に現代と古典の組み合わせというか、あれがやっぱり面白いですよね。
だから本当にそれこそ『しとやかな獣』っていうタイトルにもそこがかかってくるし、
そこの取り重なりがすごいよね。
戦後の雨漏りのするようなバラックのところに戻りたいのか。
そういうすごい現代のところに住んでるのに、めちゃめちゃプリミティブなもんが流れてるというかね。
人間の情動みたいなのがめっちゃ流れてるから、そこが剥き出しになるみたいな感じなんだと思うんだけど、
見事ですね。
いやーすごかったですね。
なんかもう出てくる感情が金への欲と色欲。
主にそれしか出てこない。
それがなんだろう、今ってもっとすごくきびというか、
みんなの欲望ってもっと細かかったり複雑だったりグラデーションになってたりするし、
そういうものが描かれているものに個人的にも惹かれるんですけど、
友情と愛情のグラデーションとか好きの種類とかそういうものに惹かれるけど、
この映画見たらその欲望があるしわかりやすすぎて、
そこに共感するかっていうとちょっと違うけれども、
面白さとしてはすごく感じるものがありました。
この時代の、これ見た人ってここに共感とかするんですかね。
いや、どうなんだろうな。評価はされてたんだけど、あんまり商業的には成功しないんじゃないかな。
やっぱり表現として。
ちょっとすごすぎるよね、たぶんね。
そうですよね。
ストーリー的な面白さはあるけど、この言葉に救われましたみたいなのはたぶんないですよね。
そういうのないよね。
なんかすごいもの見たなみたいな感じだったのかなっていうあれではあるよね。
なるほど、確かに。
予想ときにはね。
で、若尾さんの本にも聞かれてるんですよ、インタビューで。
川島監督との3作の話されてるんだけど、若尾さん自身はやっぱ『しとやかな獣』もちょっとわからんかったって言ってる。
そうですよね。
でも女優としてはわかんないけどそのわかんないなってやったらあかんから、演技としてはもちろん100%やってるんだけど、
ちょっとわかんなかったですねって言ってて。
なかなかね、あれわかりますっていうのもちょっとはばかりますよね。
だから本当に現代から見た方がすごい演出の板とかがたぶんつかまれやすい。
そうですね。
本当に早すぎると思うし、それこそポンジュノがパラサイト半地下の家族で描いたようなものっていうのを高度経済成長の日本の中でやってるわけですから。
すごいですね。
持ってるもの、持たざるもの、奪うもの、奪われるものみたいなね。
それがもっと生々しい格差というなった現代みたいなところと、やっぱそのガガガッと登ってる時のね、勢いはあるあの時の日本刀っていうので、こういうもんが出てたっていうのはやっぱすごいなというのは思いますし。
そうですね。だいぶ俯瞰して、この脚本だったり演出がつけられているのが、この時代を過ぎ去ってからたくさんの人が気づき始めるっていうことだったんだなと思うんですけど。
映画制作への期待
踊るシーンあるじゃないですか、夕日の中で。
真っ赤の外のあれが来て、テレビでゴーゴーって当時の流れてきて、「踊ろうぜ!」みたいな感じで、バカ息子と姉ちゃんが踊り出すっていうシーンですね。
しかもそのハッピーなことが別にあったわけでもなく、この陰気さを吹き飛ばすような感じで。
そうね。
しかも途中で脳の囃子に変わる顔とかがあるんですけど、もうあれが狂気的なちょっと、どうの表現というか、躍動になっていくところが忘れられないですよね。
あんな見たことないよね。
見たことない、ほんとに。ちょっと演劇的ですよね、あのシーンとか。
あれはすごいシーン。初めに言ってた愛ちゃんのバンバンバンって顔のシーンと、やっぱり踊るシーンとか、階段。
あと止めでね、モノローグがこうやっていくシーンみたいなのがあると思うんだけど。
ここ見どころですよっていうのが、全部印象に残ってるっていうのが。
やっぱり英語としての語彙がやっぱりすごすぎるというか。
全部何見てほしいのかめっちゃわかる感じが。
わかる。
すごいですよね。ここを見せたいんだなみたいなのが。
最後のあそことかもすごいし、やっぱり何よりもお母さん。
顔でね、見せるシーンですよね。
お母さんが一番しとやかなケダモノを体現してるんじゃないかって私は、基本的には和歌王綾子を演じる雪絵ですけど。
方がそうなのかなと思うけど。
けどなんか最後の顔の表情とかを見たりとか、途中途中の超丁寧な言葉遣いで、
すごい父親の夫の一歩後ろを下がっている感じを出しているのに、
ところどころで見せる表情がめっちゃ狂気を帯びてて。
そこがすごかったですね、あのキャラクターが。
いいよね。キュッとね、キュッとすんねんな。
そう。
あの表情はやっぱすごい女優さんだな。
すごいですね。
いいよね。
もう考えつかないあんなキャラクターと思って。
いやほんとそう。
いやーいい映画だよなーほんとに。
いい映画でした。
いやーよかったです。
ほんと映画面白って思う映画でしたね。しとやかなケダモノ。
面白いよね、ほんとに。映画って面白いなっていう。
何がしとやかなケダモノなのかっていう、和歌王さんなのかお父さんなのかお母さんなのかみたいなね。
またまた全員なのか、人間なのか。
そうそう、みんなケダモノだっていう感じ。みんな真っ当なやつは出てこないっていうね。
外のさ、扉とかもそうなんだけど、格子がさ、印象的には格子越しに団地の部屋の中が映ってる。
牢の中の人たちって感じに見えるよね。
確かに。
牢獄の中っていう感じ。いわゆる団地の禁止的なね。
ただ当時はすごくそういったものがいいとね、ニュータウンとかがいいみたいな感じの中で作られてきた禁止的な部屋がいいよねっていう感じの、すごくモダンな中に格子が映ってるっていうのがやっぱすごいここに閉じ込められている。
ここの中にいる悪いやつらみたいな感じで多分撮っていて。
玄関の顔だけ、窓だけカンって見えるもん。なんかやっぱ囚人の部屋の中見る感じみたいなさ、あれに見えるみたいなのとかがやっぱすごいね。
全員悪人感というか。
でもなんか生きるための悪人、生きるためっていうか、好きな女の人のためとかもあると思うんですけど。
あるけど。
なんかね、なんか悪人とパーンって言い切れない感じも。
そうそうね。
面白いですよね。
感じが面白いよね。
いや面白い映画だったな、ほんとやっぱね。
でも若尾文子さんがこの3年間で、3年間というか作品?そう、作品で違いすぎて。
すごいよね。
どっちも本当になんて言うんですかね、さっきの大映の社長のひくねの花っていう言葉が
なんかワード的にはうんとは思うけれども、本当にそうだなというか、いそうだけど絶対いないみたいな。
そうだね。でもなんか親しみはすごいある。
なんか全員好きだろって感じですよね、もう。
そうそうそうそう。あんまね、今空いてる枠なんですよね、ほんとにね。
昔の映画を見る一つとして女優さんで見るっていうね、見方もあるからすごく要チェックで。
またね、東京ではよく和顔彩子特集とかやりますから、ぜひね、そういうめいぐさとかで見ていただければよりね嬉しいかなと思いますね。
はい、見ます。
ぜひともっていう感じですかね、今回は。
はい。
次回以降、また日本映画のこの時代の違う映画のとこ行った方がおもろいんかなみたいなイメージがあって。
はい。
そうね、女優女優で来たから、それこそちょっとね、やっぱ高倉健の映画とかどうかなと思ってるんですよね。
私は実は高倉健の写真集を持ってるぐらい高倉健が好きです。
あ、じゃあちょっと健さんの東映時代の映画かな、次は。
仁義があった時代、仁義なき時代という実力者になる時代っていうのがありますので。
その2作とかかな。
ちょっとそれで行きましょう。
はい。
ちょっと次はね、男らしいやつを見ようかなと思っております。
お願いします。
はい、今回はぜったい大丈夫だよラジオの愛ちゃんに来ていただきました。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
50:48

コメント

スクロール