M4.今回は高倉健特集。時は63年『人生劇場 飛車角』から、73年『現代任侠史』までの10年間。東映、という会社が東京で、京都でそれぞれ制作した200本余りの映画。ひとつの様式美の確立と共に産まれた玉石混交の数々。その中で「健さん」、高倉健の主演映画を3本観て、今なお輝くその魅力、関係性(池部良!)について、ドスを振り回す健さんのイメージがない私たちが、何を思うのか。『ONE PIECE』や『呪術廻戦』、どこかで一度は観たあのシーン、BL(ボーイズ・ラブ)、最強のシンメ……エンタメの全てがここにある。ぜひとも、お楽しみください。
◇エピソードのゲスト出演者
・野中愛
・『ぜったい大丈夫だよラジオ』
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◆佐伯清『昭和残侠伝』(1965) 東映東京
あらすじ:敗戦直後の浅草― 露天商を営む人々は新興やくざ、新誠会によって、上納金に苦しめられていた。昔ながらの神津組四代目川田源之助は、新誠会のやり方に為す術がなかった。そんな中、源之助は反目していた新誠会の手によって射殺されてしまう。
それから数日後、寺島清次(高倉健)が戦地から復員。様子の変わった浅草の街と親分の死に直面した清次だったが、今は亡き源之助の遺言―五代目を継ぐ決意を固めるのだった……。
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◇マキノ雅弘『昭和残侠伝 死んで貰います』(1970)
あらすじ:東京深川の老舗料亭「喜楽」に生まれた花田秀次郎(高倉健)は、父が後妻をめとり妹が生まれたとき、家を出て渡世に身を沈めた。ある寒い夜、秀次郎はなけ無しの金をはたいて挑戦した勝負でイカサマとも知らず無一文になり、雨をしのいで銀杏の木の下にうずくまっていた。その時出会ったのが、芸者になったばかりの貧しい娘・幾江(藤純子)だった。それから三年、堂々たる渡世人になった秀次郎は、イカサマ師とのごたごたで刑を受ける身となった。時は流れ、秀次郎の服役中に関東大震災が起き、「喜楽」は一家離散の瀬戸際に追い込まれるが、これを支えていたのは板前の風間重吉(池部良)と小父の寺田だった。昭和二年、木の香も匂う真新しい建物となった「気楽」で、出所した秀次郎は偽名で板前として働くこととなった……。
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◆石井輝男『現代任侠史』(73) 東映京都
あらすじ:1970年代(当時の現代)、母の死をきっかけに松田組2代目の地位を捨て、銀座で寿司屋を営む島谷良一(高倉健)。彼は父の遺品である銘刀を引き取るためにアメリカへ向かった。良一が去った後、松田組は先代の実子・初治(郷鍈治)が二代目を継ぎ、若者頭の中川(成田三樹夫)や分家の船岡(夏八木勲)らが組を支えていました。そんな頃、日本では松田組が最大の危機を迎えていた。良一が去った後、組を継いだ先代の実子・初治(郷えい治)が、勢いを増す他の親分衆に圧迫されつつあったのだ……。
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◯やくざ映画の用語、論理
・【任侠】…「わが身を張って弱きを助ける」という自己犠牲と勧善懲悪の精神。
・【渡世】(とせい)…やくざ社会を渡り抜いていくこと。
・【義理】…私情などよりも優先されるもの。上に親分がいて、兄貴分がいる。元々、江戸時代にヤクザは「渡世人」(とせいにん)と呼ばれ一般社会からは蔑まれていた。そのため、旅の先々で「一家」を構える「親分」の所へ立ち寄る。これを「草鞋(わらじ)を脱ぐ」と言い、寝床と食事を提供してもらう。この時に一家の玄関で挨拶の口上を述べることを「仁義を切る」と呼び、「やくざ社会のルールを遵守する人間ですよ、問題ないですよ」と主張を行う。
・【一宿一飯(いっしょくいっぱん)の義理】…この恩は「一宿一飯(いっしょくいっぱん)の義理」といい、何よりも優先される義理であり、一家が抗争に巻き込まれたなら命を賭して先陣を切ることになる。この精神が残る形で、やくざ社会では「義理」、「組」に対する忠誠が尊重される。親分に組に入れてもらい、その看板の下にいるからこそ、やくざ渡世で生きていける。そこには「一宿一飯」以上の恩義がある。これがやくざの基本行動原理。
・【人情】…「義理」が公、「人情」が私。「義理」に反する形で生まれる心情、気持ち、が「人情」。義理では戦わなければいけない相手が、自分の大切な人である、個人の思想と義理が合わないなどで生まれる心情。任侠映画では、この「義理」と「人情」の狭間で悩む様が描かれる。
◆参考文献
春日太一『やくざ映画入門』(小学館新書:21)
山根貞男『東映任侠映画120本斬り』(ちくま新書:21)
春日太一責任編集『高倉健: みんなが愛した最後の映画スター』(KAWADEムック:22)
『永久保存版 高倉健 1956~2014』 (文春MOOK:15)
大下英治『任俠映画伝説 高倉健と鶴田浩二』(さくら舎:24)
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サマリー
『不器用ですから』では、高倉健を特集し、彼の任侠映画における影響や魅力について語ります。特に『昭和残侠伝』シリーズや高倉健の印象、彼がアイドル的存在であったことについて掘り下げています。このエピソードでは、映画『昭和残侠伝』と『死んでもらいます』に焦点を当て、その演出やキャラクターの魅力、人間関係の描写について考察しています。特に高倉健や池部良の演技や映画内での感情の機微を分析し、ストーリーの比較を通じて映画の奥深さを探求しています。昭和の任侠映画における高倉健や梶芽衣子について語り、映画の印象や演出の素晴らしさを深く掘り下げます。また、任侠映画の時代が変化する中で、キャラクターや物語がどのように発展してきたのかにも注目しています。高倉健や池部良の映画に対する情熱や魅力について語り、時代背景や視聴者の反応を掘り下げる内容です。