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2025-09-29 15:13

#113_ひとりごと05【大奥/よしながふみ】男女逆転の世界へようこそ

今日はなっしーのひとりごと回!/よしながふみの男女逆転大奥を語りたい/徳川幕府の実権を握ったのが女性だったら?というSFかつヒューマンドラマ/なっしーが思う見所3つ/社会によって大奥の立ち位置が変わる/女性が実権を握った社会で見えてくるもの/男女逆転大奥を締め括った結末の見事さ/赤面疱瘡の克服と恋愛模様も面白いよ!


▼今日紹介した作品

大奥 19|白泉社



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⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdrptC5Xic_oDRtY_J2IUyu_DHO8kV0L1o6XmTf6atulxdorA/viewform?usp=sf_link⁠⁠⁠⁠

サマリー

漫画『大奥』は、吉永文による男女逆転の世界を描いており、江戸時代初期における女性の社会的立場の変化を探ります。物語では、伝染病「赤面放送」により男性が激減し、女性が主導権を握る時代が描かれ、その中で生じる人間関係や社会のあり方について考察されます。このエピソードでは、作品「大奥」に関する議論が展開され、さまざまな社会的背景やキャラクターの関係性が探求されます。また、物語の結末やその中に織り込まれた歴史的要素がどのように整合性を持つかについても触れられています。

物語の背景と設定
明かりが落ちた店内、いつもとは違うBGM。
スピーカー 2
一人また一人と、店員もキロにつくこの時間。
一人残った本日は、私なっしーが、気の向くままにおしゃべりしたいと思います。
今宵はそんな一人語りにお付き合いくださいませ。
お久しぶりです。
スピーカー 1
このひとりごと回はなんと1年ぶりくらいで、
スピーカー 2
そのことに一番驚いたのは、私なっしーです。
スピーカー 1
喫茶クロスロードのひとりごと回は、
普段の店員同士の会話形式ではなく、
スピーカー 2
店員一人がひたすら自分の推しを語る回。
スピーカー 1
題材も本以外でも何でもokということで、
スピーカー 2
今日はなっしーが、おすすめ漫画について一人語りをいたします。
今日紹介するのは、大奥。
スピーカー 1
私の大好きな吉永文先生の書いた、
スピーカー 2
男女逆転の大奥という漫画です。
男女逆転というマクロ言葉がつくのは、
スピーカー 1
この漫画の中では、とある事情で、
スピーカー 2
三大将軍家光以降、一部を除いて、将軍は女性だからです。
もし、あの徳川幕府の実家を握っていたのが女性だったら、
スピーカー 1
そんなもしもを考えさせてくれる、
SFかつヒューマンドラマの要素を持つ、
スピーカー 2
この漫画を今日は語らせていただきます。
スピーカー 1
ちなみに今日はネタバレを盛大にしていきますので、
もしこれから大奥を楽しみたいという方は、
スピーカー 2
楽しんでから聞いていただくことをおすすめします。
スピーカー 1
また途中、性的虐待の話にも触れるので、
こちらをご了承の上、お聞きくださればと思います。
スピーカー 2
まずあらすじを紹介していきましょう。
舞台は江戸時代初期、三大将軍家光の頃です。
スピーカー 1
ある伝染病が、突如として日本を襲います。
スピーカー 2
この伝染病の名は、赤面放送。
スピーカー 1
山深い農村から、突如として流行りだしたこの病は、
不思議なことに、若い男子のみがかかり、
かかったら5人に1人しか助からない、
スピーカー 2
恐怖の死亡率を叩き出す恐ろしい病です。
この病が全国に広まり、日本全体で男子の数は激減、
スピーカー 1
家を継ぐはずの男子がのきなみ死んでいくので、
スピーカー 2
女が主体となって、家業も生活も回していかなければならなくなります。
この時代に女に生まれてたら本当に大変ですね。
そんな時代、病の魔の手は、なんと将軍家まで及び、
三大将軍家光も、この病で命を落としてしまいます。
つまり徳川滅亡の危機、徳川の血が途絶えてしまう。
スピーカー 1
そんな時、家光の馬であった笠賀の壺根は、
スピーカー 2
この将軍の死により、再び戦国時代の混乱が訪れるのを防ぐべく、
スピーカー 1
徳川直系を絶やさないように、
その娘を囲む男性ばかりの王国を作った、
スピーカー 2
というのがこの物語の始まりになります。
つまり、男だらけの王国。
だから、男女逆転王国なのです。
女性の実権と男性の立場
スピーカー 2
それではここから、私の王国の推しポイントを3つ紹介したいと思います。
1つ目のポイントは、女が実権を握った社会で見えてくるものです。
スピーカー 1
この作品では随所に、男女の立ち位置が逆転していて、
スピーカー 2
それを読者に強く意識させる言葉が出てくるんですね。
男が非常に少なく、かつ種馬として重宝される10代将軍の頃までは、
スピーカー 1
庶民の間でも、男の子は女の子と違って、
スピーカー 2
自分一人で生きていこうっていう気がいがないって言われたりとか、
スピーカー 1
誰の稼ぎで食って生きてると思ってるんだっていうセリフを、
スピーカー 2
女性が言うセリフだったという描写があり、
まさに男性と女性の立ち位置が逆転していることがよくわかります。
でも、なんだかこのセリフに違和感があるなぁと思いませんか?
私は多くを読んでいて、この部分に違和感を感じて、
その感覚が大事だと思ったんですね。
スピーカー 1
漫画に出てくる登場人物の男性だって、
スピーカー 2
自分の力で生きていこうっていう気概を持っている人だっているし、
有能な男性だっています。
だからこのセリフってどうなのっていう感覚を持ったんですよね。
つまりこれは、このセリフそのものが性別だけで相手を決めつけているということ。
これを女性に置き換えても同じなんだろうなということに気づきました。
スピーカー 1
私が一番違和感を感じたシーンが、
スピーカー 2
11代将軍家成の母春貞のセリフです。
スピーカー 1
11代目の将軍は、この多くの物語の中で、
スピーカー 2
初めての男性将軍である家成です。
ですが実際の政治的実験は、母の春貞が握っていました。
つまりこの社会の大多数である女が、実験を担っていたということです。
家成は、若い男子だけがかかる恐ろしい病、
スピーカー 1
赤面放送の根絶に向けて頑張りたいっていう思いを、
スピーカー 2
母春貞に伝えたところ、こう一括されてしまいます。
男がそういう祭り事に関わることを、ちまちまこの母に意見せずともよい。
スピーカー 1
途中は省くんですけど、
そもそも男など女がいなければ、この世に生まれ入れることもできないではないか。
スピーカー 2
うんぬんかんぬん。どう思いますか?
スピーカー 1
このセリフ、男子が政治について考えられるわけがないという固定観念が、
スピーカー 2
この漫画の中にはあることが印象付けられますよね。
でもこれを実際の歴史になぞって考えてみると、
スピーカー 1
男が将軍になることが当たり前として受け入れられてきたからこそ、
スピーカー 2
女性も政治に口出すもんじゃないと言われてきたんじゃないだろうか。
そんな意味合いを持って、私たちに届くセリフなんですよ。
このシーン、春貞の男がっていうセリフが大語まで抜き取られていて、
そのセリフにビクッてなる感覚があって、読んだ時とっても怖かったんですよね。
スピーカー 1
うむを言わせない圧力とかそういうものを感じる場面でもあって、
きっとこんな風に言われたら言い返されないだろうなぁとも思うんですけど、
でも冷静に考えたら、まず男がってくるのは変なんじゃないかなとか、
スピーカー 2
本当にそれで納得できるのかなとか思ったりして、
怖いけれど私の記憶に残ったシーンなんです。
オークの役割と時代の変化
スピーカー 1
皆さんはどう感じましたか?
そんな感じで、この漫画は女が実権を握った社会ってどういうことなんだ?
ということを考えさせてくれるのですが、
この舞台となるオークがどんな役割を果たしているのかということも、
スピーカー 2
社会状況によって変わっていきます。
これが私の今日話したい2つ目のポイントです。
この漫画の流れの中で、オークは世の中の男女比率の影響を受けて立ち位置を変えていきます。
具体例として今回は2人の将軍の時代に絞って話します。
まずは5代目の将軍である徳川綱吉の世。
スピーカー 1
オークは女将軍の長愛を受けるべく、男が己の美しさや勇猛さを競い合う場所。
こう言ってしまうとあれですが、男の園です。
スピーカー 2
この5代将軍綱吉がちょっとタレ目の幼顔で愛らしく描かれていることもあり、
彼女の長愛を受けようと競う様が描かれています。
スピーカー 1
また世の中は女性ばかりで、オークに貴重な若い男子を集める力があるということが、
それだけ将軍の権威の象徴という捉え方もされています。
将軍でありながら、四次を生むことも求められるという女将軍としての辛さが垣間見えるのが、
スピーカー 2
この5代将軍綱吉とオークの関係でもあります。
スピーカー 1
まあでも例えると大黒柱をしながら、子供もたくさん産みなさいよって言われている感じですから、
スピーカー 2
その状態は結構辛いですよね。
一方、時代は飛びますが、13代将軍家定の頃、
男女逆転の世界の背景
スピーカー 2
この頃のオークはこじんまりと縮小傾向、5代目の頃の華やかさはありません。
理由として、この頃は日本は赤面放送を克服し、男女比率が半々に戻りつつあります。
スピーカー 1
その社会の流れを受けて、11代目から男子を将軍につけることができたというわけですが、
スピーカー 2
その際に四次が生まれまくってしまったんですね。
スピーカー 1
どういうことかというと、男性将軍は女性のたくさんの素質を持てるので、
スピーカー 2
将軍の着手、実の子供はたくさん生まれますよね。
そしてその子だくさんによって、幕府は財政難になってしまったんです。
スピーカー 1
さらに12代目の将軍も男子なんですけれど、
スピーカー 2
後に13代将軍になる家定は女性です。
そしてこの娘、家定に対して、父親である12代将軍が性的暴行を繰り返すという描写があります。
このため娘を手放したくない父の思惑により、将軍になったのが13代家定の世になります。
スピーカー 1
この頃の王国はだいぶ縮小していましたが、家定の部下、安倍の政宏という女性が、
12代目将軍の非道な行為に気づき、
スピーカー 2
信頼のおける男性を王国において、家定を守るための王国と位置づけます。
そして王国にいることで、家定は守られるようになる。
王国に苦しめられた綱吉と守られた家定。
この二人の対比は改めて比べてみると面白いですよね。
物語の結末と整合性
スピーカー 1
その社会や時代によって王国の立ち位置が変わるのは、
スピーカー 2
この作品ならではの王国の描かれ方だと思っています。
そして最後に3つ目のポイント。
男女逆転王国を締めくくった結末の見事さです。
スピーカー 1
この王国では主要カップルは見事に男女逆にされています。
13代将軍家定の性質として有名な厚姫は、
スピーカー 2
種厚という男性になっており、女将軍の家定と結ばれます。
スピーカー 1
ところが14代目、女将軍家持のもとに突入できたのは、
なんと弟と取り替え早をしてきた女性の和宮様でした。
スピーカー 2
女性二人、これではカップルにならない。
どうするんだ。
スピーカー 1
そんな声も聞こえてきそうですが、
スピーカー 2
ここがこの物語最後にして最大の伏線です。
スピーカー 1
和宮様が女性であったことで、
スピーカー 2
江戸幕府終焉から明治への転換がスムーズに行われるのです。
スピーカー 1
どういうことなのって思いませんか?
スピーカー 2
思いますよね。
スピーカー 1
この王国の物語の何がすごいって、
歴史上の登場人物の並びはもちろん、
その私立や小ネタなんかも含めて、
スピーカー 2
男女逆にしても整合性があるところです。
スピーカー 1
そしてそのパズルのピースがピタピタはまっていく感じが、
本当に読んでいて気持ちいいし、
うまくはめたなーって感動できるところなんですよね。
そしてこの和宮様のピースを女性にしたことで、
スピーカー 2
このパズルはうまく完成するんです。
スピーカー 1
散々ネタバレしてきましたが、
スピーカー 2
この最後の最後はぜひ読んでいただきたい。
スピーカー 1
ということで、どう締めくくられるのかはお伝えしませんが、
スピーカー 2
見事の二文字に尽きるということはお伝えしておきます。
スピーカー 1
読み終わった後、もしかしたら、
実は徳川の将軍はずっと女性だったのかもしれない、
スピーカー 2
そんな気持ちになると思います。
さあ3点に絞ってお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか?
今回は論点からずれるので省略しましたが、
スピーカー 1
あの赤面放送をどうやって克服したのか、
という物語もとても面白いですし、
スピーカー 2
各将軍の恋愛模様もとても楽しめる作品になっています。
私の推しカップルは、13代将軍家定と種厚カップルですが、
皆さんの好きな組み合わせもぜひ教えていただけたらと思います。
スピーカー 1
歴史が好きな方もそうでない方も、
スピーカー 2
ぜひこのオークで男女逆転の世界を楽しんでみてください。
そしてナッシーと語りましょう。
スピーカー 1
ここまででトークテーマは終了ですが、
スピーカー 2
キサクロではいつでもお便りを大募集しています。
トークのご感想や本にまつわるお悩みなどをぜひご投稿ください。
スピーカー 1
ポッドキャストやノートにお便り投稿フォームのリンクをご用意しておりますので、
スピーカー 2
そちらからご投函いただけると嬉しいです。
今後もキッサクロスロードは毎週月曜日夜21時よりゆるゆる営業していきます。
本日はお越しいただきありがとうございました。
スピーカー 1
またお待ちしております。
おやすみなさい。
15:13

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