1. ケイシャのしゃべり場
  2. #173 実験映像作家と映画監督..
2025-04-25 48:16

#173 実験映像作家と映画監督を迎えた、ディープで刺激的な映像トーク!/D.江口カン&【社外ゲスト】伊藤高志さん

【内容】日本を代表する実験映像作家・伊藤高志氏がゲスト出演!/江口さんが芸工大を目指したきっかけとなった“伝説の男”/2人を引き合わせた出会い/代表作『SPACY』/実験映像とは/“違和感”を作ることに集中/伊藤高志氏の生い立ちと九州大学芸術工学部(芸工大)時代/展示会「像の旅 伊藤高志映像実験室」@田川市美術館の見どころ/“伊藤高志を浴びる”トリッキーな体験/映像作家には音楽的センスは絶対必要!/伊藤高志作品の独特な音楽について/カメラと肉眼では見え方が違う?/2人のロケ地の選び方/偶然をも自分のものにする違和感の演出/撮影・編集の醍醐味/キャスト選定のポイントとは/“多面性”を複数人で表現⁉️/生と死の境目を表現したい/小津安二郎作品に感じる不気味さとは?/伊藤高志作品に引き込まれるワケ/江口監督作「めんたいぴりり」から伊藤高志氏が感じた実験的なシーンとは⁉️次週へ続く

【ゲスト】
伊藤高志さん/⁠⁠⁠⁠⁠⁠実験映像作家 (@19560208ti)
⁠⁠江口カン⁠⁠/映画監督・KOO-KI取締役会長

【出演】
泥谷清美/KOO-KI 広報
原山大輝/KOO-KI アシスタントディレクター

【伊藤高志氏作品を浴びる!直近イベント情報】
🎥「像の旅 伊藤高志映像実験室」
@田川市美術館
▷⁠2025年4月12日 ~ 2025年5月18日

🎥企画上映 アーカイヴ・コレクション Part 19
七里圭「ピアニストを待ちながら」
伊藤高志「遠い声」 +収蔵作品集
@福岡市総合図書館 映像ホールシネラ
▷⁠2025年5月3日~5月11日、5月17日、5月24日

▼この番組は映像制作会社KOO-KIで働くクリエイター達が、ゆる〜く雑談していく番組です。感想・質問などお便りお待ちしてますので、お気軽にどうぞ!フォームは⁠⁠⁠こちら⁠⁠⁠

⁠⁠⁠番組の概要⁠⁠⁠

【BGM/Jingle】invisi ⁠https://invisi.jp/⁠
【Sound material provided by】OtoLogic ⁠⁠⁠⁠https://otologic.jp/⁠⁠

サマリー

このエピソードでは、実験映像作家の伊藤高志さんと映画監督の江口寛さんが映像制作における自由な表現や影響について深く探ります。彼らのバックグラウンドや作品が映像界に与える刺激についてトークが繰り広げられます。また、伊藤さんは映像制作やアニメーションの創造過程について詳しく掘り下げ、特に「スペーシー」作品の紹介や映像制作における時間とエネルギーの重要性についても語ります。さらに、伊藤さんは映像制作における音楽的なセンスや偶然性について考察し、映像と音楽の関係性の重要性を探求します。江口監督と共に、映像制作の現場やロケーション探しについての深いトークも展開されます。このエピソードでは、実験的な映像表現やその制作過程について詳細に掘り下げ、女性を主な被写体とする意図や死生観に基づいた作品作りの背景についても言及されます。実験映像作家と映画監督のディープなトークを通じて、映像技法や観客の期待を裏切る新しい表現の可能性が考察されます。

映像制作会社のトーク
ケイシャのしゃべり場
はい、始まりました。ケイシャのしゃべり場。この番組は、映像制作会社KOO-KIのメンバーが日々感じているおもろいを語り合い発信するトーク番組です。
毎回、いろんなメンバーとともにゆるーく雑談していきます。
私、KOO-KI原山です。
KOO-KIヒージャーです。
よろしくお願いします。
前回はですね、上原さんをお呼びしてちょっといろいろお話を伺ってきたんですけども、
上原さんのおかげで、僕が改めて感じたのは、やっぱ我々の仕事って結構広告だったりとか、エンタメとかだったりするので、
ちゃんとクライアントさんがいて、その目的があって、それをしっかり伝わるように伝えるっていうのが改めて大事だなっていうふうに感じてたんですけど、
今回お呼びするゲストの方の作品はですね、お呼びするにあたってちょっといろいろ作品見させてもらったんですけども、
もっと映像って自由でいいんだなとか、映像を通していろいろ考えさせられるというか、っていうような作品が多くて、
なんかそういった感覚って、僕が大学生時代に感じた、大学生時代ちょっと考えてたような感覚に近いなっていう気がしまして、
ちょっと懐かしい気持ちになりながら、なんか思い出してたんですけど、
ちょっと今回はなんで、ゲストを交えつつですね、そういったこの映像の世界にどっぷりつかれるような内容になればいいなというふうに思っております。
私がちょっと全然わからない。
そうですね、なんでひじやさんがわからなかったらなんか聞いてもらえると。
わかりました。
ちょっと深い話ができるかもなと思っています。
というわけでじゃあ早速ゲストをお呼びしたいと思います。
実験映像作家の伊藤隆さんです。
こんにちは、伊藤です。
よろしくお願いします。
もう一方、空気から江口寛監督もお呼びしております。
どうもこんにちは、江口寛です。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
ということで今回は結構スペシャルな内容でお送りしていきたいと思うんですけど、
ちょっと早速なんですけど、伊藤さんのプロフィールを先にご紹介してもらっていいでしょうか。
1956年、福岡市生まれ、九州芸術工科大学在学中に、
実験映像作家松本利代ゼミで制作したスペイシー、1981年でデビュー。
以降、日本を代表する実験映像作家として、数々の映像作品、映画を手がける。
1999年、演出家の太田昌吾とともに、京都造形芸術大学、
現在の京都芸術大学映像舞台芸術学科の創設に関わり、
ダンサーとの共同作業による舞台芸術作品も多数発表する。
2016年からは九州産業大学芸術学部で教鞭を取っていた。
主な作品にゾーン、1995年、最後の天使、2014年、三人の女、2016年、遠い声、2024年などがございます。
実験映像の影響
ありがとうございます。
今、有名な実験映像作家ということで。
しかも、最初にちょっと言われてましたけど、芸工大卒でもあられますんで、
僕の大先輩でもあり、江口さんの先輩でもあるんですよね。
そうなんです。
芸工大の少なくとも画像設計にいた人たちにとっては、みんなね、伊藤隆大好きですよね。
そうなんですね。
気持ち悪いですけど、気持ち悪さを乗り越えて、すごい好きで。
っていうのもね、芸工大受けようかなって思って、高校3年の時に、
オープンキャンパス、夏休みだったかな、行った時に、いきなりハリウッド大作とかしか見たことなかった僕が、
伊藤さんの実験映像を二本立て続けて浴びるわけです。
なんじゃこりゃというとこから僕の芸工大体験が始まるっていうね。
多分みんなそうだったと思うんで、みんな伊藤さん大好き。
結構会社の人に聞くと、みんな学生時代の時に見た見たって言って。
伝説の男で、この前たまたまちょっとね、本当にたまたま引き合わせていただいて、
飲み屋に行ったら、おじさんが一人座ってたわけですよ。
この人誰かなって思ってたら、伊藤さんだよって言われて、
伊藤さんって?って言って、伊藤隆さんだよ。会ったことないの?って言われて、
えー、この人があの伝説の男?と。もう感動しちゃってね、今今日に至ると。
九三大での特別講義でしたもんね。
そうですね。
それを聞いてて、飲み会があるって言うんで、私も強引に参加して、初めてお会いしたっていう。
僕が初めてだったんですよ。
でもあの日の記憶は、僕は自分の講演会よりも断然伊藤さんに初めて会ったっていう記憶の方がね、残ってますね。
そうなんですね。
その後、もう一度伊藤さんと一緒に飲みに行くんで、空気メンバー来ませんか?ってぐっちぃさんから呼びかけがありまして、
その時に僕も参加してもらって、話が盛り上がって、空気でポッドキャストもやってるんですよっていうので、
ちょっと出ていただけませんか?っていうので、今日に至るという感じなんですけども。
やっぱ空気のいろんな人も見ていると思うんですけど、これ見たことあるっていうのがやっぱスペイシー。
伊藤さんのデビュー作でもあるんですけど、僕も最初それだけ見たことがあって、
このスペイシー作ってる人なんだっていうので、飲み会に行った記憶があるんですけど。
まずこのスペイシーの作品っていうのをちょっと聞いてる人にも紹介したいんですが、
なんともこの実験映像を言葉で説明するっていうのがかなり難しいなと思いつつ。
実験映像って言ったらみんなだいたいわかるものなんですか?
いや、いろいろあるんじゃないですか、実験映像って言っても。
今もう死後ですよね。
あ、そうなんですか。
僕、芸工大卒業してからやっぱり実験映像とか見に行く機会がずいぶん減っちゃったもんで、
今のその世界がどうなってるのか全然知らなかったんですけど。
今はね、実験映像っていうと、例えば雷が落ちたときに人間にどういうふうに伝わるかみたいなことを、
科学的に実験した映像を見せるみたいなことをよくテレビでやったりしてますけどね、
そういうときに実験映像っていう言葉がよく使われてて、
だから私が学生の頃に初めて触れた実験映像っていうのは実験映画って言われたんです。
実験映画って言ってましたね。
最初は70年代、80年代ぐらいまでは実験映画って言ってたんですよね。
で、実験映画ってなんだろうって僕もその当時ね、劇映画ばっかり見てたもんで、
ちょっと不思議な響きがあって、興味津々でね。
そういう上映会とかがあるわけですよ、福岡でもね。
そういうのに足しげく通ってて、こんな映画があるのかっていう驚き、
それと可能性みたいなことをね、感じて、そっから自分でも作品作ろうと思い始めました。
まああれですね、松本敏夫先生のデビューに入られたと。
その当時、芸工大松本敏夫さんという、この方も映画監督、映画作家だった方で、
もう亡くなられましたけど、ここもちょっと不勉強であれですけど、
一番有名なのはもう劇映画としてはドグラマグラですよね。
ドグラマグラっていう劇映画があるんですけど。
これもメジャー作ですけど、かなり実験的な映画でしたね。
その先生がいた頃なんで、もう一番やっぱり、
芸工大実験映画の一番華やかな。
松本敏夫さんは、そもそもドキュメンタリーのね、
ドキュメンタリーの世界で出てきた人なんですよね。
岩波映画って結構有名だね。
であそこで、どんなドキュメンタリーを作るかっていうことで、
彼はかなり実験的なことをちょっと考えてて、
それを実践していったわけですよね。
そこから、ある時にテレビのドキュメンタリーを撮ったんですよね。
その時に石の歌っていう作品なんですけどね。
それはね、石切り場の作業をドキュメントするっていう
30分の番組だったんだけど、
全編写真でやっちゃったわけですよね。
スチール写真。スチール写真の構成で30分間やってたんですよ。
それがね、結構大問題になった。
つまりTBSで作ったらしいんですけど、
大問題になって、
放映せざるを得ないみたいなことで放映はしたんだけど、
相当大問題になって、出入り禁止っていう目にあったぐらいの人なんですよね。
でもまあ、それを覚悟してでもね、
そういう映像を作り抜けるっていうところもあって、
やっぱりそういう世界から飛び出しちゃって、
個人的な実験映画っていうのを作り始めたわけですよ。
70年代にね。
そこで生まれた作品を僕らは見てね、
大学生の頃に恐ろしく刺激を受けたんですけど、
劇映画も同時に作り始めた。
だから劇映画の作り方っていうのはね、
大学生の頃からね、
いわゆるメジャーの普通の作り方ではない作り方を彼は模索していて、
4本ぐらいあったかな、劇映画はね。
どれもやっぱりある違和感というかね、
見る人にとってはね、思った作品ばっかりだったんですけどね。
まあそのね、1960年代、70年代ってもう映像だけでなく、
もう映画だけでなく、
いろんな方面で文学でも舞台でも、
いろんな方面でみんな何か新しいことは表現できないか、
模索してた時代なんで。
やっぱり一番大きなきっかけはアメリカの実験映画を
ソーケツホールで集中的にやったんですよね。
60年代の仲間かな。
だからアメリカの実験映画をね、
そこら辺を集中的にやったのを、
その日本の若手のアーティストたちが見てね、
すごい刺激を受けて、
カメラさえあれば何か表現ができるっていうね。
だからその当時は、
画家であったり、音楽家であったりね、
小説を書いてる人とか、写真家であったりとか、
だから映像とは違うジャンルの人が
カメラを持ちながら、
自己表現を始めた。
新しいおもちゃを手に入れたって感じがするし。
寺山修司さんとかも映画を撮った人でしたもんね。
寺山さんも始まりはそこら辺ですよね。
60年代の仲間ですよね。
まさにさっき伊藤さんの言葉の中に、
違和感って言葉が出てきましたけど、
まさに最初に、
蛍光大実験映画を見た時に感じた。
キーワードの一つは違和感というか、
違和感しかなかったですからね。
どうやって違和感を作るか、みたいなものばっかり考えてました。
それを考えてるんですよね。
どうやったら違和感になるか。
それを考えてました。
技術的なことでもね、
この技術を自分で生み出したら、
すっげえ違和感がある映像ができる。
そういうのが、
伊藤高志の作品の背景
違和感だったんじゃないか、みたいな。
まさにそこを狙いまくっているんですね。
さっきね、
無理矢理話を戻すと、
スペーシーという作品に入ろうとしてましたけど、
僕は蛍光大の頃の伊藤さんの作品は、
基本コマ撮りだったじゃないですか。
全部コマ撮りですね。
プラスバルブ。
バルブのコマ撮りですね。
長時間露光っていう、
写真でもね、夜の写真を撮るときに、
例えば車が走っているところを撮るときに、
車のヘッドライトが直線になるみたいな写真ってあるじゃないですか。
あれは長時間露光っていって、
シャッターが開いている時間を、
普通は1千分の1秒とか、
だけどバルブのときは5秒とかね。
長い間シャッターを開けておくという撮影の方法で、
コマ撮りしていったわけですよ。
1コマずつ撮っていったっていうか。
1コマ5秒ずつかけているっていう。
そう、1コマ5秒かけてシャッター閉じて、
それで1コマの撮影が終わり。
次の1コマもまた5秒とか開けて、
ものすごく時間がかかるわけですよ。
ひじや、ちなみに普通に撮ると映像は、
1秒何コマあるか知ってるんですか?
一応空気のシャイン。
だいたい24とか30とかが多いんですけれども、
つまり、1コマ5秒かけるから、
1秒撮るのに、単純計算で150秒かかるわけじゃないですか。
1秒撮るのによ。
でもその間には1コマずつ撮る間に、
人物がちょっと移動してとかやるから、
とてつもない時間かかりますね。
アニメといえばアニメなんですかね。
アニメってことなんです。
アニメですよね、アニメーションですね。
その情報密度が濃いじゃないですか。
それをさっと1秒で見せられると、
そこから感じるエネルギーっていうのがすごい感じるんですよね。
不思議だよね。
だからそうやって時間かけて作ったものって、
ちゃんとそこにかけただけのエネルギーが、
宿らないものもあるんでしょうけどね。
ちなみに、
芸工大に入って松本さん達の実験映画を見る前は、
何かやっぱり写真であるとか、
映像は作ってらっしゃったんですか。
写真は好きでしたもんね。
高校生とかもシールカメラでね、
外に撮りに行ったりとかしてましたね。
親の影響もありましたね。
親父が写真が好きで。
もちろん趣味でしたけどね。
それの影響とか。
あと漫画描いてましたしね。
映像制作の技法
怪獣漫画とか結構描いてて。
ちなみにご出身は親父校通り。
親父校通り出身っていうやつ。初めて。
ずっと親父校を続けてるんですけどね。
生まれた時からね。
だから高校の時とかに、
例えばバルブ撮影みたいな知識として、
あったんですか。
いや、なかったですね。
大学入ってからですね。
それはね。
やっぱり芸工大で写真の授業とかあるじゃないですか。
いわゆる紙焼き、
インガシに焼き付けるみたいな。
ああいう授業がやっぱり、
すごい刺激になったっていうのかな。
いろんなことやらされてしまいましたね。
そうですね。楽しかったです。
あれがね、やっぱりよかったですよ。
カエルの解剖をやらされたりね。
そんなことやってたんですか。
そんなことやってたんです。
カエルの解剖の授業の次に、
鉛筆デッサンのね、
写生の授業とかね。
そういう芸術と、
そういう理工系のね、
ごちゃ混ぜのカリキュラムだったんですよ。
カエルの体の構造を調べるみたいな。
多分そうだったと思うんですけど、
あまり覚えてないですね。
気持ち悪かったことしか覚えてない。
僕らはヌードデッサンはありました。
そこもありました。
ヌードだったかもしれないですけど、
女性のモデルの方が来られて、
デッサンはありました。
蛍光灯。
蛍光灯。
でも確かにいまだにそういうごちゃって、
いろんなことさせられるイメージはありますね。
そういう学校の工夫なんですかね。
そういうのだけはいいよね。
陶芸もありますよね。
陶芸もありました。
陶芸。
鉄の彫刻。
鉄でした。
溶接して一体物を作る。
楽しそうですね。
そう、確かに。
いろんな素材を扱うじゃないですか。
それを加工するから、
いろんなプロセスを見ちゃうんですよね。
そういうこともね、
自分が映画を作るときに参考になるっていうか、
自分でいろんな機材を作ったりするわけですよ。
撮影もね。
たがわしでやってる古典でも、
そういう機材を展示してるんですけど。
ちょうどそのたがわしの古典に、
先日僕らも行ってまいりまして。
行ってきました。
さっきおっしゃったような、
作品の、
メイキングじゃないですけど、
絵コンテだったりとか、
撮影に使われた機材だったりとか。
伊藤さんの絵見たいな。
漫画書かれてたんだね。
漫画もあったんですね。
展示されてました。
一番最初の方に。
うまいなと思いました。
ちょっと見たい。
それなんか載ってないの?そこら辺に。
でもちょっと写真撮らせていただいたんですけど、
それだったら。
怪獣漫画なんですけどね。
西公園の下から出てくるんですよ、怪獣。
なるほどなるほど。
高さがありますからね。
大堀公園で怪獣が暴れたりとかね。
めちゃくちゃうまいじゃないですか。
そして手塚治虫風な立場。
そうなんですよ。
手塚治虫にもろえ影響を受けて。
もろえ影響。
そんなにいっぱい撮ったの?
これ出すべきだ。出版するべきだ。
中学校1年前後ですね。
やっぱりSFが好きだったんですか?
いやもうね、特撮モノが大好きでしたよね。
何と言ってもね。
映画館に特撮モノとかよく見に行かれてた?
そう、行ってましたね。
ただ、小学校の低学年の時はね、
ちょうどゴジラの初期の方の、
ゴジラとキングコングが戦うとかね、
あそこら辺が流行ってたんだけど、
親が連れて行ってくれないんですよ。
小学校1,2年の時って。
教育に悪いっていうか。
そういう風潮があったんですか?
そうそうそう、あんなもん見るなみたいな。
ディズニーのアニメーションばっかり。
親が連れて行くの。
道徳的に良さそうなモノ。
だからね、テレビで横毛の方がやるわけですよ、ゴジラをね。
ものすごく見たいわけ。
で、おねだりするんだけどね、
絶対許してくれなかったですね。
で、4年生くらいになってやっと自分で、
お小遣いもらって見に行くようになって。
大人。
見に行って、一番最初に見たのは、
大魔神。
ガメラ大バルゴっていう映画。
日本立てだったんですけど。
それにもう大興奮して。
血しぶきがものすごく出る怪獣映画だったんですよね。
そうなんですか。
知らないですか?
ガメラって。
そうそう、大魔神もすごかったですけどね。
結構子供に遠慮なくそういう激しいシーンがガンガン出てきて。
モノクロですよね?
カラーです。
カラーだ、カラー。
素晴らしい。
もう興奮して。
それであの漫画を描き始めたような感じですか?
そうですね。
そんな感じ。
同時期かな。
で、コンテも描かれてるんですかね?
作品作りの時は。
今?もちろん描きます。
昔から。
昔から描きますね。
スペイシーの頃から。
見てみて。
スペイシーのコンテは番号とかでしたよね?
番号ですね。
図形ですね。
図形か、そうですよね。
まあまあそうですよね。
構造的ですよね。
ちょっとスペイシーの紹介もそういえばしてなかったので、
ちょっと喋ってみますけど、
舞台はゲイコーの体育館なんですよね。
体育館の奥に写真が置いてある。
で、カメラの正面に写真が遠くに置いてあって、
ちょっとずつカメラが一コマずつ、
写真でシャッターを切って一コマずつ寄っていくんですけど、
その写真自体が最初のカメラの引いた絵になってるんで、
最初のカットに戻ってくるというか、
ちょうどループ再生のようになるというか、
っていうことなんですけど、
詳しくは美術館に行って見てもらいたいですね。
たぶん1%ぐらいの人にしか言わない。
全然伝わってない。
1%の人にも伝わらなかったかもしれないですね。
絶賛上映中なので、
4月12から5月18日。
たがわし美術館 像の旅 伊藤隆映像実験室というタイトルで、
上映中でございます。
展示と視覚体験
上映中というか展示ですね。
展示ですね。
面白かった。
日曜日にはいろんな作品上映されてるんですよね。
日曜日は私のほとんどの作品を朝から、
夕方まで通してやってますね。
まさに、伊藤隆を浴びる。
そうですね。
展示会ですね。
広い、この暗い空間があって、
その3面の壁に3作品投影してやったんですけど、
壁なんてすっごいでっかい画面で見るというか、
っていうのがまさしく浴びるでしたね、本当に。
もう、わーって。
フレームごとにちょっとフラッシュみたいなのも伊藤さんの作品入ってきたりするんですけど、
それがちゃんと残像になって重なって残るような体験をしたりだとか、
なんかそういうのも面白かったですね、行ってみて。
大きな画面だから結構迫力ありますよね。
ありますよね。
家族と言ったんですけど、
旦那さんは途中で出ようとしたんですけど、
うちの子が、
家族と言ったんですけど、
旦那さんは途中で出ようとしたんですけど、
うちの子がまだ見たいって言って、
最後まで。
子供と映像のトリッキーさ
あのね、結構子供はね、一生懸命見るんですよね。
そうなんですね。
不思議ですもんね。
不思議なので、なんかね、子供見ちゃうなーって。
私ね、結婚式の披露会の時にね、
スペーシーを会場で流したんですよ。
その時に、親戚の3歳くらいの子供たち、
すっごい真剣に見てましたね。
あー見るんだーと思ってね。
なんかね、たぶんあの、
遊園地のビックリハウスに入っているような感じというか、
そんな感じなんですね。
そういうトリッキーさはやっぱありますよね。
そうですね。
確かに見たことない世界ですよね。
普通の日常じゃ見れない。
どうなってんだろうってなりそうですね。
音楽と映像の関係
経営者のしゃべり場。
その、もうたかしさんでいいですか?
なんかね、たかしさんって呼びたかったんですよ。
いいですよ、かんさん。
うん、光栄です。
まあその先ほど、大学時代に、
実験映画の洗礼を受けて、
そこから入られたんですけど、
それ以外の系統をしていたカルチャーとかって、
どういうものだったんですか?
例えば音楽ではどうだとか、
あるいはサブカルチャー的にどうだとか。
そうですね。
音楽はね、うちの兄は音楽やってて、
チューリップのメンバーだったんですよ。
え?
すごいですね。
福岡で、在住さんとかがね、
福岡で活動しているときに、
うちの兄はメンバーだったんですよね。
へー。
で、バンジョーとかギターとか、
歌も歌ってました。
やってたんですよ。
で、東京にメンバーが行くっていうときにね、
自分だけ福岡に送って、
音楽活動から離れちゃったんですけど、
でも今はね、
今はもう70中盤ですけど、
友達と一緒にバンドやってます。
へー。
コピーバンドですけどね。
監督もね、
時々ライブやったりしてるんですけど、
それぐらいね、音楽の兄だったんですけど、
兄がね、私にギターを教えようとしたことがあるんですよ。
中学生ぐらいのとき。
お前もちょっと音楽やらないか、みたいな。
私は全然できないんですよ。
全然できないので、すぐ諦めましたね。
あの兄が。
ああ、面白い。
ダメや、こいつ。
いや、たかしさん、ちょっと僕の中に一つ説がありまして。
映像の才能がある奴は、
人前でライブっていうのが苦手だっていう説が僕の中にありまして。
僕もだから弾けないんです。
え、そうなんですか。
練習されてませんでした?
練習するけど、
あのね、一人のときはちょっと弾けるんですけど、
人の前でっていうのが緊張しちゃってなんかうまく弾けなくて、
映像ってやっぱりライブじゃないじゃないですか。
作り込みの世界ながら。
ちょっとやっぱね、積むが違うんだと思うんですよ。
っていう僕の説が。
でも映像を作るときって、
音楽的なセンスって絶対必要じゃないですか。
ああ、たしかに。
リズムって。
だからカンさんの作品見てもそういうのすごい感じるんですよ。
あのファブルとメンタイピリリの、
4作品しか見てないんですけど、
なんかね、気持ちいいんですよね。
ファブルとか見ててね。
好きは好きなんですよね。
だから映像でもそこに乗っかりたいというか、
偶然とロケーション探し
音楽の力って半分ぐらいは音楽や音の力かなと思うんで。
そこはそうなんですかね。
弾けるかっていう話で言うとちょっと全然ダメですけどね。
私もダメですね。全然弾けないですもんね。
弾かずに音楽の趣向性としては、
じゃあやっぱりお兄さんの影響を受けてそういう。
あるのかもしれないですね。
そこはね。
割と伊藤さん作品その環境音というか、
それこそ不気味なようなこともありますけど、
あれは、
ずっと同じ方。
稲垣さんでしたっけ。
学生の頃、スペーシーの頃からは稲垣君と一緒にやってたんですけど、
その後はいろんな人とコラボレーションして。
毎回こういう音がいいってオーダーはされるんですか。
大々しますけど、
学生の頃は割と稲垣氏に任せてましたね。
そうなんですね。
意外とね、任せた方が面白いっていうところがあって、
自分の想像じゃない向こうの想像力で映像にぶつけてくるんで、
それが合体した時にどういうイメージになるかっていうのを
自分も想像できないものが現れてくることがあってね。
そこが面白かったですね。
だけど、どなたが作ってもなんとなくやっぱり
伊藤隆作品風になっちゃいますよね。
なんかね、
伊藤さんの映像のイメージがもう強すぎて、
なんかあれですかね、そこからなかなかこう、
はみ出ない感じもするんですけど、音楽が。
最近はね、
どっちかというと自然音。
そのメロディーがあるものを使わない方向で
ずっとやってますね。
そうですね、今回ちょっと僕も
最近の作品初めて見たんですけど、
発電所の風車が映ってくるやつが遠い声でした。
あれのね、風切り音みたいなものの音も印象的に。
そういうの。
こんな音がするんだと思いました。近くに行ったら。
実際に撮りに行ったそうです。
大体東区でしたよね。
東区が中心ですけど、
長崎も撮ったし、佐賀とかこういった。
なんか分かんない部分がちょっとあるなと思って。
旧三大の近くに私住んでるんですよ。
じゃあ見たことある。
そうそう。
チラチラと行きますからね。
どのロケーションもやっぱ絵の力が強いなっていう、
なんか面白いなって感じたんですよ。
ロケ版は一人で行くんですか?
大体一人です。
もうプラッとじゃああちこち見に行くみたいな。
普段からそれやってるんですよ。
やってるんですね。
もう今の日課ですね。
探しに行きます。
ドライブ、散歩、ドライブ。
両方ですね。
でも車で大体探しに行ってますね。
それカメラで撮るんですか?
撮りますね。
ここで撮りたいんで。
カメラで撮ってみないと分からないですね。
実際に目で見て感じた雰囲気とね。
カメラで撮って写真で見たときと全然違ったりするんでね。
写真で見たときにいいねと思うときに、
その場所をロケ地にしますね。
肉眼で見てすごいなって思っても、
カメラで撮ると手に負えないときってありますよね。
手に負えない?
なんかね、収まりきれなくて、
収めちゃうと収まっちゃってつまんないかなっていう時もあるからね。
難しいですよね、意外と。
カンさんなんかは、
シナリオができた後にロケ地を探しに行ったりするんですか?
そうですね。
最近はもうすっかり仕事としてシステムができちゃってる。
まずその制作っていう職業の人たちがザザザっといっぱい見て、
写真持ってきてくれるんですよね。
言うとだから僕コンテ書き終わってからロケ地に行くぐらいです。
コンテ書いてるときは、その場所の設定が僕の中にはあんまりなくて、
ないんですか。
だって、
コンテを書いてるときは、
場所の設定が僕の中にはあんまりなくて、
ざっくりあるんですけど、
その場所に合わせた、例えば階段の位置がこうでみたいなことは、
僕の頭の中で勝手に想像して書いてるんですけど。
明太ピリリとかはね、結構セット撮影でしたからね。
そうですね、セットも多いです。
風景はそれほど出てこないですかね。
明太ピリリはもう昔の風景を探さなきゃいけないんで、
めんどくさいです。
私も昔の風景をずっと探しますね。
昔の風景っていうか、崩れかかった。
大灰的にはですよね。
ツタが生えまくった団地とか。
あれどこなんですか。
あれは長崎ですね。
長崎の池島っていう炭鉱の島なんですよ。
元炭鉱。だから軍艦島みたいなのがあって。
そこはね、でもフェリーが行き来しててね。
敗北オタク相手の観光地になってますね。
じゃあ人も住んでるんですか。
人はね、ちらほら住んでますね。
だからボロボロのアパートなんだけど、
一所帯だけ住んでたりするんですよ。
映ってたツタだらけの。
すごい信じられない。
私の撮った映画のワンカットの中にね、
パラボラアンテナが一個ついてるとこがあるんですよ。
そこに人が住んでる。
私もびっくりしました。
こんなとこ住んでるんだって。
今の話で思い出したけど、
高志さんのあの作品の中に入ってくると、
全部狙いで計算で入れてるのかなって思わせるものがあって。
そもそもそういう作品なので。
例えばパラボラアンテナがあるじゃんって、
それはたまたま撮ったわけでしょ。
設置したわけでは当然ないし、たまたま撮りました。
だけどそれを見つけた人は、
絶対これ伊藤高志がここに狙っておいてんじゃないかって思わせるものがあるし。
ほら見てると、わりとよく動物がたまたま映り込んでるショット使いますよね。
蝶々がひらひらって飛んでいくのに、
ハエの音なんかつけちゃったりしてて、
もうやるなって思っちゃう。
そうですね。
ハエの音つけてましたね。
岩間ですね。
岩間はね、
その岩間と偶然を取り込む感じというか、
ちゃんと偶然取り込んで自分のものにしちゃう感じとかがね、
そういう発見とかもあって面白いよね。
それは撮影の醍醐味というか、面白いと思うんですよね。
編集の醍醐味でもあるし。
いろいろ撮れるんですよ、偶然に。
いろんなものがね。
結構たくさん回すんですか?
回しますよ、わりと。
でもカンさんみたいには回さないですよ、うちのね。
どうだろう。
すごい話聞きましたけど。
そうですか。
俳優さんはちなみに、
オーディションとかをやる感じじゃないですよね。
違いますね。
映像作家のアプローチ
身近な方々。
でも顔はやっぱり重要視しますね、顔つきは。
そしてもうね、男もちらほら出るけど、
女ばっか撮ってますよね。
女性が多いですね。
好きなんでしょうね。
好きなんでしょうね。
なんかね、男で映像にするのすっごい難しいよね、この場合は。
そうそう。だから出てくる男性がちょっと、
出てる人に申し訳ないですけど、
伊藤さんが、たかしさんが、
興味ないんだろうなって。
そうですね。
男性が出てこられてもちょっとそういう女性味がある場合もありますよね。
そういう場合も。
別に自分の家族とかではないんですね。
違いますね。
基本的にはゼミの学生。
極めて面白い。
そこにいるみたいな。
普段からその子の立ち振る舞いとかね、
ぼーっとしてる時の顔とか、
それを見てて、
いいかもって今思うので、
声をかけたりするんですけどね。
基本的にはあれですか、演技はするなって言ってるんですか?
それとも何も言わない?
いや、するなです。
するななんだ。
脳面でいいっていう風に言いますね。
立ってるだけでいいかなって。
だから立ってていい感じの子はやっぱりいるんですけど、
立たず前が。
一応脚本みたいなものを出演者に渡すんですけど、
やっぱりみんな分かんないわけですよね。
どう演じていいかとかね。
分からないってことがあるし、
分からせようとも私も思ってないんで、
言う通りに動いてくださいって言うだけですかね。
あっち向いてとか、向いた後下向いてとか、
そういう体の動きを指定する。
それはじゃあ、撮りながらどんどん指示出していく感じですか?
そうですね。
動いてもらってる時に僕も喋りながらやったりもするから。
動録じゃなくて。
なんかそうやって、いろんなルックとか立たず前の女性たちが、
個性的な人もいれば逆に、
ちょっと没個性的な人もいるんですけど、
みんながそうやって、
能面演技っていうか、演技をしない、表情を作らない、
芝居してるもんで、
僕もなんか、いつも思うんですけど、
全員が、それぞれの役というよりも、
全員合わせて一人の人間をやってるぐらいに感じるわけですよ。
死生観の表現
なんか僕は。
いいっすね。
そのワードは、ちょっとめちゃくちゃ良くないですか?
なんか要は、人間っていろんな面があるわけじゃないですか。
それをあえてたくさんの人でやってる風に感じるんですよね。
それはね、めちゃくちゃ嬉しいですね。
ていうか、狙いとしてあるんですよね。
何人も出てくるけど、
一人の人物って一人の人物で、
一人の人物の端面的な存在みたいな。
それはね、そうなんですよ。
そういう狙いがあって。
だから同じ様子が来てたりするんですか。
そういうこともあるしね。
なんかその、この役とこの役を変える必要もないのになって、
時々思うようなところを、
別の人に演じさせたりとかもあるから。
確かに確かに。
そういう、
やっぱり伊藤さんの作品見てて感じるのは、
生と死みたいな。
死性感みたいな。
とかと、何でしょう、
現実にないものを撮りたいみたいな、
そんな気持ちを僕は感じまして、
その辺もやっぱり色々意識されてるところなんですかね。
めちゃくちゃ意識してます。
そうです。
まあテーマっていうのは、
やっぱり、
そこはね。
まあテーマって言うと、
そんなにたくさんないっていうかな、
撮り始めた頃からね。
テーマ的にはもう一つか二つ、一つぐらいかな。
だからそういう、死と生との境が、
微妙にわからなくなるみたいな。
現実と虚構の境がぼんやりしてくるとか、
なんかそういう世界ですよね、作りたいのはね。
作っていく上で、
やっぱこういうシーンがあってっていうのが先なのか、
それとも先ほど言ってたその、
ロケ版とかで、
この場所でやりたいっていうか、
絵が先なのかとかってあります。
絵が先ですね、私の場合は。
なるほど。
だからロケ地でハッとすることがよくありますね。
この場所であの人物を立たせたらいいよな、みたいなところから、
物語が始まったという感じですかね。
なるほど。
あれ何だったっけな、
海岸でドラム缶がいくつかあってみたいな。
はいはい。
遠い声ですね。
それもやっぱり多分景色からかなと思うと、
なんかやっぱマグリット的なものをね、感じます。
もう一枚がかっこいいんですよね、なんかね。
そうですね。
そうですね、マグリットのちょっと不思議な、
なんか空間がね、入り見られてるような、
実地感と空間が。
そういう風景だなと思ったりすることもありますね。
うん。
それなんか、死生化みたいなのってわかんないですけど、
なんか伊藤さん自身もなんかそういう、
ちょっと体験されたようなこととかもあったりするんですかね。
それとももう完全にフィクションで。
いや、ありますよ。
結構病気がちなんですよね。
そうなんですね。
そうですね、それで病気がちっていうか自己がちっていうか、
大学2年の時に、これバイク乗ってて、
車と正面ショートとして救急車で運ばれたんですけどね。
バイクでぶつかって道路をゴロゴロ転がって倒れた時に、
いろんな人がこう、声が聞こえてくるんですよ。
うわ、頭から血が出ようとか。
それを聞いて、うわ、やばいかもみたいな。
死が近いかもみたいなこととか。
あと、19歳の時には胃が破裂したんですよ。
えー。
あの、十二症海洋がひどくなって。
ずっと十二症海洋がひどかった。
それがね、ある日突然爆発したんですよ。
爆発するんですか。
穴が開いて。
割れちゃって。胃が破裂して。
で、その時もね、救急車で運ばれて。
意識が戻った時に先生から、
あ、伊藤くん、あと2時間遅かったら死んでたねって。
言われました。
へー。
割とそういう、特にね、胃が破裂した時のものすごい苦しみと、
だんだん気が遠くなっていく時の気持ちよさみたいなのがあって。
へー。
ものすごく苦しいとね、だんだん気持ちよくなって。
へー。
これが死なのかみたいな印象がありましたね、その時にね。
へー。
それを表現されてるんですか。
それは表現することもないんですけど、
何かこう、死の世界もそんなに遠いものじゃないんですよね。
割とふとそっちの世界に行けちゃうかもしれないみたいな、
感覚はあったかもしれないですね。
へー。
不気味さと日常
確かにエッセンスは感じますね、そういう話。
感じますね。
だからなんか、そうですよね、私の映画ってどっちかっていうと、
出てる人たちが幽霊みたいに見えちゃうっていうね。
ホラーかなーとか思いながら。
生きてるのか死んでるのかよく分からないみたいな。
そうですよね。
そういう映画聞く方が好きなんですよね。
へー。
なんか全然、誰かが死ぬとか、ぶっさしてるとか、
そういうの全くないんですけど、
すごい怖いんですよね、なんか。
確かに怖い。
ホラー的だなっていうのは、それは何となく意図的にやってるんですか。
そうですね。
やっぱり意図的ですよね、そこはね。
で、例えば、小枝康二郎の映画とかもね、
見てると、すごく不気味だなと思ったりする瞬間が結構あるんですよ。
すごく正面向いて喋るっていう時の、
気持ち悪いですよね。
目がどこ見てるのか分かんないみたいな気持ち悪さあるじゃないですか。
はい。
ちょっとあの人の映画よく見てるとね、
人物がものすごく人形的な動きをしてる時があるんですよ。
へー。
特にあの女優さんが正面で捉えられて、
旦那さんと喋ってるんだけど、
喋りが終わってふーっと隣の部屋に行っちゃうっていう時の、
その振り返って去っていくっていう時の動きがね、
ものすごく不自然なんですよ。
なんか人形を動かしてるみたいな。
で、ほら、小枝の演出って、
細かく動きを指定するっていう演出だから、
だからセンスで仰いでるみたいな時も、
3回仰いでね、止めて、
湯呑みに手をやって、
1回飲んで戻してくださいとか。
おー、かわいいー。
そう、有名なんですよ。
そういう演出なんですよ。
へー。
だからね、ものすごい違和感があるんですよ。
だけど、物語的には、
お父さんの娘が結婚していくみたいな、
お父さんの娘が結婚していくまでの話とかね、
恐ろしく日常的な世界なんですよね。
物語としては。
なんだけど、
そういう不気味なシーンがそこに開在してくるから、
日常的な風景がね、
非日常的なものに見えてきちゃうんだよね。
そういう発見が、
オズの映画見てて感じるんですよ。
それはね、すごく自分が映画作る時に、
参考になってますね。
だから、たかしさんの作品って、
淡々としてたり、ループも多いから、
そういう何か技巧がないと、
多分見飽きちゃうはずなんですよ。
なのに、引き込まれるのは、
ホラー的であったり、違和感だったり、
ループもまた逆に、ループを利用して、
ループやってると、
次もこう来るかなって思って見てたら、
全くそうじゃないとか、
そういうことをよくやってるもんで、
目が離せないんですよね。
そこはね、やっぱおかしいね。
だから、例えば2人の人物が喋ってるのを、
切り返しっていう方法で、
2人が会話してるっていうのを、
次々に見せていったりするじゃないですか。
切り返した時にね、
その相手がいない。
切り返しのリズムで見ていて、
切り返した時にいないって言った時の、
実験映像の新しい表現
この怖さっていうのは。
幽霊だったのかなみたいな。
それはね、一つの演出なんですけど、
遠い声でもやってますけど。
ゆっくり消えていくみたいなのもありますよね。
ディソルブとかを使われて。
消えるスピードがゆっくり過ぎても、
不気味に感じてくるというか、
カメラワークもそうですよね。
じわーっと動くっていうのが、
ずっと見ちゃう原因かなと思いますね。
だからね、初期の作品は、
コマ撮りで新しい見せ方みたいな、
そういう実験だったのが、
そういう割と最近の作品の中だと、
逆に普通の映像的手法、
人物の切り返しなんて、
一番普通にある手法を、
そこに何か違うことを入れてくるっていう、
そういうものが、
最近はそうだったんですね。
だから、観客が映画を見るって言った時の、
法則みたいなものにのっとって見てるわけですよね。
お客さんはね。
その法則を裏切ることで、
何が生まれるか、
どんな面白い違和感が生まれるか、
みたいなことをすごい考えますよね。
そこの実験をしているっていうことではあるんですよね。
下手したら失敗するというか、
しらけちゃうみたいなことの、
ギリギリのところでやってる感じですよね。
ぐちさんも結構作品作る上で、
実験だっておっしゃったりしてますよね。
でもそれはやっぱり、
実験しないわけにはいかない体質になっちゃってるので、
少なくとも何かちょっと、
1個でも何か新しい実験を入れたろうかなって、
いつでも思ってますよね。
メンタイピリリを見ていても思いましたよ。
お互いに実験集を限り取る能力がすごいから。
どの辺で?
スケッドダラーさんが出てくるところとかね、
経営者のしゃべり場、来週に続く。
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