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みなさん、こんにちは。競馬けんぶんろくへようこそ。ダルマー競馬場です。
この番組では、競馬にまつわる様々な小説、エッセイ、詩を紹介して、競馬に関する知識を深めるだけでなく、文学への視野も広げていこうという番組です。
こんにちは、ダルマー競馬場です。
みなさん、本を買うとき、本の大きさにこだわりって持ってたりしますか?
文庫本だったり、単行本だったり、ジャンルによっては新書もあったりすると思うんですけど、
僕最近、家にいることが多いので、
昔は文庫をすごい買ってたんですけど、わざわざ文庫じゃなくてもいいなと思って、単行本を好んで買うようになっているんですよ。
単行本って、もうその想定が結構凝っているものが多いので、
表紙、カバーですよね。カバーから1ページ目、なんでここにこの1枚の紙が挟まっているんだろうな、みたいなところから、
読む前は思ったりをするんですけど、実はその本を読み終わった後に、カバーの意味だったり、1ページ目に挟まっている
紙の色がこういう赤とか黒とか白とか青とか、いろんな色が挟まっていると思うんですけど、そこにも
いろんな意味が込められていたり、カバーを外すと、また違った絵が出てきたりするんですよね。
これが結構、単行本の面白いなって思うところで、
これ読む前に見ても、あんまりちょっとわからないんですよね。
これ読んだ後に見るからこそ、あ、こういう意味があるのかと言って、もうその独了後も楽しいっていうのが、単行本だっていうのを最近改めて気づいて、
それで結構最近、文庫ではなくて単行本を買ったりするんですけど、もちろん文庫は文庫で、すごい良いところはあるんですけど、皆様はどっちを買われているでしょうか。
ぜひ教えていただければと思います。
それでは、今回の紹介作品はこちらです。
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早見一正町 The Royal Family
割と最近の著書で、2019年10月の発行ですね。
こちらの本は、JRA賞の馬事文化賞と、第33回山本周五郎賞を受賞している作品になるんですけど、
馬事文化賞って何?っていう話なんですけど、この馬事文化賞、JRA賞の一つのカテゴリーではあるんですけど、
JRA賞っていうのは、その年に活躍した馬だったり人たちをJRAが表彰する賞なんですけど、
一番有名なのは年度代表馬、その年一番活躍した馬に贈られる賞号なんですけど、
こうやってこの年度代表馬、この馬です、みたいなのが結構有名だったりしますかね。
その中のカテゴリーの一つで、文学とか美術、映画、音楽などの文化的活動を通じて、馬事、馬のことですよね。
馬のことを世に広めた人たちを表彰するために作られた、1987年に創設された賞らしいんですけど、
この馬事文化賞っていうのが、テレビ番組だったりとか、あとはテレビドラマですね、とか受賞してたりするんですけど、
だいたいが本なんですよ。ノンフィクションで書かれた本が多いんですけど、
その中で小説としてこの馬事文化賞を受賞した作品が3つだけあります。
この3つっていうのが、一つは創設された1987年に小説「幽春」で受賞された宮本テルさん、幽春なんですけど、
この幽春っていうのが、第12回の日本アカデミー賞を獲得した映画の原作となっております。
これがね、想像たる俳優陣で、「あ、この人も知ってる、この人も知ってる、この人も知ってる、この人も知ってる!」みたいな感じの人たちが出演されていて、
全部で10巻かな?日本アカデミー賞、主演女優賞だったり作品賞だったり、なんかいろいろあるんですけど、それを10個も取ったっていう、
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結構競馬の小説で一番有名なんじゃないかっていうぐらいの小説が第1回に小説として受賞して、
2作目が2015年、川崎晃子さんの小説「工夫の王」作品なんですけども、これもまた改めて詳しく紹介させていただきます。
で、この3作目が早見一雅さんの「ザ・ロイヤルファミリー」。
これが受賞された3作品ですね。
バジ文化賞って言われても、普通はあんまりピンとくる方はいらっしゃらないかもしれないですね。
本を読まれている方はこっちの方が知ってるかもしれないんですけども、山本修吾朗賞。
これはもう主に大衆文学とか、あとは時代小説の分野で昭和期に活躍した山本修吾朗さんをちなんで作られた賞なんですけど、
優れた物語性を有する小説や文芸書に贈られる文学賞らしいですね。
これを受賞した作品の中で有名どころは、居坂幸太郎さんの「ゴールデンスランバー」、
原田真帆さんの「楽園のカンバスト」、 湊カナエさんの「ユートピア」、
佐藤貴安さんの「デスカトリポカ」とかですね。 この中でまたこの「ロイヤルファミリー」が受賞されているということで、
賞を受賞するってだけでももちろん優れた文芸作品であることはそうなんですけども、
この本何がすごいかって、 緻密に計算された構成と、
計算した構成の中で最大の見せ場、 その見せ場を最大化するための抑揚、
そして普段見ることができない視点で描かれた物語なんですけども、
けっこう競馬の小説だったりとか、ドラマとか、あとは漫画とか、
主人公が機種だったりとかっていうことが結構多いと思うんですよね。
「緑の牧羽王」とかは馬が主人公なんでちょっと違うんですけど、
そういう競争馬に近いところで描かれる人間模様っていうのがすごい多いんですね。
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ただこの作品は非常に珍しいと思うんですけど、
馬主の視点から描かれた物語です。
舞台設定は現代なんですけども、主人公が馬主なわけではないんですね。
主人公はもともと都内で税理士として働いている人なんですけど、
この主人公がひょんなことから大学時代の友人と会って、
その友人のおじさんが人材派遣会社の社長をしてるんですね。
その社長のところで働くことになるんですけど、
この社長がもう一代で会社を築き上げたワンマン社長なわけですよ。
この社長が馬主をしていて、所有当数が50頭を超える結構大馬主さんですね。
そこの競馬関係の専属のマネージャーになるんですけども、
このマネージャーになったところから物語が本線に乗ってきます。
この物語、舞台は競馬なんですよね。
馬主の視点から描かれた、そこから見ている競馬なんですけども、
この競馬って言ってしまえば競争馬がメインなんですけど、
この競争馬に関わる人の人生を見ているかのようなんですけども、
実はこれは馬の人生なんじゃないかと錯覚するような、
緻密に計算された構成がなされてるんですね。
もう伏線、伏線、伏伏伏伏伏伏、良いよ伏線
みたいな感じのすごい伏線があるんですけども、競争馬って
走ることがレースに勝つことが最大の目標って言うわけじゃなくて
サラブレットって まあ人間がどんどんどんどん後輩していって後輩していってえっと進化してきた動物なんです
けども この進化するためにはどうすればいいかっていうところであのじゃあ強い馬と強い
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馬を後輩していけばどんどんどんどん強くなっていくよねっていうところで まあレースをして強い馬を決めていくっていうのが競馬の根幹なんですけど
この血の継承をテーマにして あまり感じることのできない馬主からの視点で描かれた描写
この馬主からの視点っていうのが まあやっぱ先ほども言ったんですけども珍しい視点なので
こういう苦労があるのかとかこういうところでの喜びがあるんだなっていうのもあの 描かれているのが一つの魅力です
で この物語
何がすごいってまぁ先ほども言いましたけども欲望がすごいんですよ 物語自体は語り口調がすべてデスマス調で
語られています 私の目の前に現れましたとか同じ気持ちだったと思いますっていう風な感じでこの
はじめはデスマス調に違和感を感じるかもしれないんですけど この静かな語り口調っていうのが物語に大事な抑揚をつけてくれます
このナイデルそのまあ言ってしまえば 小説でいうところの時が進んでいく時ですよね
こういうところからあの一気に最高潮になる瞬間があって この物語の一番の見どころっていうのが
馬主からの視点で競話を見る新鮮さでもこの1台で 会社を築いてワンマン社長の
カリスマっぽい強暗を見るところでも 主人公がちょっと抜けているところでもなくてこのが物語
ほんと一番すごいのは 馬たちが走っているところなんです
そうレースなんですよ これがもうレースの表現のもやばいです
あの文章を読んでいるだけで レースの映像が頭の中に流れてくるんですよね
普段小説とか読まれている方はもしかしたらあの文章を読んでその背景とか風景 どういったところでどういう人たちが語っているのかっていうのを頭の中で想像することは
容易だと思うんですけども この
物語のそのレースのあの文章すごいところはその自分が描いている 映像で自分が鳥肌立つんですよ
いやもう文章を読んでるだけですよ 文章を読んでるだけなんですけども
その 映像を頭の中で流してその映像で自分が鳥肌立つ
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もう2回言いましたけどこれもすごいです これも初めての経験でした僕
これはもうほんとあの1回読んでほしいです スポーツ系の小説が好きな方とかはもうほんとマストで読んでいただきたいですね
もう大丈夫です1回1回読んでみましょう この本
単行本だけじゃなくて文庫化もされてるんで あの今書店に行っても並んでると思います
ぜひ あの気になった方はねすぐ書店に行っていただきたいんですけど
でこの文章だけでも鳥肌が立つレースシーンなんですけど
全部を語ってくれないんですよ
例えば映画で言うと 最後ゴールシーンでライバルと主人公が争っていて
最後ゴールに行きますってところでホワイトアウトしたりする描写って結構あったりするじゃないですか
そういうところで想像力をあの書き立たされるんですけど
どうなったと思いますはいどうぞってそれを読者に委ねてくれるんですよこれ ではいはいはいはいあ
あなたはこうやって考えたんですね じゃあ正解はこちらですって言って出してくれるのが文章でも絵でもないんですよ
これがまたすごいところで あの
結果こうなりましたっていうのを含ませながら その後みたいな10年後みたいな
そういう表現で文章で書かれることが多いと思うんですけど これは
もしかしたら競馬特有の表現かもしれないですね まあどんな表現だったかはぜひもう本書を手に取って読んで味わっていただきたいんですけど
この本は本当にも緻密に計算されたその構成 見せ場を最大化するための抑揚と表現
普段見ることができない視点で描かれた物語なんでもを この本ですね一度読んでいただいて読み終わった後もうこれ単行本だけだと思うんですけど
単行本のカバーを取ると ザ・ロイヤルファミリーってあーなるほど
そっちの 意味も含まれてるねみたいなところがわかると思いますのでぜひ手に取って
見てください ということで最後までご拝聴いただきありがとうございます
この本もおすすめだよーとかこんなところも良かったよーとかっていうの ありましたらぜひハッシュタグ競馬見聞録をつけてツイートしてください
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それでは また次回の競馬見聞録でお会いしましょう
さようなら