こちらは、島根県出雲市にある小さな牧場から配信しています。
スーパーやコンビニ、皆さんがいつでもどこでも買うことができる牛乳。
普段飲んでいる牛乳の魅力や、楽能の魅力を楽能家がお話しする放送となっております。
牧場の日常や、牛の鳴き声を聞きながら、お手元に牛乳、ホットミルクを準備して聞いていただくと、より美味しい牛乳を味わうことができると思います。
牛乳飲む?牧場配信始まりです。
あなたがスーパーで手に取るその牛乳パック、その裏にはどんなストーリーがあるか、想像したことはありますか?
今日はですね、日本の楽能が直面している、一見するとわかりにくいけれど、実はかなり深刻な問題について、一緒に深く掘り下げていきたいと思っています。
今回のテーマは、牛乳の余剰問題、そしてキーワードは脱脂困乳、それからその背景にある情報の流れです。
手元にあるのはですね、ある楽能家の方とその牧場で働く研修生との対話をもとにまとめられた資料なんです。
コロナ禍で一気に表面化した牛乳の余剰問題、そしてその在庫がなぜ今も解消されないのか、さらにその解決に向けた新しい試みについて書かれていますね。
この資料を読み解きながら、じゃあなぜ牛乳が余って長期保存用の脱脂困乳の在庫が積み上がってしまうのか、その本当の原因はどこにあるのか、そしてデータを活用することでこの状況を変えて未来の楽能をどう描けるのか、あなたと一緒に探っていきたいと思います。
さて、まず問題の核心にあるのが脱脂困乳の在庫ですね。資料によると、これはコロナ禍で学校給食とか、あと業務用の需要が急激に落ち込んだことが大きなきっかけだったと。
行き場を失った生乳を無駄にしないために長期保存ができる脱脂困乳という形に変えたわけですが。
そうなんです。驚くべきことに、その時に発生した大量の脱脂困乳の在庫が、数年経った今でもまだかなりの量が残っているということらしいんですね。
へー、数年経ってもですか?
ええ。しかも話はそれで終わりませんで、最近、生乳の取引価格、いわゆる乳価が上がったことで、特に生産量の多い北海道などでは、これまでの経営赤字を取り戻そうと、むしろ生乳の生産量を増やしている、そういう動きもあると言うんですね。
なるほど。一方で、牛乳全体の消費量というのは残念ながら減少傾向にあるんですよね。
おっしゃる通りです。つまり、飲む量は減っているのに、作る量は増えている。あるいは、減っていない。その結果、新たにまた生乳が余る可能性が出てきていて、それがまた脱脂困乳の在庫を増やすかもしれないという、一種の構造的なジレンマに陥っているわけです。
在庫がまだあるのに、さらに生産が増えるかもしれない。それは、なんだか不思議な状況ですよね。単に作りすぎたから余ったという単純な話ではなさそうですね。
そうなんです。
なぜこんなことが起きてしまうんでしょうか。
そこが今回の資料で、最も重要な指摘の一つなんです。
酪農家の川上さんという方が語っているんですが、根本的な原因は、生産現場から消費現場までの情報の流れ。これがスムースではないことにあると。
情報の流れですか?
はい。具体的に言いますと、個々の酪農家さんが日々どれくらいの生乳を生産しているのか。一方で、消費者がどれくらいの牛乳や乳製品を実際に購入しているのか。
そういった、受給に関わるリアルタイムなデータが、業界全体で十分に共有されて、そして活用されていないという問題があるんです。
なるほど。つまり、生産する側も消費の実態を正確には把握しきれていないし。
ええ。
逆に小売の現場なんかでも、生産現場の状況を詳しく知る術がないと。そういうことですか?
そういうことなんです。お互いの状況が見えにくいまま、それぞれの判断で動いている部分が大きい。だから、どうしても受給調整が後見に回りがちで、結果として作りすぎや足りないといったミス待ちが起こりやすくなっている。
それで過剰な在庫、今回の場合は脱脂粉乳の在庫ですね。これを生み出す構造になってしまっていると考えられるわけです。
これだけITとかデータ分析技術が発達した現代で、私たちの側を支える機関産業ともいえる落納分野で、そんな情報の断絶みたいな状態が続いているというのは、少し意外な感じもしますね。
ええ、そうですよね。
何か業界特有の構造的な理由とかがあるんでしょうか?
それは非常に重要な問いですね。資料からは、やはり長年の監修であるとか、あとは生産者、乳業メーカー、流通、小売といった各段階での縦割り構造のようなものも背景にあるのかもしれないと、そういうふうに読み取れますね。
なるほど。それぞれの立場での最適化が必ずしも全体の最適化にはつながっていないということですかね?
ええ、そういう状況があるのかもしれないです。
なるほど。で、その情報の流れの滞りを解消しようというのが、資料に出てくる新しい取り組みなんですね?
ええ、そうなんです。資料に登場する川上牧場が、農業分野への技術応用なんかを研究しているメタグリ研究所という組織と協力して開発を進めているのが、AI、つまり人工知能を活用したデータ循環システムです。
データ循環システム、具体的にはどんな仕組みなんですか?
これはですね、生乳の生産から消費までの流れ全体をデータで可視化して、そして最適化しようという試みです。
例えば、川上牧場のような生産現場からは、日々の生乳生産量だけじゃなくて、牛の健康状態とか、飼料の種類といったかなり詳細なデータも収集するんですね。
一方で、スーパーマーケットなど小売りの現場からは、POSデータと呼ばれる、どの商品がいつどれだけ売れたかという購買データをリアルタイムで集めます。
生産側と生じ側の両方のデータを集めるわけですね。
そうなんです。そして、それらの膨大なデータをAIが分析して、これからどれくらいの牛乳がいつ、どこで必要とされるかを高精度で予測すると。
その予測に基づいて、生産量の調整であるとか、効率的な配送計画なんかを立てることで、作りすぎもひなきれもない最適な供給バランスを実現することを目指しているんです。
まさにデータに基づいて、受給を精密にコントロールしようと。
これはかなり学期的な挑戦に聞こえますね。
伝統的な産業である落納の司会に、最先端のデータサイエンスとAI技術を導入しようという、野心的な取り組みと言えるでしょうね。
単に在庫を減らすという対象療法ではなくて、生産から加工、流通、商品に至るサプライチェーン全体の情報の流れをデザインし直して、根本的に効率化しようとしているわけです。
川上さんの言葉を借りれば、これは生乳の流れそのものを未来に向けて再設計する試みということなんです。
未来の落納という感じがしますね。でも、これだけ有望そうなシステムなのに、なぜすぐに業界全体に広まらないのでしょうか。資料を読むと、やはりいくつかの壁があるようですね。
そうなんです。まず、現実的な問題として導入コストの問題がありますね。各牧場にセンサーを設置したり、データを収集分析するためのシステム基盤を構築したりするには、やはりそれなりの初期投資が必要になります。
特に経営が厳しい状況にある落納家にとっては大きな負担になりかねません。
技術的なハードルだけではないと。
そうなんです。そして資料ではさらに根深い問題も指摘されています。それは業界全体での危機感の共有、この難しさです。
危機感の共有ですか。
はい。川上さんも語っていますが、この脱資不入の在庫問題とか、あるいは将来的な需要減退に対して、すべての落納家さんが同じレベルで危機感を抱いているわけではないということなんです。
うちは規模が大きいから大丈夫とか、自分のところは今のやり方で何とかやっていけていると考えている方も少ならずいらっしゃるようです。
業界全体が直面している構造的な課題として、これを自分ごととして捉える意識をどう醸成していくか、これは非常に難しい課題だと思います。
なるほど。個々の牧場の経営努力だけでは解決できない問題なのに、その認識がなかなか広まりにくいと。
加えて、このシステムの開発資金なんかを、例えばクラウドファンディングのような形で広く一般の消費者からももつろうと考えた場合にもやはり課題があります。
脱資不入の在庫が大変なんです。それを解決するためにAIシステムを作りたいんですと言われても、正直なところほとんどの消費者にとっては遠い世界の出来事のように感じられてしまうんじゃないでしょうか。
確かに脱資不入と言われても、普段の生活で意識することはまずないですからね。
ええ、そうですよね。その問題がなぜ自分たちの職生活とか社会と関わっているのか、そしてこの新しいデータ循環システムがなぜ必要なのか、その意義とか価値を多くの人に理解してもらって共感を得ること自体が非常に高いハードルになっているという現実があるわけです。