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2021-10-13 08:00

第470回 映画「仁義なき戦い」

今回は深作欣二監督の代表作「仁義なき戦い」についてお話ししました。 ヤクザ映画が好きではない自分が観ても、この作品はかなり面白いです。 こんなにエネルギッシュな映画はなかなか無いですよ。 【番組公式Twitter】 https://twitter.com/kitakatasum @kitakatasumi ご意見、ご感想は #北九州の片隅 でお願いします。 katasumi470.m4a
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みなさんこんにちは。大葉です。
今回は映画「仁義なき戦い」
こちらについてお話してみたいと思います。
1973年1月に公開された
深作錦糸監督の代表作の一本です。
主演は菅原文太。
共演が松片ひろき、渡瀬恒彦、田中邦恵、
梅宮達夫、金子信夫。
他にもいっぱい出ていましたけれども。
この作品、自分が見たのが相当前だったんですが、
今回、CSの日本映画専門チャンネルで
4Kデジタルリマスター版が放映されまして、
先日見たんですが、
見事に発色とか良くなって、
フィルムの傷もなく、
本当に新作同様のいい画質で見ることができました。
ご存知の方も多いと思いますけれども、
この「仁義なき戦い」前後部作ですね。
これもともと実はですね、
戦後広島を中心に繰り広げられた
暴力団の構想を元にした
ノンフィクション作品を原作にしています。
実際のところですね、
この映画撮影時には、
まだその構想事件の関係者の人たちは
結構存命であったというふうに聞いております。
今だったらなかなかできない作りですね。
何よりですね、監督もキャストも
まだ30代40代で本当に油の乗った時期で、
非常にギラギラとしたですね、
画面からエネルギーが溢れ出すような、
そんなすごい熱い作品になっています。
これ以前の東映のヤクザ映画、
いわゆる人狂作品というのは、
鶴田康二とか高倉健が主役で、
着流し姿のヤクザがタイに耐えて、
最後二本刀を持って敵の本拠地に乗り込んで
バッサバッサ斬りまくるというような
作品だったんですが、
基本的には義理人情の世界ですね。
この仁義なき戦いから始まった、
いわゆる実力ヤクザ路線というのは、
もうそんな義理も人情もなく、
欲望と権力とお金と、
もう本当に本能のまま生きる男たちと、
女性も入ってますけれども、
そういったエネルギーのるつぼのような
そんな作品ですね。
今見直してもこの作品、
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菅原文とはじめキャスト陣の熱演というのが
ものすごいんですが、
結構途中で死ぬキャラクターも多いです。
というか第一作といいますけれども、
この作品撮影中はまだシリーズ化が
決まってなかったからですね、
結構大物俳優もバタバタ死んでいってますね。
このシリーズの特色というのが、
ある俳優が演じたキャラが死んでしまっても、
別の作品ではまた別のキャラクターとして
しれっと再登場してくると。
中でも典型的なのが、
この頃まだ大部屋俳優だった川谷拓造ですね。
毎回毎回出るたんびに殺されてます。
それもいろんなやり方で殺されてます。
まさかね、その川谷拓造が、
この5年ぐらい後にNHKの大河ドラマ
黄金の日々で主役の一人になろうとは、
誰も想像してなかったと思うんですが、
本当にね、次から次に死んでいくんですが、
前後部作の中で通して同じ役柄で出演したのが、
主人公博野翔造役の菅原文太、
そしてもう一人が山森組長役の金子信。
この金子信はいいですね。
監督も非常に気に入ってたそうなんですけれども、
欲望だらけの役者世界の中にいて、
この人ほど自分の欲望に忠実なキャラはいないんじゃないかというね、
もう卑怯だろうが未練だろうが、
上から目線でも下から目線でも何でもあるという、
結果的に周りがどんどん死んでも、
彼一人は生き延びていくというね、
芸能鬼太郎におけるネズミ男的なキャラというか、
なんかそういうキャラクターですね。
そしてもう一つ特色なのがですね、
この菅原文太演じる博野翔造というキャラクターなんですが、
一作目は特にそうなんですけれども、
主役と言いながら、そんなにストーリーの中心にいて、
作品全体を引っ張っていくようなキャラクターじゃないんですね。
この第一作目では、劇中2回、
この博野翔というのは刑務所に入っています。
その分他のキャラクターたちが動き回って、
彼が出張した時にはもう状況がガラリと変わって、
本人も呆然としているみたいな、そういった感じにもなっています。
なのでこの作品、菅原文太が主人公を演じているんだという意識で見ると、
いや確かに主人公なんだけれども、
なんかちょっと違うなというふうに思ってしまうかもしれません。
まあそれでも、作品の中心に菅原文太がいてこそ、
他の俳優たち、松倉裕樹とか、和田瀬恒彦とか、
田中邦恵とか、梅宮達夫とか、
思いっきりはじけた演技ができたんじゃないでしょうか。
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田中邦恵なんてこの作品の前であれば、
若大将シリーズにおけるアホ大将、
それからこの後で言えば、テレビドラマの北の国から、
そういったイメージが一般的だと思うんですが、
この作品における田中邦恵はまたすごいですよ。
ぜひご覧いただければと思います。
北の国からのイメージで見ると、
ええというような感じだと思います。
さてこの仁義なき戦い、
これからですね、毎月一作品ずつ、
CSの日本映画専門チャンネルで、
4Kデジタルリマスター版が放映されるということで、
来月以降、広島首都編、大理戦争、長城作戦、完結編と、
いった順番で一作品ずつ放映されていきます。
正直言えばですね、自分、薬剤画って特に好きでもないし、
積極的に見るつもりもあんまりないんですが、
この仁義なき戦いだけはやっぱり別格ですね。
やはりですね、この仁義なき戦い、
深作金次と菅原文太、
この2人ががっつり組んだ、本当に日本映画史に残る作品で、
薬剤映画だからということで、
どうしてもね、そういったフィルターで見てしまう人がいるかもしれませんけれども、
もうかなりね、昔の作品でもありますし、
かつてこんなエネルギッシュで厚い映画が日本にもあったんだぞというところで、
まだ見られていない方は一度ご覧いただきたいと思います。
実際やっぱり面白いですよ、これは。
はい、そういったわけで今回は映画、
仁義なき戦いについてお話しさせていただきました。
それではまた。
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