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2020-08-23 14:17

002. 地中海のゲミレル島

2001年に訪れた地中海に浮かぶ無人島「ゲミレル島」のお話をしました.

毎週金曜日朝7時にアート,リベラルアーツと科学技術に関するニュースレター『STEAM NEWS』を発行しています.YouTube,ポッドキャストでまとめもお送りしています.

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こんにちは、いちです。
今日もお天気が良いので、長崎の水辺の森公園で録音・録画をしていきたいと思っています。
YouTubeでご覧になっている方、外が眩しいのでサングラスのまま失礼いたします。
今日は、僕が初めて関わった古学の調査について少しお話をしていけたらと思います。
僕は奈良先端科学技術大学院大学、通称奈良先端大という大学院の出身なんですけれども、
奈良でずっとコンピューターグラフィックスとかバーチャルリアリティとか、そういったコンピューターを使って映像表現をするという研究をしていたんですね。
奈良ってご存知の通り、今は世界遺産になっていますが、当時は世界遺産ではなかったんですけれども、
それでも遺跡はたくさんあって、遺跡に触れることはしょっちゅうあって、遺跡のCGとかも作ったりしていたんですけれども、
本格的に遺跡の調査に関わるようになったのが卒業してからなんですね。
最初に行ったのがトルコのゲミレル島という島なんですよ。
初めて名前を聞く方も多いかと思うんですけれども、ゲミレル島は何の島かというと、
セント・ニコラウスという方が建てた教会があったんですね。
東ローマ帝国のセント・ニコラウスという方が建てた教会がありました。
セント・ニコラウス、これは皆さん知っているはずなんです。
セント・ニコラウス、セント・ニコラウス、セント・ニコラウス、セント・ニコラウス、
ちょっと無理があったかな。
サンタ・クロースです。
サンタ・クロースのモデルになった方が建てた教会がある島なんですね。
現在は無人島になっています。
ゲミレル島という島です。
なぜそこを調査することになったのかというと、
実はその島、なんと日本人考古学者が見つけたんですね。
愛知教育大と、それから大阪大学と、あといくつかの大学の合同チームが見つけた島なんですけれども、
それを見つけた日本人考古学者の先生は、地中海の上空からその島を探していて、
サンタ・クロースの島を探していて、どうもこの辺りらしいという辺りをつけたんですけれども、
地上に降り立ってから探すと、やっぱり上空から見るのとはまた景色が違うので、迷っちゃったらしいんですね、森の中で。
そうすると、地元の猫がひょこっと現れて、こっちにゃーんと言って案内してくれたらしくて、
森がぱーっと開けて、海が見えて、その海の向こうにゲミレル島が見えたらしくんですよ。
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これはもうお猫様のお導き、その考古学者の先生は、セント・ネコラウスのお導きってずっと生涯呼んでらっしゃったんですけれども、そんな島です。
なぜそんな場所がわからないかというと、一つはトルコというのがイスラム教徒がほとんどの国で、東ローマ帝国がキリスト教国で、
教会を破壊しちゃったんですね、偶像崇拝を禁止しているので、教会が破壊されています。
なので地図にも載っていないし、それからあと一つはギリシャとの国境付近でちょっとややこしいということもあってですね、
攻撃機の攻撃練習の目標なんかにもなっている島で、ちょっとややこしい地域であるのは確かなんですね。
その島に僕も調査のお手伝いに行ったんですけれども、日本からターキッシュエアでイスタンブールまで行って、トルコの首都ですね。
そこからゲミレル島の一番近くのフェティエという町までタクシーで行きました。
これ結構な距離があってですね。
当時トルコのお金、トルコリラというのがハイパーインフレを起こしていて、ハイパーインフレというのか、ただのインフレかもしれないんですけど、とにかく桁が多いんですよ。
一番大きいお札が100万リラ札で、1の後に0が6つ付いているお札で、100万リラ札というのがあって、
タクシーに乗ってフェティエまで行くのに、タクシーのメーターが付いてますよね。
メーターもインフレに対応して桁数の多いメーターが付いてたんですけど、それでも9999万リラ札までは行ったんですけど、桁が足りなくなっちゃって、1億リラ札超えたんでしょうね。
タクシーの運転手さんが怒っちゃって、運転手さんがなんでこんな遠いんだって怒って、どうにかしてフェティエの街の宿に深夜に着いたんですけど、タクシーの運転手さんと宿のご主人が交渉して、なんとかリーズナブルな値段に収めてくれて、
その日はフェティエで一泊して、泊まるときにかつていた日本人隊員がサソリに噛まれて大変だったと、気をつけろと、朝靴の中はちゃんと確認しろと言われて、
サソリが出るので枕元に靴を入れる靴箱があるんですけど、その蓋の隙間からやっぱりサソリが入るらしくて、靴箱に入れただけで安心するなと、朝はちゃんと靴をトントンしろと言われて、その晩は寝ました。
次の日の朝は靴をトントンして、他の日本人、トルコ人のチームと合流して、雇っている船があったので船長と一緒にゲミレル島に渡りました。
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ゲミレル島は無人島で、僕はその時初めて無人島体験、初めて2回目くらいかな、だったんですけど、その時に無人島熱が火がついちゃって、無人島大好き、長崎も無人島たくさんあって、長崎の無人島多島のTシャツなんですけど、無人島大好きになりました。
無人島って豆知識なんですけど、多島は真水が出るんですけど、ゲミレル島は真水が出ない島で、それゆえに放棄されちゃったと思うんですけど、ヤギさんがいっぱい住んでいて、ヤギがいる島っていうのは、ヤギさんは真水がなくても玉ねぎを掘り起こして食べることで水分補給できるらしくて、
ヤギさんのお父で人間も生きていけるから、ヤギさんさえいればなんとかなるんだみたいなことを現地の人に教わったりしたんですけども、
そのセントニコラウスの教会っていうのはあちこち破壊されていて、特にキリスト像とかマリア像とかは、特にお顔だけ破壊されたりとかしてたんですけども、それはイスラム教徒が偶像崇拝禁止してるから仕方ないんですけども、
そこに一緒にいた日本人考古学者のおっちゃんが、ゲミレル島のそばにもっと小さい島があるから一緒に行こうと誘ってくれたんですね。
船長を呼んでまた船出して、小さな島に行ったんですけども、そこもやっぱり無人島で捨てられた島なんですけども、ツタが大石を植えてる岩、ツタをガサガサっと受けると古いキリシャ語で、聖母マリアのためにって書いてあったんですね。
それをスラスラ読むんですよ。かっけえなおっちゃんと思ってその島を登って行ったんですけども、そしたら薄汚い土ぼこりで汚れた岩肌があって、結構広い岩肌があって、その考古学者の方が水筒をよこしなさいって言われて、
水筒を渡したんですよ。飲むんだろうなと思って水筒を渡したんですけど、そしたら水を口に入れてプーって切り拭きにして岩肌に水をかけたんですよ。そしたらもう顔料の色がよみがえってきて、聖母マリアが地中海の海と空の前に浮かび上がったんですよ。
びっくりして腰抜かしそうになって、おしっこ漏れそうになって、すごいと。今までちょっと奈良でコンピューターグラフィックスとかでいかに人を魅惑するようなコンピューターグラフィックス作れないかとか考えてたわけですよ、画面の中で。
だけどこんなすごい絵があるんだというので腰抜かしたんですね。自分まだまだ知らない世界があるし、まだ人類がかつて作って埋もれちゃったものがたくさんあるし、こういうの伝えていきたいなと調査していきたいなというのを強く心に刻んだ出来事でした。
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やっぱり地中海に浮かぶ無人島あるいは小さい島っていうのもすごい綺麗で、いいなと思ってもいつかまた来たいなと思ってたんですけども、今たまたま長崎に引っ越して、後ろは長崎港見えてて、船に乗っていくと後藤列島があって、東中海があって上海があるんですけども、その後藤列島めちゃくちゃ綺麗ですね。
後藤列島の北側にある小塚島とか福島とかめちゃくちゃ綺麗で、これは地中海と同じで、しかもパスポートいらないし、国内移動ですからね、これもいつかそこから中継したいなと思ってるんですけども、めちゃくちゃ綺麗なのでお勧めします。
話戻して、ゲミレル島にまた船で戻ったんですけども、やっぱり僕全然考古学素人だったんですけども、人が作ったもの、もうそれ作った人は残ってないし設計図も残ってないけども、人が作ったものっていうのが、なぜそう作られたのか、どのように作られたのかっていうのを知ることで、
なぜ人はそれに心動かされたのか、人が動いたのか、心動かされた結果人が動いていった、反映もしていった、きっとエンジニアリングっていうのはそれをちゃんと解明しないと、僕バックグラウンドでエンジニアリングなのでそういう考え方をするんですけども、いけないんだろうなと、
ちゃんと考古学っていうのを調査していかないと、人のことを知ることができないし、人がものを作っていくということを理解することができないんだなという思った経験になったんですね。
それをきっかけで、僕は考古学というのも、エンジニアリングでものを作るということですけども、人が作ったものを調べるっていうのは車の両輪として大事なんじゃないかなという感想を持っています。
これが2001年の話で、日付もはっきり覚えているんですよ。フェティエの街に最後戻ったのが9月11日で、2001年の9月11日で、何があったかというとニューヨークのワールドトレードセンターの爆破テロですね。
爆破というか航空機が突っ込んだテロですね。なぜ印象に残っているかというと、当然世界のニュースになってフェティエの街でもテレビニュースで流れていたんですけども、
トルコの国営放送がニュース映像でワールドトレードセンターが爆破する映像がパッと切り替わって、なぜか日本赤群のしげのぶ容疑者、容疑者なのかな、しげのぶ容疑者の映像がバンバン流れるんですよ。
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どういうことと思ってお店の人に何言ってるのって英語で聞いてみたんですけど、そしたらワールドトレードセンターが爆破された、ハイジャックされた飛行機によって爆破された、日本人がやった、日本赤群の仕業だ、お前日本人だろ、よくやった、よくわかんないことを言われてですね、
えー日本人やったのか、日米国交断絶かとか、日本帰れるのかなとか、いろんな思いが巡ってですね、やっぱり日本人やったんだろうかとかずっと疑問で、翌日はイスタンブール経由で日本に帰る予定だったので、とりあえずイスタンブールまでは行こうということでイスタンブールまで行ったんですね。
そこで英字新聞買ったりしてもやはり日本人がやったってことにされていて、地元の人がお前日本人か、よくやったって言われてですね、トルコって政権を分離の国で、政府はどっちかというと新米で、国民がイスラム教徒で、反米色が強くて親日色が強いという特徴があるんですけども、
なので日本人がアメリカに喧嘩を打ったということで、喧嘩どころじゃないですよね、戦争を仕掛けたということで、よくやったっていう印象があってですね、空港でも持ってた機材とかが爆弾じゃないですよって証明するために、証明するのも結構中身分解してみせたりとかして大変だったんですけども、
大胸、好意的に日本人か、乗ってけ乗ってけみたいな感じで飛行機に乗せてくれて、日本に帰ってようやく色々分かって、日本人の仕業じゃなかったのは分かったんですけども、そんな経験がありました。
そういう地中海のゲミレル島という島ですね、東ローマ帝国の境界が元で世界遺産の調査というものにズブズブとハマっていくきっかけになったわけですね。それから無人島にハマっていくきっかけにもなったわけですね。
次回はその次に行ったカンボジアのお話とか、それの後エジプトのお話もしていければなと思っています。それではまた。
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