2022-01-29 14:55

038 非認知能力の本質は何か?〜力の流れを感じる世界に、馬が連れて行ってくれる

最近「非認知能力」という言葉をよく耳にすると思いますが、その本質は何でしょうか?


認知能力は、学校のテストで測れる能力/非認知能力は、それ以外の能力

という分け方は、なんか しっくりきません。


非認知能力の本質を馬とのコミュニケーションから捉え直してみます。


今回も引き続き、宮台真司さん×おおたとしまささんのトークライブでの気づきを共有いたします。

トークライブでは、何かに接触をした時に、力が湧いてくるモノが非認知能力であって、聖なる力だと話されていました。



まず、ロゴス/ピュシスの概念から、認知能力/非認知能力を考えていきます。


力が湧いてこないモノは、言葉・法・損得勘定の中にあるモノで、「ロゴス(里・法・システム)」の世界閉じ込められているモノ。

ロゴスの反対は、「ピュシス(森・自然・万物)」で自然や万物の世界で、言葉・法・損得勘定の外にあるモノ。

日本の森のようちえんは、森と里の中間に位置する里山で活動していたり、森と里を行ったり来たりしています。

馬も人間の世界と自然の世界の橋渡しをしてくれて、ロゴスとピュシスの間を行き来する存在です。


言語にもロゴス的なモノとそうでないモノがあります。

ロゴス的言語は「表現」:同じ世界には入れない時に使う言葉。相手をコントロールするためのモノ

詩的言語は「表出」;同じ世界に入るために使う言葉。その言葉が他者に感染して、世界を共に感じる。認知ではなくて、力の流れを感じるモノ。



ここまでの話を、馬の取り組みから捉え直してみます。


馬と一緒に何かやるというのは、ここでいう力が湧いてくる、力の流れを起こすことです。

1月の馬の暮らし型セラピー勉強会の実技のテーマが「馬と一緒に歩く」でした。

馬と一緒に歩くのは、「引き馬」とも言われますが、リードで物理的な力で引っ張ることはしません。

馬と一緒に歩く時には、最初は「行くぞ」と思って、歩くのですが、最終的には、指示・命令する意識を無くしていきます。しばらくやっていると、無心となって私がただ歩くと馬も一緒に付いて歩く。馬と一体となる感覚になります。

馬が一緒にいることは意識にあるのだけれど、何かさせるという強い意識を持つこともなく、ただ歩くことに集中します。歩行瞑想をしているような感じです。


以前、不登校の女の子が、月1で来ている時がありました。

馬と歩いている時に、自信なさげにやっていたので、「自信ある感じでやってごらん」と伝えて、

彼女なりに、歩き方を変えたら、馬も元気よく歩くようになりました。

その馬の変化を彼女も受け取って、最初は形だけ歩き方を変えただけだったのですが、表情もフワッと明るくなって、自信がみなぎる感じに変わりました。

この時の様子は、まさに力を与え合うようなものを相互にやり取りしていた、聖なる力を交換していてた瞬間だったと思い出されました。

身体が変わると、心も変わって、周りの世界も変わります。私の心と身体が一致して、馬と同じ世界に入って、力が流れ始めて、周りの世界も変化していきます。


身体性は、非認知能力と密接に関係していて、

心と身体は、もともと一緒のはずなんだけど、そこを一致させることで、真の非認知能力が発揮されます。


森に出掛けて、その世界と一体となって力が湧いてくる感じを得るには、その人の身体性がどれだけ開いているかにもよりますが、

なかなか、そういった感じを得ることは難しいと思います。

しかし、馬と一緒であれば、一瞬でその世界に連れて行ってもらうことができます。



ロゴス(言葉、法、損得勘定)の世界が中心になっている日本社会は、若者の死因のトップは自死で、若者の多くは社会は変えられないと思っていて、最低賃金は上がらず、どんどん幸福度が下がっています。

そんな社会を根本的に変えて行くには、森のようちえん、馬などピュシス(自然)の世界を通して身体性を取り戻すことが必要です。

身体性を取り戻し、他者と深くつながることから、他者と良いエネルギーが湧いてきて、相互作用の中から、幸せな社会になっていくと考えています。


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宮台真司さん×おおたとしまささんのトークライブは2/10(木)までアーカイブ視聴ができます。

これからの時代に、なぜ森のようちえんなどの場が必要なのか、未来を担う人材はどの様な学び・教育が必要なのか、 様々なヒントが詰まっています。

社会学者の宮台真司さんのご著書「子育て指南書 ウンコのおじさん」 https://amzn.to/32nHvje とても面白い!

教育ジャーナリストのおおたとしまささんの著書「ルポ 森のようちえん SDGs時代の子育てスタイル」 https://amzn.to/3FMuhKE こちらの刊行がきっかけになったトークライブです。 多くの現場を取材されて森のようちえんを多面的に捉えています。

【アーカイブ動画視聴】宮台真司×おおたとしまさ「『日本の劣化』を食い止めるカギは『森のようちえん』にある!?」『ルポ森のようちえん SDGs時代の子育てスタイル』(集英社)刊行記念 https://bbarchive220110a.peatix.com/


▼合わせて聴きたい

032 非認知能力がカギ〜調査・研究から見ても、子どもの困難に馬・自然は役に立てる(子どもの困難×馬・自然#4)
https://anchor.fm/kamakoma/episodes/032-4-e1bsq1u


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