製造業の技術継承の課題
こんにちは、遠藤克樹です。秋山ジョー賢司の経営者のマインドサプリ、秋山先生よろしくお願いいたします。
はい、よろしくお願いします。
さあ、ということで、今日もね、いきたいと思いますが、ちょっと今日質問がですね、少し長めなので、早速いかせていただいてもよろしいですかね。
はい。
いきたいと思います。今日はですね、40代の製造業の方ですね、いきたいと思います。
40代製造業って、多分後継者とかなんですかね。
多いですね。
ですかね。いきましょうか。
今、ずっと頭を悩ませているのが、技術の俗人化で。
当社は、ベテラン社員の職人技で品質を支えてきましたが、最近若手が増えてきて、ちゃんと技術を継承しないと、と危機感を持っております。
ただ、マニュアルを作ろうとしても、そもそもベテランたちが、そんなの書けない、見て盗め、やって覚えろという空気で、若手に教えることを野暮なこと、みたいに扱ってしまうんです。
若手の方も、何が正解か分からない、質問すると怒られると意識していて、教える側も教えられる側も、お互いが距離を取ってしまっているように感じています。
技術が俗人化したままだと、組織としての蓄積にならず、持続的に事業を回していけない、そう感じて手を打とうとしていますが、やって覚えろという空気が根深くて変えられません。
こういう時、どこから手を付けられたら良いのでしょうか。マニュアルを作れ、じゃあ動かない空気をどう変えれば良いものか。
マニュアル化の難しさ
沖山先生の視点で教えていただけませんか。
これも本当に多くの経営者の方が直面しているすごい大きなテーマですよね。
会社の中で今までいろんなことをチャレンジしてきて、その会社独自の技術とか考え方というのが生まれてきた。
ただそれが人の手だけになっちゃうと、もう残らないで出ていっちゃうので、会社の発展がなかなか望めないということは大きな問題だと思うんですよ。
この時に、まずマニュアルを作ろうという気持ちはめちゃめちゃ分かります。
その時に上手くいかない時にいくつか観点があると思うんですが、一つは技術が上手く言語化されていくのは難しいと思うわけですよ。
いや、こういうの言葉にできないんだ、みたいなこと言われちゃったら何もできないとかね。
じゃあどうやったらこの技術を言葉にしていけばいいんだ、みたいなことに意識がいくがちなんですけれども、
私はそれよりも技術を持った方が技術を残していきたいんだ、伝えていきたいんだという気持ちになっているかどうかというのがすごい大切な観点な気がするんですね。
残す職人さんたちがね。
そうです。
確かに。
ところが別屋の方たちが、いやいや、俺たちだって誰に襲わなかったんだとか、見て盗んで血に舞いなった、みたいなことを言う時っていうのは、
なんかこう、そこにはですね、こう、武勇伝の話をしているというよりは、私はですよ、ほっくりと同時に何かこう、痛みというか苦労とか挑戦も含まれている気がするんですよ。
すごい苦労してっていうのは大変だったって痛みとかですよね。
その彼らのその痛みとか挑戦に耳を傾かさずして、マニュアルを作ってとか、言葉にしてとか、若手にちゃんと教えてくださいって言ってしまうと、
なんかそれって彼らのその今まで仕事にぶつけきった情熱を何か否定するというか、デジタル化すればいいのか、みたいな気持ちになってしまうこともあるんじゃないのかなって。
残す側、技術を持っている側の方々がその技術を手にしたプロセスの中で、いろんな思い、いろんな経験、いろんな苦労、福山先生の言葉ならいろんな痛みを伴ってきたっていうその背景をまず受け入れず、そこに目を向けず、心を重ねず、どうやってマニュアル化するんだということですか。
そうです。そこに重ねないでマニュアルを作っているということは、そういう途中のプロセスでもいいから、わかったこととかをきれいに整理して落としてとか言ったとすると、なんか自分がやってきたこのプロセス自体を軽く軽んじられている。
あれでしょうね、これね。関係ないですよね、技術職かどうか。あらゆる仕事を皆さんマニュアル化っていう言葉を言われたときに抵抗する心理として今のありますよね。自分の仕事を軽んじられたか、ようなように感じられるっていうこの瞬間。
そうですね。技術とか職人さんだけじゃなくて、例えばバックオフィスの人とかですよ、例えばロームとか系でやってる方がすごい工夫したり、すごい苦しんで工夫してやってきたことを、あ、なんかそれいいじゃん、マニュアル化しといてって言った瞬間に、はぁ?みたいな気持ちになっていく。
バックヤードとかの仕事なんてね、なおさらこういろんな配慮の中で成り立っているからマニュアル化に落とせって、よい得たもんだなあっていう気持ちをね、魚でするけど。ような、でも技術職も似てますよね。なんかそういうマニュアル化とかっていう世界じゃねえんだよ、俺らがやっているこの世界ってっていうね。
技術を残すための意識
ですからやっぱり、あとはやっぱり私そのマニュアル化は重要な部分があります。
確かにそうですね。
ただもう一つ、その会社の中に何を残していくかっていうとき、マニュアルだけではなくて、自分たちがこの仕事を通して得てきた感覚とか誇りとかを通してですよ。
このことを次に残したいとか伝えたいっていう雰囲気っていうのを会社の中でみんなで作っていくことが、やっぱりその会社を継続していくことにすごいつながっていく。
残したいという気持ちね。つなげたいという気持ちね。
そうですそうです。ですからやっぱり伝統的な技術を継承している会社さんっていうのはマニュアルもあるかもしれませんけども、そのことも含めてそこに携わった方が、私はこういうことを学べた、こういうことを教えていただいた。だからこれを次の人に伝えたいっていう気持ちが醸成されているような気がするんですよ。
それすごい大事なテーマですね。技術的に何をつなげるかっていう前に、これをつないでいきたいんだっていう思いがちゃんと醸成されていることが大事ってことですよね。
そうするとですよ、これは残していきたいんだ、じゃあどうやったらこれ残せるかっていうふうに考えるし、後輩もそれ受け取りたいんだ、どうやったらそれ受け取れるかみたいなことが考えられればですよ。なんかそういうその時点でチームというか、一体感ができてくるような気がするんです。
あの話ご存知ですよね、砲丸の話。
どの話ですか、砲丸。
私これM&Aの番組でやってる白川さんに教えていただいた話なんですけど、砲丸がね、各オリンピックで毎回金メダルを取る選手たちが現れるんですけど、その選手が使っている砲丸はみんな一緒だったらしくて、その砲丸を作っているのが一人の職人だったんですよ。
この職人の技術がすごすぎて、ある海外のまたアメリカだったはずの海外の会社がその技術を伝承してほしいと。
そのためにこういう条件でどうかっていうのが3年ぐらいかけて、最終的には独占契約であなたも3年後には継承した後にこの技術を使わないでくださいと。
その代わり1年目にちょっとざっくりなんですけど、20人送り込むと。そのうち10人に2年目に絞り込んで、3年目に5人絞り込んで、最後できるやつに伝えてほしいと。
技術の継承とストーリー
これに対して何億払うかっていう交渉がされたんですけど、結局普通ちょっと自分の1技術がですよ、そんだけの億の単位がついて揺れるじゃないですか。
ただこの1年のやり取り、結果結論を借りると実は継承しなかったんですけど、そこには。
それを見た息子が親父のこの技術を、まだごめんなさい、すごい大事なところを残しました。
その社長さんがこれを今手にしたのは、俺はいろんなネットワークの職人の技術の技術者たちの連携の中で追加せてもらったんだよと。
これをよくわからないタイミングでお金だけで海外に渡すっていうのは、俺はこの業界にちゃんともう1回返していかなきゃいけないんじゃないかっていう思いで辞めるって決めたところに息子が感動して、俺が作ってなって、今継いでるっていう話があるらしいんですけど。
いやーでもそういう話ですよね。
山先生が言いたいのはそういう話ですよね。
そうです。ですからやっぱりその、今聞いたら本当そうですよ。私たちは今自分たちが何をやってるのかとか、それを残したいのかとか、そういう気持ちって実はあったりするのに、やっぱりそれが何かその、何か途絶えちゃってる感じがしますね。
ですから、今その息子さんたまたまその砲丸投げの砲丸だったんですね。
その砲丸の会社の方でいうと、その息子さんがお父さんのストーリー、じゃあお父さんのストーリーって何でかっていうと、お父さんがいろんなものを背負ってとかいろんな方のつながりの中でこういう技術を得たんだというところに何か心が触れて、
だとすると自分も受け取る、受け取るという言葉は誰かについていくっていうことが同時に起きたのかもしれませんね。
大事でしょ。これも。見えない技術の方じゃない方に残さなきゃって思いがあるから技術残さなきゃって後からついてくるっていう話として、何か同じことを言いたいんだろうなと思ったんですね。
そうですね。
今のお話を聞いても、やっぱりこの質問者の方に共有したいとか一緒に考えたいなと思うのは、やっぱりあなたの会社の中で技術を象徴するっていうことは技を伝えることだけではなくて、その職人さんたちのストーリーというものをやっぱりどうやって継いでいくか。
ですから、何とかさん若い人についてください、間に合わせてくださいじゃなくて、その人がどんな願いとかどんな悔しさとともにその技術を身につけてきたのかとか。
例えば具体的に言うと、あなたがこの技術を身につけたと感じたときにはどんな瞬間だったのかとか、どんな苦労があったのかとか、そういう物語っていうのをしっかりと聞いて、その俺はこういうことをやってきたんだ。
で、それを聞いた方が感動して、そういうことがあったんですね。だとすると、私はあなたの思いとともにこの技を継いでいきたいんですよ、ということになったときに、じゃあどうやって継いでいこうか。
そうすると、ここはマニュアルにできるよね。ここはマニュアルにはできないよね、みたいなところが生まれてくる。そういう感じがすごいしてるんですよ。
マニュアル作成の重要性
そういうことですよね。なのでマニュアルを作れっていうのが単純に技術的なものだけを残すということだけでは進まないですよ、ということですかね。
マニュアルっていうのは今みたいな場というか関係が整ってきた後に自ら生まれてくるものなのかもしれませんね。
ということで、ちょっと今日は物語的な話で終わっちゃいましたけど、物語じゃないな。論理的な話じゃなかったかもしれませんが、けまさんに伝えたいことを何かここで汲み取っていただけたらというところで、何か質問がありましたらぜひまたお寄せいただけたらと思います。終わりましょう。ありがとうございました。
はい、ありがとうございました。
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