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2025-09-21 13:11

#35 場に影響を受ける人間「集団力学」「コンフリクト」(⑨社会心理学)

レヴィンの「集団力学」「コンフリクト」(大分類⑨社会心理学)について、自己理解を深める視点から紹介します。


(参考書籍)

齊藤勇 監修・田中正人 編著『図解 心理学用語大全』(誠文堂新光社、2020)


【大分類】①心理学の誕生 ②行動主義 ③ゲシュタルト心理学 ④精神分析 ⑤臨床心理学 ⑥認知心理学 ⑦発達心理学 ⑧人間関係の心理学 ⑨社会心理学 ⑩性格の心理学


(配信者紹介)

兵庫県出身、京都府在住。一児の父。ひふみコーチ株式会社認定 プロフェッショナルコーチ。大学卒業後に大手ビール会社へ入社、現在はクラフトビールを始めとした酒類全般の営業に加え、2023年より自己理解コーチとして活動開始。プロコーチとしては通算100名以上のクライアントに対して、累計500時間以上の有料セッションを提供。複業家の友人との共同Podcast『パラレルワーカーの本音』も配信中。ストレングスファインダー®の1位は最上志向。自己理解コーチとしての自己紹介やnote・Instagram等のSNSについてはこちら


(番組詳細)

このPodcastは、「個性のウラオモテを認めて味わう人を増やす」ために、株式会社ジコリカイで“自己理解コーチ”として活動する配信者が、自身やクライアントの「自己理解」を深めるべく探究し始めた「心理学」をテーマにお話しする番組です。テーマに興味のある方や同じく対人支援をされている方、自己理解を深めたいと感じている方の参考になれば嬉しいです。毎月ひと桁目に1がつく日の朝に配信、月末はゲストをお迎えして心理学に関する雑談をお送りしています。「自己理解プログラム」に興味をお持ちの方はこちら


※株式会社ジコリカイが運営する番組ではございません

サマリー

このエピソードでは、集団力学とコンフリクトという社会心理学の重要な概念が探求されています。特に、クルト・レヴィンの場の理論が人間の行動に与える影響や、リーダーシップのスタイルが集団の雰囲気に及ぼす影響が詳しく説明されています。集団力学とコンフリクトの観点から、日常生活の中でどのように判断を下し、葛藤に直面するかが探られます。特に、マイナス面のコンフリクトとプラス面の比較の重要性が強調されています。

社会心理学の導入
ようこそ、自己理解を深める心理学ラジオへ。このポッドキャストは、個性の裏表を認めて味わう人を増やすために、株式会社自己理解で自己理解コーチとして活動する配信者が、自身やクライアントの自己理解を深めるべく探求し始めた心理学をテーマにお話をする番組です。
テーマに興味のある方や、同じく対人支援をされている方、自己理解を深めたいと感じている方の参考になれば幸いです。
今日も聞いていただいてありがとうございます。
今日はですね、参考書籍図解心理学用語大全の大テーマが変わりまして、いよいよ9個目の社会心理学という章に入っていきたいと思います。
社会心理学ってね、皆さん言葉としては聞きなじみがあると思うんですけども、具体的にどういうことなのかっていうのは、私もこの書籍を読むまでは未知数でした。
でもなんか言葉のイメージからね、個人というよりもみんながいる場みたいなところに働く心理学なのかな、なんていうことを感じたりしませんかね。
ということで今日のテーマとしては、場に影響を受けるのが人間だということで、集団力学という考え方とコンフリクトという概念、この2つを自己理解を深める視点からご紹介していきたいなというふうに思います。
まず集団力学だったりコンフリクト、いわゆるこの場の理論みたいなものを提唱されたのが、1890年から1947年まで活躍されたクルト・レヴィンさんというドイツ出身のアメリカで活躍されたユダヤ人の心理学者です。
そもそもこのレヴィンさんが場の理論について考え始めたきっかけというのが、民衆がナチスの全体主義に傾倒していった理由をゲスタルト心理学、以前ね、大項目としても、ポッドキャストの中でも紹介してますけども、ゲスタルト心理学によって解明しようとしたというところが、この社会心理学に発展していったきっかけになります。
ゲスタルト心理学を少しおさらいしておくと、ゲスタルトというのは全体というドイツ語の意味があって、この全体は要素の相和以上のものを生み出すというふうに考える。
4本の棒があったときにそれを2本ずつに分けたら、2本のちょっと太めの棒になるし、四角形みたいに並べることもできるし、Eというアルファベットの文字を4本の棒があれば作ることができますよね。
個別で見たらたった4本の棒なんですけども、それが置かれた場に応じて、それ以上の意味合いを持つというのがゲスタルト心理学というのの概要でした。
レビンさんはゲスタルト心理学を社会心理学、つまり人の意識や行動は社会からどのような影響を受けているのか、または社会にどのような影響を与えているのかというのを分析する学問に応用を発展させていったということなんです。
レビンさんの中には人間の行動は個人の性格や欲望だけで決まるわけではなくて、個人が浮かれた場とか環境に左右されるという、そんな好直感だったのではないかなというふうに思います。
例えば、現代のビジネスシーンで上司が優しい人か怖い人かっていう比較をしたときに、優しい上司にはいい企画ができたらぜひ提出してみよう。
なぜなら褒めてもらえるかもしれないから、みたいなことを感じますよね、部下としては。
一方ですぐにミスを指摘して起こってくる怖い上司だった場合、いい企画ができたかもしれないけれども、もう一度検討してみようっていうふうに、上司にもうなかなか持っていかない、遠ざけてしまうみたいなことが場としてあるんじゃないかなと思います。
この2つを、前者は性の誘発性、引きつける特性がある。後者が負の誘発性、遠ざける特性があるというふうに考えたのが場の理論という概念です。
同じ部下はAさんという人なんですけども、上司のタイプによって引きつけてすぐに持っていくっていう行動を取るのか、遠ざけてしまうっていう行動を取るのかで、個人の性格じゃなくて場とか相手に影響されているということが言えそうですよね。
なので、レビィンさんは他者の言動を正確に理解するためには、その人の発言単体で見るんじゃなくて、周りの環境を見る必要があるというふうに考えました。そしてこの場の理論を発展させて考案されたのが集団力学という考え方です。
集団に属する個人の言動を研究すれば、人々の社会生活の改善に役立てることができるっていうふうにレビィンさんは考えたんですね。
確かにさっきの場の理論の話で言うと、個人の行動っていうのは集団に影響されるところがあるから、どういう集団なのかっていうところを見ていくと、個人がこういうふうに行動してしまうのはなぜなのかっていうところが見えてきて、それを改善させることが確かにできそうですよね。
集団力学の概念
集団力学の例として2つこの書籍には掲載されています。例えばあの有名な赤信号、みんなで渡れば怖くないみたいな、あまり良くない発想ですけども、そういう言葉があったりしますよね。
1人でいたときに信号が赤であれば急いでるけど青になるまで待とうっていうふうに人は考えますけども、集団で信号待ちしているときに誰か1人が赤信号で渡ったとなると、どんどんそれに追随して人はみんなで渡っちゃえっていうふうに間違った意思決定をしてしまうということですよね。
ここから言えるのが個人で決定するよりも集団で決定する方がハイリスク、ハイリターンな決定をする場合が多い、場に流されてそういう決定をしてしまうということが分かったようです。
もう一つの集団力学の例で言うと、集団にはどんなリーダーがふさわしいかっていうのを研究したときに先制君主的なリーダー、まさにこのレヴィンさんの体験で言うとナチスドイツにおけるヒトラーみたいな、そんなリーダーですかね、と民主的なリーダー、みんなで頑張っていこうっていうふうに声掛けするリーダー。
この2パターンで考えたときに、これご自身のナチスの経験も多分に含まれた解釈だと思うんですけど、先制的なリーダーは集団の攻撃性が高まって集団の雰囲気が悪くなるということが分かったようです。
一方で民主的なリーダーのもとで働いている人は集団の雰囲気が良くなる、お互いに助け合ったりミスを共有し合うような雰囲気が持てる、そういうことが分かったようです。
最近よく言われている心理的安全性みたいな、そんな概念とも通ずるこの研究結果かもしれませんね。
この集団力学はお弟子さんのカートライトさんという方に引き継がれて多くの実験が行われたとされています。
どうですかね、ご自身の所属されている組織とかチーム、グループっていうのはどういったリーダーのもとでどんな集団力学が働いていそうですかね。
自己理解とは少しずれますけども、ご自身がいる環境についての自己理解という意味で考えてみていただけたらいいのかなと思います。
もう一つレウィンさんが提唱された面白い概念を紹介します。
コンフリクトという考え方になります。
この意味としては、どちらを選んでよいか決められない状態のことをコンフリクトが起こっている状態と言います。
日本語で言うとコンフリクトって対立みたいな意味で用いられることが多いんじゃないかなと思いますが、
このコンフリクト対立が長引くとフラストレーションが溜まってしまうという、そんな風に言われています。
レウィンさんはこのコンフリクトを3つのパターンに分類したのが非常に私は面白いなという風に思いました。
一つ目が接近と接近イコールプラスの有因とプラスの有因が対立しているコンフリクトが起こっているということで、
同じくらいの魅力を持つ有因の間で選択に悩む状態。
例えば同じ日に違うパーティーが2つある、どっちも行きたいなどっちにしようっていう風に悩んでしまう状態ですね。
このプラスとプラスのコンフリクトの場合は、一度こちらに行こう、理由はこうだっていう風に決めてしまえば、
葛藤はその後長引かないという風にされています。
一方で2つ目のコンフリクトは回避と回避、マイナスとマイナスの対立になります。
コンフリクトの種類
これは同じくらい回避したいのに、一方を回避すればもう一方に陥ってしまうという状態ですね。
例えば受験勉強している時に、努力したくないけども不合格も嫌だなっていう、そういう状態が例として挙げられています。
確かに目先の努力っていうこの目の前のマイナスと結果不合格っていう少し先のマイナス、これどちらも確かにできれば避けたいですよね。
マイナス同士のコンフリクトはプラスとプラスのコンフリクトよりも葛藤から抜け出しにくいという風にされているようです。
3つ目が接近と回避のコンフリクトです。
1つの目標が魅力的な面とそうでない面を持っているので実行に移せない。
メリットデミリットどっちもあるみたいな状態ですかね。
例えば飲み会は楽しいけど次の日が辛い。ビル会社で働いてますので非常に共感しますが、飲み会をやっている時はプラス接近の誘因ということですね。
プラスの誘因だから飲みたいと。だけど少し長期で見た時に次の日になるとマイナスの誘因、それを飲んだことによってマイナスが生じるということ。
この間で迷ってしまうということですね。
まあその他で言うと食べたいけど太りたくないとか、結婚したいけど不自由は嫌だみたいなメリデメがあるみたいな状態確かにありますよね。
自己理解的な観点で見ていくと、ご自身はどのコンフリクトに陥りがちかという視点があるかなと思います。
皆さんどうでしょうかね。
ポジティブ同士で迷うのか、ネガティブ同士で迷うのか、メリットデミリットで迷うのか。
シーンによってたくさんあると思うんですけど、ご自身の性格にもよるかもしれませんね。
要するに物事のどちらの面、プラス面かマイナス面、どちらにフォーカスが当たりやすいのかっていうところで、
どういうコンフリクトが起きがちなのかっていうのが変わってくるような気もしゃべりながらしてきました。
例えばネガティブな面を見てしまって、こういうのにはこういう課題があるけど、こっちを選んだらこういう課題があるんだよなっていうときに、
やっぱり2つ目のパターンの回避と回避、マイナスとマイナスのコンフリクトに陥りやすいような気がするんですね。
自己理解の重要性
ですけど、物の良いところを見る人と同じ比較でも、これはこういう良いところがあって、
例えば旅行のプランを比較したとして、このプランAはこういうところに行けるし、こういう楽しいこともできるけども、
Bのプランはこういう別の楽しいところがあって、こういうコストのメリットもあるみたいなときに、プラスとプラスで迷ってますよね。
一方でこの同じ旅行プランを比べたときに、マイナスネガティブに着目する人だと、
Aにはこういうリスクがあって、こういう懸念があるけども、Bはこういう懸念があって、
どっちを避けたいかなみたいな、どっちも嫌だなみたいな風になってしまう人もいると思うんですよね。
これ何が良いか、何が悪いかっていうことではなくて、そういう傾向があるってことなんですけども、
プラスとプラスのコンフリクトであれば、一度決めれば葛藤はなくなっていくとされるので、どうでしょうかね。
最終的にはプラスの面を比較をした上で、こういうメリットを取るからこっちで行こうっていう風に意思決定をするっていうことが、
このコンフリクトを抜け出していく一つの手段なのかなという風に、書籍には書いてないんですけども、考えました。
どうでしょうかね。皆さんも意思決定するときにプラスの面、マイナスの面どちらで決めるのかとか、
この場に影響を受けて、コンフリクトも結局自分というよりも目の前の対象とかの要素を比較しているわけですよね。
そこに影響を受けながら人は生きているっていうことで、自分はどういう影響を受けているのか、
プラスなのかマイナスどっちに影響を受けやすいのかみたいなところの自己理解が深まる内容になっていればいいなという風に思います。
ここまで聞いていただいてありがとうございました。また次回の放送でお会いしましょう。さよなら。
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