ようこそ、自己理解を深める心理学ラジオへ。このポッドキャストは、個性の裏表を認めて味わう人を増やすために、株式会社自己理解で自己理解コーチとして活動する配信者が、自身やクライアントの自己理解を深めるべく探求し始めた心理学をテーマにお話をする番組です。
テーマに興味のある方や、同じく対人支援をされている方、自己理解を深めたいと感じている方の参考になれば幸いです。
今日も聞いていただいてありがとうございます。
今日はですね、参考書籍図解心理学用語大全の大テーマが変わりまして、いよいよ9個目の社会心理学という章に入っていきたいと思います。
社会心理学ってね、皆さん言葉としては聞きなじみがあると思うんですけども、具体的にどういうことなのかっていうのは、私もこの書籍を読むまでは未知数でした。
でもなんか言葉のイメージからね、個人というよりもみんながいる場みたいなところに働く心理学なのかな、なんていうことを感じたりしませんかね。
ということで今日のテーマとしては、場に影響を受けるのが人間だということで、集団力学という考え方とコンフリクトという概念、この2つを自己理解を深める視点からご紹介していきたいなというふうに思います。
まず集団力学だったりコンフリクト、いわゆるこの場の理論みたいなものを提唱されたのが、1890年から1947年まで活躍されたクルト・レヴィンさんというドイツ出身のアメリカで活躍されたユダヤ人の心理学者です。
そもそもこのレヴィンさんが場の理論について考え始めたきっかけというのが、民衆がナチスの全体主義に傾倒していった理由をゲスタルト心理学、以前ね、大項目としても、ポッドキャストの中でも紹介してますけども、ゲスタルト心理学によって解明しようとしたというところが、この社会心理学に発展していったきっかけになります。
ゲスタルト心理学を少しおさらいしておくと、ゲスタルトというのは全体というドイツ語の意味があって、この全体は要素の相和以上のものを生み出すというふうに考える。
4本の棒があったときにそれを2本ずつに分けたら、2本のちょっと太めの棒になるし、四角形みたいに並べることもできるし、Eというアルファベットの文字を4本の棒があれば作ることができますよね。
個別で見たらたった4本の棒なんですけども、それが置かれた場に応じて、それ以上の意味合いを持つというのがゲスタルト心理学というのの概要でした。
レビンさんはゲスタルト心理学を社会心理学、つまり人の意識や行動は社会からどのような影響を受けているのか、または社会にどのような影響を与えているのかというのを分析する学問に応用を発展させていったということなんです。
レビンさんの中には人間の行動は個人の性格や欲望だけで決まるわけではなくて、個人が浮かれた場とか環境に左右されるという、そんな好直感だったのではないかなというふうに思います。
例えば、現代のビジネスシーンで上司が優しい人か怖い人かっていう比較をしたときに、優しい上司にはいい企画ができたらぜひ提出してみよう。
なぜなら褒めてもらえるかもしれないから、みたいなことを感じますよね、部下としては。
一方ですぐにミスを指摘して起こってくる怖い上司だった場合、いい企画ができたかもしれないけれども、もう一度検討してみようっていうふうに、上司にもうなかなか持っていかない、遠ざけてしまうみたいなことが場としてあるんじゃないかなと思います。
この2つを、前者は性の誘発性、引きつける特性がある。後者が負の誘発性、遠ざける特性があるというふうに考えたのが場の理論という概念です。
同じ部下はAさんという人なんですけども、上司のタイプによって引きつけてすぐに持っていくっていう行動を取るのか、遠ざけてしまうっていう行動を取るのかで、個人の性格じゃなくて場とか相手に影響されているということが言えそうですよね。
なので、レビィンさんは他者の言動を正確に理解するためには、その人の発言単体で見るんじゃなくて、周りの環境を見る必要があるというふうに考えました。そしてこの場の理論を発展させて考案されたのが集団力学という考え方です。
集団に属する個人の言動を研究すれば、人々の社会生活の改善に役立てることができるっていうふうにレビィンさんは考えたんですね。
確かにさっきの場の理論の話で言うと、個人の行動っていうのは集団に影響されるところがあるから、どういう集団なのかっていうところを見ていくと、個人がこういうふうに行動してしまうのはなぜなのかっていうところが見えてきて、それを改善させることが確かにできそうですよね。
集団力学の例として2つこの書籍には掲載されています。例えばあの有名な赤信号、みんなで渡れば怖くないみたいな、あまり良くない発想ですけども、そういう言葉があったりしますよね。
1人でいたときに信号が赤であれば急いでるけど青になるまで待とうっていうふうに人は考えますけども、集団で信号待ちしているときに誰か1人が赤信号で渡ったとなると、どんどんそれに追随して人はみんなで渡っちゃえっていうふうに間違った意思決定をしてしまうということですよね。
ここから言えるのが個人で決定するよりも集団で決定する方がハイリスク、ハイリターンな決定をする場合が多い、場に流されてそういう決定をしてしまうということが分かったようです。
もう一つの集団力学の例で言うと、集団にはどんなリーダーがふさわしいかっていうのを研究したときに先制君主的なリーダー、まさにこのレヴィンさんの体験で言うとナチスドイツにおけるヒトラーみたいな、そんなリーダーですかね、と民主的なリーダー、みんなで頑張っていこうっていうふうに声掛けするリーダー。
この2パターンで考えたときに、これご自身のナチスの経験も多分に含まれた解釈だと思うんですけど、先制的なリーダーは集団の攻撃性が高まって集団の雰囲気が悪くなるということが分かったようです。
一方で民主的なリーダーのもとで働いている人は集団の雰囲気が良くなる、お互いに助け合ったりミスを共有し合うような雰囲気が持てる、そういうことが分かったようです。
最近よく言われている心理的安全性みたいな、そんな概念とも通ずるこの研究結果かもしれませんね。
この集団力学はお弟子さんのカートライトさんという方に引き継がれて多くの実験が行われたとされています。
どうですかね、ご自身の所属されている組織とかチーム、グループっていうのはどういったリーダーのもとでどんな集団力学が働いていそうですかね。
自己理解とは少しずれますけども、ご自身がいる環境についての自己理解という意味で考えてみていただけたらいいのかなと思います。
もう一つレウィンさんが提唱された面白い概念を紹介します。
コンフリクトという考え方になります。
この意味としては、どちらを選んでよいか決められない状態のことをコンフリクトが起こっている状態と言います。
日本語で言うとコンフリクトって対立みたいな意味で用いられることが多いんじゃないかなと思いますが、
このコンフリクト対立が長引くとフラストレーションが溜まってしまうという、そんな風に言われています。
レウィンさんはこのコンフリクトを3つのパターンに分類したのが非常に私は面白いなという風に思いました。
一つ目が接近と接近イコールプラスの有因とプラスの有因が対立しているコンフリクトが起こっているということで、
同じくらいの魅力を持つ有因の間で選択に悩む状態。
例えば同じ日に違うパーティーが2つある、どっちも行きたいなどっちにしようっていう風に悩んでしまう状態ですね。
このプラスとプラスのコンフリクトの場合は、一度こちらに行こう、理由はこうだっていう風に決めてしまえば、
葛藤はその後長引かないという風にされています。
一方で2つ目のコンフリクトは回避と回避、マイナスとマイナスの対立になります。