コミュニケーション力の理解
こんにちは。明治大学で生涯学習講座の講師をしています、遠藤美保です。この番組では、社会人や学生向けの生涯学習講座を10年以上行ってきた私が、日常生活でも活かせる心理学を、ポッドキャストでお伝えしていきます。
今回のテーマは、こちら。
「つなぐ、つながる、コミュニケーション力」
今回は、「つなぐ、つながる、コミュニケーション力」のお話です。
お伝えしている心理学ですが、皆さまにとっての日常的で身近な話題とも自然とつながっています。その見方・活かし方をご紹介します。
今回は、「つなぐ、つながる、コミュニケーション力」について。
コミュニケーションは、人や世の中との関わり方、自分だけで完結するものではない。その仕組みを知ることで、何が起きているのか、どうしたら良いのか、気づくヒントが得られます。
第1回目「承認欲求は誰もが持っている原点」。第8回目「承認欲求を満たし合う、コミュニケーション3つの法則」ともリンクするお話です。
コミュニケーション力と言いますと、皆さまはどんな力をイメージされますか。
会話をする力だったり、交渉力だったり、何かを伝える説得力だったり、人間関係を円滑に進める何か。あたりでしょうか。
ある時、こんなことがありました。オブザーバーとして参加した、ある集まり。初めての就職活動を目指す世代の方々が数名ずつ、グループになって、色々な課題に取り組む、そんな趣旨の集まりです。
私は遠くにいて眺めていましたので、詳しい会話の中身は聞こえず、もっぱら、それぞれの表情だったり動作だったり、場の盛り上がりだったり、言語ではない、非言語の情報だけわかる状況。その内の1グループのある人が、妙に気になり始めました。
正直、ぱっと見た感じでは、ちょっと失礼な言い方かもしれませんけれども、あまり冴えない感じ。髪型や服装がこなれていないと言いますか、おそらく、ずらっと若者が並んだ時、第一印象はそれほど良くないのでは?という人です。
ただ、その人のいるグループが、他のグループに比べますと、目に見えて盛り上がっています。それも、何かわざとらしく盛り上がるわけでもない、他のメンバーの顔を見ていると、リラックスして安心感のある笑顔や表情、自然と湧き上がるような、い~い感じの盛り上がり。
数回、グループ分けの変更もありましたけれども、その人がいるグループは、毎回、い~い感じの盛り上がり、なんです。それぞれが自由に発言しながら、やっぱりリラックスして、安心感のある笑顔や表情です。
たまたま、盛り上がるグループに居合わせただけ。そうは思えなかったのは、参加メンバーの視線や姿勢が、その人の方を自然と向くことが多くて、ゆるやかな中心になっていたから。決して中心で発言しているとか、そんな中心ではなく、縁の下の力持ちのような、みんなの安定剤のような、そんな気配を感じました。
1~2回の面接では、伝わりにくい。その人の得難い、人と場をつなぐ、つながるコミュニケーション力。「うわあ、すごくいいなあ。この人の良さがわかる職場と巡り合ってほしい」。つくづく、そう思ったのを覚えています。
第8回目でご紹介しました、コミュニケーションの法則から考えてみます。盛り上がっているグループの状態は、心の中の狙い、狙われたところから、返し返される交流。相互に補うと書いて、相補交流が活発になっている状態だったかと思います。
そして、コミュニケーションの法則では、ポイントをシンプルにお伝えするため、1対1のコミュニケーションを軸にお話をしてきましたが、実際のところ、私たちは2人以上のグループや集団、組織で生活している、そういった2人以上でのコミュニケーションの中で生きています。
その場合、グループや集団、組織全体で見る必要がありそうです。
つなぐ、つながる力の発揮
人間関係ということになるかもしれませんが、1対1では良くても2人以上になると良くない。あるいはその逆、1対1では良くなくても2人以上になると良い。そこには、人と人との組み合わせも関係してくるかと思います。
コミュニケーション力は、人や世の中との関わり方、自分だけで完結するものではない、1対1だけでもない。
私が気になってしまった、盛り上がっているグループの、ゆるやかな中心人物。あの人は、潤滑油のような役割を果たしていたのではないでしょうか。
例えば、発言をしながら、心配になってしまっている人に、笑顔でうなずき返す。他の人が発言しやすいように、声がけをする。もしかしたら、意外といつも、真っ先に突っ込まれやすい意見を出して、体を張っていたのかも。といったところです。
なにぶん、遠くから眺めていただけなので、これはあくまでも私の想像。実際に何が起きていたのかは、わかりませんが、コミュニケーション力は1対1だけではない。
グループや集団、組織の中で果たす役割、それもコミュニケーション力の一つ。全体としての相補交流です。
1対1ではない、全体を見るときは、細かい1つ1つのやり取りから積み上げて考えるのではなく、全体の中で何が起きているのか、うまくいっているところ、止まっているところはどこか、そのポイントから逆算してみることをお勧めします。
今回の例では、1人の潤滑油となる人が、「つなぐ、つながる、コミュニケーション力」を発揮してくれていたようです。
では、今回覚えていただきたいポイントは、「つなぐ、つながる、コミュニケーション力」。まずは、気づくこと。そして、いつもと違う変化を味わってみませんか?
ここまで聞いていただき、ありがとうございます。
最後に、番組からのお知らせです。
気づくと変わる心理学を、また聞きたいと思った方は、お聞きのポッドキャストアプリで、番組フォローとレビューをお待ちしています。
フォローしていただけると、最新話が更新された際、通知がきます。
また、レビューしていただくことで、番組の改善につながりますので、できれば★5評価をお待ちしています。
そして、お聞きのあなたからの疑問・質問・感想も、様々な媒体でお待ちしています。
Spotifyでお聞きの方は、エピソードごとのQ&A画面、「番組へのメッセージは、こちら」から。
Apple Podcast(アップル・ポッドキャスト)でお聞きの方は、「レビューを書く」から、コメント付きでレビューできます。
来週も、火曜日の朝6時に更新されます。
お相手は、遠藤美保でした。ありがとうございました。